彼女に釣らせたいならソフトベイトよりもコレ! タイニートーピード Tiny Torpedo X0360 / へドン Heddon

へドン Heddonシングルプロップスイッシャープラドコ Pradco

人は過去の経験や知識を元に判断する動物です。

よって、ミスや遠回りを回避するには経験値が高ければ高いほどイイのですが、経験があるからこそ新しい領域をスルーしてしまう事も。

今日のゲストはのんだくれにそんな教訓を授けてくれたルアーのひとつ、へドンのタイニートーピードです。



タイニートーピードとは

タイニートーピードはへドンの顔ともいえる超メジャーなトップウォータールアーです。

登場したのは1950年代。

その頃は兄弟も居なかったため単に ”トーピード” だけの呼称でした。

へドンにおいてトーピードというルアーは1920年代からラインナップに存在しており、厳密には名前のみ継承したモデルということになります。(初代トーピードはシンキングのダブルスイッシャー)

しかしこの”新生”トーピードは、その圧倒的な釣果実績により初代モデルの存在が霞むほどの大ヒットとなります。

以降現在に至るまでへドンのロングセラーでありミリオンセラーとして金看板を背負い続けているのです。

タイニートーピードのサイズ・重さ

タイニートーピードは全長50ミリ、自重1/4オンス(実測5.9g)の文字通りタイニーサイズのトップウォーター。

タイニートーピードの大ヒットによってバリエーションが増え、今では4つのモデルを擁する一大派閥を形成するまでに。

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日本ではベビートーピードやマグナムトーピードの方が人気がありますが、本国アメリカにおいては圧倒的にタイニーが人気。

ウォルマートやバスプロショップスなどの大型量販店はもちろん、個人経営の小さなショップ、果ては湖の近くにあるグロサリーストア(生活雑貨店)にも置いてあるなど、いつでもどこでも買えるルアーの代表的存在です。

タイニートーピードの特徴

タイニートーピードの特徴はなんと言っても丸いヘッドから急なテーパーで絞り込まれるテールとその後ろに設置されたプロップでしょう。

シングルスイッシャーの完成系と呼ばれる魚雷シェイプは非常にシンプルでありながら、トップウォータールアーに必要な要素を全て満たしていると言われています。

ボディシェイプだけ見ると4兄弟は全て同じでサイズが違うだけに見えますが、実際にはボディの長さと幅の比率やテールのテーパー角度が全て変えられており、それぞれに全く違った性格づけがされています。

しかしこの ”見た目が似ている” ところが曲者なのです。

どのモデルも見た目が同じなので、サイズだけで選んでしまいがち。

特にベビーとタイニーは汎用性が高く、どこでも手に入るモデルなので混同しやすいのですが、両者は全く別のルアーと言っても問題ないほど性格が違うのです。

タイニートーピードのアクション

タイニートーピードのアクションを端的に言うと、ちょこまかと細かい首振りと小さなスプラッシュが特徴。

ルアーのサイズゆえスイッシュサウンドはあまり大きなものではなく、ショワッ!という軽い感じに仕上がっています。

しかしそのサウンドは妙に生っぽくて物足りない感じはなく、しっかりと水を押す丸いヘッドを生かした首振りとの合わせ技で魚を寄せるのです。

タイニートーピードとベビートーピードの違い

そうなると気になるのがタイニートーピードとベビートーピードの違いですよね。

まず両者はスプラッシュの大きさが全く違います。

ベビーはポッパーのようにシュパッと広範囲に飛沫を飛ばすことが出来ますが、タイニーはギルなどが水面で落水昆虫を捕食する時のように小さな泡を巻き込むスイッシュ音。

タイニーは首振り命令に比較的素直に従ってくれますが、ベビーは気難し屋なので思うように首振りしないなど、運動性能も全くの別物になっています。

この個性の違いをどう使い分けるかはアングラー次第ですが、のんだくれはテンポ良く広範囲を探る場合はベビートーピード、ピンポイントや狭いスポットをじっくり探る場合はタイニートーピードと言った具合に使い分けています。

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タイニーの破壊力を思い知らされた出来事

とはいえ、両者の個性の違いが大きな釣果の差に繋がると気づくまでに結構な時間がかかったのも事実です。

というのも、のんだくれはベビートーピードだけで1日3桁のバスをキャッチした事もあるなどハンパなくイイ思いをしていたので、”もうベビー以外は必要ない!” と思い込み、タイニーを持っていたのにほとんど投げていなかったのです。

しかしある時、散々ベビーを投げても無反応だったスポットに後から入った友人がタイニーを入れたら呆気なく釣れてしまったのです。 しかも何発も。

これはとてつもない衝撃でした。

ほぼ同じ形状、サイズが違うだけなのにこんなにも反応が変わるものなのかと。

ベビトー信者であるがゆえに他者を全面排除していたので、その実力が見えなかった…  いや、見ようとしていなかったのです。

これぞまさしく下手に成功体験があるゆえの弊害ですよね。

それ以来タイニーもベビーと並んでボックスの指定席を確保したのは言うまでもありません。

実は初心者には最強のルアー

そんな機能の違いも楽しめるタイニートーピードは、ある程度のスキルを持った中級アングラー向けのルアーだと思われがちですが、実は初心者向けの超イージールアーでもあります。

なぜならタダ巻きだけで十分釣れるから。

首振りだのジャークだの面倒な演出なしでスローに巻いてくるだけで普通に釣れちゃいます。

ヘッドが水を押しのけてイイ感じの引き波を出す程度のスピードで巻くと、軽いシャラシャラ音を発しながら泳ぐのですが、実はこのシャラシャラ音がめちゃくちゃ効くのです。

バスフィッシングブーム華やかなりし頃、彼女を釣りに釣れて行った時はゲーリー4インチグラブとタイニートーピードは必携ルアーでした。

なぜなら ”投げたらこのぐらいのスピードで巻いてきてね” と教えるだけで釣れるから。

首振りとかポーズとか難しい事を教えなくてもちゃんと釣れるのです。

特にトップウォーターはルアーの状態が見えるので同じ操作が続けられるしバイトもはっきり分かります。

ダウンショットをシェイクし続けるよりもずっと簡単だし、”ルアーフィッシングをやってる感” もしっかり楽しめます。

さらに水面を破る激しいバイトなんてあろうもんならもうタイヘン。

”次はいつ釣りに連れてってくれるの?” となるのは必至なのです😁

アライくんの登場により ”女の子に投げさせるべきルアー” の筆頭から退いてしまいましたが、その実力は未だ衰えていません。

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だって考えてみて下さいよ。

5センチ程度のチビルアーがミロルアーの5Mに匹敵するシャラシャラサウンドを発するんですよ?

釣れない要素はどこにもないですよね😁

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タイニートーピードのカラー

へドンのベストセラーだけあってカラーバリエーションは豊富ですが、個人的にはクローム系がお気に入り。

単にイイ思いをしたからというのもありますが、へドンのクロームは実績があるのでモチベーションのキープも含めた安心感はやっぱりハズせません。

のんだくれが一番イイ思いをしたのは通称NPと呼ばれるソリッドのシルバークロームですが、昔オバハンの中に撃ち込んで殉職させてしまいました😭

全身にギラギララメを纏ったG-フレックカラーのモデルは塗膜が熱い分、レギュラーカラーよりもわずかに重くなっていて水絡みも違ったりするなどヲタ心も満たしてくれます。

ちなみに画像のカラーはNBL(ニッケルブラックシャイナー)。

35年ぐらい前、初めてアメリカに行った時にバスプロショップス本店で購入したモノなので、実戦で投げることはもうありませんが、当時のいろんな思い出を引っ張り出してくれるのでノスタル爺の介護担当として活躍してくれています。

ちなみに最近モノの目はエアブラシによる吹き目ではなく、クッキリスッキリのプリント目になっています。

フックは#6が標準

フックは前後とも#6サイズのロングシャンクが標準。

深めのカップによるヒートンリグなのでフックの可動域はそれほど大きくありません。

この時期のモデルはフックもカドミウムの防錆フックが標準ですが、フッキングで不満を感じたことはないのでリグはイジらずに使っています。

近年はスプリットリングを入れたメバル用チューンなども出てきていますが、リングを入れるとどうしてもエビになりやすいので、フックのフレキシブルさにこだわりがなければデフォルトでも問題ないかと。

タイニートーピードのネーム

ネームはヘドン家の掟に則り、ステンシルで腹に吹かれています。

字のつぶれ具合がいかにもへドンって感じで、これだけで焼酎カラコロ出来ちゃいますね😁

基本的には画像のような横書きですが、たまにエラーで縦書きになっているものもあったりしてネームヲタを楽しませてくれます。

さらにプロップにHeddonの刻印が入っているトコが痺れますね。

トーピード兄弟の中でプロップ刻印が許されているのはこのタイニートーピードだけなので、しっかり鑑賞しておきましょう😁

タイニートーピードの改造・チューン

タイニートーピードはチューンネタとしてもなかなかイケています。

一番簡単なのはペラを止めているヒートンを長めのものに変えてルーズにするチューン。

このスペースが広がるだけでプロップの回転が軽くなります。

しかしこのチューンは回転の立ち上がりが若干悪くなるので、どちらかというとタダ巻きメインのユーザー向け。

首振りやトゥイッチなど細かく動かしたい場合は変にイジらない方がいいでしょう。

それ以外のチューンとしては、ラインアイにスプリットリングをぶら下げて首振りのレスポンスを上げるという方法も。

スプリットリングは1個約0.2gですが、これをラインアイにぶら下げる事でカウンターウェイトとなるのでよりクイックなドッグウォークが可能になります。

その場合ラインはリングではなくラインアイに直接結ぶ事。

スナップを使用しても同様の効果は得られますが、ぶら下がってるのと直接力がかかるのとでは運動性能に差が出るのでお好みで。

あとはボディ内部にレジンを注入して浮力を殺した水面直下バージョンにしたり、リューターでプロップ穴を四角に加工したり、ペラを砥石で研いで薄くしてレスポンス向上とプロップサウンドを変えたりと、ボディが小さい割に改造の幅が広いので、あれこれ試してみてください。

タイニートーピードの入手方法

入手方法なんて見出しがアホらしく思えるほどどこでも入手できるのがタイニートーピードの魅力ですね。

でも日本ではどの店にも置いてあるルアーではないのがちょっと寂しい気もします。

トーピードに限らす実力のあるルアーを常備して、そしてちゃんと説明できてこそのプロショップだと思うんですが、そういうのはもうネットの役目なんでしょうか。

それを考えると、なんの説明もないのに常時在庫を置き、しかも売れてるウォルマートってスゲーなと。

ウォルマートでロッド&リールのコンボとタイニートーピードやラトルトラップを買って湖畔のピクニックへと出かければ、誰もが思い描く”アメリカンバケーション” が実現するので単純っちゃ単純なんですけどね😂

おわりに

かつてののんだくれのようにベビーは使ったことあるけどタイニーは….. というアングラーは少なくないはず。

もちろん他のルアーでも同様の使わずじまいによる機会損失は沢山あると思います。

星の数ほどあるルアーを全て使うのは無理なオハナシですが、昔から有るのにいまだに販売されているルアーで使ったことがないモノがあったらぜひ使ってみて。

今まで想像もしてなかった世界への扉が開くかもしれませんぞ😁

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