スワンク77X Swank 77X / シックスセンスルアーズ 6th Sense Lures

人間はいつもと違う物や行動を見たときに警戒心を抱き、一定の距離を置こうという自主防衛本能が働く動物です。

この行動を表すちゃんとした名称が行動心理学であったはずですが、残念ながら退化したおっさんの脳ではその名前を思い出せません😭

その心理行動は当然ながら見慣れないルアーに対してももれなく作用し、バックグラウンド情報がない限りは意図するしないに関わらずそれを避けようとします。

しかし時として、その行動バリアを超えたところに誰も知らない桃源郷があるなんてことも。

今日のゲスト、スワンク77Xはまさにそんなルアーです。



スワンク77Xとは

このスワンク77Xは米国シックスセンスルアーズが2018年にリリースしたルアーです。

シックスセンスルアーズは2012年にクラッシュ50Xスクエアビルでデビューし、現在もなお急成長を遂げているブランド。

デビュー直後からB.A.S.S.をはじめ各地のトーナメントでウィニングベイトに輝き、2015年からはこの好機を逃してなるものか!とばかりに矢継ぎ早に数多くの製品を市場投入したことが功を奏し、一気にメジャーブランドの仲間入りを果たしました。

このスワンク77Xはそんな新製品ラッシュで世に放たれたうちのひとりなのです。

 

スワンク77Xのサイズ・重さ

スワンクはご覧の通りのラージサイズクランクベイトです。

全長77ミリ、自重20.5gとなかなかのボリュームに、”The L-Style Bill” と名付けられた特徴的なダイビングリップを備えた重爆撃機。

実際に投げてみると、ちょっと野暮ったい外見とは裏腹に “あ、これ釣れちゃうヤツだわ” と直感が働くなかなかナイスなやつ。

ルアーは見た目で判断しちゃイカンということを実感させてくれるクランクです。

 

L字型リップが生み出す独自アクション

スワンクの最大の特徴はなんといってもこのリップです。

今の感覚だとちょっとキワモノに見えてしまうリップですが、実はかなりの実力者なのです。

おっさん世代にはシャッドラップSSRに装備されていたリップとしてお馴染みなのでそれほど抵抗感はありませんが、令和アングラーの半数はシャッドラップの破壊力を知らない世代ですからね、L字にクランクするリップに違和感を感じるのは無理もありません。

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このリップがもたらす最大の功績は、一般的なストレートビルを持ったクランクベイトでは出せないスイミングアクションが出せる事。

ダイビング系ではない、それでいてウェイクベイトでもないこのルアーの泳ぎをひとことで表すと、”リップレスクランクの泳ぎを身につけたファットクランク” なのです。

シャッドラップSSRの動きはそのボディシェイプと相まってタイトなピリピリ系ナチュラルスイミングですが、このスワンクはタイトでありながらも強い波動を撒き散らすリップレスクランクの動き。

でもそこにウォブリングの要素も加味されてて、ちょっと間の抜けた外見ながらもなかなかのアトラクターなのです。

そして大きなボディ体積を生かした浮力と水押しで、他のシャロークランクとは全く異質の存在感を放ちます。

ウィードエリア最強のクランクかも

その存在感を強く感じるのは、ウィードトップをスピーディーに巻き倒してバスを探す時。

ウィードがまだ伸び切っていない初夏のウィードエリアを効率よくチェックしていくにはスピナーベイトやリップレスクランクが役立ちますが、より強いクランクベイトの動きで探りたい時ってありますよね。

でも普通のクランクだとウィードを拾って釣りにならないし、誰もが投げているウェイクベイトの動きではそっぽを向かれる…

そんな時、スピナーベイトやリップレスクランクにはない ”浮く” という強みで3フィート程度しか潜らず、リップレスクランク的な要素を持つこのスワンクはドンピシャ(死語)なのです。

20g超というウェイトを活かしてバビューン!と飛ばしたら、ウィードトップをかすめる深さをキープしながら巻いてきて、エッジやポケットを通り過ぎるあたりでドーン!という喪黒福造的な楽しみ方ができるように開発されているんです。

しかし、これは冒頭で話した ”見慣れないルアーに対する警戒心”  を乗り越えたアングラーだけに許された悦楽。

バスは見慣れないものに強い興味を示すという、バスアングラーの心理行動とは全く逆の本能行動を理解している者だけが享受できるものなのです。

あのメーカーも追随したスワンクの実力

このスワンク77Xのバスを寄せる力は、のちにストライクキングが同様のシェイプを持ったハイブリッドハンターというフォロワーを発売したということが証明しています。

実はハイブリッドハンターは2007年に台湾のルアーメーカー、ストライクプロが発売したもののリセール版。

スワンクのあまりの釣れっぷりに驚いたストライクキングが、急遽ストライクプロからモールドと販売権利を買い取って販売したのがハイブリッドハンターなのです。

他社のモールドを買い取ってまで売り出した背景には、ゼロから設計開発していたら時間が掛かってしまい、その間にシックスセンスにシェアを奪われてしまうという危機感もあったんじゃないかと。

つまり、このスワンク77Xはストライクキングにとっては脅威となるほどの破壊力を秘めているということ。

とはいえハイブリッドハンターはハイブリッドハンターでちゃんとスワンクとは違った味付けになってるので、アレはアレでイイ感じなんですけどね。

そのあたりはいつかまた別の記事で。

ラトル好きにはタマらないノイズメーカー

 

ファットでもなく、スリムでもない絶妙なボディラインもこのクランクの特徴ですね。

おそらくこのシェイプはクラッシュ300DDのボディをベースに開発された名残だろうなとヲタは推察します。

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ボディ内部には低音域担当の大玉ウェイト兼ラトルボールが2個と、高音域担当のショット2個がそれぞれ個室を与えられているプライベートカルテット仕様。

実はこのラトルもウリのひとつ。

このスワンク、とにかくラトル音がデカいんです。

そのサウンドは、マイケルビッグのジキジキサウンドを低周波にしてディストーションをかけてマーシャルスタックから放出するようなラウド系。

まあとにかくデカいジキジキ系サウンドなのです。

そして特筆すべきはラトルのレスポンスの高さ。

ボディをちょっと傾けるだけでウェイトが動き、ボディ全体に響き渡るようなゴトンでもなくゴロッでもない独特なサウンドを生み出します。

分解したわけではないのでこれはのんだくれの勝手な想像ですが、おそらくラトルルーム内部構造に、デプスのラドスケールのような何らかの細工が施されているのではないかと。

じゃないとこの手のサウンドにはなりませんから。

デザイナーのこだわりが見えるフィニッシュ

ラトルサウンドの調律だけではなく、視覚的にもちゃんと作り込んであるのが近年のシックスセンスの特徴。

リアル過ぎず、かといって過度に抽象的でもない絶妙な線で攻めてくるのがニクいですね。

カラーによって3Dアイの色も替えているあたりにオーナー兼デザイナーのケイシーのこだわりが見え隠れしています。

ちなみにこのカラーはバリスティックサンフィッシュ Ballistic Sunfishという、シックスセンスでは定番のカラー。

直訳すると”激怒したサンフィッシュ” といったところですが、水域によってクロー系にもシャッド系にも使えるユースフルなカラーです。

社長のケイシーはシックスセンス起業前にカスタムペイントを専門に請け負う PaintYourBait.com というサイトを運営するなど、クランクベイトのカラーリングには人一倍のこだわりがある人物なので、そういう視点でシックスセンスのルアーを見ると新たな発見があるかもしれません。

このバリスティックサンフィッシュひとつを取っても、製造時期によってカラーリングが違うので、おそらくケイシーのカラーへのこだわりでマイナーチェンジしているんだろうなと。

スワンク77Xのフック

フックは前後とも#2サイズのトリプルグリップ形状が採用されています。

マスタッドのものかと思いましたが、形状が微妙に違うのでおそらく中国のフックサプライヤーのものを使用していると思われ。

しかし中国製フックだからといって侮るなかれ。

今の中国製は10年前のそれとは比べ物にならないほどのクオリティになっています。

何年か前に深圳にある某ブランドのフック工場で全ての工程を見せてもらったことがありますが、ちょっとしたカルチャーショックを受けました。

日本ではほとんど知られていませんが、世界中でBKKブランドのフックが躍進しているのも頷けるなと。

スワンク77Xのネーム

そんなナイスなスワンク77Xですが、残念なことに他のシックスセンス同様、ネームプリントがありません。

背中にプリントされたブランドロゴが唯一のネームプリント。

せっかくスワンクというナイスな名前があるのに腹のキャンバスが真っ白なんてもったいないですね。

実はスワンクというワードは非常に面白い単語で、一般的には気取っているとか高慢というネガティブな意味になりますが、それがスラングになると正反対の超クール!という意味合いに。

Bad とか Sick がスラングでは褒め言葉になるアレと同系のニュアンスをネーミングに取り入れているんです。

おそらく、”高飛車なアピールだけど最高に釣れちゃうぜ” 的な意味合いを込めたんだろうなと。

だから余計にネームプリントがないのが残念なのです。

話は変わりますが、かつてアメリカにドープベイツ Dope Baits というマイナールアーブランドがありました。

ドープ Dope とは90年代のヒップホップやドラッグ文化を発祥としたスラングで、最高!という意味。

でも今アメリカでは発祥のヒップホップ界ですらほとんどドープというワードは使われていません。

なぜならチョベリグ的な死語になっちゃってるから!w

おわりに

この外見が災いしているのか日本のショップでは見たことありませんが、TWHではベストセラーとして常に在庫があるので、自身の行動バリアが外せる人は共同購入してみるのもイイかもしれません。

ウィードが水面に達するまでの期間はかなり使えるルアーだと思うので、例年とは違ったアプローチで巻き物の引き出しを増やしたいアングラーにはチョベリグ級のオススメですぞ。



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