ウッド製ルアーは水面派アングラーの必携ベイトです。
よくあるメディアプロの後付け理由などではなく、ウッドだからこそ釣れるサカナというのは間違いなく存在しています。
それはノリーズのベジテーションシリーズがウッドにこだわっている事からも理解できますね。
しかしウッド素材であるがゆえに水面派以外からは敬遠されがちなのもこれまた事実です。
プラスチックに比べて浸水や塗装割れなどの劣化が目立ち、自然素材ゆえ品質が均一でないというのが敬遠されている理由。
しかし今日紹介するテラー3/8ozは、それらウッド特有のネガティブ要素を鑑みてもボックスに入れておくべきルアーのひとつです。
テラー3/8ozとは
テラーは、アンカニーチャップ/ゲイリーウィッチ/プランク/ロジックらと共にズイール五人衆と呼ばれ、ズイールの金看板を背負ったオリジナルモデルのひとつです。
オリジナルサイズは5/8ozですが、サイズバリエーションとして1/2oz、3/8ozが追加されました。
それぞれのサイズに特徴がありアクション特性も変わってくるのですが、その中でもこの3/8ozサイズは非常によく釣れるルアーとしても定評があるのです。
テラー3/8ozのサイズ・重さ
テラー3/8ozは約70ミリ、重さも約3/8ozのペンシルベイトです。
スペックにいちいち ”約” が付くのは、ハンドメイドなので個体と生産年によって数値に差があるから。
画像のテラーは2001年モデルで重さは13.5g(ほとんど1/2oz!w)ですが、他の年だと15g超のものもあるなどズイール自身が重さをあまり気にしていないので、重量表記が単なる商品コードになっちゃってるのですw
製造年度による個体差が受け入れられず ”バラつきがある” と解釈されてしまうのは、ある意味ズイールの宿命でもあるので仕方ないんですけどね。
テラー3/8ozのアクション
テラー3/8ozのアクションは素直な180度ターンとククッと止まるスライディングアクションが特徴です。
オリジナルとなる5/8ozは驚異的なロングスライドがウリですが、サイズダウンによって全長が短くなるにつれ首振りとスライドのバランスがいい塩梅になって扱い易くなっているので、この3/8ozは小難しいスキルなんか無くても自在に動かせる懐の広さを見せてくれます。

テラー35 3/8oz(上)と テラー3/8oz
そのアクションを特徴づけているのはファットなボディシェイプ。
テラー35と比べて太くて丸いヘッドが強く水を押し、太いテールエンドがルアー後方に作り出すタービュレントフロー Turbulent Flow(=巻き返し水流)がブレーキとなるので移動距離が抑えられます。
これが ”素直にスライドするけれどもちゃんと止まる” というテラー3/8oz特有のアクションを生み出しているのです。

テラー3/8ozの使い方
テラー3/8ozが効くシチュエーションはズバリ、バスがアシや障害物にタイトに付いているようなタフな時。
先述のブレーキ効果によりピンスポットがしっかり狙えるので、静かに且つ時間をかけたアプローチが可能になります。
バスがアクティブな時はテラー35のようなクイックなスライドアクションでもバイトしてきますが、スローな時はテラー3/8ozのテーブルターンとククッと止まるスライドを組み合わせる事でアシの表裏を舐めるようにじっくり誘ってバイトに持ち込めるのです。
実はコレ、ガチで釣りまくってるズイーラーがやってた使い分け。
彼曰く、スローな時は移動距離が短くてアピールが強いポッパーとかスイッシャーを使いがちだが、それだと状況に対してアピールが強すぎるのでバイトには至らないことが多い、と。
彼はタフな状況にも関わらず確かに釣っていたので、この考えはかなり核心を突いているんじゃないかと。
なのでそれ以来、のんだくれは葦周りをペンシルで撃つ時は最初はテラー35の3/8oz、その次はテラー3/8oz、それでもダメならキールヘッドタイフーンでブチ込みというのがひとつのパターンになっています。

オススメのモデルは2001年
そんな使えるテラー3/8ozですが、先述の通り製造年によってルアーの性格に差があるのでなかなか手を出しづらいというのが実情だと思います。
でもご安心を。
2001年モデルのテラー3/8ozならばズイール初心者でも安心して使えるパフォーマンスを持っていますから。
実はズイール通の間ではルアーごとに ”当たり年” という基準年があり、テラーは93年、96年、99年、01年がそれに当たると言われています。
もちろんアングラーの好みもあるので、いやいや99年はダメだろ!的な異論もありますがw、これらの製造年ならば概ね素直で扱いやすいと思って間違いないと思います。(それ以外のモデルが使い辛いわけではないので念のため。比較したらどれが “素直か” というオハナシね)


2001年と1993年(右)のボディシェイプ比較。93年の方がファットで水絡み感は強いがヘッド形状のせいかスライド幅が大きい。
ただし93年と96年は中古相場でもなかなかの相場である上に、99年も近年値上がり傾向にあるので、これからテラー3/8ozにトライするなら価格/タマ数ともに安定している01年がオススメです。
テラー3/8ozのフックサイズ
#4サイズのダブルフックがテラー3/8ozの標準サイズ。
ロングシャンク&クローポイントのズイールフックですね。
しかし一般的に販売されている#4サイズとはシャンクの長さが違うので、交換の際には注意が必要です。
汎用フックと純正フックでは形状が変わる程度でフッキングに大きな影響が出るわけではありませんが、汎用フックだと見た目が急にショボくなるので、雰囲気も釣果に影響する!という人はご注意をw
テラー3/8ozのネーム
テラーに限らずズイールのルアーには年号とネームがステンシルで吹かれています。
しかしズイールのお家芸でもある塗装割れによっていずれは剥がれ落ちてしまう運命なので、それまでの命を悔い無きように存分に楽しむのが真のズイール道ではないかと。知らんけどw
とはいえ、カップにはしっかりと ZEAL LURES CO.,LTD. の刻印もあるのでネームが剥がれ落ちてもニヤニヤ出来るようになっていますw
ズイールに限った話ではありませんが、オリジナルのカスタムパーツはブランドアイデンティティを高め、ユーザーの所有欲を満たしてくれるなどメリットが多いのですが、その反面、高コスト体質になりがちなのでビルダーとしては採用するかどうかでかなり迷うところ。
趣味で制作しているならともかく、利益を出さなければならないビジネスでは数十円の違いが大きな差を生むからです。
逆の見方をすればハンドメイドルアーでカスタムパーツを採用しているブランドは、ある意味ハラをくくっているとも言えるので、もしかしたらビルダーの姿勢を読み取る要素のひとつになるのかも。
とはいえリグやパーツに凝り過ぎた事が原因で予算バーストして消滅したビルダーもいるので、なんでもかんでもカスタムパーツがイイわけではありませんけどね😁
まとめ
水面アングラーには大人気のルアーですが、そうじゃない人たちにはマニアな感じがバリアになってるのか今ひとつ踏み込みにくいルアーでもあるテラー3/8oz。
しかし ”音を出さずにじっくり誘える” というこのルアーの特性を実戦に投入しないのはもったいないですよね。
ソフトベイトには無反応だったスポットで去り際にダメ元でトップを入れてみたらデカイのが出たなんて話はザラにあるので、戦略に幅を持たせるという意味でも是非テラー3/8ozをボックスに忍ばせておいて欲しいなと。
1,500円も出せば割とコンディションの良い中古が見つかる上に、これからオフシーズンに向かって水面系ルアーの値動きが鈍くなる時期でもあるのでまさに今がタイミング。
「ナウ ゲッタ チャンス!」by 伊東四朗と叫ぶのは今なのです!😁