チェリー44 Cherry 44 / ジャッカル Jackall

 

エポックメイカーという言葉があります。

新時代を切り開くような新しいことを成し遂げた人や物のことを指すワードですが、広義では新時代という大きな枠でなくとも個人の考えを変えたという意味にも使われています。

そういう意味において、このチェリー44はのんだくれにとってエポックメイカーのひとつ。

タイニークランクに対する考え方を180度変えさせられた逸品です。

 




 

チェリー44が発売されたのは確か2003年ぐらいだった記憶があります。

当時、発売されたジャッカルのルアーはほぼ全て買っていたので、このチェリーもその流れで買ったうちのひとつでした。

特に思い入れがあるわけでも無かったので、こんなに小さいクランク使うことあるんかなと思いながらの、いわば惰性買いw

しかしこのチェリー44は、そんなヤル気のなかったのんだくれの精神に強烈なムチを入れてきました。

初回からめちゃくちゃ釣れたのです。

サイズこそ選べませんが、それまで幾度となく玉砕していたスポットから次々とバスを引っ張り出してくれたのです。

その釣れっぷりは異常と言ってもいいほど。

かくしてのんだくれは一瞬でチェリーの実力の前に跪く信者になってしまったのでした。

 

 

 

チェリー44はその名の通り、44ミリのタイニークランクベイトです。

サイズがサイズなのでウェイトも7g弱と軽く、ガンガン投げてガンガン巻くといった一般的なクランキングとはちょっと違うアプローチが必要な、今でいうところのフィネスクランクに相当します。

このチェリーの登場よりずっと前からタイニークランクは市場に存在していましたが、のんだくれは琵琶湖全盛期にDB IIIで育ったこともあり、タイニークランク全般を使いこなせないまま時だけが過ぎていました。

いや、使いこなせないと言うよりも、あんな小さなプラグで釣ってどこが面白いんだ?と、心のどこかでタイニークランクを見下していたのかもしれません。

やっぱりクランクはバビューン!と投げてグリグリ巻いてゴン!でしょ的な古い考えに支配されていたんでしょうね。

しかしチェリー44は、そんなおっさんの偏屈な考えをいとも簡単に突き崩しただけでなく、もうチビクランクがないと生きていけない!という身体にしてしまったのです。

 

 

 

このルアーの最大のキモは、低重心のおむすび型ボディをそれを動かすリップとのバランスです。

どこにでもある組み合わせなのですが、そのボディサイズも相まってスイミングアクションが素晴らしいのです。

その泳ぎをひと言で表すと、振り幅の大きな、しかしピッチの早いウォブリングアクション。

ワイドに張り出したリップが僅かな水流も確実に捉えてくれるので、リトリーブと同時にレブカウンターも跳ね上がり、ほぼ助走なしでフルパフォーマンスを発揮するというレスポンスの良さが売り。

タイニークランクは元々アクションの立ち上がりがいいルアーですが、その中でもこのチェリーのレスポンスは目を見張るものがあります。

 

 

 

そしてその動きを受けて胎内のラトルボールがいい仕事をしてくれるんです。

重心移動を兼ねたタングステンボールの他にグラスラトル x 2 とスチールボール?を擁したボディは激しいウォブリングアクションもあって、このサイズでは考えられないほどのノイズメーカーと化します。

そのジキジキとシャラシャラとカチカチのアンサンブルはアングラーにも届くほどの音量なので、おそらく水中ではバスの側線を刺激しまくっているのではないかと。

事実ショートジャーク&ステイさせたチェリーに気付いたバスがワラワラと湧いてくる光景を何度も目撃しているので、間違いなく ”何か” は備わっているでしょう。

 

 

 

そんなチェリー44が最強のパフォーマンスを発揮してくれるシチュエーションがあります。

それは水面下30〜50cmあたりにウィードトップがあるようなスポット。

ルアーがウィードに当たったらそこでリトリーブを止めて少し浮かせるだけ。

反応がなければ次のウィードに当たるまでリトリーブ、の繰り返し。

ほとんどのバイトは浮かせている間にコン!と出る、クランクベイトの教科書に載っているような出方なので、それが体験できるだけでかなり楽しめます。

そして反応が鈍い時にはスプリットリングを足して浮上スピードを抑えると釣れ始めるなど、バスフィッシングの奥深さも味わうことも。

実はこの使い方は友達に教えてもらったんですが、その友達曰く、バスにはこのチェリーが藻エビ系の水棲生物に見えているのではないか。そうじゃないとあのソフトベイトのようなバイトの出方と釣れっぷりは説明できない、と。

それを聞いて画像のカラーの買占めに走り回ったのは言うまでもありませんw

 

 

そんな釣れ釣れなチェリー44ですが、単に釣れるだけではなくヲタを唸らせる設計が詰め込まれています。

かつてホンダがCR-Xという車を出した際の宣伝コピーに ”ミニマム・マキシマム” というのがありましたが、このチェリー44の設計はまさにそれ。

このミニマムな44ミリボディの中に、クランクベイトに必要な浮力、ラトルの強い衝撃波を生み出すために必要な助走空間、飛行時の安定性、ルアーとしての強度、ラトルサウンドのアンプリファイア効果などなどクランクベイトに必要とされる要素をマキシマムレベルで詰め込み、しかも釣れそうなルックスに仕立てたのはもはや奇跡と言ってもいいのでは。

これこそパッケージングデザインの技ですよね。

 

 

フックは#8サイズのトレブルを採用。

フックハンガーを横向きにすることで縦方向の自由度を抑えてフック同士が絡まないようになっているのもパッケージデザインのうちですよね。

当初すぐに伸びてしまうこのフックに嫌気がさして交換したりしましたが、アクションにキレがなくなるなどオリジナルと同等のパフォーマンスを再現できなかったので結局オリジナルのまま使用。

でもチェリー44は止めている間にスーッと寄ってきて軽くパクッとやってすぐに吐き出すようなバイトが多いので、口の内側に引っかかりやすいこのフックが結局ベストマッチなんだろうなと。

でも気をつけていてもすぐに錆びが出るのは改善の余地ありですね。

 

 

 

ネームは腹に入っていますが、このフォントはイマイチですね。

おそらく可愛いけど釣れるというイメージで女性アングラー受けを狙ったと思われますが、おっさんが使うにはちょっと可愛過ぎますwww

そもそもチェリーというネーミングがおっさん向きじゃないので、ネームプリントにあーだこーだ言ったところで仕方ないんですけどね。

 

”ルアーは何で釣ったの?”

”チェリー”

 

おっさんがドヤ顔をするには少々キモい響きではないかとw

 

 

 

このチェリー44のリリース後にダイビングバージョンやSSRバージョンが相次いで発売されたのをみると、おそらく結構なセールスを記録したんでしょうね。

でもそんなヒット作にも関わらず、今は生産されていないと言う哀しい事実😭

何年か前に再生産販売されたようですが、その後店頭で見かけることがないと言うことは、ワンロットのみの少量生産だったんでしょう。

 

しかしこのチェリーに限らず、本当に実力のあるルアーが長く生きられない日本のマーケットってつくづく勿体無いなーと。

同じものを使い続けろというわけではありませんが、消えていったルアーの後ろには開発に費されたスキルと時間がもれなく存在しているわけで、それらが無駄になってるような気がしてならんのです。

それってデザイナーやテスターの才能を使い捨てにしてるのと同じじゃないかと思っちゃうんですよ。

生まれては消えを繰り返して進化してきたのがルアーとはいえ、ちょっと寂し過ぎますよね。

アングラーが買い続ければ名品が残せるかというとそれもまた違う問題なので難しいところですが、少なくとも名品を語り継ぐぐらいのリスペクトはあってもいいような気がしますですハイ。

 




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