プライドが山を動かした!スミスでなければ実現し得なかった超絶ハードな開発プロジェクト スウェイバックザラスプーク Sway-Back Zara Spook X9251 / ヘドン Heddon

へドン Heddonトップウォータープラドコ Pradcoペンシルベイト

 

 

スウェイバックザラとは

 

スウェイバックザラは2004年にスミスがリリースしたペンシルベイト。

70年代後半から80年代始めに製造され、今もオールド派から熱狂的な支持を誇るヘドンのオリジナルザラスプーク、いわゆるソリザラ/3rdザラを現代の技術で蘇らせた意欲作です。

スウェイバックザラが発売されるというニュースに当時日本中の水面アングラーの股間は一気にヒートアップしましたね。

しかしいざリリースされると、一部のオールド至上主義派からオリジナルとは違うだのカラーに深みがないだの散々な言われよう😫

結果的にスウェイバックはワゴンに流れるなど不当に過小評価されてしまったという暗い過去があります。

 

スウェイバックザラスプークのサイズ・重さ

 

スウェイバックザラは全長105ミリ、自重は5/8oz(実重17g)。

この画像では撮影角度の関係でオリザラよりも大きく見えますが、基本的には同じスペックに仕上げられています。

 

特徴

イメージ通りの絶妙なソリ具合

 

スウェイバックザラの特徴はなんと言ってもこの上に反り返ったボディ。

オールドのソリザラは意図的に反らせた設計ではなく、成形後の樹脂収縮によって結果的に反ったボディになったと言われていますが、スウェイバックザラはソリが自然に出てしまったように ”再現” しなければならなかったという点では相当な苦労があったと思われ。

何故ならオールドのソリザラの上反り具合は個体によってまちまちだから。

カリ首を持ち上げたギンギンのモンゴロイド系があるかと思いきや、ほとんど反りのないコーカソイド系のものまで、個体ごとに全て ”仕様” が違うと言っても過言ではないのです。

その中で日本のアングラーのイメージに近く、かつ動きも損なわないという値を見つけなければならないという作業は、例え基準となるソリザラが存在したとしても、トライ&エラーの連続だったんじゃないかと。

 

ソリザラのキモとなるパーティングライン

 

ソリザラのトレードマークともいえるパーティングラインの凸部再現の苦労も想像に難しくありません。

オールドのソリザラは製法上パーティングラインが出来てしまうという副産物的なものだったのに対し、スウェイバックでは意図的に作る作業となる上に、この段差も反り具合同様に個体差があるというなかなかの無理ゲーだからです。

 

忠実に再現されたヘッドライン

現行ザラスプーク(上)とスウェイバックザラスプーク

もちろん反りとパーティングラインだけではありません。

ノーズからヘッドにかけてのスラント角もボディの高さも現行モデルとは全く違います。

もうここまでくると、ザラスプークと言えども全くの別物をゼロから開発しているのに等しいのが分かります。

 

 

上からと横から、それぞれのアングルで見てみると、同じザラと言えど形状が全く違うことがよく分かります。

そんなもんサンプルを型取りすれば一発でしょ!と誰もが考えそうですが、そう簡単にはいかないのが樹脂成形の世界。

成形収縮率も全て計算してそれらの値をベストの状態に持っていくには、新しいルアーを開発するよりも根気が必要だったはず。

現行ザラを力技で反らせてソリザラの再現を試みた個体を時々見かけますが、あれが不自然な形状になるのも納得です。

 

立ちはだかるCA Prop 65の壁

 

そしてソリザラ復活までにはもっと大きな壁を越えなければなりません。

CA Prop 65の基準をクリアしなければならないのです。

CA Prop 65とはカリフォルニア州が有害物質を規制した法律 Proposition 65(安全飲料水及び有害物質施行法)のこと。

オリジナルのソリザラに使われていた鉛ウェイトはこの法律が制定されたことで使えなくなってしまいました。

そしてプラスチック素材も当時と今とでは全く違います。

それらを現代の素材に置き換えながら、当時の形とアクションを再現する工程がどれほど大変な作業だったかは言わずもがな。

更に技術上の問題以上に大変な作業が待ち構えていいます。

それは外国人特有のマインド。

それについては以前ツイートしたことがあるので長文耐性のある方はこちらもどうぞ。

 

 

現行よりも多彩なアクション

 

気になる動きは 移動距離の短い素直でクイックな首振りと大きな浮き角を生かしたダイビングアクション。

浅い浮き角からのロングスライドが得意でダイブしにくい現行ザラスプークとは大きく違うところです。

 

スウェイバックザラと現行ザラスプークの浮き角比較

水面静止時のラインアイの高さも現行ザラスプークとは大きく違うため、小さくトゥイッチするだけでポッパーのようなポップ音やスプラッシュも出すことが可能。

僅かなテンションでも水面を滑走しようとする現行ザラスプークでは難しい小技なので、ここぞというスポットで小さく誘いをかけたいザラ好きにとっては嬉しい性能です。

 

 

とはいえ、現行ザラスプークの中にはスウェイバックザラに近い浮き角のものも存在するので、既に所有しているザラスプークの個体によっては、なんだコレ現行と変わんねー!となるアメルアのお約束もあったりしますがw

 

オリジナルに沿ったカラーチャート

 

画像はヘドンの定番色BOS (Black Orange Spot)。

ソリザラの再現がテーマなのでカラーもオリジナルに沿ったラインナップとなっています。

スウェイバックが発売された当時、色に深みがないなどディスる声がオールド至上主義派から聞かれましたが、スミスの苦労を考えたらむしろ良くやったと褒めるべきでしょう。

オールドはオールド、スウェイバックはスウェイバックで全くの別物なのです。

まあそんな人達はただ文句言いたいだけなので耳を傾ける必要もありませんがw

ちなみにスウェイバックのカラーは後に追加されたヒゴイカラーなども含めて48色在ったと言われていますが、最終的に幾つリリースされたのかは不明。

この辺に詳しい人がいたら是非ともご教授ください。

余談ですがナイルの店長曰く、全色コンプリートを3セットを購入したツワモノも居たそう。

後の値上がりを見込んでの購入なのか個人所有の為なのかは不明ですが、手に入りにくくなっている現状を考えると、正しい判断だったのではないかと😁

 

リグは現行ヘドンのまま

 

リギングは前後とも現行ヘドンのまま。

ソリザラのフックは製造時期によってクローポイントやラウンドベンド、ディープスロートなどがありますが、個人的には現行フックが好きなのでこれはこれで正解。

まあ当時と同じ形状のフックまで装備するなんてことはプラドコではあり得ませんけどねw

 

ヘドンらしくないネーム

 

ネームプリントは年号まで入った豪華バージョン。

ステンシルのフォントデザインもサイズも現行ザラスプークとは違うので、あまりヘドンっぽくないですね。

確かこれもオールド至上主義派にディスられてましたねw

 

 

そしてナチュラルプリントのモデルには筆記体調の別デザインが施されています。

が、このフォントはちょっとチープ過ぎ。

既製の汎用フォントをそのまま使ったのがバレバレですw

チャーリーキャンベルのような筆記体とは言わないまでも、せめてチャグンスプークのような手書き風にして欲しかった。

 

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余談ですがスウェイバックザラのリグにスプリットリングを入れるとロールがより大きくなるので、ボディの上下で明確に色調が違うカラーにオススメ。

サーフェスリグの泣き所でもあるバレも少なくなります。

 

北米モデルも発売された

 

ちなみにスウェイバックザラは2006年に米国でも販売されています。

日本国内モデルと米国モデルとの主だった違いはフェザードフックの有無と、エクスキャリバーのロテートフックの改良版(名前忘れた)が装着されていること。

あとトランスパレント系カラーをメインとしたカラーチャートになっているのも特徴。

 

 

米国モデルはフェザーが付いただけなので動きの特性は同じだと思われていますが、ラインアイのヒートンが違うのとフック重量も違うのでスウェイバックとは少し違う味付けに。

 

 

米国版スウェイバックの詳細はまた別記事としてポストする予定なのでそれまで気長にお待ち下さい。

 

入手方法

 

そんなスウェイバックザラですが、発売から19年経っていることもあり最近は中古屋店頭ではあまり見られなくなりました。

一時期はかなり出回ってたんですけどね。

なので探すならメルカリやヤフオクなどネット市場が確実ですが、現行オリザラを力技でソリザラ化したものも出回っているので、普段からザラスプークやソリザラを見慣れていないアングラーはご注意を。

 

おわりに

 

2000年当時の日本は今よりもバスフィッシング市場に勢いがあったとはいえ、米ルアー界の重鎮ヘドンに名作を再現させた関係者の熱意とそれに伴う苦労には敬意を表さざるを得ません。

今の日本の状況ではこういったプロジェクトは今後少なくなる一方だと思うと、スウェイバックザラを動かす際は心してかからないと怒られちゃいますね。

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