オリジナルモデルよりも復刻版の方が完成度が高い技巧派向けペンシルベイト ウッドトリッカー Wood Tricker / ウッディベル Woody Bell

ウッディベルデザインズ Woody Bell Designsトップウォーターペンシルベイト

最近でこそ見なくなりましたが一時期は多く見られたルアーの復刻再販。

◯◯が復刻!と聞く度にテンションを上げてた頃がなつかしいですね。

過去に売れたコンテンツを現代に蘇らせる手法はマーケティングの王道ですが、旧作の復刻となると必ず出てくるのが、”オリジナルの方が良かった”系の声。

復刻系の商品にはオリジナルモデルにつきまとう ”思い出補正” という厄介なバイアスと戦わなければならないという大変な苦労があるのです。

事実そのバイアスに負けてワゴンに散っていったルアーは数知れず(合掌)

しかし中にはこのウッドトリッカーの様に、復刻モデルの方が圧倒的にパフォーマンスが高くなっているモデルも存在するのです。

ウッドトリッカーは今はなきウッディベルがリリースした木製ペンシルベイト。

80年代にエマーソンクイックと同時に発売され、当時のトップウォーターアングラーの間で人気を博しました。

そんなウッドトリッカーが復刻されたのは90年代のバスフィッシングブームもピークを過ぎ、少しずつ落ち着きを取り戻し始めた頃でした。

ウッドトリッカーは全長100ミリ、自重14gのペンシルベイトです。

80年代に登場した際には、一部でザラよりも釣れると話題になったことも。

メーカーにはそんな熱い声が届いていたんでしょうね。

あの熱狂を再び!と思ったのかどうかはわかりませんが、キレイな化粧箱にメーカーのアツい思いと共に詰め込まれて市場に送り出されたのです。

80年代にウッドトリッカーで良い思いをしていたのんだくれはデリバリー開始と同時にソッコーで購入。

これで心置きなくキビシイところにも投げられる!とウハウハしていましたが、意外にも市場の反応は冷めたものでした。

どのショップでも売れ残っていたのです。

価格設定なのかそれとも投入のタイミングを誤ったのか、市場に受け入れられなかった理由は分かりませんが、どのショップに入ってもレジ横でスタンバイしているばかりで売れている感が全くありませんでした。

こういう時って、すげー残念な気持ちになっちゃうんですよね。

自分で納得して買ったはずなのに、アレ?なんか間違えちゃった?みたいな感じで😭

しかしそんなキモチを振り払って投げてみると、昔のままのウッドトリッカーが暖かく迎えてくれました。(ホッ😅)

ウッドトリッカーの特徴はその外見もさることながら、その独特なダートアクションにあります。

このルアーのアクションとひと言で表すと、水面直下ダートペンシル。

見た感じからスライド系のペンシルベイトであることは何となく理解できると思うのですが、ほとんどのアクションは水面直下で演じられます。

静止した状態ではラインアイを水面上に出して浮き、ラインテンションをかけるとすぐさまヘッドを下げてダイビングへと移行します。

この際、急に深く潜るのではなく、ゆるい入射角でスーッと滑らかにダートしながら10センチほどダイブし、動きが止まった瞬間に頭を上にして急浮上するのです。

再びテンションをかけると今度は反対方向に大きくダート&ダイブしてまた急浮上、の繰り返し。

一般的なペンシルベイトが水面だけ、もしくはダイブしても急潜行&急浮上なのに対し、このウッドトリッカーは水面直下をゆるーくロングダートし、止まった瞬間に急浮上するのです。

大場所などでよく見られる、近くまでルアーを見にくるけれどもUターンしてしまうような状況でもこのウッドトリッカーはバスに反射的に口を使わせる力を持っているのです。

早い話が、このルアーはペンシルベイトというよりも急浮上するジャークベイトですね。

そんな動きの秘密はこのヘッドからテールへ流れる絶妙なカーブです。

立ち浮き系ペンシルで使いがちな鋭いタグアクションを使わなくともドッグウォークさせれば自然と潜り、そしてダートが止まれば急浮上できる浮力を持たせたバランスは絶妙という他ありません。

しかもその動きは80年代のオリジナルよりも復刻モデルの方が圧倒的にキレがあるのです。

この復刻モデルを投げた後で、久々にオリジナルのウッドトリッカーを引っ張り出して投げてみたのですが、その動きは、”え?こんなにもっさりしてたっけ?” なものでした。

おそらくウッディベルは復刻とかの次元ではなく、トータルバランスの見直しも含めたリファインモデルとしてこれを再販したんでしょうね。

過去にいくつもの ”復刻” と名のついたルアーとオリジナルモデルを投げ比べてきましたが、ここまで分かりやすく進化しているのはこのウッドトリッカーが初めてです。

勝手な想像ですが、おそらくデザイナーの鈴木氏は初代ウッドトリッカーで実現できなかった自身のイメージをこの復刻版で完結させたかったんじゃないかと。

初代と復刻版とではその熱意の差を感じずにはいられないのです。

みなさんはどう思います?

オリジナルモデルの方はイーグルのクローポイントフックが標準でしたが、復刻再販モデルはストレートポイントになっています。

もしかしたらフックの違いもアクションのキレに影響しているかも知れません。(オリジナルモデルのフックはやや太軸)

進化といえばネームも進化しています。

オリジナルモデルはウッディベルのブランドロゴのみでしたが、再販モデルはステンシルのフルネームが追加されています。

おそらく両モデルの明確な判別のためにダブルネームを採用したと思われますが、ネーム好きとしてこういうのはタマりませんねw

ちなみに同時に再販されたJr.サイズも同様のダブルネームになっています。

ウッディベルブランドの最後期にリリースされたルアーだったので、もしかしたらこのウッドトリッカーの売れゆき不振がウッディベルの息の根を止めてしまったのか?と勘繰ってしまいがち。

ウッディベルは玄人好みの釣れるルアーを連発していたブランドだけに事業終了は寂しいものがありますが、これも時の流れとして受け入れるしかありませんね。

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