- 全米に衝撃が走ったエクスキャリバーのデビュー
- “四天王”の名に恥じないオリジナルラインナップ
- スーパースプークはオリザラの弱点を徹底的に無くした進化版
- スーパースプークのサイズ・重量
- 徹底的に考え抜かれた先進のラトルシステム
- ラインアイですら進化させるプラドコの本気度
- カウンターウェイトの役割を果たすヘッド部のボリューム
- 初期モデルと現行モデルの見分け方
- あらゆる演出をこなすキングオブペンシルベイト
- フックは先進のエクスキャリバーロテートフックを標準装備
- スーパースプークフリークを自負するなら是非揃えたい釣れ釣れの初期4色
- シグニチャーモデルお約束のサイン入り
- ビルダンスとジミーヒューストンのダブルシグニチャーモデルも存在
- レジェンドの尊厳を踏みにじるかのようなテキトーなプリントw
- ジミーヒューストンがサインを”代筆”してくれたオハナシ
- まとめ
全米に衝撃が走ったエクスキャリバーのデビュー
1994年、プラドコが新ブランド “エクスキャリバー” をリリースすると発表したときの衝撃はスゴいものでした。
そりゃそうですよ。
過去何十年にも渡ってアメリカのバスフィッシングシーンを牽引してきた巨星ブランド達が共同でプラドコの名の元に新シリーズを開発&リリースするんですもん。
日本で例えるなら、ダイワとシマノとメガバスとジャッカルとデプスが共同で新ブランドを立ち上げるようなもんですからね。
“四天王”の名に恥じないオリジナルラインナップ
レーベルブランドからはスーパーポップ-R、ヘドンからはスーパースプーク、ボーマーはエクスキャリバーミノーとファットフリーシャッドから構成されたエクスキャリバー四天王は、それぞれその道のプロフェッショナルによって監修された所謂シグネイチャーモデルによって構成されており、エクスキャリバーシリーズのデビューを飾るに相応しいものでした。
この4人のオリジナルメンバーはその後エクスキャリバーが解散しても、その実力から現役として残るなど優れたルアーである事が分かりますね。
言うなればオリジナルメンバーのヴァンヘイレンみたいなもんですよ… って、我ながら分かりにくい例えだな😅
このエクスキャリバーはプラドコの社運を賭けたビッグプロジェクトだったこともあり、四天王が専用のケースに収まったプロモーションキット(↑画像のもの)を関係者に配布するなど、その斬新なマーケティング手法や規模の大きさも話題になりましたね。
スーパースプークはオリザラの弱点を徹底的に無くした進化版
このスーパースプークが登場するまで、ヘドンのペンシルベイトと言えばオリジナルザラスプークが代表作でした。
オリジナルザラスプークは非常に優れたペンシルベイトですが、基本設計が古い事もあって、現在のタックルセッティングに合わないなど使い込むほど欠点が浮き彫りになってしまうルアーでもありました。
その際たるものがミスバイトの多さ。
オリザラは2フッカーゆえどうしてもミスバイトが多発するのですが、それを3フッカーにする事で威嚇系の体当たりバイトも高確率でフッキングできるようになりました。
そしてもう一つの問題はサーフェスリグであるが故のバレの多さです。
オリジナルザラスプークのサーフェスリグは性能面、デザイン面、コスト面と全てを満たした非常に理に適ったリグではあるのですが、フックの自由度が低いのでバレが多発します。
バレの多さはサーフェスリグの先天的疾患と言ってもいいでしょう。
今さらだけど、よく考えられてるよねコレ。 pic.twitter.com/yiSckh6C2o
— ルアー千一夜 【公式】 (@lure1001) March 31, 2022
ミスバイトとバレの多さ。
これらを補うため、多くのオリザラアングラーはスプリットリングを入れたりトリプルグリップを装備したりと長年苦労してきたのです。
それらオリジナルザラスプークの弱点を徹底的に潰して誕生したのがスーパースプークだったのです。
スーパースプークのサイズ・重量
全長はオリザラの110mmに対してスーパースプークは126mmと約13%アップし、自重もオリザラ5/8ozに対してスーパースプークは1ozと、約35%増になっています。
この数値は圧倒的な飛距離とアピアランスをもたらし、サーチベイトとしての性能を飛躍的に向上させています。
ロッドを軽く振るだけで、US規格16Lbナイロン(国産20lb相当)をものともせずに引っ張って飛ぶスカッドミサイルになってくれます。
徹底的に考え抜かれた先進のラトルシステム
そしてフィッシュコーラーとなる巨大なラトルボールを搭載する事で、オリジナルザラスプークにはないサウンド特性も身につけています。
一般的にこのラトルシステムはワンノッカーラトルと呼ばれていますが、単に大きなラトルボールを搭載しているだけじゃないんです。
ラトルチャンバーの前側壁を “くの字型” にする事で、ラトルボールが上壁面、下壁面のどちらかに当たっても、下もしくは上に跳ね返る様に設計されています。
これにより、壁面にカン!と一回当たるだけのシングルサウンドではなく、カカン!という連続したマルチサウンドを生み出すことに成功しています。
この “くの字” 壁面を持ったサウンドチャンバーは実はこのスーパースプークがオリジナルで、その後ワンノッカーラトルとして名を馳せたペンシルベイト、例えばリアクションズイノベーションズのヴィクセン、リバー2シーのローバー、テッケルのキックノッカーなどに採用され、ヘドンのワンノッカースプークにも搭載される事になるので、お手にそれらのルアーがあるなら是非振って確かめてみてくださいな。
さらにこの巨大なラトルボールはキャスト時の直進性を大幅に向上し、オリジナルザラスプークで頻発する”変化球軌道”が激減するというメリットももたらしてくれます。
ラインアイですら進化させるプラドコの本気度
オリザラからのバージョンアップポイントはそれだけじゃありません。
見落としがちなのが、このボディに半分埋没しているラインアイ。
オリジナルザラスプークのヒートンねじ込みアイの場合、スナップ使用時にタングル状態になったり、魚を何尾もキャッチするとヒートンが緩んで狙ったアクションが出せなくなることがありますが、極太ワイヤーのエイトリングを採用することでそのストレスを解消しています。
ちなみにラインアイがやや下向けに設置されているのは、ターン時にボディをロールしやすくするため。
スーパースプークは首振り時にボディがロールすることでクイックなターン、つまり大きなスプラッシュが出せるという設計になっています。
以前のんだくれはスーパースプークのラインアイを焼き抜いてヒートンのノーズアイに差し替えたことがありましたが、明確に首振りのレスポンス性能は低下しました。
このほんの少しだけ下向きに設置したアイはターン時の姿勢転換に大きく貢献しており、その効果は我々が想像する以上なのです。
カウンターウェイトの役割を果たすヘッド部のボリューム
お目々がプニプニ3Dアイに進化しているのもスーパースプークの特徴です。
このスーパースプークが登場した90年代中頃の日本はメガバスをはじめとしたリアル路線が隆盛を極めている頃で、この3Dアイはどちらかと言えばダサ認定されていましたが、オリジナルザラスプークの目は全てペイントもしくはプリントであったことを考えると、これは大きな進化でした。
アメリカ人は日本人が考える以上に3Dアイのアトラクター性能を重視していますからこの進化は至極当然の結果でしょう。
ちなみに、画像ではわかりにくいのですが、ほんのわずかにエラの部分を隆起させてプラスチックに厚みを持たせることでカウンターウェイト的な役割も担わせています。
重量的にはほんのわずかな差ですが、テールに仕込んだラトルボールとの相乗バランスにより、よりクイックな首振りができる様になっています。
初期モデルと現行モデルの見分け方
あ、目の話が出たのでついでにこれもノー書きタレておきましょう😁
実はスーパースプークの3Dアイは最初期と現行とではちょっとデザインが違います。
上が現行のもので下が最初期の3Dアイ。
現行に切り替わったのは90年代の終わり頃だと記憶していますが、黒目の大きさが違うのですぐにわかりますね。
これはストライクドット/バイトマークとしての役割を持たせたかったんじゃないかと勝手に思ってますが😁
あ、初期だの現行だのと言うと、初期モノ最高ロジックで語り出す人がいますが、このスーパースプークに関しては目が違ってもアクションは全く変わらないのでご安心を😁
サウンドに関しては初期モデルの方がやや高い”感じ”はしますが、どっちも普通に釣れてるので初期モノを集めてるコレクターでない限りは気にする必要はないでしょう。
あらゆる演出をこなすキングオブペンシルベイト
ペンシルベイトとしては超定番なので、今更アクションについてあれこれノー書き垂れる必要はありませんね。
ファーストリトリーブでのドッグウォークはもちろん、一回一回しっかりとストロークを取ったロングスライド、スローステディで誘う270度ターンなどなど、およそペンシルベイトに求められる要素をカバーしているのはさすが。(ただしダイビングは苦手)
ちょうどラインアイのところに喫水線がくる事で最高のパフォーマンスが出るように設計されているので、フックを交換する際には喫水線にもご留意を。
フックは先進のエクスキャリバーロテートフックを標準装備
フックは伝家の宝刀エクスキャリバーロテートフック#4のトリプルフッカー仕様となっています。
これによりオリジナルザラスプークの既往症でもあったフッキングの悪さを解消しています。(エクスキャリバーロテートフックの生産終了により、現行モデルはショートシャンクが装備されています)
サーフェスリグを使わずスプリットリング接続になっているのがバレの軽減を目的としているのは言うまでもありませんね。
エクスキャリバーフックの詳細についてはマグナムプロポップRの記事に書いたので、おヒマならそちらもどうぞ。

スーパースプークフリークを自負するなら是非揃えたい釣れ釣れの初期4色
ギラギラにならない程度のホログラムを仕込んだこのカラー名はレイクフォークシャッド。
フロリダバス、オキーシャッド、ブリーディングシャッドで構成された、スーパースプークの初期4カラーのうちのひとつです。
最初期のオキーシャッド Okee Shad は何故か米国で人気があって、イーベイでも高騰する傾向があります。
あ、オキーシャッドはオキチョビシャッドの略称なのはもうご存知ですよね?
シグニチャーモデルお約束のサイン入り
シグニチャーモデルだけあって、しっかりとプロのサインが入ってるのがエクスキャリバーの特徴です。
“追随不可能なレベルにまでザラスプークを昇華させた…” と言うジミーヒューストンのコメントの通り、彼のプライドが見え隠れしているかのような大きなオートグラフが誇らしげですね。
ザラスプークの完全進化版なのにも関わらず、あえてザラの名前を入れずに既存のオリジナルザラスプークの立場を残しているあたりにもプラドコのオリザラ愛が見え隠れして… るのか??笑
ジミーヒューストンの話が出たのでついでにノー書き垂れると、実はこのスーパースプーク、2000年前後にビルダンスのシグニチャーモデルもリリースされてるんです。
それがコレ。
ビルダンスとジミーヒューストンのダブルシグニチャーモデルも存在
ビルダンスモデルの最大の特徴は、反射板内臓のナチュラルプリントである事。
しかもその反射板の素材は80年代に一世を風靡?した、かのG-フィルム。
光の入射角によってフラッシュしたり、トランスパレント(透過)になったりするアレです。
レジェンドの尊厳を踏みにじるかのようなテキトーなプリントw
オートグラフは片方にビルダンス、もう片方にジミーヒューストンとダブルネームになっているという、非常にレアな仕様です。
のんだくれの知る限り、ひとつのルアーにレジェンド級プロのサインが2つ入ってるのは後にも先にもこれがオンリーワンではないかと。
しかしせっかくのダブルネームなのに、スタンプがズレまくりで汚い仕上がりに😭
まあその辺のテキトーさも含めてのプラドコという事で🤣
ジミーヒューストンがサインを”代筆”してくれたオハナシ
そういえばレジェンドのサインといえば昔こんな事がありました。
5〜6年前、のんだくれがアナハイムのとあるショップのイベントに行った時、たまたまジミーヒューストンがプラドコブース要員として駆り出されており、来場者特典としてビルダンスのトレードマークであるテネシー大学のオレンジキャップを配っていました。
のんだくれはキャップを手渡してくれたジミーにサインをお願いすると、じゃビルになってやる!と大爆笑しながらテネシー大学のキャップに、なんとビルのサインを “代筆” してくれたのです。
まさかの展開にこちらも大爆笑でしたが、それもダブルネームといえばダブルネームですよね🤣
のんだくれは昔からアーティストやプロのグッズに全く興味がないので、その後サインキャップはルアーショップアンドウのフォトトーナメント協賛品として旅立って行きましたが、あの賞品を手にした方がビルダンスのサインだと思い込んでいないかと今もちょっと気になってます🤣
まとめ
ビッグバスを怒らせる能力は言うまでもなく、シーバスに対しても強力な吸引力を発揮するなど数多くの武勇伝を持つルアーですが、なによりも素晴らしいのは現行モデルとして普通に買えるという事。
カリフォルニアデルタで日々モンスターストライパーを追っかけているのんだくれの友人も、スーパースプークがなければ自分のストライパーフィッシングは成立しないぜ!とショップに行くたびにカラカラと買い込んでいますが、それも現行品として販売されているからこその恩恵と言えるでしょう。
そのサイズやラトルの音量ゆえ投げるのを躊躇する人も少なからず見受けられますが、”スーパースプークを投げない=多大な機会損失” であるのは間違いない事実なので、是非ともボックスに指定席を設けてくださいな。