バスフィッシングブームに沸いた1990年代は、毎週の様に新しいルアーが発売されるなどルアー戦国時代ともいえる騒乱の時でした。
と同時に、90年代は後世に名を残す名品と呼ばれるものも数多く誕生しました。
しかし商品が目まぐるしく入れ替わった時期だけに、真の実力が評価されないまま ”消費” されてしまったルアーもチラホラ。
ということで今日の千一夜は、ナメてかかると痛い目に遭う90’sシャロークランク、ファットペッパーシャローを紹介します。
ファットペッパーシャローとは
ファットペッパーシャローはティムコの宝刀ファットペッパーシリーズのスーパーシャローレンジ担当として1999年?にリリースされました。
ファットペッパー、マッドペッパーマグナムでディープレンジを制したティムコがサブサーフェスの覇権にも乗り出したのです。

マンズのワンマイナス/ベビーワンマイナスが大好物なのんだくれは待ってましたとばかりに速攻ゲット。
ファットペッパーシリーズらしい造形に思わずニンマリした記憶があります。
そう思うと当時はアホみたいにルアー買ってたなぁ(遠い目)
ファットペッパーシャローのサイズ・重さ
ファットペッパーシャローは全長60ミリ、自重11gの釣れごろサイズクランク。
当時、ほとんどのスーパーシャロークランクが50〜55ミリの大きさで展開する中、ファットペッパーシャローだけがこのサイズを出してくれました。
実はこのルアーは、ベビーワンマイナスとミッドワンマイナスのちょうど中間の大きさ。
小さ過ぎず大き過ぎないサイズ感がなんとも絶妙で、ベビーワンマイナスをちょっとだけ大きくしたサイズが欲しいと思ってたのんだくれのハートを見事に射抜いてくれました。
要するにティムコ開発陣のマーケティングの狡猾さwにヤられちゃったというワケです😂

ファットペッパーシャローの特徴
しっかりした浮力を携えたスクエア断面のボディ
このルアーの最大の特徴はワイドでスクエアなボディ。
スクエア形状にすることでラウンドシェイプのクランクよりも大きな容積を確保することができ、シャロークランクのひとつのキーである高い浮力を担保することができます。
小さいけれどキレのあるアクションを生むリップ
そんなワイドボディを踊らせるのがこのリップです。
”こんな小さなリップでちゃんと泳ぐの?” と疑ってしまいますが、実はコレがかなりの手練れ。
アクションに関しては後述しますが、このリップはビックリするほどの仕事人なのです。
当時このルアーを使った人のほとんどが、リップの大きさとアクションの大きさのギャップに萌えたはずw
リップは小さくすると水切れを良くしてピッチを早める要素を引き出す事ができますが、それと浮力を巧みにバランスさせたところにティムコワークスの技が光ります。
重心移動ウェイトを搭載
そして内部には大きなリーチを持った重心移動システムを搭載。
前方のラトルの発するゴトゴト音に加え、重心移動ウェイトが発するワンノッカーサウンドの二重奏でバスの側線をする仕様になっています。
もちろん重心移動なので飛距離も問題なし。
そのボディシェイプによる空力効果も相まって、サンパチサイズのクランクとは思えない飛距離を叩き出します。
シャロークランク/ウェイクベイトは広範囲を巻いてナンボのルアーなのでこれは地味に嬉しい設計ですね。
ファットペッパーシャローのアクション
ファットペッパーシャローのアクションは独特です。
唯一無二と言ってもいいでしょう。
その動きをあえて文字にすると ”オーバーレブアクション” 。
つまり限界を超えるほどボディを倒すローリングアクションに加えて、テールを大きく振るウォブリングまで入った、リップのサイズからは考えられないほどの派手な暴れっぷり。
もはやローリングの域を超え、サイドtoサイドでボディが分身しているのかと錯覚するほどのレベルなのです。
しかもリトリーブ開始と同時にアクションが即立ち上がるとこがスバラシイ。
この動きだけでもファットペッパーシャローを買う価値はあるんじゃないかと。
さらにこのルアーのスゴいところは、暴れはっちゃくにも関わらず高速リトリーブでもちゃんと泳ぎ切るところ。
スーパーシャロークランクの必殺メソッドのひとつ、超速巻きとスローを目まぐるしく入れ替える緩急リトリーブにおいてもアクションラグもなくしっかり泳ぎ切ってくれる頼もしい存在なのです。
ファットペッパーシャローの使い方
スーパーシャロークランクとしては申し分ないポテンシャルの持ち主なので、基本的にどんな使い方にも対応します。
デッドスローでフラフラさせるのもアリだし、ウィードトップに絡めてハングオフするのもアリ。
あらゆるアングラーのスタイルにマッチします。
が、その中でも特に使い勝手がいいのが、水面使いとクランキングの合わせ技。
オーバーハングや葦際などのカバーを撃つ際、すぐに巻き始めるのではなく、ペンシルベイト的に首振りさせ、カツンカツンとワンノッカーサウンドを響かせてから巻き始めればワンキャストで二度楽しめるのです。
首振りのレスポンスはイイし、ウェイト的にもピッチングで打ちやすい、さらにワンノッカーサウンドも良く響くって、もうこれクランクのスペック超えちゃってますよねw
タイニーサイズもあるが…
そんなファットペッパーシャローには45ミリ 5.5gの弟、ファットペッパーシャロータイニーも。
しかしタイニーは同じ名前でありながら、全くの別物。
重心は固定方式だし、アクションの特性も全く違います。
タイニーはタイニーで非常にいい仕事をしてくれるのですが、これをファットペッパーシャローのダウンサイジング版としてリリースしたティムコの意図がちょっと読めません。
タイニーについて書き始めるとこれまたエンドレスになるので詳細はまた別の機会にしますが、ストリームでのデカイワナ&ヤマメにめちゃくちゃ効くルアーだということだけ置いておきます😁
ファットペッパーシャローのカラー
リアルではないが簡素でもないというティムコらしい程よい作り込みとカラーリングがいいですね。
このあたりはレッドペッパーから続く血筋ですね。
最盛期にはオータムカラーと銘打ったマット仕上げの限定クローカラーなんかも出したりしてアングラーの財政状況を逼迫させてくれたものですw
ファットペッパーシャローのフック
フックは前後とも#8サイズが装備されていますが、実戦版ではショートシャンクワイドゲイプの#6にサイズアップしています。
その理由は超高速リトリーブで使うことが多いため。
ファットペッパーシャローがいくら高速リトリーブにも対応できるとはいえ、ノーマルのフックのままだと泳ぎが破綻することもあるので、アクションを抑えるスタビライザー的な役目とミスバイト軽減のためにフックを変えています。
ちなみに画像のファットペッパーシャローがノーマルフックのままになっているのは、ボディ内部に水が入って早々に引退させたから。(ウェイト画像で内部に水滴がついているのが見えます)
ルアーはプラスチックの工業製品ゆえ一定の不良品発生は仕方ないのですが、いざ自分の買ったものがこうなるとやっぱりテンション下がりますよね。
ファットペッパーシャローのネーム
ネームはハラに入っていますが、ティムコお得意のシンプル構成。
フォントの味気無さは仕方ないとして、スペースの関係で ”FP” と略されちゃってるのは残念ですね。
略すぐらいだったら背中にフルネーム入れればイイのに、とネームオタは思っちゃうワケですよ。
そもそもこのルアーがファットペッパーシリーズの一味だと知らないアングラーもいるワケでして、FPと略しちゃったことで、天下のファットペッパー知らねぇ奴はモグリだぜ!的なティムコのドヤ顔が透けて見えるような気がしないでもない😁
生産終了しているが入手方法は?
既に生産を終了しているルアーだけに入手は中古市場がメインになりますが、当時流通量が多かった事もあり今でも意外と個人経営の釣具屋で普通に売られていたりします。
しかも当時の残り物なのでパッケージはセピア化してて、誰も買わないオーラ満載の状態でw
そういうものに出会った時は大抵、懐かしー!の一言とともにスルーしがちですが、ことファットペッパーシャローに関しては連れ帰ってあげてください。
例え定価だったとしても損はしないと思います。
おわりに
毎年のように新しいシャロークランクが登場する中にあっても、ファットペッパーシャローはその独特の泳ぎゆえ生産が終了していても色褪せることがない稀有な存在。
マンズのベビーワンマイナスと互角に戦える数少ない国産クランクと言ってもいいでしょう。
なので、持ってない人はもちろん3軍ボックスに仕舞い込んじゃってる人も今年は是非泳がせてあげてください。
久しぶりに泳がせてみると、やっぱスゲーわ😁ってなりますから。