シマノの執念が込められたタイニーペンシルベイトの逸品 スプラッシュローラー Jr. Splash Roller Jr. / シマノ Shimano

シマノ Shimanoトップウォーターペンシルベイト

ビッグベイトというカテゴリーが確立された今、大きなサイズのルアーに抵抗感を持つ人は以前よりも随分少なくなりました。

それと連動して、今まで大きなサイズとはあまり縁がなかったクランクや羽根モノのカテゴリーにも規格外のサイズが登場してきて、デカいルアーで釣ることの楽しさも一般化してきたように思います。

しかーし!

市場の目がビッグサイズに向いている中でも、スモールプラグが持つ圧倒的な破壊力は無視できません。

往年の名作であるタイニートーピードやタイニーラッキー13、そしてタイガーカブなどの小さなルアーが自己レコードを連れてきてくれた系の話は枚挙にいとまがない事からもお分かりのように、小さなサイズのルアーはビッグバスハンター達ですら無視できないアイテムでもあるのです。

 

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そこで今日のゲスト、スプラッシュローラーJr.君の登場です。

このルアーは90年代、バスフィッシングバブル華やかなりし頃にシマノが放ったペンシルベイトです。

当時、ジム村田氏が提唱した、アピール⇄ナチュラル理論の切り込み部隊の一員だったのを覚えている方もいらっしゃるでしょう。

 



実はのんだくれ、このスプラッシュローラーJr.とちゃんと向き合うようになったのはほんの数年前のことで、それまでは “持ってるけど投げたことないルアー” の典型でした。

このJr.にはオリジナルモデルとなる90mmの兄がおり、そっちの方がサイズ的にもベイトキャスティングで扱いやすく且つ良く釣れるので小さいサイズの必要性を感じなかったのです。

 

しかしセルビアの友人ミカエルの一言で、今までJr.を投げてこなかった事を後悔することになります。

ある日突然、ミカエルが「手に入るだけスプラッシュローラーJr.を買って送ってくれ!」と、鼻息フンガーなメッセージを送ってきたのです。

突然の事でなんのことやらさっぱりわかりませんでしたが、彼の話を要約すると以下の通り。

 

以前、お前が送ってくれた荷物の中にスプラッシュローラーJr.が入っていた。

それを地元の川で投げてみたら、それまで完全に沈黙してたASP(ユーラシア大陸に生息するウグイ系大型ファイター)が狂ったようにバイトしてきた。

ストリームに任せてしばらくドリフトさせたあと、2、3回トゥイッチするだけでASPが次々とアタックしてきた、しかもスプラッシュローラーだけに反応するんだ! でもラインブレイクで大物に持っていかれちゃった😭、と。

それを聞いて、ふーん…そんな釣れるルアーだったんだねー…と投げてみたところ…

ナニコレ!めっちゃイイじゃん!😍

 

約60度の浮き角から始まるアクションは、このサイズとは思えないキレと、スムースで大きなストライド。

昔、ライブターゲットがリリースしたフロッグ型ペンシルがストライドベイト(Stride=大股で歩くの意)と命名されていながらも、実はあんまりストライドが得意じゃなかったなんて笑えないオチもありましたが、このスプラッシュローラーJr.はまさにストライドベイト。

サイズとのギャップにヤラレちゃったという意外性を差し引いてもなかなかの手練れです。

ミカエルが使った川の流れがどの程度なのかは分かりませんが、この運動性能ならストリームの中でも問題なくドッグウォークできるでしょう。

 

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しかも最初のワンアクションで出る音がイイ。

小さなルアーなのにラインアイが水面から高い位置に出てるので、浮きギルが水面の虫を捕食して反転した時の、ポムッでもプチュッでもないあの独特なサウンドがカンタンに出せちゃうんです。

もちろん移動距離を抑えた首振りやスプラッシュもお手のもの。

兄貴分の90mmもポッパー並のスプラッシュが出せたりして使えるヤツですが、Jr.の演技の多彩性はそれを上回っています。

 

魅力的なギル捕食サウンドのヒミツはこの目の周りのデザイン処理。

目の周りの凹んだラインが、水に突っ込む際に小さなバブルとサウンドを作り出してくれます。

それは真正面から水を受けるポッパーのカップとは全く異質のもの。

おそらくこのデザインは首振り時に大きくスプラッシュを出す事をメインテーマに描かれたもので、ギルサウンドは予定には折り込まれてなかったと思いますが、結果的にダイビングでも非常に重要な仕事をこなす千両役者に

うーん… このスプラッシュローラーJr.、実はかなりヤバいルアーなのかもしれません。

 

一旦惚れてしまうと徹底的に調べたくなるのがのんだくれの悪い癖、もう止まりません😁

内部で怪しく光る反射板の正体も知りたくなってしまいました。

 

実はこの反射板、他のメーカーが採用している反射板と明らかに違って、外から見ただけでもしっかりとした厚みがあるのです。

確かデビューした当時も、ウェイトを兼ねた金属板を採用… 的な感じでプロモーションされてた記憶がありますが、あれこれ妄想してたら居ても勃っても立ってもいられなくなったので、バラしちゃいました。

 

中にはこーんな反射板、いやメタルプレートと呼んだ方がしっくりくるモノが入っていました。

驚いたのは、このプレートは想像以上に重量があった事。

測ってみると、厚さ0.4mm、重さ2.0g。

この数値だけ見るとどうという事はありませんが、このルアーの重量がフックも含めて8.8gなので、このプレートだけで20%以上のウェイトを占めていることになります。

なんでのんだくれがこんなにもプレートの重量に食いついているかというと、それは以前加藤誠司さんから聞いた話が強烈に記憶に残っているから。

遠い昔、ジャッカルの加藤さんがまだラッキークラフトに在籍していた頃、仕事の関係でご本人とちょくちょく話をする事がありました。

その時に加藤さんが言っていた、ルアーの重心が一点に集中しているのとボディ全体に分散しているのとでは魚が受ける刺激(アピール)の種類が違う。それがウッドとプラインジェクションの決定的な違いだ、という言葉が脳裏に焼きついていたんです。

つまり加藤さんのこの言葉を借りると、スプラッシュローラーに内蔵されたメタルプレートは単に光を反射させるためのものではなく、重心をボディ全体に分散させるためのものであるという事。

それが直接釣果に結びついているのかは検証のしようがありませんが、同じメタルプレート反射板を採用しているオリジナルサイズも魚の反応が非常にイイので、遠くはないだろうと。

ちなみにテールエンドのウェイトはサウンドこそ大きくないものの、ラトルボールとしても頑張ってくれています。

 

実は出来る子だったんだねーなんて目で見ると、今までなんとも思ってなかったこの彫塑も急に愛おしく見えてくるから不思議なもんです。

アレですよ、かのA.C.プラグの造形を見て、小学生の工作じゃねーか!と笑ってたのに、イイ魚が釣れた途端に、ACマジでヤベーよと真顔で探し始めるのとおんなじレベル🤣🤣

鳴呼… 人ってなんでこんなにも節操がないイキモノなんでしょう。

 

ネームは背中と腹の両方にプリントされてます。

が、のんだくれはシマノのこの品番的なプリントが大嫌い。

トリプルインパクトにも同様の品番が入ってたけど、こんな興醒めするネームなら何も無い方がよっぽどマシじゃないかと。

 

当時はシマノのチャネルに乗せられて、個人店から量販チェーン店まで大々的に販売されていたので、今でもボックスの奥底に眠らせているアングラーも多い事でしょう

タマ数も非常に多く、今でもタックルベリーなどの中古屋でスタバのドリップコーヒーと同じぐらいの値段でぶら下がってたりするので、もし見かけたらコーヒーを一杯飲むつもりで連れ帰ってみてください。

ビッグベイト時代のスモールプラグという新しい視点で使えば、今まで見えてなかった何かが見えてくるかもしれませんよー😁

 

 



 

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