アメリカの老舗ルアーブランドのほとんどがそうであるように、我らがヘドンも時の流れと共に素材はウッドからプラスチックへシフトしました。
しかしプラにはない天然素材の動きが求められているのか、はたまた古き良き時代が忘れられないのか、ヘドンは時折思い出したようにウッドモデルを投下してきます。
古くは頭でっかちのヴァンプやティンバーラトラー、アニバーサリーモデルとして出たザラゴッサやラッキー13なんかもそうですね。
このウッドザラもそんな木製チームの一員です
のんだくれの記憶が確かならばこのモデルが発売されたのは95年のこと。
いや、そのちょっと前までのんだくれは酒に音楽に車にと調子コイてバスフィッシング離れしてたので、実際にはもっと前から出てたかもしれません。
ナニゲに立ち寄った川崎の横浜物流フィッシングクラブの陳列ハンガーにかかるコイツを見てるうちに、水面でヌメヌメと妖艶に泳ぐ様を思い浮かべてガマン汁が止まらなくなり、そのまま店外デートへ。
一緒に並んでたウッド製のダイイングフラター、PSWBカラーも連れ帰った憶えがあります。
まあのんだくれの大好きなザラのウッド版ですから、ガマン汁が出てなくても結局買ったんでしょうけど。
で、はやる心を抑えつつ、早速相模湖の青田ワンド入口の岬に向けて筆おろしならぬペンシルおろしをしたんですが…
したんですが…
したんですが… 😭
もう分かりましたよね?
かなりの期待外れ君だったんです。
なんと申しましょうか、コイツをひと言で言うと、わざわざウッドで造り直した意味はあるの? な仕上がり具合。
つまりプラスチックのオリザラそのまんまなんです。
ウッド製というからにはヌメーン… とした水絡みを想像するモンですが、コイツのアクションは現行のオリザラそのまんま。
多少スライド幅が短くなってはいるものの、サイドスプラッシュの感じとか、あのピョコピョコ感まで見事に一緒。
あ、一応誤解のないように言っておきますが、決して悪いワケではないんですよ。
コイツはペンシルベイトとしては申し分ない仕上がりです。
オリザラのアクションを忠実に再現したという意味ではむしろグレイトなルアーでしょう。
しかしオリザラとは違ったアクションを想像してたのんだくれにとっては見事な肩すかし。
十数回泳いでからボックスにお引き取り頂きました。 チーン
そう考えると、思い入れがあり過ぎるルアーってのも、先入観が独り歩きしてしまうという意味で、罪深いですよね。
現行オリザラのボディ径が20ミリなのに対し、ウッドザラは21ミリ。
このぽってりボディに過剰な期待をしてしまったのんだくれがいけなかったんでしょうか?
でも冷静になってみると、ヘドンはウッドならではのヌメヌメ泳ぎを出したいがためにコイツを発射したのではなく、オリジナルザラスプークの泳ぎをウッドで再現したかっただけなんじゃないかと思えてきました。
その販売戦略がセールス的に意味ある事なのかどうかは分かりませんが、少なくとものんだくれのようにオリザラに取り憑かれたヤツのサイフの紐を解くには効果的です。
とりあえず派生モデルのひとつとして出しちゃえ! みたいな。
細かい事を気にし出すとキリがないので、この際そういう事にしておきましょう😁
でも後日いろんな人に話を聞くと、このウッドザラはウッド製ザラパピーと同様、ボディ成型にめちゃくちゃバラつきがあって、浮き角も泳ぎも全部違うんだそーな。 ちゃんちゃん。
アメリカ製のウッドルアーなので造形のバラツキは仕方がないですよね。
しかし仕方ないで済まされないのがこのシリーズの塗装のショボさ。
水に浸けると、ほぼ間違いなくこんな具合にピキピキとクラックが入ります。
それほど使ってないのにこの状態ですから、このまま使い込んだらどうなるのかは容易に想像できます。
これは先述のザラパピーやダイイングフラッターなども全く同じ。
これをヘドンが自社生産してたとは考えにくいので、どこかのウッドルアーメーカーのOEMだと思いますが、こんなんだから短期終了しちゃったんじゃないかと要らん詮索もしたくなります。
追記:このルアーの製造を請け負ったのはクランクベイトで有名なリーシッソン社です。
バグリーの元でウッドルアーの製造スキルを身に着けたリーシッソンは独立後、自社ブランドとして展開するだけでなく、既存のルアーメーカーにウッド製ルアーの生産を持ちかけ、OEMを積極的に請け負う形で成長しました。
ヘドンだけでなくマンズやアーボガストなどを筆頭に、多くのメジャーブランドへウッドルアーを供給しましたが、それらの多くが早い段階で生産を終了しています。
つまりそれだけのクオリティだった、ということw
ラインアイはプラ製のオリザラと同じ位置にヒートン打ちされています。
ノーズアイに刺し替えればまた違った泳ぎになると思うんですが、それすらもせずに放置してたところから当時ののんだくれの失望ぶりを汲んで頂けると幸いです。
ウッドの削り出しボディなので、ウェイトはケツに後付けされております。
うっすらとウェイトホールの位置が確認できますね。
ここに新たにウェイトを追加して浮き角を変えてやろうとも思いましたが、それすらも… (涙)
前後ともサーフェスリグを装備。 いずれも現行モデルに装備されているコンポーネントの流用です。
サビが出たまま放置されている事自体がもう… ウウウ…
でもネームだけは誇らしげに伝統のステンシルプレートで力強く吹かれています。
しかしコイツの正式な名称は【ウッドザラ】でエエんでしょうか?
このネーム表記からは【ヘドンウッドシリーズのザラ】とも読み取れるので、記事タイトルにウッドザラと書いたものの、イマイチ確信がありません。
当時のカタログでもあれば分かるんですけどね。
追記:このルアーの正式名称は”ザラスプーク”でした。
スプークというのは半透明のプラスチック樹脂を用いたヘドンルアーの総称として使われていましたが、オリジナルザラスプークの大ブレイクによって、ペンシルベイト(米国ではペンシルベイトと呼ばれることは少なく、ウォーキングベイトもしくはスティックベイト)の呼称が”スプーク”になったという経緯があります。
ゆえにウッドなのにスプークの名が冠せられています。
日本では絆創膏がいち商品名である”バンドエイド”で通用しているのと同じですね。
実はこの記事を書くにあたり、何年かぶりにコイツを投げてきたんです。
もしかしたら当時のタックルが合ってなかったから現行オリザラと同じ泳ぎになったんじゃないかという疑いもあったので。
しかし10数年の時を経た今でも相変わらずコイツの泳ぎはガンコでした。
タックルセッティングを変えたぐらいじゃ全く変わんなーい!w
もしかしたら一軍に返り咲き? なんて儚い夢を抱いてましたが、コイツの3軍生活はエンドレスになりそうです。
追記:
かうたんのコメントを読んで、世界的ルアヲタサイトにアップされてる当時のヘドンカタログを見てきました! (Thanks かうたん!)
このカラーこそありませんでしたが、コイツは90年のカタログに掲載されてたので、のんだくれの95年発売ってのはやっぱり間違いでした。
新製品につきもののNEW!のマークはついてませんでしたが、商品紹介の文面を読む限り90年(もしくはその前年)発売とみて間違いないでしょう。
さらに正式名称はウッドザラではなく、【ヘドンウッドクラシックスのウッドザラスプーク】でした!
あ、コイツのドコがスプークなん?というツッコミは大人げないですからねー😁😁😁
毎度毎度の事ながら、感覚だけでなくちゃんと裏を取ってから記事を書かんとイケマセンね。 シツレイシマシタ。
しかし笑っちゃったのはページの最後にあったこの一文。
Each lure is carefully shaped, finished, balanced and assembled using the same exacting standards established in 1894.
(これらは1894年創業当時と全く同じ手法で、細心の注意とともに削られ、塗装され、調整されて組み付けられています)
…コイツに激しいバラツキがあるのは、100年前の製法を忠実に再現したからだったんですね。
コメント
*投稿時にいただいたコメントをそのまま転載しています
1. かうたん January 17, 2011 01:27
え?こいつを始め、数々のウッドシリーズ(復刻除く)ってシッソンじゃ無いんですか??
PC電源落としちゃったんで見れませんが、世界的ルアーヲタク組織のサイトにカタログ出てたと思いますよ?
勿論シッソンだと思ってましたので買ってません(笑)
ウッドザラパピーは好きなんですけどね
2. のんだくれ January 17, 2011 01:34
かうたん
リーシッソン!!! そう言われてみれば!!
そんなカンタンな事、全然気が付きませんでしたがな!
ちょっとそのヲタ組織のカタログ見てきますわ。
3. こんどー January 17, 2011 02:59
はじめまして!
大好きなウッドザラの話なのでコメントさせてください。
ウッドザラって実は2種類あるんですよ。
最初に出たのは確か80年代の終わりか90年代の初頭頃だったと思います。その後90年代中頃にかけてだったと思うのですが、それが
ブリスターパックに入った今回の「がっかりウッドザラ」です(;´Д`)
最初のはプラドコになったばかりの頃で台紙に
プラ箱を貼付けたパッケージで同時にダイイングフラッターと
ザラパピーのウッド版も出ていました。
初代のウッドザラは塗装は厚めでしっかりしていて
ヒビも入り難く充分実用に耐える仕上げでした。
動きもヌメリ系で良い動きしてましたよ。
見た目の違いは先端が平らに切り落としたような形で厚手の塗装。
ウエイト位置はテールのリグのビスのすぐ近くに
小さめのウエイト穴の痕があります。
お腹のフックの位置も違ってたりして並べてみると別物のプラグです。
中古屋で見かけたら、ぜひ捕獲してみてください(´∀`)
4. U-dutch January 17, 2011 03:16
最後の一文、腹抱えて笑いましたがな!
寝付けなくなった責任とってください(爆)
5. いるか January 17, 2011 15:55
子犬の方はヌメヌメの水絡みでいい動きなんですけどねー。
一回ウレタンにディップすればヌメヌメに早変わりしますが、それは現行プラでも同じ事だし。
ところでスクープってプラスチック版の称号みたいなモンじゃなかったかしら?…とか言っちゃうのは野暮なんすかねぇ(笑)
6. とびっく January 17, 2011 21:44
こんばんは(・∀・)ノ
去年の夏頃初めて中古屋でウッド製ザラを買ったんですけど塗装がヒビ入りまくりだったんでウレタン吹き付けました。
あっ!まだ投げたことないっすけど(笑)
7. のんだくれ January 18, 2011 01:20
こんどーさん
おお! 超有力情報ありがとうございます!
そういうことだったんですね、やっと理解できました。
90年から3年位バスから離れてたので、この時期をオンタイムで経験されてる方の情報は有りがたいです。
しかし初代がそんなにイイんですねー… また課題が増えちゃったじゃないですか!(笑)
8. のんだくれ January 18, 2011 01:21
U-dutchさん
夜中にこんなブログ読んでないでさっさと寝なさいっっ!!
9. のんだくれ January 18, 2011 01:22
いるかさん
だからそれは言っちゃダメって念押ししてるぢゃないですか!
10. のんだくれ January 18, 2011 01:23
とびっくさん
やっぱりみんなウレタン処理するんですねー。
のんだくれもメンド臭がらずにやってみるかなー…
多分やらんだろーなー
11. のんだくれ January 18, 2011 01:41
ぐおっ! 今何気なしにこんどーさんのコメントのリンク先を見てみたら、なんと!ゴッドブレスの近藤さんじゃないですか!
いやー、そんなスゴい人からコメント貰って嬉しい限りですねー。 ありがとうございます。
こりゃ何としてでも初代ウッドザラを手に入れて記事を書かないとイケませんね。
今後ともよろしくです!
12. ガンキチ January 18, 2011 17:42
J州屋でワゴンにいてましたが捕獲しなくて良かった・・・
のんだくれさん、どうせコヤシになるのならチューンしてみてはいかがですか?
とある本にジョイント化、ジタバグカップ取り付け、メドウマウスのリップ取り付けてラウンドノーズバンプのレプリカなんてのも有りましたよ~
13. ドバヤン January 18, 2011 20:00
ソリザラの話ですけど,去年の真夏や冬の日中にいいサイズが釣れるってのが結構ありました。
使う経緯はのんだくれさんの『ザラはサイズに関係無く釣れる』いうもので,当時プロショップでソリザラのNFカラーを安く購入したのがはじまりです。
ペンシルベイトって特別な何かがあるんですかね?
個人的には腹のカラーは白系統の色が釣れる気がするのですが・・。
ワームに勝ったという明確な場面が存在した事も事実です。
それからとうものは水面ルアーが増殖しているのでございます。
14. 廚年 January 18, 2011 22:26
のんだくれ殿
こんどー殿が2種類と仰っておられましたが、
実は3種類です。
最初期は、85年頃
次のモデルが89年頃
その後に90年代に入ってからです。
ネームのサイトノーズ形状の差異をブログにアップしておきます。
御笑覧賜れれば幸いです。
15. のんだくれ January 19, 2011 04:59
ガンキチさん
そのあたりのチューンも考えたんですが、以前オリザラでやってみてイマイチな感じだったので手つかずです。
やるとしたらペンシルのままでウェイトチューンですねー…
でもやっぱりやらんだろーなー(笑)
16. のんだくれ January 19, 2011 05:02
ドバヤンさん
地獄へようこそ。(笑)
でもザラには確かに何か特別なものがありますよ。
何を投げてもダメな時でも結構オサカナを連れて来てくれます。
しかも下手な小細工せずにひたすらステディに首を振らせ続ける方が釣れちゃうんですよね。
やっぱりKing of Pencil baitですわ。
17. のんだくれ January 19, 2011 05:07
廚年さん
これまた深いトコきましたねー。
初代は85年だったんですかー…
この頃は釣具屋に行くよりも琵琶湖に通う方が多かったから見過ごしてたかもしれませんねー。
実際あの時期の琵琶湖はカラーセラクターのオリザラ1本あればアホみたいに釣れてましたから。
でもこれでまた85年モデルゲットという課題が増えちまった… 嬉しいのやら苦しいのやら…