ラパラの変革期に大きな役割を果たした樹脂の女神 ラトリンファットラップ RFR04 Rattlin’ Fat Rap RFR04 / ラパラ Rapala

クランクベイトシャローダイバーラパラ Rapala

最近でこそ減りましたが、昔はラパラの熱狂的… いや、狂信的とも言えるファンが数多くいました。

ラウリ・ラパラを師と仰ぎ、とにかく使うルアーはラパラ、ラパラ、ラパラ。

おそらく70年代から80年代にかけて、オリジナルフローティングやシャッドラップの驚異的な釣れ方にノックアウトされた人たちなんでしょうね。

まあのんだくれもチャグバグに盲目だった時期もあるので人のことは言えませんが😂

しかしそんなラップヘッズ Rap Heads の結束?が揺らぎ始めた時期があるのです。

その傾向はラパラがラトリンラップなどのプラスチックプラグに移行し始めた80年代後半頃に始まり90年代に顕著となりました。

そんな時期にリリースされた問題作がこのラトリンファットラップ。

そうです。 ラトル入りのプラスチック製ファットラップです。

 

あのラパラがプラスチックのファットラップを出した?!?!

このニュースに当時のラップヘッズたちはざわめきました。

ラパラはバルサじゃないと許さない!という絶対認めない派から、そういうのもイイんじゃない?という容認派、そして、いよっ!待ってました!な大歓迎派まで受け止め方はさまざまでしたが、当初は認めないヘッズたちが圧倒的に多かったように思います。

既にファットラップはバルサモデルで大成功していたという背景もあるので、その分拒絶反応も大きかったのではないかと。

ファットラップ FR7 Fat Rap FR7 / ラパラ Rapala
のんだくれがエラそーに語るのもおこがましく感じられるほどの歴史と実績があるフィンランドの至宝・ラパラ。 しかしそれは誕生と消滅の繰り返しがあってこその評価。 それ故、『 オイオイなんで...

中には、ラパラは死んだ!とまで言い放つ人もいたりして、今思うと、良くも悪くも盛り上がってたなーと😁

そんな風潮だったので、このラトリンファットラップはその実力がなかなか認められず、仲間内でもあまり話題にされず、積極的に使う人もあまりいないという可哀想な状況に。

しかーし!

そんな中でもこっそり使ってちゃっかり結果を出してる人はいたんですよねー😂

ラトリンラットラップRFR04はご覧の通りの小型クランクベイト。

ボディ長40ミリ、ウェイトは6.9gと、マイクロクランクと言ってもイイぐらいのチビ助サイズですが、実はこれがめちゃくちゃ釣れるクランクに仕上がっているのです。

釣れる秘密の一つがこのリップ。

リップの先に大きな凹みを設けることによって、わずかな水流をも逃さずに無駄なく運動エネルギーに変換してくれます。

しかしラパラが他のミニクランクと違うのは、その凹みという力点をロングリーチのリップによってボディから離していること。

これによりアクションをワイドにするだけでなく、ウォブリングパワーを増幅して、同サイズのクランクベイトでは出せない強い波動を生み出しているのです。

つまりこのリップは潜らせるためのものではなく、サイズ以上のパワーを生み出すためのもの。

それはリップの幅と取り付け角度からもダイバーではないのがわかります。

その証拠に、このラトリンファットラップの潜行深度はせいぜい3フィート前後、のんだくれの感覚では有効深度はおそらく2フィートぐらいじゃないかと。

そんなシャローの暴れん坊将軍がラトルなんて武器を持ったら、そりゃ天下取れますってば。

しかし暴れるボディに単にラトルを封じ込めるだけで終わらせないのがラパラのすごいところ。

そのラトルサウンドが実にイキモノちっくに調律されているのです。

ラトリンファットラップのラトルサウンドはシャラシャラとカチカチの中間ぐらいの音なんですが、実はかなり音量を落としてあるんです。

おそらくこれはザリガニや水棲生物が活動する際に発する時に発するカチカチ音の音量に合わせたんじゃないかと。

そりゃそうですよ。

ラパラともあろうメーカーが狙った音量を出せないなんて考えられませんから。

それはラトリンラップで証明済みです。

なにもかも ”初づくし” で巨大な北米市場に挑んだラパラの挑戦的作品 ラトリンラパラ Rattlin' Rapala RNR7 / ラパラ Rapala
釣具の世界に "◯◯初" が多いのはみなさんご存知の通り。 昔ほど目立った技術革新が見られなくなったので近年は随分減りましたが、それでも世界初、業界初、◯◯史上初などなど、各メーカーは隙あらば初物を謳い文句に商品をブッ込んできますw ...

しかも凹んだリップのおかげでアクションの立ち上がりから確実にカチカチするように設計されているところもラパラらしいですよね。

このラトリンファットラップのあまりの釣れっぷりに、当初頑なだったラップヘッズも、う、ううん… まぁラトリンファットラップなら許す、とその実力の前に跪くという結果に

なんだよ結局好きなんじゃねーか。ツンデレかよ😂😂😂

愛を持って見てみると、なんでも可愛く見えてくるもんです。

このナチュラルシャッドプリントはシャッドラップからの伝統色だけあって、ヘッズでなくとも愛でたくなりますよね。

カラーパターンの系統だけで考えると決してアトラクティブな色とは言えませんが、それでも釣れちゃうのはやっぱりアングラーの愛が籠るからなんでしょうね。

しかし手放しで褒められないこともあるんです。

それはこのフック。

これはファットラップに限った話ではないのですが、フィンランド期の最後の方のフックのクオリティはブラスのスプリットリングも含めてあまりよろしくありません。

なので当時のんだくれのガチ釣り用はがまかつフックに交換していました。

さらにファットラップの腹にはネームが入っていないという血統ゆえの先天的欠陥も。

こんなにキレイで広いキャンバスが広がってるのに何もネームがないってどゆこと???

でもまあリップの裏には王家の紋章が入ってるのでヨシとしましょう。

ラパラにはあんまり詳しくないのでアレですが、このファットラップの後ぐらいにアイルランド工場製になったんですよね。

アイルランド製はアイルランド製で、当時はフィンランド物じゃないと…などとヘッズたちはナナメに構えてましたが、そんなヘッズも今ではアイルランドの文字を見つけるとニヤリとするなど、なかなか面白い展開になってるのもラパラヒストリーの1ページ。

余談ですが、リップに入ってる引っ掻いたような傷は、フックカバーを付けずにボックスに放り込んでおいたらフックががっちりロックするように絡んでしまい、それを外すときについた不名誉?の傷。

決してオサカナの歯形という輝かしい傷ではないので悪しからず😭

当時ののんだくれのフェイバリットはホットタイガーで、根がかりでロストしてしまいましたが、マディからクリアウォーターまで状況を選ばないナイスカラーでした。

近年ガチでこのルアーを探してる人がいるのか中古屋ではなかなか見かけませんが、出会ったら是非とも連れ帰って欲しいルアーのひとつ。

なにしろこのラトリンファットラップは、バルサからプラスチックへの移行というラパラにとっては最大の賭けでもあったプロジェクトに勝利をもたらした女神なんですから。

ルアー千一夜 the Store
SNSをフォロー
ルアー千一夜
タイトルとURLをコピーしました