過酷な生き残り競争を勝ち抜いてきたレーベル史上最もしたたかなカエル バズンフロッグ T4 Buzz’n Frog T4 / レーベル Rebel

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今さらバズンフロッグかよ!

今日のお題はレーベルの珍品バズンフロッグ。

『何をいまさら!』と言われそうですが、登場してもうすぐ40年にもなろうというのに、いまだカタログから落ちることなく現役のまま頑張っているルアーをスルーする訳にはいきません。

しかしそのふざけた外見やコンセプトから既にいろいろな方がブログネタにしているので、二番煎じにならないよう、千一流で攻めてみたいと思います。

 

 

今年で生誕38年の御長寿ルアー

さてさてこのバズンフロッグ、のんだくれがあーだこーだとノー書きタレる必要がないほどB級カテゴリーでは有名なルアーです。

1982年に、かのトーキンスプーン Talkin’ Spoonと一緒に発売されて以来(実際のデリバリー開始は83年だったと言われています)、片時も休まずに?我々バスアングラーの妄想を掻き立ててくれている貴重な存在です。

国を問わずワゴンの常連だと揶揄されながらも、これで釣れたら最高に面白い!これぞバスルアー!という出で立ちは我々に夢を与えてくれますよね。

その外見のおかげかどうかは分かりませんが、本国アメリカではウォルマートやKマートの釣具コーナーでは、同じくレーベルのクローフィッシュと共にいまだにその姿を見かけます。

ラトルトラップなどと仲良く並んでいるこのフロッグの姿を見ると、なんかホッとするんですよね笑

まあこれを買った人のほとんどが実戦投入するつもりはなく、単なるシャレなんでしょうけれど。

 

史上最強・孤高のフロッグ

 

そりゃそうですよね。

なんてったってこの外見ですから。

潔い程のカエルです。

もうカエル以外の何者でもありません。

しかし、ルアーの歴史の中でカエルを模したものは数あれど、インパクトはもちろん、長らく生き続けているという点でワンアンドオンリー。

史上最強です。

ナチュラルプリントで一世を風靡したあのレーベルがリアルな造形にリアルなドレスを着せるんですから、言うまでもなく最強です。

 

レーベルナチュラルズの歴史

ここでレーベルのナチュラルカラーについて少し触れておきましょう。

1978年にレーベルがナチュラライズドシリーズ Naturalized Series という名で発表したナチュラルプリントは、そのプリントの緻密さと、フレッシュorソルトを問わず数多くのベイトフィッシュを網羅したことで爆発的人気となりました。

そして単なるカラーリングのひとつから脱却すべく1980年にベイトフィッシュシリーズとして発表したベイビーバス、ベイビーブリーム、シャッドの三種は、ベイトフィッシュのシェイプを細部まで再現したボディに超リアルなカラーリングを被せることによって、バスフィッシング業界はもちろん、一般アングラーの間でも一大センセーションを巻き起こしました。(レーベルナチュラルズよりも先にバグリーがスモールフライを出していますが、その辺の関係性はまた別の機会にゆっくりと)

当時、横長のダイワカタログでその生っぽい姿を見て、まだお毛々が生えそろってない股間を大きくしていた人も多いことでしょう。

もちろんのんだくれもそのうちの一人。

このルアーを買えばバスがメチャメチャ釣れるんだ!という謎の盲信と共に、カタログのベビーブリームをペンで丸く囲んで毎日ハァハァしておりました。

そんな、ハナタレのガキからエキスパートまで世界中のアングラーを熱狂させたレーベルが、他のベイトのモチーフに着手するのはある意味必然でした。

そうです。ザリガニと共にバスに最も食われているであろうカエルは、ナチュラルシリーズで勢い付いていたレーベルのネタにされる宿命だったのです。

 

したたかさをカエルの造形で隠す力技

 

しかしこのアゴからハラにかけてのボディラインでバズベイトとしての揚力を生み出すという計算高さにはシビれますね。

もちろん素材が発泡プラスチックなのでそれ自体に浮力はありますが、機能とデザインの融合と言えるこのボディライン処理により、安定した水面キープ性能を発揮してくれます。

それだけではありません。

単に揚力をアップするだけでなく、カエルの手を模したスタビライザーを両脇に配置することでリトリーブ時のヘッドの回転を抑制。

これによりファーストリトリーブでも回転しないボディを実現しています。

こういうこのデザイン処理により、バスのみならずアングラーまでバイトに持ち込む力技はさすがのレーベル。

計算され尽くしたしたたかさをファンキーなガワで隠して出すなんて、ホント罪深い会社ですよ、レーベルは。

 

かつての失敗から学んだ?

さらに、ハラに埋め込まれたウェイトは、着水時のひっくり返りを防止すると共に、リトリーブ時のさらなる安定性の向上に貢献しています。

なんかこの辺りの、カエルの造形に隠した細かい性能には老舗プラスチックルアーブランドとしてのプライドが感じて取れますね。

かつてプラスチック製ウィードレススプーンとしてリリースされたにも関わらず、すぐにひっくり返ってしまう事から、「藻刈りフロッグ」という不名誉な名前

を賜ってしまったモスマスターの教訓が生きているというのはチト飛躍し過ぎでしょうか笑

そういえば昔、オリザラから拝借したサーフェスリグをこの腹に設置してダブルフックそ装着しようと試みましたが、ラインアイからボディエンドまで貫通するワイヤーフレームに阻まれて頓挫してしまいました。

その後いろいろなリギングを試してみるも、ブレードに干渉したりシンキングになったりで結局ギブアップ。

ユーザー側のモディファイを許さない許容範囲の狭さも、なんかバズンフロッグらしくてイイんですけどねw

 

バズブレードにも多くの秘密が

 

したたかな計算が隠されてるのはボディだけじゃありません。

このカエル足を模したペラにも機能テンコ盛り。

まずはその回転性能。

コイツを初めて使った人なら誰もが『結構回るじゃん』と感心する通り、スローからファーストまで、ストレスなく軽快に回ります。

ワイヤーにそのままプロップを通すのではなく、アルミスリーブとカップを入れた理由が良く分かりますね。

 

 

しかーし! 回転だけで驚いてちゃイケマセン。

ナチュラルプリントのせいでイマイチ分かりにくいんですが、このペラ、上下非対称になってるんです。

そして僅かながらペラ自体も片方が大きく造られているのです。

更にメインシャフトが通るパイプも中心から少しだけオフセットされてます。

これらが意味するトコロはもうお分かりですよね。

そうです、バイブレーションです。

ペラが回転するとそれぞれの非均衡設計がしっかり仕事をして、グワングワンとバイブレーションを生み出す設計になってます。

 

全ての水流エネルギーをプラスに変換

 

さらに、水面静止時に片方のペラが必ず下がった位置で止まるため。動き出しで確実に水を掴めるという利点もあるのです。

このアングルで見ると、リトリーブによって発生した水流が腹を押し上げるだけでなく、その後ろのバズブレードを回転させるエネルギーに変換されるのが良く分かりますよね。

それはまるで電気やマグマの持つ熱エネルギーを、全て自身のエネルギー源に変えてしまう大怪獣ガメラのよう… という表現はかなりムリがあるかw

しかし左右非対称のブレードがバイブレーションを発生させるのは当たり前ですが、デッドスローでもしっかりと働くペラに仕上げるのは相当な苦労があったはず。

それをカエルの造形でさらりとやってのけた当時のレーベルの情熱にはホント脱帽です。

 

しかしイイところばかりではない

 

しかしそんなカエル君にも弱点はあるんです。

それがこのジョイント部分。

この部分にウィードやトロロ藻が入ったら最後、ミゴトにロックされるだけでなく藻の除去に苦しめられます。

それだけではありません。

コイツったらフッキングがとにかく最悪なのです笑

なにしろ10回出て1回乗ればラッキー!という効率の悪さなので、精神衛生上、非常によろしくありません。

なので短気な人には絶対オススメできません!

でも逆の言い方をすれば、それらの苦難を乗り越えてバスを釣ったら未来永劫イバれるのは間違いないので、仲間内で英雄と崇められたい方は是非トライしてください。

バズンフロッグ縛りで大会やったら盛り上がりそうですよねw

 

レーベル唯一のダブルフック仕様

 

フックはご覧の通り、バーブのデッカいクラシカルなダブルフックを採用。

現役のレーベルルアーでは唯一のダブルフックルアーです。

パケ裏の説明書きによると、回るペラがウィードガードの役割を果たす云々と書かれてますが、それはあくまでもパラ葦レベルの話であって、それなりのスポットで使えばそれなりの結果が待ってます。

事実、当時のカタログにもちゃんと「セミウィードレス」と書いてあるんですから、過度の期待は禁物です笑

 

 

ボディのシワも楽しむのが由緒正しきレーベル道

 

最近モノは知りませんが、コイツは90年代初めのものなので、昔の発泡素材ルアー特有のシワがしっかりと刻まれてます。

しかもはみ出したバリをカッターか何かで削り取ったリアルな痕跡なんかもあったりして、ヲタ心をくすぐるのも忘れてません。

ちなみにコイツには3/4オンスサイズの兄貴がいたんですが、同じモデルとは思えないほどペラの回転がショボくて全然使えない代物でした。

そのせいかどうかは分かりませんが、兄貴は90年代の中盤に他界。

妙に間延びしたボディデザインなので、気になる人は探してみて!

 

その名前につられてバズ的に使ったら負け

 

コイツはバズンという名前ゆえバスベイトちっくにジャバジャバ引いてくるルアーと思われがちですが、水面を攪拌しまくる超ラウドなバズベイトが市場に大量に出回っている昨今、バズ的な効果を期待するのはちょっと残酷かもしれません。

かといって、セミウィードレスのバズン君をヘビーカバーにブチ込んでもイライラが募るばかり。

という事で最後にバズベイトでもなく、ウィードレスベイトでもない、このバズンならではの動かし方を紹介しましょう。

その動かし方とは、ポーズ後にしっかりダイブさせる事。

フロロカーボンと組み合わせて軽くロッドをスイープすると、細かいバブルと共にダイブして、その後じわーっと水面に戻る挙動を見せてくれます。

フロロなんて使ってないよー!という方は、ロッドティップを水中に突っ込んで動かせば同様の動きが出せます。

それはまるで水面で顔を出してたカエルが何かに驚いて水中に潜るように、実に生っぽい動きなのです。

空気を一気に水中に引き込んで捕食音を出すダーターでもなく、バシャバシャと水を攪拌するバズベイトでもないその動きと音は、このバズンフロッグしか出せない独特なもの。

ボックスの奥深くで冬眠させていたバズン君を一軍登録させるのは、カントク!あなたしかいないんですから、是非ともこの動きでヒーローにしてあげてくださいな。

 

 

 

コメント

*2010年投稿当時に頂いたコメントをそのまま転載しています

1. ノンらとる August 11, 2010 09:07
以前エグって、一度は持ち出して使ったんですが、イメージしてたバズっぽさが無く、以来ボックスで標本になっております。
(-_-;)
いっそスイベル&トリプルに…

 

2. 廚年@携帯 August 11, 2010 12:01
あ~あ
とうとう出ちゃった…
ダブルフックをトリプルに変えて乗りを良くするとか
軽いトリプルだとペラの回転が悪くなるのでフックの選定が肝心とか
リザーバーの岩盤や岬でショートジャークで使うとスパターバズより反応が早く使いやすいとか
そんな事を言ってはダメです!!
また、値上がりすると困りますから。(笑)

 

3. ブランクバス August 11, 2010 14:04
こういうやっちゃった系のルアーって、経験上釣れた試しが無いんですよね(汗)
だけど何かこういうバカバカしいルアーって、ノリで買っちゃうんですね。
1日使い倒して結局ボウズですが。

 

4. のんだくれ August 11, 2010 14:15
ノンらとるさん
のんだくれも初めはバズベイト的にジャバジャバ引いてましたが、スローリトリーブの方が効く事を
ショップの人に教わってからは見方が変わりました。
でもバイトは多くてもまだ2ー3匹しか釣った事ないんですよねー。
しかもチビばっかり。(涙)

 

5. のんだくれ August 11, 2010 14:17
廚年さん
あらら… スパターバズよりも勝負が早い…    なんて魅力的な響きなんでしょう。(笑)
実は今回書きませんでしたが、のんだくれはちょっとしたチューンを施して釣ってるんです。
効果のほどはともかく、使ってて楽しいチューンなんで、そのうち紹介しまーす。

 

6. のんだくれ August 11, 2010 14:20
ブランクバスさん
やっちゃった系のルアーを投げ倒して一日棒に振るなんてある意味カッチョいいじゃないですか!(笑)
それで釣ったらヒーローになれます!
もちろん『釣れたら』の話ですが。(涙)

 

7. セラフ August 11, 2010 23:17
昨年ライギョを釣りに行って、あろうことかフロッグのケースを忘れました(爆死)。
ダブルフックのルアーで使えそうなのはこいつだけだったんで、永遠に投げ続けましたよ~。
全く釣れませんでしたが…(爆)。
おまけにPEラインもトラブりました…。
投げ続けて分かったこと……自分は相当我慢強いってことぐらいです(笑)

 

8. のんだくれ August 11, 2010 23:28
セラフさん
それオモシロ過ぎ!(笑)
その昔、板だけ持って、ウェアもブーツもゴーグルも玄関に置いたままスキーに行った事を思い出しました。
ええ、食堂でクソ高いラーメンだけ喰って帰ってきましたとも。

 

9. Lagoonist28号 August 12, 2010 00:31
わー。懐かしいです。
このルアー僕がブラック釣りを始めるきっかけになったルアーのひとつなんですよ。
ルアーのルの字も知らない時に、こんな物見せられて「これで魚釣るんだよ!」見たいなこと言われたもんで、ぶったまげーの超カルチャーショックだったことを覚えてます。

 

10. 赤ベロ August 12, 2010 00:42
自分の中では、こいつとアドニスのブッシュウォーカーで釣る事が出来たら、その1匹は他のトップで釣った50匹分に相当します(笑)
早い話、今だフックアップさせた事がありません(涙)

 

11. ロングA August 12, 2010 09:38
結構釣りました。
シークレット(笑)だった頃があります。
あの「ぽてぽてぽて・・・」って音に
なんか癒されるんですよね。
そういえばブロンズのダブルフックって
あまり見ない気がします。

 

12. 広告屋 August 12, 2010 11:46
頼りない感じでいわゆるバズとはちょっとちゃうけど結構回るんよねえ!
バイトはあっても確かにフッキング率はかなり低いのがネックやけど、すっかり鯰人の広告屋目線で見ればそれも愛嬌ってことで。
うちの押し入れにかなり生息しとります(笑

 

13. い~もん August 12, 2010 15:25
残暑お見舞い申し上げます m(__)m
残暑どころか、まだ真夏ですが(笑)
入手後 これで釣ります
ノリにくさを辛抱して
(爆

 

14. のんだくれ August 12, 2010 16:29
Lagoonist28号さん
この造形にブッ飛んだ人は多いでしょうねー。
でもあの頃のルアーにはこんなオモチャみたいなので釣れるんだ!的なサプライズがありました。
今のルアーは今のルアーでイイですけど、もうちょっと遊びゴコロがあるルアーが増えてくれると良いなーとは思いますね。

 

15. のんだくれ August 12, 2010 16:31
赤ベロさん
コイツへのバイトは直接アタックというよりも、モワン!と出る事が多いですね。
もしかしたら直前で見切られてるのかもしれません。
まあそういう意味もあって釣ったら値千金はマチガイナイですね。

 

16. のんだくれ August 12, 2010 16:33
ロングさん
ゆっくり巻くとホントに癒し系のサウンドです。
でも乗らないので、むしろストレスが溜まるかも。(笑)

 

19. バジェッ太 August 13, 2010 21:19
ペラをくるくる回しても絶対同じ方が下になるのでやっぱり、という感じです(笑)。
確かにフッキング率は悪いでしょうね(汗)。
いっそのことボディー本体にフックをつける工夫をした方が良いのではないでしょうか(謎)。
でも、そうするとスナッグレス性能が激減しますよね?

 

20. いるか August 14, 2010 00:13
こいつでも高確率…まさに90%以上でフッキング可能なシークレットが存在します!
それは…
チョーチン釣り(正直ゴメンナサイ)

 

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