全く新しいサウンド特性を求めて開発されたエポックメイカー LV-200 / ラッキークラフト Lucky Craft

ラッキークラフト Lucky Craftリップレスクランク

ラッキークラフトが90年代にリリースしたリップレスクランク、LVシリーズはいろんな意味でエポックメイキングな存在でした。

従来の深度やサイズ視点のシステム化とは違い、性格の違うリップレスクランクをシリーズ化するというアプローチが未だ存在しない事からもこの取り組みの独自性が伺えます。

そのLVシリーズの中で、特に注目されていたのがこのLV-200。

90年代にバスフィッシングを齧ったことのあるアングラーならば誰もが一度は使ったことのある ”バイブレーション” プラグです。

 

このルアーが登場したのは確か1997年だったと記憶しています。

当時のラッキークラフトはサミーやステイシーが軒並み入手困難ルアーになるなど、メガエバと共に飛ぶ鳥を落とす勢いのブランドでした。

LVシリーズも発売直後から各地で圧倒的な釣果を叩き出すなど話題のルアーでしたが、このLV-200は派手さこそないものの玄人受けするルアーとして注目を集めていました。

 

LV-200のサイズは72ミリ、18gと、標準的なバイブレーションにまとめられています。

当時はリップレスクランクという言葉が今ほど一般的ではなく、ラッキークラフト自身も ”バイブレーション” プラグと称していた時代でした😁

バスフィッシングブームによりビギナーが爆発的に流入していたタイミングだったので、リップレスというよりもバイブレーションという方がルアーの特性を理解されやすいというマーケティング思考も作用してたと思われ。

実際、ルアーがどういうものかを全く知らない初心者にこのリップレスクランクの動きを見せると、シンプルな外見とは裏腹に激しくボディを震わせる動きにスゴーい!となる人も少なくないので、バイブレーションという名前の方が圧倒的に馴染みやすかったんでしょうね。

 

とまあそんなノー書きはともかく、このルアーの最大のウリは内部に収められたこの金属板でしょう。

通常のリップレスクランクならば大量の内蔵BBラトルを踊らせることでサウンドを発しますが、このLV-200はエコープレートと呼ばれる分厚い金属版を内蔵し、その金属板を激しく揺らす事でラトルの役割も持たせてしまおうという画期的なアイデアを実現しています。

このエコープレートのサウンドを文字で表すと、内壁に当たったインパクトを金属板自身がアンプとなって増幅するイメージ。

リトリーブでは甲高いカカカカカカカカ…というマシンガンサウンドにしか聞こえませんが、手に持ってゆっくりと振ると、ティンティンティン… という具合にプレート自体が共振して僅かに余韻が残るサウンド特性であることが分かります。

それは大量のラトルボールが内部で暴れる従来の複合ラトルサウンドとは全く違い、バイブレーションによって生まれた振動エネルギーをヒットポイントと呼ばれる一点に放つことによってのみ生まれる一撃必殺サウンドなのです。

ぶっちゃけこのサウンドがオサカナの側線にどう作用しているのかは分かりませんが、多くのアングラーがその実力を認めているという事実だけでも注目する価値はありますよね。

 

プレート上部に見える球体状のものがボディに接触するヒットポイント

しかしただ単にプレートを挿入しているだけではないのがLV-200がLV-200たるところ。

プレートの稼働を最適化するだけでなく、テール部分を薄く加工することによってよりプレートが振動しやすくなっているんです。

これはのんだくれお得意の勝手な妄想ですが、プレートの振動を最大限に生かすため、おそらく素材の違いによる振動減衰率まで検証されているのではないかと。

分かりやすく言うと、オルゴールの振動板素材がアルミニウムだといい音が出ないのと同じ理屈です。

そんな内部ウェイトごときで振動減衰率なんてヲタの妄想に過ぎない… と思うかも知れませんが、これをデザインしたのはあのセイジカトウですからね、そのあたりまで踏み込んでても全く不思議じゃありません😁

 

そんなエコープレートを安定かつ確実に動かすためのバランスウェイトを頭部に設置。

こちらのウェイトはエコープレートの仕事を邪魔しないように完全固定になっており、目の部分に一つだけラトル(ブラス?)が入っています。

スパイラルフォールにならないウェイトバランスはリフト&フォールでもエビになることがなくストレスフリーなところも玄人受けする理由でしょうね。

ちなみにこのLV-200、一部のシーバスアングラーからもシークレットとして重宝されてました。

 

さてさて、そんな内部構造にばかり目が行ってしまいますが、ヘッド部のデザインも忘れてはいけません。

ラトルボールと金属板とではアクションの動き出しも、その結果生まれる慣性モーメントも全く違うのでそれに合わせた水流効果を作り出す必要があるのです。

LV-300やLV-500とはヘッドデザインが全く違うので、全員並べて焼酎の氷をカラコロするのも使用法のひとつなのは言うまでもありませんw

 

そんな考え抜かれたLV-200ですが、ちょっとだけ気に入らないところも。

それは元々装備されていたフックです。

箱出しの状態ではシルバープレートの細軸フックが装備されていましたが、あのフックが40クラスのバスでも割と簡単に伸ばされてしまうのです。

なので実戦版ではフックを交換。

シャンクが短めのものに交換することで強気のアプローチができるというメリットも生まれました。

 

ネームは腹にスタンプだけのシンプル仕様。

もうちょっと色気のあるプリントが欲しかったですが90年代はどこもこんな感じでしたからね、ゼイタク言っちゃいけません。

ちなみにLVは ラッキークラフトバイブレーションの頭文字。

フルネームがそのまま使われなくて良かったとホッと胸を撫で下ろしたのは、のんだくれだけではないはず😂

 

当時、新カラーが出る度に買い足すほど溺愛していたルアーなのでストックは今もそれなりにありますが、中古屋での遭遇率が下がってきた事から察するに、スペア不足に喘ぐアングラーも少なくないのではないでしょうか。

このモデルが再販される可能性は低いと思いますが、もしボックスの奥底で眠らせている人がいたら是非とも投げて欲しいのです。

令和バスにとっては聞いた事のない未知のサウンドなので、もしかしたらもしかするかもよ?😁

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