ブラッドショットモルグ Bloodshot Morgue / バレーヒル Valley Hill

 

好き嫌いがはっきり分かれてしまう外見であるが故に大損をしているルアーってありますよね。

実力があるのにその見た目でスルーされちゃう系です。

このブラッドショットモルグなんてその典型。

バスフィッシングブーム華やかなりし頃にバレーヒルが咲かせた徒花です。

 




 

 

ブラッドショットラプターと共にリリースされたこのルアーは良くも悪くもブームでなければ作られなかったであろうルアー。

ブラッドショットシリーズの詳細はラプターのポストに書いたのでそっちを見ていただければと思いますが、勿体無いのはその実力が全くと言っていいほど理解されないまま消滅してしまったこと。

 

ブラッドショットラプター Bloodshot Raptor / バレーヒル Valley Hill
バスバブルゆえに背負わされた宿命 1990年代半ばから2000年初めにかけてのバスフィッシングバブルと言われるブームでは、今では考えられないくらいたくさんのタックルが発表されていました。 とにかく出せば何でも売れると...

 

才能が身を結ばなかった典型といっても良いかもしれません。

 

 

 

ブラッドショットモルグは全長95ミリ、自重19.5gの、いわゆるハチゴー(5/8oz)サイズにまとめられたポッパーです。

モルグとは検死のための死体置き場のこと。

なんでそんな物騒な名前にしたのか分かりませんが、のんだくれはエドガー・アラン・ポーの小説 モルグ街の殺人 Murders In The Rue Morgue が愛読書なのと、高校時代は IRON MAIDEN の同名曲で頭を振っていたwので、名前を見て思わずニヤリとしてしまった覚えがあります。

全然カンケーありませんが、ポーの『黒猫 The Black Cat』は短編ホラーの傑作なので機会があれば是非。

 

 

 

さてさて、話を戻しましょう。

『ブラッドショットラプターがスライドの得意なペンシルベイトなので、ポッパーとの二本立てで出してきたんだな』と思ってしまいますが、実はちょっと違うんです。

このモルグはポッパーでありながら、ペンシルベイトの要素を強調したかのようなちょっと変わった存在。

そしてペンシルポッパー的なのかと思うと、そうでもないという不思議な味付けがされているのです。

なぜなら、一般的なポッパーが得意とするスプラッシュや捕食音があまり得意ではないから。

そして首は簡単に振ってくれるけど、ペンシルベイトのようなスライドアクションが得意なわけでもないんです。

 

 

 

そんなどっちつかずな味付けになっている最大の理由は大きくスラントしたこのカップ形状。

この斜めのカップが水を受けるわけでもなく、受け流すわけでもない不思議なフィールを作り出しているのです。

実際、一番最初にこのモルグを動かした時ののんだくれの感想は ”なんかスッキリせん動きだなー” でした。

しかしある程度使い込んでいくと、この動きがだんだんとクセになってくるのです。

なんというか、もっちりと水面に絡みつくような動きが楽しくて仕方なくなってきて、何故か病みつきに。

水面アングラーなら誰しも脳内でルアーを動かして妄想フィッシングをしたことがあると思いますが、その際にモルグが出てきて、”あー動かしてぇ!” ってなる動き….  って言ったら分かってくれます?w

そして、そんな妖しい動きに魅せられて動かしているうちにバコン!とバスが出てしまうという恐ろしいプラグなのです。

この不思議な感じは一体どこから来るんだろうとずっと考えていたら、あるルアーに辿り着きました。

 

 

 

なんとズイールのゲイリーウィッチにそっくりだったんです!

ペンシルでもなく、ポッパーでもないけどしっかり水に絡んで強く水を押す感じはまさにゲイリーウィッチ。

特に5/8ozサイズのゲイリーに酷似していたんです。

よくよく考えてみればゲイリーもカップが斜めだし、カップからテールに向かって急なテーパーで絞られてますもんね。

どーりで中毒性があると思ったw

 

 

 

そんな視点で改めてモルグを見てみると、ゲイリーウィッチに似てはいるけど、ゲイリーウィッチが持っていないおいしいスキルがあることに気づきます。

それはアクションする度に自らが作り出した ”水の掛け布団” をかぶっていること。

喫水線がちょうどラインアイのところに設定されているので、ラインアイよりも上にあるカップ部が分厚い掛け布団を作り、自身の背中に掛けているんです。

これが動きに独特の ”もっちり感”を持たせていたんですね。

ゲイリーウィッチにも同様の掛け布団機能は備わっていますが、ゲイリーはカップ面積が大きいので揚力が強く作用し掛け布団が薄くなってしまうのです。

そしてモルグの布団はゲイリーよりも厚いのでより水に絡む、というワケ。

この機能がデザイナー岩崎氏の意図したものなのか、はたまた偶然の産物なのかは分かりませんが結果的にこの動きに魅せられたアングラーは少なくない(と思う)ので結果オーライでしょうねw

 

 

 

そしてこのシリーズの最大のウリでもあり、最大の欠点wでもあるのがこのヘビ柄ですね。

当時は、なにこれカッチョいい!😍 となる人と、やり過ぎー!😫 とゲンナリする人が見事に分かれてました。

でも人の好みはさておき、このカラーの手間のかかりようったら相当なモンですよ。

レプタイルズ系のひんやり感と独特の光沢を見事なまでに表していますよね。

当時このルアーは4,000円ぐらいしてましたが、手間を考えたら完全に赤字です。

あのバスフィッシングブームにもやはりダークな面もあったん….  あ、なんでもないです😅

 

 

 

ボディのペイントワークだけでなく目もしっかりレプタイルしていますね。

猫目だけでなく、血走った感じまでクラックパターンをうまく使って作り込まれているのが分かります。

それもそのはず、ブラッドショットとは ”血走っている” という意味だから。

これはのんだくれの勝手な妄想ですが、このブラッドショットシリーズはルアーの動きだけでなく高度なスキルを要するフィニッシュ、凝りに凝ったパッケージング、深いネーミングなど、企画段階から相当練ったプロジェクトだったんでしょうね。

令和の今、ここまで時間とコストを掛けられる新規プロジェクトはないと思いますよ。

と同時に、バスフィッシングブームだったからこそ生まれた徒花ルアーなのではないかと。

 

 

 

フックは前後ともロングシャンクのマスタッドを採用。

フロントのリグがL字なのはラプターと同じですね。

余談ですが、実釣ではL字リグのヒートンは一周緩めておくことをオススメします。

それによってフックの振れ幅が大きくなってバレが激減します。

ボディにフック傷が付くのが嫌いな人にはおすすめしませんが、このモルグ以外でもL字リグを採用したプラグには大抵当てはまりますので是非お試しを。

 

 

 

発売当時はアクの強いルックスのせいでイマイチ売れず、早い段階でワゴン要員に成り下がってしまいました。

しかし皮肉にもワゴン落ちした事で購入のハードルが下がり、それによって実力が広まったという悲運のルアーでもあります。

今でもたまに中古屋で見かけることがあるので、もっちりねっちりな水面遊戯がお好きな人は是非探してみてください。

 




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