”ウィンターバッシング” というワードは完全に死語になりバスフィッシングが通年のものとなって久しいですが、それに伴ってシーズンルアー的な感覚も徐々に薄れてきました。
昔は真冬にトップウォーター投げてるだけで蔑んだ視線が飛んできたし、真夏にクランク投げてると、そんなんじゃ釣れないよとワームをぶら下げた教えたがりおじさんが出没してたもんですが、最近はそういう人たちもレッドリスト入りしちゃってますもんね。
しかしそんな状況でも季節のイメージにあったルアーというのはあるワケでして、そのルアーで釣ることによって季節の変化を感じるのもバスフィッシングの楽しみのひとつ。
そう言う意味では中空フロッグはまだまだ季節感のあるルアーだと思うんです。
ということで今日のゲストは梅雨明けとともに使いたくなるポッパーフロッグ、スピッティンワです。
スピッティンワはリバー2シーが2013年にリリースしたフロッグです
それまでのリバー2シーにもブリーワやステップワなどの中空フロッグのラインナップはありましたが、米国内におけるリバー2シーが持つ ”パチモン屋” というイメージを払拭するプロジェクトの一環として、二代目社長のサイモンが奮起して開発された完全オリジナル商品です。
カリフォルニアデルタを拠点に活動するプロアングラー、マットアレン Matt Allen を監修スタッフとして迎え入れ、2年の歳月を費やして完成させたのがこのポッパーフロッグでした。
スピッティンワの特徴は、70ミリ 3/4ozという中空フロッグとしてはやや大柄なボディであること。
これは高プレッシャーフィールドにおいて離れた距離からのアプローチを可能にするためと、大きなボディゆえのアピールを求めた結果でした。
特にカリフォルニアデルタでは、倒れたチュールの奥にある小さなスポットにフロッグを送り込むことがビッグバスへのキーであり、チュールを撃ち抜けるウェイトが必要でもありました。

カリフォルニアデルタでよく見られる風景。奥に写る葦がまっすぐ立っているのに対し、手前のチュールは斜めに倒れている。倒れたチュールの奥のシェードにバスが付くのでこのチュールの壁をいかに突き破るかがデルタでのフロッグフィッシングのキーになる。
しかしチュールを撃ち抜くだけでは意味がありません。
その奥の狭いスポットでしっかりとアクションさせられるルアーであることがデルタ攻略には不可欠なのです。
そこで採用されたのがこのポッパーカップでした。
ボディ素材とは別のソリッド素材を採用することで、障害物にあたったぐらいでは潰れないカップを実現したのです。
これによりタフなカバーの中であってもチュールに負けずにしっかりとポップさせられます。
しかしこのカップの役割はそれだけではありません。
ソリッド素材を採用することで重心がカップ側に寄り、首振りの時にはカウンターウェイト的な役割も果たしてくれるのです。
このカップが作り出すウェイトバランスはポッパーフロッグとしては最強で、今まであらゆるポッパーフロッグを投げてきましたが、運動性能ではスピッティンワに勝てるものはないと思っています。
肝心のポップアクションは、スピッティンワという名前の割にはおとなしいボワン系。
その名前から派手なスプラッシュ系をイメージしていたのんだくれはちょっと肩透かしを食らってしまいましたが、サイモンの説明を聞いて納得しました。
実はこのカップはツバ吐きのためではなく、水棲動物が泳ぐ時に出すウォーターディスプレイメントを再現するためなんですと。
サイモン曰く、デルタのチュールにはレッドウィングブラックバード(アーボガストでお馴染みのあの鳥。 画像はコチラ)が営巣しており、デカいバスはそのヒナを食っている。だからそのヒナの動きを表すためにカップに穴を開けて必要以上に水を掴まないようにしている、と。
つまりカバー奥の小さなスポットではスプラッシュではなくて水押しの方が効くので、あえてこういったセッティングになっていたのでした。
今に始まったことじゃありませんが、アメリカンブランドのルアーってこういうコンセプトというか明確な使用目的とかをアピールしないというか積極的に謳わないので、聞かない限り分からんのですよね。
それを探しながら使うのも楽しみのひとつではありますが、それにしてもアピールしなさ過ぎw
フックはオリジナル開発のワイドゲイプストロングワイヤー仕様。
フックポイントをわずかに内側に入れたデザインと、ボディのバンパー効果でスナッグレス性能はバッチリです。
しかしアメリカンフロッグのフックは近年飛躍的に性能が上がりましたね。
以前はポイントが甘いなんてのは当たり前でしたが、今は箱出しのままでも不自由を感じることはなくなりました。
ボディ下部にボタンウェイトを配するのもフロッグの定番です。
メーカーによっては投げてるうちにこのボタンウェイトが取れるものがありますが、スピッティンワは心配無用。
気になる浸水性については可もなく不可もなく。
浸水自体はありますが、オープンウォーターで連続首振りしても沈むことはないので、アベレージといったところでしょうか。
スカートは長めのラウンドラバーが採用されていますが、実釣では画像のように短く3〜4cmにトリミングして使っています。
その理由は、首振りのレスポンスを上げるため。
長いスカートは嫌いではありませんが、スピッティンワのように首振りに長けたフロッグでは、スカートが長いとその分機能をスポイルしてしまうのでバランスが崩れない限りはこのように短くカットしてしまいます。
こうすることで首振り時のサイドスプラッシュも大きくなるし、タイトなカバー奥にブチ込む時にもスカートが邪魔しない分、奥の奥まで入れられます。
でもスピッティンワの55サイズは同様にトリミングすると、首振りし過ぎてひっくり返ってしまうので注意が必要。
ネームは腹にメーカーロゴだけ入っています。
通常のロゴにはない ”エリート” をわざわざ入れたところに、パチモン屋からの脱却の強い意思が感じられますね。
近年は真冬でも実績を叩き出すアングラーもいるなど、フロッグの季節感もどんどん薄れて通年化してきていますが、やっぱりカエルは夏場のカバー周りで釣るのがイメージですよね。
ウィードが水面まで伸びてくるとボックスのカエルたちも落ち着かなくなって来るので、梅雨が明けたら水に放ってあげてくださいな。