ある程度ルアーフィッシングをやってると、使い込むほどに新しい局面を見せてくれるルアーがあることに気付きます。
いわゆる『 沼ルアー 』と呼ばれる類いですが、これにハマると幸せな地獄に堕ちることに。
そんなルアーのひとつが今日紹介するQ.T.デビル。
あのハトリーズが世紀末に送り込んだ悪魔のペンシルです。
Q.T.デビルとは
Q.T.デビルはスミスが1997年?にリリースしたタイニートップウォーターシリーズの一員です。
チビスイッシャーのタイニーボム、チビポッパーのリトルダイナマイトと共に水面三姉妹としてデビュー。
当時はバスフィッシングブームの真っ只中ということもあり、エントリー層にトップウォーターの面白さを愉しんでもらおうという意図で展開されました。
パッケージに大きく印字された【 Welcome to Top Water World / ”こっちの世界”にようこそ 】というキャッチコピーを覚えている人も多いのでは?
Q.T.デビルのサイズ・重さ
Q.T.デビルのサイズは65ミリ、5.6g。
これをライトアクションスローテーパーの6ftロッドと8lbナイロンラインで使うのがハトリーズスタンダード。
普段巻き物などで16lbクラスを使っているアングラーにとって8lbラインを使うことはなかなかスリリングですが、ハトリーズの本来の動きを楽しむためにはトライすべきポイントです。
と言いつつものんだくれは12lbで投げてますが😁
性能を如実に表すボディデザイン
Q.T.デビルについてノー書きを垂れるにあたり、避けて通れないのがこのボディシェイプ。
ハトリーズプラの名作、プレイリードッグやハンサムボーイにも通ずるデカ頭デザインは、赤ちゃんっぽいかわいいルックスでありながら驚愕の運動性能をもたらすマジックシェイプといえるでしょう。
特に背中からヒップにかけてのなだらかなラインは、単調になりがちなペンシルベイトの形状を引き締め、自身の動きを表しているかのような印象すら与えます。
大きな頭からくびれを経てキュッと閉まったおしりへと流れるラインを見るだけでキューティーハニーの主題歌が脳内再生されちゃいますね、Q.T.デビルだけにw
ナメると痛い目をみる驚愕の運動性能
ボディサイズからは想像できないロングスケーティング
アクションのベースはスケーティングですが、このサイズからは考えられないほど長くスムーズな滑りっぷりを見せてくれます。
しかし巷にあふれるスケータープラグとは一味違うのがハトリーズ。
息の長いスケーティングを見せたかと思うとククッと急制動するかのように止まるのです。
つまり慣性でジワーッと動かないのでメリハリのある演出が楽しめます。
また、ロングスケーティングを生かした護岸当てメソッドが使えるのもポイント高し。
護岸当てメソッドについてはどこかの記事にも書きましたが、スケートの度に垂直護岸の壁にコツコツ当てて、あたかも壁を登れない小動物が壁に沿って泳いでいるかのような演出をすること。
Q.T.デビルはその動きがカンタンに出せるのです。
クイックな首振りで発するポップ音
そしてもう一つの売りは、このデカ頭が左右に振られる際に発するポップ音がイイ感じであること。
Q.T.デビルは小さく頭を降らせるだけで、ポワンというポッパー顔負けの音を発するのです。
姉妹にはリトルダイナマイトというポッパー担当もいるのですが、それが発するサウンドとは全く異質の弱いポップ音を出すのが得意なのです。

同シリーズのリトルダイナマイト(下) 音質的にはボワンという低く響くポップサウンドやブゴッ!という捕食サウンドが得意
実は個人的にはこのサウンドこそがQ.T.デビルの真骨頂だと思っていて、テンションのかけ方で全く違う表情を見せてくれるのです。
発売当初は単なるペンシルベイトとして使っていましたが、通常のポッパーよりも弱いポップ音が出せることに気付いてからはいかに静かに、しかし大きな気泡を作れるかを意識して動かすように。
すると面白いもので、バイトの数も増えて来るんですよねこれが。
ぶっちゃけ大きなバスは釣ってませんが、アベレージサイズならば結構楽しませてもらいました。
そしてこのデカ頭デザインの裏には、回頭性能だけでなくポップ音まで考え抜かれた凄さというか、色んな意味での頭の良さが隠されていたんだなと一人ニヤニヤ。
と同時にハトリーズって末恐ろしい存在だなと。
しかし欠点も
しかし長所の裏には短所があるのが世の常。
Q.T.デビルにもリグの強度不足という欠点もあります。
ルアーサイズ的に仕方ないとはいえ、橋脚や護岸に当てるだけでエイトリングが曲がってしまうという事象が頻発します。
先述の護岸当てメソッドだとどうしても岸ギリギリにキャストするのでラインアイとテールのフックハンガーがどうしてもヤラレ気味。
潰してしまったリングを焼き抜いてヒートンに交換したりもしましたが、バランスがシビアなルアーだけにヒートンでベストセッティングを導き出すのはなかなかの難問。
とはいえ、すぐに曲がってしまうリングは考えようによってはアイチューンし易いとも言えるので、これはこれでアリなのかもしれません。
ちなみにラインアイを下に曲げると水面の皮一枚をすくうようなスライドアクションとなり、上に曲げるとピコピコ感というかよりクイックな挙動になります。
コレに限らずペンシルベイトのアイチューンはモノによっては大変身することもあるので、イマイチ気に入らないペンシルなどがあったらトライしてみる価値はあるかも。
カラーは脱ハトリーズ?
細かいウロコパターンの上にシンプルな塗装を施した、個性的過ぎないカラーが多いのもこのシリーズの特徴。
ハトリーズマニアにしてみたらちょっと違うんじゃないの?と言いたくなるカラーですが、ちょうどこの時期はメガバスを始めとしたリアル系がトレンドだったので、エントリー層を取り込むための工夫だったのかもしれません。
でもやっぱりハトリーズといえば隈取りパターンなのでもうちょっとこの手のカラー展開に力を入れて欲しかったな。
そういえばこのシリーズに使われている3Dアイは一般的なルアー用アイよりも小さいので、目が取れてしまうと汎用品では代用がきかないというナニゲに重大な問題も抱えていましたw
フックサイズにはご注意
フックはフロントが#8サイズ、リアが#10という組み合わせが基本構成。
結構バランスがシビアなルアーなのでフック交換の際には番手を変えないように注意が必要。
あえて外したサイズで自分だけのアクションを見つけるのもアリですが、こういうのってなんだかんだと新しいことにトライしても結局元のところに戻ってくる事が多いので基本の組み合わせは忘れることなきよう。
100点満点のロゴネーム
ネームプリントはかわいい悪魔のイラストを取り込んだデザインロゴ。
今でこそ珍しくありませんが、25年以上前にこれをやったというハトリーズ/スミスのセンスには脱帽ですね。
そしてキューティーをQ.T.と当て字にしたところも超ナイス。
このアルファベットにはなにか別の意味合いが隠されていそうでネームオタ的にもソソられますね😁
アクションレスポンスが良すぎてネームが削れてしまう事を除けばあらゆる点で100点満点のネームプリントと言えるでしょう。
入手は比較的カンタン
既に生産が終了して久しいルアーですが、当時バスフィッシングブームで流通量が多かったこともあり、今でも比較的簡単に入手できます。
しかし釣れるルアーだけに使い込んであるタマも多く、そのコンディションに大きな差があるのも特徴。
とはいえそんなルアーほど50円とかで出てる事が多いので、特攻隊員として身請けするのも悪くないかも。
ロストしてもいいやとカバー奥に臆することなくキャスト出来ることがオサカナへの近道であることが多いのでむしろそっち方が釣れちゃうかも😁
おわりに
昨今のトップウオーター市場はクローラーなどタダ巻き系が席巻しています。
もちろんそれはそれで悪いことではないけれど、キャスト精度や間のとり方などアングラーのスキルがものを言うペンシルベイトほど面白く、そして奥が深いルアーはないという事実もお忘れなく。
そしてそんなQ.T.デビルが不人気により激安で入手できちゃうって、とてつもなくスゴいことだと思いません?