中古屋巡りって楽しいですよね。
思わぬお宝が見つかる楽しみもあれば、補充アイテムを破格でゲットできたりと、今や釣具購入において中古屋の存在は外せなくなりました。
しかし中古屋はそれ以外にも重要な役割があります。
定価で買うほどではないけれど、ちょっと気になってる商品が ”お試し価格” で買えるというアレです。
今日紹介するトゥイッチスティックは、そんなお試し購入で見つけたミノープラグの逸品です。
トゥイッチスティックとは
トゥイッチスティックはストームが2012年に発売したミノー/ジャークベイトです。
元々は欧州マーケット向けに企画されたルアーでしたが、のちに米国を始め日本でも販売されました。
このルアーのコンセプトは ”身悶えする瀕死のベイトフィッシュ” 。
しかしこの外見を見てピンときました。
そうです。
ラッキークラフトのビーフリーズに真っ向勝負を挑んだルアーだったのです。

ビーフリーズ100とトウィッチスティック10
ビーフリーズは欧州市場でも好セールスをマークする商品。
それゆえ、そのマーケットシェアを奪取すべくラパラストームが刺客を送り込んできたというワケです。
元々のんだくれはビーフリーズが大好物だったこともあり、トゥイッチスティックの登場に色めき立ちました。
なんかめっちゃ良さそうじゃん!と😁
しかし既にビーフリーズ持っており、且つそれなりに使い込んでいたことから、トゥイッチスティックの購入には二の足を踏んでいたのです。
買ってもビーフリーズが有るしなぁ… と。
と、そんなタイミングに、黄色が ”お試し価格で” 引き合わせてくれたのでした。
トゥイッチスティックのサイズ・重さ
トウィッチスティックのサイズは10センチ、18g。
このサイズのミノーにしては固太りの重量級ですが、ビーフリーズが17.5gなので露骨にスペックを揃えてきた感じですね。
トゥイッチスティックはこの10センチサイズの他にご丁寧に8センチ/9gのジュニアサイズまで揃えて、完全にビーフリーズの進撃を阻止しようという算段ですw

トゥイッチスティックの10サイズと08サイズ
そして露骨なまでにライバル心剥き出しなだけあって、アクションも非常に良く練られているんです。
ラパラストーム的にはよっぽどビーフリーズの活躍が妬ましかったんでしょうね😁
トゥイッチスティックの特徴
体高のある縦扁平ボディ
最大の特徴はミノーらしからぬ高さを誇る縦扁平ボディ。
ボディサイドの平面率を高める事でフラッシング効果に命を賭けてます。
そのコンセプトは十分に具現化されており、ジャークベイトのフラッシングとしては文句なしの最強レベルに仕上がっています。
ラフに扱ってもビクともしない強靭なリップ
そしてリップにもビーフリーズへのライバル心が表れています。
ぱっと見は水切れの悪そうなぼってり下クチビル💋ですが、これが実に良い仕事をしてくれるのです。
アクションについては後述しますが、特筆すべきはその強靭さ。
リップラップや斜め護岸にガシガシと当ててもビクともしない強さを持っています。
おそらくパイクやザンダーなどの欧州プレデターの顎パワーにも対応した結果だと思われますが、個人的にシャローでハードにリッピングすることが多いので、これは非常に嬉しい仕様。
“運命の鐘”への布石となる大きなラトルサウンド
そして次なる特徴は、ミノープラグらしからぬラウドなラトル音である事。
さらにルアーのどんな小さな挙動にも敏感にラトルが反応して大音量サウンドを発する事です。
ボディ内部には数種のスチール製ウェイトが入っているのですが、これが前後方向だけでなく横方向にも忙しなく動き、どんな動きにも反応して音を鳴らしてくれます。
それはまるでそれぞれのウェイトが、俺はここにいるぜ!と存在感をアピールしているかのようです。
このラウドサウンドはボディ自体のアンプ効果も含めて調律が為されているのは明らか。
実はストームはこのトゥイッチスティックを発売した直後に、” 運命の鐘 ” という名を冠したドゥームベルシャッド-O Doom Bell Shad-Oというスーパーラウドミノーをパイクアングラー向けに発売するのですが、 このトウィッチスティックにもそのドゥームベルサウンドのノウハウが投入されているのは間違いないでしょう。
トゥイッチスティックのアクション
固定重心ウェイトならではの高レスポンス特性
そしてこのトウィッチスティックはアクションがすこぶる良いのです。
リトリーブでのアクションは大きめのローリングですが、スローでもしっかりとボディを揺さぶってプレデターの側線を刺激します。
浮力はデッドスローフローティングとなっていて、フロロカーボン(メーカー推奨はSufixライン12-16lb)を結ぶとほぼ完璧にサスペンドとなる設定。
ロッドアクションへの追従性も高く、軽くチョンとやるだけでキレイに左右にダートし、理想的なSide to Side ↘︎↗︎↘︎↗︎ アクションが楽しめます。
どんなスピードや姿勢からでもちゃんとダートするのは、固定重心による徹底した低重心バランス設計の賜物。
これはのんだくれの勝手な想像ですが、おそらくストームは固定重心のメリットを徹底的に強化したルアーで重心移動のビーフリーズに勝負を挑んだのではないかと。
あの激釣れルアーと同じ挙動
しかし規則正しくダートするだけではないのがトゥイッチスティックのスゴいところ。
ダートしてルアーが止まる直前に一瞬プルン!と身悶えし、その際にボディの側面がギラッ!と閃くのです。
千一夜の読者ならもうお分かりだと思いますが、このプルンアクションはかつてティファが販売していたアユチュピジャークの動き。
その昔、のんだくれは激タフレイクとして知られる相模湖でアユチュピジャークで連発したことがあります。
その際のメソッドは、軽くジャークして止めるだけ。
たったそれだけのことで浚渫船の下からバスが沸いてきたのです。
その際にバスを狂わせたアユチュピジャークの動きが静止直前の ”プルン” でした。
この動きはニンゲンから見ると別にどうということのない挙動ですが、バスにはとてつもなく魅力的に映るようで、プルンしない同サイズのミノーには見向きもしないのに、アユチュピにはラッシュしてきたのです。
トゥイッチスティックがそんな動きを再現してくれると知った以上、常に過去の栄光に縋って生きているのんだくれが黙っているはずもなく、黄色に出ていたトゥイッチスティックを全部買い占めたのでした😂
もちろん弱点もある
しかし諸手を挙げて絶賛というわけにいかないのもルアーの性。
どんな優れたルアーにも弱点があるように、トゥイッチスティックにも弱点があるのです。
それは体高のあるフラットボディ&固定重心ゆえ、飛行姿勢にやや難点がある事。
横風に弱いのはともかく、飛行軌道が急に曲がって失速する事が散見されるのです。
この事象はログやレッドフィンなどのクラシックなミノープラグにも散見される事象ですが、最近の重心移動ミノーしか使った事がないアングラーにとってはマイナスに映るかもしれません。
しかしこれはプルン!とギラッ!を実現するためには仕方ない事だと目を瞑るべきでしょう。
実際のところ失速の程度はキャスト時のサミングでかなり抑えられますから、アクションを取るか飛距離を取るかというアングラー側のスキルとチョイスに委ねられています。
でも普通に考えたらアクションをチョイスしますけどねw
アクションを活かすカラーリング
動きの効果をさらに上げるためにクローム系のカラーを数多くラインナップさせているところがストームのニクいところ。
クローム系のカラーは岩などにコンタクトさせると、アユが身を翻して水苔を食む時に見せるギラリンフラッシュが演出できるのです。
もちろんストーム的にはアユをイメージして設計したのではないでしょうが、ルアーはアングラーのイマジネーションでどのようにも変化するので、我々日本人アングラーにとってこのギラリンフラッシュはモチベーション的にとてつもないアドバンテージになるのではないかと。
フックは#4サイズの2フッカー
フックはもちろんVMCブランドを採用。
ラウンドベンドの#4サイズを装備しています。
10センチというサイズならば、フックサイズを落として3フッカーにするという選択肢もありますが、あえて2フッカーとしたのはパイクなどの大型プレデターに対応するためと、何よりも打倒ビーフリーズの意気込みもあったはず。
ネームは王道の腹プリント
ネームプリントはブランドロゴと名前を腹にスタンプする王道パターン。
テールの方から読むのがストームの血筋です。
どうでもいい事ですが、ラパラストームのスタンプは輪郭がハッキリしててのんだくれの好み。
スタンプの輪郭がケバ立ってるようにギザギザになってるのはどーにも好かんのです😂
どこで買える?
そんなトゥイッチスティックですが、残念なことにビーフリーズとの戦いに敗れてしまい、生産終了となってしまいました😭
ゆえに入手は中古市場で探すしかありません。
がしかし! これがなかなか見つからんのです。
黄色をはじめとした中古屋はもちろん、メルカリなどでもなかなか出会えません。
日本国内でのデリバリー量がそれほど多くなかったのもあるかもしれませんが、それでも遭遇率が低過ぎ。
もしかしたらこのルアーの良さを理解しているアングラーが血マナコになっているのかもしれませんね。
よって、もし見かけたらマストバイ案件ですぞ。
おわりに
今の釣具流通において、中古タックル販売は無視できない規模になっています。
一部のメーカーは中古市場に自社製品が流れるのを極端に嫌うケースもありますが、中古を格安入手したことがキッカケでその製品にハマるケースが増えている事を思うと、プレ値でないなど、適正な価格で流通している限りメーカーにとってはデメリットばかりではないのです。
そういう意味では我々日本のアングラーはとんでもなく恵まれてるんですよね。
だって今や中古釣具屋だらけで、いつでも”お試し価格”でタックルが買えるんですから。
近年中古タックル相場が上がっているという事実は否めませんが、それでも中古屋が存在してくれていることをシアワセな事だと思わないとイケマセンね。