米国メーカーのクランクベイトはフィネスフィッシングには向かないという意見があります。
これはある意味正解ですが、ある意味大間違い。
大味なセッティングのものが多いアメリカンクランクだけに、繊細なクランキングには向かないと思うのは仕方ないのかも知れませんが、その辺りを誤解しているとクランキングの幅が狭まってしまうことにもなりかねません。
今日紹介するカーブ55フィネスクエアビルはそんな先入観を捨てきれないクランカーに捧げます。
カーブ55フィネススクエアビルとは
カーブ55フィネスクエアビル(以下カーブ55フィネス)はシックスセンスルアーズがリリースした小型クランクベイトです。
ウィグルワートのフォロワーとして開発されたカーブ55のシャローバージョンとして2019年?に登場しました。
カーブ55フィネスは米国でワートスタイル Wart Style とかワートシング Wart Thing と呼ばれているウィグルワートタイプのカテゴリーに切り込んだ意欲作ですが、生粋のクランカーであるシックスセンス社長ケイシーはそれだけでは飽き足らず、シャローバージョンにも挑戦したのです。
カーブ55フィネスのサイズ・重さ・潜行深度
カーブ55フィネスは55ミリ、3/8oz(実測11.5g)のタイニー系クランクベイト。
メガバスのグリフォンが運動不足で太っちゃったようなサイズ感ですが、ワート系ボディのシャロークランクは他にあまり存在しないせいか独特の存在感がありますね。
潜行深度はカタログ値で1〜3ftとなっていますが感覚的にはもうちょっと浅いような気がします。
のんだくれはクランキン時の標準ラインウェイトが16lbなので、そのせいもあると思われ。
カーブ55フィネスの特徴
ショート&ファットボディと小さなリップ
カーブ55フィネスの特徴はショート&ファットボディとリップのアンバランスさ。
まるでハコフグのようなボディから突き出す小さなリップはフィネスという名前の影響もあってちゃんと泳ぐの?と薄目で見てしまいますが、実はかなりの働き者。
かつてティムコが販売していたファットペッパーシャローもカーブ55フィネスと同様に小さなリップですが予想にに反してブリブリと泳いでくれるので、やっぱりリップの大きさとアクションは比例しないんだなと再認識させられます。

”フェイントラトル” とは?


画像出典:6thsensefishing.com
ラトルボール兼ウェイトは二箇所に設けられたチャンバーに収められています。
その設置位置から低重心設計にこだわっている感じでもなさそうです。
気になるラトルサウンドはクラッシュ300DDにも採用されているフェイントラトル方式ですが、フェイントラトルの謳い文句のイメージよりもチョイうるさ目のカタカタ系。

ワイドなボディ幅いっぱいの稼働域もあって、フィネスのイメージとはかけ離れた音量で響いてくれます。
個人的にはかなりストライクな音質音量ですが、ラトル音を抑えたいと思っているフィネスアングラーにはトゥーマッチかもしれません。
遅すぎず早すぎない浮上速度
ルアー自体の浮力はやや抑え目に設定してあり、浮上速度は遅くも早くもないと言った感じ。
浮上スピードは目測で15cm/秒なので、モデレートフロートといったところでしょうか。
早巻きからのキルで食わせるにはピッタリな浮力。
カバーなどを通す時に浮かせてもストレスを感じないので、おそらくその辺りも計算されているんでしょう。
ちなみにスクエアビルという名前からカバークランクかと思いがちですが、カバーはあまり得意ではありません。
得意ではないというよりも、”このサイズのリップにしては頑張ってくれてるけど一般的なスクエアビルには勝てない” と言った方がイイかもw
パッケージの説明ではあらゆるスポットに対応する的な事が書かれているので、もしかしたらカバー抜けも期待しちゃう人が居るかもしれませんね。
カーブ55フィネスのアクション
アクションはタイトでピッチの早いウォブリング。
ラインアイとフロントフックハンガーの中間ぐらいに支点があるピリピリ系のエスケープアクションです。
アクションの立ち上がりは非常にクイックで、アングラーの手元にしっかりと鼓動を伝えてくれるので、使ってて楽しいクランクベイト。
シックスセンスルアーズはプロ目線でのものづくりを徹底しているメーカーなのですが、こういうところにタフな状況でも集中力とモチベーションを切らさないようにとの配慮が伺えますね。
ちなみにこのカーブ55フィネスはリトリーブ軌道が左右に振れるサイドtoサイドアクション、日本的にいうところの千鳥足アクションで泳ぐとメーカーは謳っていますが、それに関してはぶっちゃけビミョーな感じ。
千鳥るといえば千鳥るし、そうでないといえばそうでないw
のんだくれはこのクランクに限らず千鳥足アクションの必要性を感じていないので、どーでもイイんです😂
カーブ55フィネスの使い方
カタログやパッケージの説明によると、ベイトが小さい場合やタフな状況ならばどんなところでも使える的な事が書かれていますが、サーチベイトとして巻き倒して使うにはちょっと弱いかなというのが正直なところ。
米国と日本とではフィールドもアングラーの感性も違うので当たり前なのですが、日本のフィールドではバスの居場所が分かっている時にリアクションで食わせたい時に効果的じゃないかと。
個人的にはウィードエッジに沿ってキルを入れながらエビちっくに使うのがオキニです。
フィネスクランクだけにカラーにはこだわりたい
クランクベイトのカラーリングには人一倍こだわっているブランドだけあって(詳細はスワンク77Xの記事参照)カラー数が多いのもカーブ55フィネスの特徴です。

ここはソフトベイトのカラーを選ぶようにカラーにはこだわってみたいですね。
カーブ55フィネスはカラー数が多い分、演じさせたいのはエビなのかギルなのか、さらに水質はどうか、などなどアプローチ法を頭の中で練って選ぶのはサイコーに楽しい作業です。
ちなみにのんだくれのオキニはこのボーンリアクター Bone Reactor。
膨張色であるボーンにチャートを乗せ、頭部にグレイ/パープルパールを吹いたシンプルカラーですが、実はコレ、以前からこのブログにも度々登場しているストライクキングのオイスター系カラーなのです。
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しかしオイスター系だからヤラれたわけではありません。
そのネーミングにもヤラれたのです。
ボーンリアクターを直訳すると ”ボーンカラーに反応する者” という意味ですが、実はボーンにはスラングで ”男女がヤる” という意味もあるのです。
つまり男女が営む様子をバスのバイトを掛け、それを誘発するというワードプレイが隠されていたのです。
これを知っちゃったらネームヲタとしてはもう抗えませんよねw
さらにもうひとつヤラれた理由があります。
実はこのカラー、ダイビングバージョンのカーブ55には設定されていないカラーなのです。
似たような色はありますが、全く同じカラーはカーブ55には無いのです。
なぜカーブ55フィネスにだけこの色が有るのか、その理由は分かりません。
理由についてケイシーに直接質問してみようかと思っているので、返事が来たらまたこのページを更新します。
カーブ55フィネスのフック
フックは前後とも#6サイズの、ワイドギャップショートシャンクブラックニッケルスーパーシャープフック(長っ!)という形容詞にまみれたフックwを採用。
マスタッドでいうところのトリプルグリップに相当する形状ですね。
よく米国ルアーのフックはダメと言われていますが、このフックに関してはそのワードは当てはまりません。
このフックのポイントはビックリするぐらいシャープなのです。
ぶっちゃけイチカワフィッシングのカマキリと互角と言ってもいいぐらい。
なので交換は全くの不要。
デフォルトのままで投げられます。
これはタフな状況でのショートバイトを見越したセッティングなのですが、フックからもヤル気が伝わってくるようです。
しかしシビアなセッティングゆえ、フック交換時にはアクションバランスを崩さないようにフックウェイトにも気を配る必要があるのでご注意を。
しかしこのフック、一体どこのメーカーが供給してるんでしょうね。
ご存知の方がいたら是非ご一報を。
カーブ55フィネスのネーム
しかしシックスセンス家の掟によりネームが入ってないのは大きな欠点です。
他のシックスセンス製品同様、背中にブランドロゴが押されているだけ。
腹側は哀しくなるほどまっさらです。
カラー名にはこだわるのにルアーのネームスタンプには無頓着なんて、力を注ぐポイントを間違えてんじゃないの?と文句のひとつも言いたくなりますね😂
カーブ55フィネスの入手方法
そんなカーブ55フィネスですが、うれしいことに取扱店はそれなりに有る様で、検索すればいくつか見つける事ができます。
日本に入れている業者はおそらく魚矢だと思うので、もし店頭に置いてない場合は注文すればすぐに入手できると思います。
しかし逆に中古市場で探そうと思うとなかなか見つかりません。
これはのんだくれの勝手な想像ですが、お試しで買ってみたら思いのほか良かったのでユーザーがなかなか手放さないのではないかと。
なので気になった場合は、気長に中古を探すよりもさっさと注文してしまった方が、早く楽しい思いができます。
その方が好みのカラーもオーダー出来るしね😁
おわりに
かつては米国に追いつけ追い越せだった国産ルアーは今では米国でもしっかり市民権を獲得し、米国ブランドの中にも国産ルアーを強く意識したものが出てくる様になりました。
このカーブ55フィネスが国産クランクを意識しているかどうかは分かりませんが、クランクベイトとフィネスが対義語だった一昔前と比べたら、日米クランクベイトの垣根は品質面も含めて我々の想像以上に低くなっていると認識すべきでしょう。
なのでアングラーもショップも、”アメモンのクランクはフィネスでは使えない” なんて言ってたら笑われちゃいますよw