ルアーって実際に使ってみないとホント分かんないですよね。
その形状からある程度の動きは想像できるものの、泳がせてみたら予想外の動きでアゴが落ちるなんてのは決して珍しいことじゃありません。
もちろんそれは良い意味でも悪い意味でも。
今日のゲスト、スプロのロッククローラーはのんだくれにとってそんなアゴ落ちルアーだったひとつ。
良くも悪くもウィグルワートのイメージに引っ張られていたルアーです。
ロッククローラーとは
このクランクベイトがデビューしたのは2015年。
その前年のICASTショーで見たのが初めてでした。
バスプロでありながらウォールアイのプロでもあるマイク マクレランド Mike McClelland が マックスティック McStik に続いてスプロUSAからリリースした、いわゆるシグニチャーモデルのクランクベイトです。

ワートのフォロワー?
ショーではマイク自らが ”ウィグルワートタイプのルアーだ” と言っていたこともあり、のんだくれはてっきりワート系ルアーだと思い込んでました。
なのでその時にもらったサンプルも投げずに放置してました😅
それからずいぶん時間が経ち、ボックスの奥深くから引っ張り出して投げてみたところ、その意外なアクションに目を丸くしてしまいました。
ウィグルワートのイメージとは全然違う泳ぎだったのです。
ウィグルワートとは別物のアクション
のんだくれはウィグルワートの派手に暴れ回る動きを想像していたんですが、このロッククローラーのアクションは全く違ってタイトなウォブリングアクション。
しかもかなりフツーの。
あまりにも普通の、予想していたよりも大人しい泳ぎなので、最初は ”え?これでイイの?”と思ってしまったほど。
あんな大々的にプロモーションしてたのにこんな普通でイイの?とw
もしかしたらのんだくれのタックルの問題なのかと思い、セッティングを変えてみるも泳ぎは全く変わらず。
マイクは間違いなくウィグルワートタイプって言ってたのになーと訝しみながらも投げているうちに、のんだくれはあることに気付きました。
このロッククローラー、のんだくれの好物であるザリガニ巻きでも全くスタックしないのです。
根がかりしにくい長めのリップ
ブッシュ系のカバーは苦手ですが、ボトムを這わせると必要以上にボディを倒したり跳ねたりすることなく、イイ感じで障害物の間を縫って戻ってきてくれます。
ウィグルワートよりもリーチのあるリップが良い仕事をするのか、障害物を舐めるように泳ぐにも関わらずスタックしないのです、
のんだくれはここで初めて気がつきました。
あ、そういえばこれ ”ロッククローラー” じゃん!と。
ウィグルワートというキラーワードとその造形から勝手にワート系の動きを想像してましたが、”タイプ”というのはあくまでもカタチのことであって、ルアーの特性ではなかったんです😅
”岩を這う者”の本領発揮
それに気づいてからあちこちでザリガニ巻きをしてみると、これがなかなか出来たクランクなんです。
ワッフル系の斜め護岸に始まり、サンドバーやガレ場などいろんなところで巻きまくりましたが、スタックすることもなく見事にスルスルと抜けてくれるのです。
その動きは名前の通り、”岩を這う者”
オリジナルのウィグルワートの動きにも若干その傾向は見られますが、このロッククローラーはもっとべったりとボトムに張り付いて、文字通りクロールする感じ。
ラバージグのボトムズル引きのテンポをもっと早くした感じなのです。
明確なコンセプトに基づいた開発
それを踏まえた上でウェイト構造を見てみると、あ、そういう事か!なセッティングも見えてきます。
このロッククローラーはウェイト兼ラトルボールが2個あるのですが、実はコレ、ほぼ固定されているので、ノイズメーカーとしての機能はほとんどありません。
ルアーを分解したワケではないのでもしかしたら間違ってるかもしれませんが、後ろのウェイトは完全に固定されているっぽく、前のウェイトもほとんど可動域がないのでラトルサウンドとしては鳴っていないに等しい感じ。
むしろフックとボディのスクラッチ音とかボトムへのコンタクト音の方が大きいんじゃないの?というぐらいの設定です。
その設定のワケはマイク自らがロッククローラーを解説したYouTube動画にありました。
このロッククローラーには、早春や晩秋の低水温期、8〜10フィートのボトムに付いているバスをスプークさせずにキャッチするという明確な開発コンセプトがあったんです。
岩などにタイトに付いているニュートラルなバスを獲るために、何かに当たってもスクエアビルクランクのように大きく跳ねず、障害物を舐めるように越えさせる為のタイトなウォブリングアクションだったのです。
さらにそのリトリーブ軌道はボトムをつつきながら左右に振れる感じの千鳥系。
ラバージグはルアーの特性上、どうしてもトレースラインが直線になってしまいますが、このロッククローラーはまるで自ら岩の間の泳ぎやすいラインを探りながら泳いで来るかのよう。
しかもクローリングアクションに特化しただけでなく、13.5gというウェイトと空力ボディも相まってUS15lbラインを引っ張って楽々30メートルは飛び、14フィートレンジまで潜るなどウィグルワートの弱点克服も忘れていません。
つまり、カラカラと高音サウンドを響かせてレンジを問わずイヤーラウンドで使えてしまうウィグルワートとは全く違う位置付けで開発されているんです。
ICASTショーではマイクはこの件について全く触れていなかっただけでなく、ルアーのパッケージでも一切説明されていないので、のんだくれは勝手にウィグルワートのフォロワーだと思い込んでました😅
単なるウィグルワートのコピーではなく、ワートが本来持っている強みを最大化&弱点克服しているのに、その旨を全くと言っていいほど告知しないというアメリカンルアーの恐ろしくもあり面白いところを久々に見せつけられた感じがします。
まあザリガニカラーしかラインナップしていない時点で気付けよって話もありますけどね😂
スプロ家のアイデンティティ”バッドボーイズアイ”
そんなナイスなクランクベイトではあるんですが、のんだくれ的にはちょっと気に入らない部分もあったりします。
それがこの目。
ロッククローラーに限らずスプロのルアーに共通している Bad Boyz系の目ですが、これがどうにも好きになれんのです。
かつて ”人形は顔が命です” というCMがあったように、ルアーは目が命だと常々思ってるのんだくれにとってはかなりのマイナスポイント。
スプロはリトルジョンなど釣れ釣れのルアーが多いだけにちょっと残念ですね… って、この目はもうアイデンティティが確立されちゃってるのでいまさらヲタが何をほざこうが変わることはありませんけど😭
フックはがまかつの#4
フックはブラックニッケルの#4を採用。
公式には ”日本製フック” としか謳っていませんが、スプロはがまかつの子会社であることからがまかつのフックと見て間違い無いでしょう。
同じボディでフックを強化した従兄弟も
フックで思い出しましたが、ロッククローラーにはボディの仕様は全く同じでフックとリングだけを強化したロックスター55 RkStar55 という親戚がいます。
こちらはサーモンやスティールヘッド用に揃えられたモデルで、いかにもなビビッドカラーが特徴。
ロックスターの方にはマイクの名前が使われていない事から察するに、スプロUSAが ”ウィグルワートっぽい外見ならサーモン系もイケるんじゃね?”的にカネの匂いを感じたからリリースされたっぽい。
もちろんこれはのんだくれの勝手な想像ですが、ウィグルワートはサーモンフィッシングの世界でもその名を轟かせていたので、当たらずとも遠からずだと思うんですよね😁😁😁
もしそうだとしたら徹底的にウィグルワートを倣って、サイワッシュフックのボールチェーンリグ版もリリースして欲しいトコですけけどねw
なぜ ”Rock Crawler” ではないのか
ネームはスプロルールに則ったブランドロゴ大きめのダブルプリントを採用。
アメリカ人でさえ最初は ”アールケー”クローラーと呼んでしまう難解な読みが特徴です。
当初、なんでこんな読みにくい RkCralwer というスペリングにしたのか理解に苦しみましたが、おそらくロッククローラーという名前のルアーが既に商標登録されてたんでしょう。
同じ名前表記が使えないのでRKを無理やりロックと読ませたのではないかと。
でも米人の事なので、このRKにはそれ以外の意味も被せてるようなにほひが漂ってますけどね。
この名前の詳細をご存知の方がいらっしゃったら是非ご一報を。
おわりに
先述の通り、このロッククローラーはボトムを這わせてナンボなルアーなので、ウィグルワートの感覚で使ったら間違いなく ”金返せ!” になるルアーです。
でもラバージグをより速いテンポでサーチベイト的に撃っていきたいと思っているアングラーには間違いなくハマるでしょう。
そう思うと、のんだくれはハナタレの頃からルアーの外見に惑わされっぱなしだなーと😭
嗚呼… 外見に左右されずにルアーの本質を見抜き、違いが分かるオトコになりたひ。(♩ダバダ〜 ネスカフェCM風)