ニンゲンは金があると ”遊び心” という名の下に余計なことをしたくなるイキモノです。
もちろんそれはルアーにも当てはまります。
今日紹介するルアーはそんな ”余計なことマインド” から生まれたわがままPUUちゃん。
90年代のバスフィッシングブームの際に生まれた徒花です。
わがままPUUちゃんとは
わがままPUUちゃん(以下わがPUU)はバスフィッシングブーム華やかなりし頃、ホッツ Hotsがリリースしたトップウォータープラグです。
ホッツは大阪に拠点を構え、キュート系タイニールアーをメインとしたバスダス Bass Dassや、正統派トップウォーターのヘブンHeavenなど複数のブランドを抱えていた会社。

そんなブランドの新規顧客開拓?に投入されたのがこのわがPUUでした。
とは言いつつも本当は彼女へのプレゼントなどに使われる以前に、ホッツの内部事情によってリリースされたんじゃないかとのんだくれはニラんでます。
その背景には空前のバスフィッシングブームの到来により、どの会社も利益が爆上がりしていた事があります。
この時期はリリースするルアー全てが勝手に売れていく時代で、どの会社も利益にニンマリするのと同時に税金の額にも怯えていた時期でもありました。
よって儲けが出ている会社は『ちょっと利益出過ぎてますね』という税理士の言葉にビビり、こういう利益が出しにくく、かつ自社の宣伝にもなる事に資金を突っ込んでいたのです。
バスフィッシングブームの時は釣り雑誌の広告量がエライことになっていたのは皆さん御存知のとおりですが、ピーク時にはあまりの出稿依頼の多さに、出版社自身が依頼を断っていたというトンでもない時代だったのでそんな歪んだ構造が一般化していたのです。
ホッツがそんな状況だったかどうかは分かりませんが、あながちハズレてはいないんじゃないかと😁
しかし広告料でゴハンを食べてる雑誌が広告出稿を断るってスゴい時代でしたね。
わがままPUUちゃんのサイズ・重さ
わがPUUのサイズはボディ40ミリ。自重10.5g。
あくまでもかわいさがウリなので小さくキュートにまとめてあります。
北アメリカ大陸に生息するプレーリードッグをモチーフにしたとのことで、パッケージ同梱の説明書にもしっかりとその旨が記載されています。
これは明らかにプレーリードッグをペットとして飼ってる人が書いてますね😁
でもせっかくの取説なのに、プレーリードッグのチャームポイントである立ち姿の画像を使ってないのはよろしくありませんね。
これじゃ野ネズミと変わらんよw
特徴
このルアーの特徴はなんといってもこの立ち姿。
バスが釣れるとか釣れないとか、ルアーに求められる性能を一切放棄し、カワイイ!😍と言われることだけに全集中している思い切りの良さがナイスです。
これがプレーリードッグかと言われると、ぶっちゃけ疑問符しかありませんがw、当のホッツにしてみればそんな事は二の次三の次。
PUUちゃんの頭の中は税金のことで一杯なのです😂
とはいえちゃんとシッポに皮革素材を使うなど、一応ディテールにもこだわりが。
そういえば昔、シッポの有る無しで親しみの度合いが変わる云々の研究結果が出たとのニュースを見たことがありますが、アレは本当だったんでしょうか。
今になって気になってきましたw
ちなみにお腹の中には低めのサウンドでコロコロ鳴るラトルボールを擁しています。
しかしこれはラトルというよりも、ウェイトルームに余裕があるからたまたま鳴るだけの副産物的なもの。
横方向に強めに動かさないと鳴らないという事からもそれが分かります。
意外と素直なアクション
わがPUUのアクションをひとことで言うと、弱々しいポッパー。
ご覧の通りの立ち浮きでヘコヘコとお辞儀をする際に、ポップ音らしき弱いサウンドとバブルを発します。
一応首振りもしますが、ラインアイが脳天にある関係でルアー自体がクルクル回ってしまうので、ちゃんとドッグウォークさせるにはテンションをかけるタイミングを図る必要が。
メーカーもそれを知っていて取説にもその旨を記載していますが、これがわがままなアクションかと言うとそれほどでもない感じ。
一般的なペンシルベイトを扱えるスキルが有るなら、むしろ素直な挙動ではないかと。
しかしこのルアーは先述の通りオサカナを釣らなくてもいいルアー。
女性アングラーにカワイイ!と思わせれば任務遂行となるので、スレたおっさんがどう思おうが知ったこっちゃありません。
近年こういう感じに振り切ったルアーがほとんど登場していないだけに、今見ると新鮮ですね。
カラー
ベースコンセプトがプレーリードッグなので、基本的に全て腹白になっており、背中の色だけでカラーバリエーションが構成されています。
ネズミっぽい茶色やチャートリュース、起毛処理されたモデルもありましたね。
でも可愛さを強調したいなら首周りの直線はなんとかして欲しかったですね。
柔らかい曲線で構成されていればもっと可愛さが出せたと思うんですが。
パッケージングが光っていた
わがPUUといえばパッケージも忘れてはなりません。
キャンディーとかアクセサリーでも入っていそうなファンシーなガラス瓶とコルク栓の組み合わせは、おっさんの物欲を一瞬にして焼失させる破壊力があります。
そして瓶の中には本物のひまわりのタネを仕込むという芸の細かさ。
当時デートの度に釣具屋に連れて行かれ、ウンザリしていた彼女をなだめるために無理矢理買い与えた(飼い与えた?w)経験があるおっさんアングラーも多かったんじゃないかと。
でもご安心下さい。
その時に買ってあげたPUUちゃんは、ソッコーでゴミ箱の藻屑となってますから😂
パッケージの中で立ち姿勢となるように、ラインアイをピンで固定するあたりに、女性ウケを狙ったしたたかなにほひがします。
でもここまで立ち姿勢にこだわるなら、取説のネズミ写真をなんとかしなさいよ。
ネームは背中いっぱい
ネームは背中いっぱいにPUUのイラスト文字が入ってます。
イラストが90年代を飛び越えた80年代テイストなところがセールスポイント。
そしてけつあなにはホッツのロゴも彫り込んで自己顕示欲を誇示する事も忘れていません。
しかしあれからもう25年も経つのかー
今思うとネットがない時代は色んな意味で楽しかったなぁ….
おわりに
この手のファンシー/キャラクター系ルアーにあれこれ言うのはナンセンスですが、対象がオサカナではなく女性の、しかもビギナーアングラーだけに絞ったコンセプトは注目に値するんじゃないかと。
そしてまさにバブル景気だった90年代バスフィッシングブームを物語る一品としては、文化遺産と言ってもいいほど貴重な存在ではないかと勝手に思っとるわけです。
60-70年代に米国輸出向けに生産されたコピールアー、通称ジャパチのコレクションがそうであるように、いつかこのわがままPUUちゃんの名も日本バスフィッシングの歴史に刻まれる….. ワケねーだろ!w