ゲームの世界での後出しジャンケンは卑怯者扱いされますが、ビジネスの世界においては正義です。
先行者よりも良い物を提供することで優位に立つ事ができるのです。
今日のゲスト、バークレイのチョッポはそんな黄金律を実現しようと頑張ったひとつの例です。
チョッポとは
チョッポはバークレイブランドが展開するDEXシリーズの一員です。
見た目はまんまリバー2シーのホッパープロッパーですね。

デビュー以来、パクリだパチモンだと散々叩かれてますが、その辺はちょっと置いといて今回は実質的な機能についてインプレしていきたいと思います。
その外見はともあれ、どのモデルもこれといった特徴がないDEXシリーズの中では割と健闘しているのではないかとw
しかし見た目だけで判断するなかれ。
このチョッポはホッパープロッパーが持つ弱点を見事に突いた快作なのです。
チョッポのサイズ・重さ
チョッポはオリザラよりもほんの少しだけ大きい120ミリ、28g。
元ネタであるホッパープロッパーとほぼ同等の大きさに仕上げられています。
この120サイズの他に90ミリと105ミリをラインナップするなど、全方位でホッパープロッパーを駆逐せんというヤル気が漲ってますね。
チョッポの特徴
オリジナルデザインの硬質素材ウィング
チョッポの特徴はなんといってもこのシングルウィングプロップでしょう。
ホッパープロッパーのウィングがソフト素材なのに対し、チョッポは硬質プラスチックを採用しています。
カップ状に大きく湾曲したその形状は単に回転するだけではなく、ルアーの進行方向にスプラッシュを飛ばすなどなかなかの仕事人。
ホッパープロッパーよりもやや硬めのサウンドを出しながらスムースに回転します。
硬質プラスチックゆえ破損の心配は付きまといますが、岩盤や護岸に直撃しない限りは問題なさそう(まだぶつけた事がないのでどの程度の強度なのかは不明)
浮上しやすく回転しにくいボディ形状
水面での安定したプロップ回転をサポートするのがこのボディ形状です。
ラインアイからフロントフックハンガーにかけてのラインがボートでいうところのステムの役割を果たし、リトリーブによって揚力が生まれます。
さらに低重心化によりボディ自体も回転しにくくなっています。
これによりプロップは安定して水面を割り、大きなプロッピングサウンドを発する事が可能に。
デルタブリーズ対策で浮力を抑えてあるホッパープロッパーは、安定して良い音を出すために常にロッド位置を気にしながら巻く必要がありますが、チョッポはそれをしなくてもほぼオートマチックにベストサウンドが出せるように設計されているのです。
そして早巻きではボディが回転してしまうホッパープロッパーのウィークポイントを見事に突いています。
つまりこれが冒頭で述べた後出しジャンケンなのです。
ブッ飛んだ思考の商品開発は苦手だけれど、海外のものに手を加えて自分色を出すのが得意な日本人気質を如実に表してますね。
しかし大きな欠点も
しかしそんなチョッポにも弱点があります。
それはプロップ回転に重みがない事。
厚みのある素材であえて重心を偏らせたホッパープロッパーに対し、軽量ウィングでスムースに回転するチョッポはプロップ回転に重さがないのです。
この場合の重さとは回転の度に水を打つ、ドンドンドンと足踏みするような重量感のこと。
両者はサウンド的には似ているのですが、水絡みが全く違うのです。
これは安定した回転を求めた結果なので弱点と捉えるかどうかはアングラー次第ですが、シングルウィングプロップベイトの最大のウリであるストンピングアクションが出しきれていないのはちょっと勿体無い気がします。
さらに残念なのはこの回転部分に開いた隙間です。
この隙間にゴミやトロロ藻を巻き込むとプロップのパフォーマンスが落ちてしまうのです。
元ネタであるホッパープロッパーにも似たような症状が起きるのですが、ホッパープロッパーの弱点を研究して生まれたはずのチョッポにホッパープロッパーよりも大きな隙間があるのは一体どゆこと?
最初は間隔を大きく取る事でニードルなどを入れやすくし、メンテナンス性を上げたのかと思いましたが、実際トロロ藻が絡むと隙間の大きさゆえニードル除去どころではない状態に。
ホッパープロッパーよりも酷い状態になってしまうのです。
これホントにフィールドテストしたの?と思ってしまうほど。
この手のルアーはウィード周りで使う事が多く、着水時に少なからずダイブしてしまう事を考えると、この隙間は大きな弱点と言わざるを得ません。
最初の一本なら間違いなくチョッポを選ぶべし
とはいえルアーは適材適所。
何をどう使うかはそれぞれのアングラーが決める事ですから他人がとやかく言う事ではありません。
ウィードが絡むならオープンウォーターで使えばいいだけだし、軽い使用感が好みのアングラーだっています。
なので両者の美味しいところだけをつまみ食いすれば良いのです。
例えば至近距離でマシンガンしていくならチョッポだし、遠投して広範囲を探るなら重量のあるホッパープロッパー。
硬めのサウンドが好きならチョッポだし、波っ気のあるところではホッパープロッパーなどなど、使い分ければ釣りの幅もぐっと広がります。
しかし現実問題としてこれから片羽根ベイトを始めようと思っているアングラーに2つ買えというのはなかなか難しい注文ですよね。
なので初心者に向いてるのはどっちかと聞かれたら、迷わずチョッポの方を薦めています。
その理由は大きな価格差。
チョッポ120の実売価格が1,000円ちょっとなのに対し、ホッパープロッパーは2,000円超えと比較にならない差があるのです。
見た目がほとんど同じなら安い方が気になるのは人間の心理ですし、お試し購入なら尚更です。
二つ目の理由はチョッポはバス用に最適化されているということ。
ホッパープロッパーは主にカリフォルニアデルタでテストされたのですが、デルタはラージマウスバスだけでなくモンスター級のストライパーが棲む水域でもあり、ルアーの性格上これらのファイトに耐える強度も求められます。
その結果、ラージマウス狙いにはオーバースペックなコンポーネントを使用しなければならず、それらの重量増が原因でルアーとしての機敏さを犠牲にしている部分があるのは否めません。
なので日本のフィールドで生まれたと言う時点でチョッポには大きなアドバンテージがあるのです。
つまりチョッポは日本人の目から見た ”使いやすさ” が追求されており、これは片羽根ベイト初心者にとっては大きな信頼感につながります。
これらの理由から、最初の一本を選ぶなら間違いなくチョッポです。
チョッポの実力を知ってからホッパープロッパーを買ったって決して遅くはないのです。
90/105/120 どれがオススメサイズなの?
そうなってくるとどのサイズがいいのかも気になりますが、結論から言うと120サイズの一択。
大は小を兼ねるではありませんが、最初の一個を選ぶなら間違いなく120サイズです。
なぜならサウンドが一番大きいから。
この手のルアーはアベレージサイズに関わらず大きなサウンドを出す物を選んでおくのがファーストキャッチへの近道。
それ以外のサイズは120である程度釣って必要だと思ったら買い足せばいいのです。
でも最初に120サイズで釣ってしまったら小さいサイズではおそらく物足りなさを感じるはずです。
いや、むしろ120サイズですら小さいと思うようになります。
それが片羽根ベイトの面白いところであり恐ろしいところなんですよねw
フックは#2サイズを採用
フックは前後ともブラックニッケルの#2サイズを採用。
フッキングはほぼフロントフックなのでフロントだけサイズアップしておくのもひとつの手です。
チョッポのネーム
ネームは頭にDEXロゴ、腹にチョッポのダブル仕様になっていますが、ロゴに対してChoppoのフォントが普通すぎてなんだか勿体無いですね。
ここはもうちょっと個性あるフォントにして欲しかった。
それにしてもダメダメなのはこのチョッポというネーミング。
はっきり言ってダサい。
ダサい以前になんじゃコレ感がすごい。
チョッポという響きはこのルアーが出すサウンドとは程遠いし、可愛くもなんともない。
この名前にゴーサインを出した部署長のセンスが疑われるレベル。
ホントにこの名前でイイと思ったんですかね? それともネーミング会議が長引いてて早く帰りたかった?w
このレベルの名前をつけるなら ”デックスプロッパー” みたいに図々しく名前も便乗しちゃった方がよっぽどマシ。
米国ではこの手のルアーを総称してプロッパーとかプロッピングベイトと呼ばれてるのでそっちのほうがよっぽどルアーの性能をイメージできると思うんですけど。
どっちにしろパクリって言われるんだからここは開き直って欲しかったですね。
変なところで弱気なのが伝わってくる最悪のネーミングですねコレは。
おわりに
カタチがカタチだけにあれこれ批判されていますが、一度試しておいて損はないルアーであることは間違いありません。
なによりもコストパフォーマンスが素晴らしい。
ぶっちゃけホッパープロッパーのユーザーはチョッポをパチモンと毛嫌いしてるだろうし、その逆もあると思いますが、両者はメーカーこそ違えどまるで長年連れ添った夫婦のように足りないところを補い合っているので、使わず嫌いでいることは大きな機会損失なのです。
発売から既に三年が経ち、一時期は大量にTBワゴンに流出するなど生存が怪しいルアーでもあるので、気になる人は早めに確保しておくべきかも。
たまには後出しジャンケンの旨味を堪能するのも悪くありませんぞ。