10インチサイズのスイムベイトが抵抗もなくフツーに受け入れられている現在、多分一番忘れられているであろうタイニープラグ。
今日はそんな可哀想な存在にスポットライトを当ててみましょう。
ご存知、御大スミスからの刺客、タイニーボム君です。
このルアーは確か96年ぐらいのデビューだったと記憶していますが、リトルダイナマイト、Q.T.デビルと共にハトリーズの一員としてこの世に放たれました。
当時は国産メーカーがメキメキと実力をつけてきて、設計者がやりたい事とそれを実現する生産技術、そしてそれを受け入れる一般消費者(アングラー)がいいバランスを取っていた時期でしたね。
それ故、この時期に発売されたルアーには名品と呼ばれるものが多いような気がします。
さてさて、先述のタイニープラグですが、日本ではどうしてもメディアの影響を強く受けてしまうので、ちびっこプラグが脚光を浴びる事はほとんどありませんが、その威力は無視できません。
過去に何度もチビスケ達に助けられた事がありますし、小さいのに替えた途端にサイズが上がった… なんて事もありました。
ウォルマートを始めとした米量販店では、ベビートービードよりも圧倒的にタイニートーピードの方の遭遇率が高いという事もその威力を物語ってますよね。
実際アメリカのバス雑誌には、タイニープラグをフィーチャーした記事が結構掲載されてたりするので、もし手元に米バス雑誌のバックナンバーがある人はパラパラめくってみてくださいな。
そこでこのタイニーボム君ですよ。
ご覧の通りのチビボディで、その昔カシワギさんが提唱したチマチマの概念がしっかり盛り込まれたサイズとなっています。
タイニープラグがイマイチ認められない理由のひとつとして、アクションが小さい事が上げられますが、このタイニーボムはそのサイズに似合わない大胆なアクションとサウンドでバスにアピールしてくれる数少ない例外です。
以前、ハトリーズのルアーは8lbラインでの操作を前提として設計されている…という話を聞いた事がありますが、のんだくれはこれを14lbで使って特に不満は感じないので、それはハトリーズならではの汎用性の高さなんでしょうね。
このルアーの最大の特徴は、何といっても独特のハトリーズラインを持ったボディです。
同じようなルアーが沢山出回っているにもかかわらず、ハトリーズのルアーは見た瞬間に『ああ、ハトリーズ』なんですよね。
昔のフレッド・アーボガストがそうであるように、デザインがそのままブランドイメージになっている、非常に稀有な存在です。
又、水面系のルアーにも関わらず、この手のフォイルちっくなカラーを積極的に出してくれたうれしい存在でもありました。
トップウォータープラッガーと呼ばれるアングラーは、一般的にクラシカルなヘドン系のペイントカラーを好む傾向がありますが、そんな中で、在庫のリスクを恐れずにこの手のカラーをガンガン出してくれてたので、のんだくれは大助かりでした。
え? なんで大助かりなのかって? それは後のおたのしみとゆーことで。
このシリーズは、Q.T.デビルがペンシルベイト、リトルダイナマイトがポッパー/チャガーの味付けなので、コイツは水面プラグの王道、スイッシャーという役柄を与えられています。
12ミリという極小ペラゆえサウンドも大したことないと思いきや、オーバルペラの本領発揮でしっかりと水をつかみ、バブルとスプラッシュを発生。
そしてその音色がまた美味しそう。
ポロロッ!と甘美でありながら力強いサウンドを響かせてくれるのです。
それだけじゃありません。
このペラは極小サイズのシングル水車プラグにありがちな、首振りの妨げになることもなく、左右へのスケーティングをサウンド面で見事にサポートしているんです。
このあたりの絶妙な味付けは、やはりハトリーズマジックと言わざるを得ませんね。
フックは前後でサイズを変えてある羽鳥チューン。
フロントはスプリットリング、リアはリングを介さない直結仕様になっています。
実はこのセッティングがこのプラグの最大の強みでもあり弱点でもあるんです。
というのも、吊るしの状態で既にベストバランス/ベストセッティングなのでアングラーがイジる必要がないんです。
むしろイジると本来の動きがスポイルされてしまい、チビプラグならではの良さが感じられません。
しかしそれは同時に、フック交換などで細心の注意を強いられるということでもあり、あまりカスタマイズの余地が無い事を意味します。
まあハトリーズのプラグ自体が既に完成された芸術品と見ればそれもアリでしょうが、のんだくれのように釣り下手だからこそいろいろイジりたいという種族も少なからずいるわけでして、ウッド製ハトリーズならともかく、プラの量産版ならもう少し融通性があってもいいかなという気がしないでもなかったり…
その最たるものがコレ、リアのフックハンガー。
実はコレ、ヒートンじゃなく、ワイヤーが一緒にモールドされちゃってるんですよね。
フック交換の際にはリングの口をプライヤーなどでこじ開けて下さいねー、という仕様。
強度的には問題なさげですが、個人的にこの方式はイマイチだったので、コイツを抜いてヒートンに付け変えましたが、その途端にルアーが死にました😭
そのぐらいシビアなセッティングなんです。
まぁそもそも普通サイズのプラグですらフック交換でバランスが変わってしまうのに、このサイズでそれをしようとする方がマチガイといえばマチガイなんですが。
ネームはしっかりとハラにこの通り。
BOMBの“O”が爆発してるトコがなんとも可愛いですよね。
しっかりと目を凝らさなければ読めないような小さな小さなネームですが、こうして手を抜く事もなくちゃんとしてくれてるのはネームヲタとしては嬉しい限りです。
そうそう、おたのしみが何なのかをお教えしないといけませんね。
まあ大したことではありませんが、のんだくれはこのプラグをフロロラインで使ってイイ思いをしています。
もうお分かりですね?
ルアーの基本性能にダイビングの要素をプラスするんです。
このプラグに限らず、水面ルアーをフロロカーボンのラインで使うと、通常のナイロンラインでは見せなかった挙動をすることがありますが、タイニープラグはラインの影響を大きく受けるのでほとんどの場合、全く別のルアーに生まれ変わります。
特にコイツの場合は、フロロラインを十分に水に馴染ませた状態からトゥイッチを入れると、小さなペラがスプラッシュ&バブルを出して艶めかしいダイビングアクションを見せてくれるようになります。
その姿は、ギルが落水した虫を捕食した瞬間に身を翻すあの動き!
さらにダイブした状態で2~3度トゥイッチしてやると、このルアーの特徴でもあるノーズの形状で、水面下で不規則にキュンキューンとダートします。
夏の朝マズメにこのメソッドを使ってめっちゃ乱獲したことがありますが、その時は明らかにペイントカラーよりもフォイル系のカラーの方にバイトが集中しました。
多分ローライトの中で一瞬だけギラッと明滅するのに反応しちゃったんでしょうね。
だからのんだくれはこのフォイルのカラー推しなんです。 お分かりいただけました?
そんな可愛いタイニーボム君ですが、カタログから姿を消して久しいので、最近ではさすがに中古屋でも見かけなくなってしまいました。
一時期真剣に探したのでそれなりのストックは確保できてますが、先述の通りバランスがシビアなルアーだけに、今でも見つけたらコンディションに関わらず必ず連れ帰るルアーですので、まだ使った事がない方、持ってない方はちょっと意識してみてくださいな。
コメント
*2011年投稿時に頂いたコメントをそのまま転載しています
1. 淫金他無視 December 02, 2011 10:18
スミス(ハトリーズ)の7g前後のルアーって夏場の虫パターンに重宝してます。
オーバーハングの奥にキャストしてモジモジ・・・パクッて想像しただけでニヤけてしまいます。中古屋などで未開封品が200円~300円で叩き売りされてるので、いつも見つけては買い占めてます。
3. 岩谷薫 December 02, 2011 16:55
仰る通り、ちっこいルアーはバランスが微妙で、替えのパーツがなかなか手に入らないので、近頃は池で見付けたチビルアーは、とにかく持ち帰っています。特にフック採集用で。笑。この前は拾ったダイソーのチビペンシルが、ザラパピーよりも、ナイスな動きをするので、笑ってしまいました。
チビルアーを拾う度、少年アングラーの釣りたいパッションが伝わりますヨ…。
4. としくん December 02, 2011 21:30
これ、食わず嫌いしてました。
第一印象で、ペラが頼りなかったんですよね。
サイズ的にも、コーモランだし…。
来年使ってみようかな(笑)
キャスパーという兄弟もいますが、ギルの猛攻に会いました。きっと、こいつも…!?
5. 水澄まし December 03, 2011 01:04
今晩は!
これらのタイニーも良く考えられたシリーズですよね。
それぞれに役割を持たせ、造形的にも他のシリーズに負けない個性派揃いだと思うんです。
ただ、いつもスルーしてるので、そろそろ持ち帰ろうかな。
6. のんだくれ December 03, 2011 04:26
淫金他無視さん
新品未開封が2~300円ですかぁ… こっちじゃあんまりそんなイイの見かけないなー。ウラヤマシイ。
7. のんだくれ December 03, 2011 04:27
岩谷さん
ダイソーのペンシルって誰に効いてもナニゲに評価高いんですよね、アレ。(笑)
ルアーはルックスと価格じゃないという典型なんでしょうか。
8. のんだくれ December 03, 2011 04:28
としくん
このシリーズはかなりキテますよ。
手に入らなくなる前にイッとくべきですっ!
9. のんだくれ December 03, 2011 04:29
水澄ましさん
おひさです!
いや、ほんとによく練られたシリーズですね、コイツらは。
個人的にはハンドサム、プレーリードッグなどのシリーズよりも完成されてると思ってます。
是非サルベージしたってください。