えー、今更ですがのんだくれはウェイクベイトが大好きです。
いつだったか激タフ野池でたまたま投げたワンマイナスが炸裂してからというもの、リップが立っているクランクを見だたけで股間がピンコ立ちするようになってしまいました。
よってボックスにはおのずとピンコな連中の玉石混交状態になるワケですが、そんな中で常に異彩を放っている存在があります。
それが今日のゲスト、ラッキークラフトのNW03。
”あー中古屋でよく見るヤツね😏” と知ったような顔でスルーしてると、後で泣きを見ることになるというダークホースならぬダーククランクです。
NW03とは
NW03はラッキークラフトのファンクラブ ”ネットワークメンバー” の会員特典として2003年にデビューしました。
2003年にネットワークメンバー向けに作られたルアーだからNW03。
そのまんまですw
しかしこの会員向けのルアーはデリバリー直後から中古市場に大量流出します。
そりゃそうですよね。
会員の個々のフィッシングスタイルや指向性に関係なく一律でウェイクベイトを送るんですから、要らない人が出てくるのは仕方のないオハナシ。
そして使わない人がタックルベリーなどの中古屋に売り飛ばすのは至極当然のなりゆきです。
そんなラッキーな ”おこぼれ” をのんだくれがゲットしたというワケなんです。
NW03のサイズ・重さ
NW03は全長72ミリ、自重17gと、当時の標準的なクランクよりもやや大きめのウェイクベイト。
ラッキークラフトのサイズ規格では2.5サイズに相当します。
マンズのワンマイナスとほぼ同寸でありながらも屹立したリップを持つNW03を見た途端、大きな引き波を断ち切るかのような激しいバイトを思い浮かべてニンマリしてしまったのですが、実際に使ってみたところ、そんな妄想の遥か上をいくパフォーマンスの持ち主であることがわかったのです。
バルキーなのに高レスポンス
まずNW03はアクションレスポンスが素晴らしい。
バルキーなボディを持つウェイクベイトは往々にして泳ぎ出しがもっさりしているものですが、このNW03に至っては巻き始めた瞬間にアクションが立ち上がります。
クランクベイトは線で攻めるルアーなのでアクションの立ち上がりはあまり重要視されていませんが、ウェイクベイトはシャローカバーにタイトに付くバスをピッチングで撃っていくケースなどにも使われるので、この高レスポンス特性はなかなかの高ポイント。
そしてその立ち上がりの後に続くスイムアクションが個性的なのです。
巻き始めはラインアイを支点としたローリングから。
そしてスピードが上がるにつれてウォブリングアクションが加味されるのですが、その際、加速するにつれアクションの支点がラインアイからフロントフックハンガーの方に移行していく感じなのです。
その後さらにスピードをあげていくと、最終的にはラインアイとフロントフックハンガーを結んだ線を軸とするローリングアクション、それもかなり強めのローリングへと変化します。
一般的にどんなクランクベイトでもスピードによってアクション特性は変わるものですが、このNW03はその変化の度合いが顕著なので、ルアーを交換することなくローテーションが組めてしまうというなかなかお得?なクランクに仕上がっています😁
アングラー視点のリップセッティング
そんなアクションの司令塔がこのリップです。
何の変哲もないウェイクベイトのリップですが、使い込んでいくとなかなかの手練っぷりに唸らされます。
まず引き心地が素晴らしい。
重すぎず軽すぎずの絶妙な塩梅のセッティングは長時間投げ続けても疲れないのはもちろんのこと、手元に伝わる感触もしっかりしているのでモチベーションキープにも一役買っています。
ワンマイナスはトルクがある分、手元に割とズシンとくる巻き心地なので長時間巻き続けるのはしんどいのですが、その点このNW03はストレスなく撃ち続けられるというアドバンテージが。
でんぐり返しも得意
それだけではありません。
このリップは倒れた葦や浮き竹などに当たると、まるででんぐり返しするようにキレイに障害物を躱してくれるのです。
浮き竹はルアーが当たって乗り越えた直後にバイトが出る確率が高いホットスポットゆえ、バズベイトやフロッグなどスナッグレス性の高いルアーを選びがち。
しかしそんなスポットに付いてるバスほど、バズベイトだのフロッグだのは見飽きてるんですよね。
そんな場所をこのNW03でジョワジョワとやれば、カツン… クルン… チャポン… ガボン!の流れに更に一歩近づけるというワケです😁
ラッキークラフトにはRC2.5ウェイクというウェイクベイトもラインナップしていましたが、あっちのリップは前面が凹面になっているのに対し、このNW03は完全フラットになっているので、そのあたりにもでんぐり返しの秘密が隠されていそうですね。

重厚なアンサンブルサウンド
そんな高いパフォーマンスを次のレベルへと昇華させているのがこのラトルシステムです。
最大の特徴は、メインウェイトとなる2つのスチールラトルとは別に直径5mmの大玉グラスラトルが2つ入っていること。
通常クランクベイトに使われるグラスラトルはシャラシャラサウンドを発する直径2〜3mmのものが多いのですが、重量のある大玉グラスラトルを内部で暴れさせることで内壁にぶつかった時の衝撃を格段に大きくしています。
そしてそれは大小スチールラトルの中低音ゴトゴトサウンドと、グラスラトルの高音カツカツサウンドによる三重奏構成によってさらに複雑な音に。
ただしその音量は三重奏という瀟洒な響きとは正反対の Louder Than Noise, Louder Than Ever なけたたましさ。
Overkillのイントロでミッキーが叩くスネアよりも速く、そしてパワフルなのです。
でも単にうるさいだけではありません。
このNW03のラトルは、ルアーが泳ぐか泳がないかぐらいの超デッドスローでもしっかりとカチカチ音を鳴らしてくれるのです。
これはのんだくれの勝手な想像ですが、デッドスローでもラトルがちゃんと仕事をこなす秘密は内部構造にあると睨んでいます。
画像だとちょっと分かりにくいのですが、スチールラトルを納めたラトルルームの間が溝になっているので、グラスラトルはそこをレール代わりにして左右を行き来しているのではないかと。
つまりレール上はフラットなので、デッドスロー時のほんの僅かなボディの傾きにも反応してスムースに転がり、確実に壁にぶつかるということ。
もし手元にNW03が有ったら是非試して欲しいのですが、グラスラトルがレールの上にある時と、(レールがない)ボディ後端部にある時とではラトルの鳴り方が全く違うのです。
スロー動画などで確認したわけではないのでアクション時のラトル位置などは憶測の域は出ませんが、安定してラトル音を鳴らし続けてくれるところを見る限り、あながち外してはいないんじゃないかと。
性能を帳消しにする謎のカラー
そんなナイスなNW03ですが、究極に気に入らんところもあるのです。
それがこのカラー。
クリア系グリーンにホログラムを乗せて背中にブラウンを吹いた甲虫っぽいカラーなんですが、これがルアーの特性と全然マッチしてないのです!
ピッチの早いパワフルなロールアクションなんだからもっと明滅を効かせるような、例えばチャート/ブラックバックのような上と下でコントラストを大きく変えたカラーリングにした方が良かったんじゃないかと。
もしかしたらこのカラーを採用した理由は会員向けに発信されていたのかもしれませんが、このカラーの地味さ故に中古屋流出率も高かったような気がしないでもありません。
なーんてメーカーにしてみたら、会員にもなってないヤツがいちいち文句言うなってハナシでしょうけど😅
フックは前後ともブラックニッケルの変則?#4サイズを装備しています。
ラッキークラフトのフックは2000年代に入ったあたりから総じてワイヤー径が太くなったような気がします。
初期のフックは刺さりが良い反面、簡単に伸びてしまったので結構なストレスになってました。
あのフックでは米国マーケットを制するのは無理だと悟ったんでしょうか😁
残念ながらネームもあっさり
ネームは腹に入っていますが、ご覧の通りネットワークメンバーズのみでNW03という文字は見られません。
会員向け特典だから仕方がないのかもしれませんが、ルアーの出来が良いだけにこのあっさりネームはちょっと寂しいですよね。
ここは会員用だからこそこだわって欲しかった。
ネットワークメンバー用のルアーは、NW99のように釣れ釣れな秀作もあるだけに、製品コード的なものではなくてちゃんとした名前が欲しいトコですよね。
おわりに
このNW03は登場から18年(!!)が経っているにも関わらず、いまだに中古屋やネットでよく見かけるなど比較的容易に入手できます。
しかしいつでも買えると思ってると知らないうちに姿を消してしまい、チマナコになって探し回るというのは昔から繰り返されてきているお約束パターンなので、気になった人は今のうちに確保しておくことをお勧めします。
ラッキークラフトの現在のラインナップにはこのサイズのSSRクランクが存在しないというだけでも、ボックスにしのばせておく価値はありますぞ。