”ルアーの本質は使い込まないと絶対に見えない” というのがのんだくれの信条です。
ルアーの印象はタックルセッティングやフィールドの状況によっても大きく変わるので、ちょっと投げただけで良し悪しを判断するなんて絶対ムリ。
なので最初はイイと思ってたけど使っていくうちにそうでも無いモノがあったりと、なかなか奥が深いのです。
そして中には一貫してイイ感じだけど、使えば使うほど良さが滲みてくるというスルメのようなルアーも。
今日紹介する3DBウェイクベイトは、そのスルメパターンでのんだくれを魅了しているクランクベイトです。
3DBウェイクベイトとは
3DBウェイクベイトは3Dプリズムフィニッシュをフィーチャーしたヨーヅリの主力シリーズです。
北米市場先行で販売された後日本に入ってきた、いわば”逆輸入”モデル。
先日もポッパーで3DBのノー書きタレたのでもうお腹いっぱいの人もいることでしょう😁

3DBウェイクベイトのサイズ・重さ
3DBウェイクベイトは全長70ミリ、自重16gの中型クランクベイトです。
シリーズのウリである3Dプリズムフィニッシュ以外に目立ったところがある訳でもなく、メーカーのプロモーションも淡々としていたので、のんだくれの第一印象は ”よくある普通のシャロークランク”。
ソツなく仕上げてきた平均的なクランクぐらいの認識で特に気にもしていませんでした。
しかしこの3DBウェイクは何度か使っているうちに、秘めたる実力をじわじわと発揮してきたのです。
共通ボディとは思えない絶妙なバランス
高速巻きでも高いスタビリティ
まずこのルアーはリップとボディとのバランスが絶妙です。
3DBシリーズには共通ボディを持つダイビングクランクもラインナップしているのですが、システム化されたクランクにありがちな ”どっちつかず感”が無く、最初からウェイクベイトとして専用設計されたかのような安心感があるのです。
それを一番感じることが出来るのは高速リトリーブ時。
ハイギアで本気巻きしても一切トビウオになることなく、最後までしっかり泳ぎ切るスタビリティの高さは特筆モノです。
そしてそのスイミングアクションが、ウェイクベイトの名に恥じないなかなかのブリブリ泳ぎなのです。
アクションの立ち上がりはロールから始まるのですが、スピードが増すにつれてテールの振り幅も大きくなり、美味しそうな引き波を出す頃にはウォブリングはMaxに。
すると3DBウェイクベイトはテールを上げて、水面を激しくジャブジャブと掻き回すような挙動を見せます。
かつてシマノがリリースしたノイジーの名品トリプルインパクトを早巻きすると、リアプロップがエアを咬んで水中にバブルを、そして水面に飛沫を撒き散らしながら独特のサウンドを発しますが、この3DBウェイクベイトはそれに近いサウンドをプロップ無しで作り出してくれるのです。
倒木や浮き竹に強いリップ
そしてこのリップの障害物回避性能も見過ごせません。
これでもか!というぐらいのピンコ勃ちリップですが、この屹立リップが生み出すでんぐり返しアクションによるカバー抜けがスバラシイのです。
その性能は浮き竹や倒れ葦など、水面に横たわる障害物の上を通せばすぐにわかります。
リップを支点として、まるででんぐり返しで跳び箱を越えるかのように障害物を躱してくれるので、途中の障害物を気にすることなく長いストレッチでもバシバシ撃っていけるのです。
同様の動きでカバーを抜けてくるルアーにアーボガストのマドバグがありますが、この3DBウェイクベイトは差し詰めそれのスーパーシャロー版といったところ。

そしてでんぐり返しでカバーを抜けたら、持ち前の低重心バランスで瞬時に体制を立て直し、何事もなかったかのようにロールを始めるのです。
もちろん当たり角によっても違うしウィードなどのソフトベジテーションも苦手だったりしますが、ハード系カバーを小気味良く超えてくれるだけでこのルアーを投入する価値はあるんじゃないかと。
ちなみにこのリップ、薄いので障害物に当てるのを躊躇しがちですが、見た目とは裏腹の堅牢設計なので積極的にコンタクトさせても全くモウマンタイ。
バックスイングでガードレールにカコーン!したり際どい岩盤攻めをしない限りまず折れる事はないでしょう。
まさかあの名品のラトルを移植???


ウェイトとそれを固定する構造との間にわずかに隙間があるのがわかる
そしてそれらのパフォーマンスを次の次元へ引き上げているのがこのウェイトです。
3DBポッパーのように低重心設計の専用ウェイトが仕込まれているのですが、実はこのウェイトはラトルの役目も果たしており、僅かなチャンバー内の隙間でカタカタと鳴るのです。
一応このルアーの頭部にはラトルボールが封入されていてそちらも負けじと鳴るのですが、ボールが跳ね回るジキジキ系のサウンドとは明らかに違った音域、しかも強めのカタカタ音を発します。
実はこのサウンド、あの名品が出す音に非常に近いのです。
その名品とはTDバイブレーションのサイレントモデル。
90年代にバスフィッシングを楽しんでいたアングラーなら誰もが一度は聞いたことがあると思いますが、初期のTDバイブサイレントはウェイトの固定が完全でなく、使っているうちに内部でウェイトが外れてしまうモノがありました。
しかしウェイトが外れたことでラトルボールとは全く違うサウンドを発するようになり、釣れると話題になったのです。
この3DBウェイクベイトが発するサウンドは、その音に非常に似ているのです。
つまりそれはTDバイブサイレントに近いカタカタ音をサブサーフェスで、しかも引き波と共に鳴らせる事を意味します。
これってスゴい事だと思いません?
3DBウェイクベイトの使い方
そんな3DBウェイクベイトは難しい事を考えずに巻き倒すのが基本。
変に小細工するよりも一定のペースで巻き続けた方がバスに見切られることもないし、カタカタ音とジキジキ音のラトル二重奏も活かせます。
でも3DBウェイクだからこそできる演出もあるんです。
それが短めのストップ&ゴーによるプルルン演出。
このルアーは徹底的に低重心設計にこだわっている分、姿勢回復スピードが早いのですが、早いがゆえにリトリーブを止めるとプルルンと身震いするような動きを見せます。
止めた時に身震いするだけなら他にも似たようなルアーはありますが、このルアーは3Dプリズムのドレスを着ているので、強く艶かしく光るのです。
近年シマノからフラッシュブーストという画期的なインサート手法がリリースされましたが、あの光り方にちょっと似ているかも。
リールのハンドルをクイックに半回転させては止めてを繰り返すと、ルアーは水面直下でプルルン&浮上をリピートしてくれるので、トップウォーター的に楽しむこともできちゃいます。
実はこのプルルンアクションはティファのアユチュピが得意とする動きで、かつてのんだくれが激タフの相模湖で必殺技にしていたメソッド。
そのアユチュピよりもこの3DBウェイクの方が強くプルルン&フラッシュするんですから、もう釣れたも同然ですよね😁
3DBウェイクベイトのフックサイズ
3DBウェイクベイトのフックは#4サイズが標準となっています。
しかしのんだくれは前後とも#2サイズのショートシャンクに変更済み。
その理由はノーマルのままだとフロントフックがリップにかかってしまうケースが時々起こるため。
フックサイズを#2にすると、たとえフックがリップにかかっても勝手に外れてくれるので、手で直す必要がなくなります。
前後ともフックサイズを上げるとアクションが鈍化するのではと思いましたが、大きなフックによる慣性モーメントの効果なのかアクションはむしろ大きくなり、高速安定性も向上。
でんぐり返しの際にも全く問題なく抜けてくれるので、フック交換は手軽だけれど効果が大きいチューンのひとつとしてオススメできます。
3DBウェイクベイトのネーム
でも気に入らないところもあるんです。
それがこのあっさりし過ぎなネームプリント。
シリーズ共通とはいえ、せめて WAKEBAIT の文字ぐらい入れて欲しかったですね。
どーでもイイ事ですが、PCで ”ヨーヅリ” と打ちたいのにスペル通りにタイプすると “ヨーズリ” になってしまい、毎回 YODURI と打ち直している状況にプチストレスを感じています😂
生産中止…. なのか?
ヨーヅリ/DUELのルアーなのでいつでもどこでも手に入るから安心…. と思っていたら、このポストを書くためにヨーヅリのウェブサイトを見に行ったところ、いつのまにか3DBウェイクだけ姿を消していました。
これが生産終了なのか、それとも生産調整等で一時的に引っ込んでるだけなのか真実は分かりませんが、まだ店頭在庫で並んでいる店は結構あるので、チマナコになって探さなくとも入手できます。
まあゲットするのは早いに越した事はありませんけどね😁
おわりに
ヨーヅリのバスルアーはあまり日本市場に重きを置いていないのか、外見など海外向けと思われる仕様のものが多いのですが、それは裏を返せば世界で戦えるクオリティであるという事。
ヨーヅリがアメリカ発祥の会社だと思い込んでるメリケンがウジャウジャいることがその証です。
いや、むしろ日本の会社だと知ってる人は圧倒的少数でしょう。
そういう意味においてこの3DBウェイクベイトは、評判は聞くけど実際のところはどーなの?と訝しみながら未知の海外製ウェイクベイトを買うよりもずっと気軽に ”世界水準の性能” が楽しめる国産ウェイクベイトなのかもしれません。
使っているうちにだんだんと味わいが出てくるスルメちっくなルアーの魅力にハマりたいならおひとついかが?