シャッドラップとは対極に位置するバタバタ泳ぎのアメリカンシャッド C.C.シャッド CD12 C.C. Shad CD12 / コットンコーデル Cotton Cordell

クランクベイトコットンコーデル Cotton Cordellシャッドミディアム・ディープダイバー

日本のバスフィッシングに大きな影響をもたらした”シャッド”というカテゴリー

C.C.シャッド コットンコーデル シャッド クランクベイト インプレ

 

70年代終わり頃、西日本を中心にバスフィッシングシーンを席巻していたシャッドプラグがありました。

そうです、ボーマーのスピードシャッドです。

 

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関東でスーパーソニックが大ブレイクしていたのと同様に、西日本ではスピードシャッドさえ持っていればボウズとは無縁と言われていた時代があったのです。

スピードシャッドの大ブレイクは、黎明期の日本のバスフィシングに二つの大きな影響を与えました。

ひとつはボーマーというブランドを日本のマーケット、特に西日本マーケットに根付かせたこと。

そしてもうひとつは、日本には生息していないシャッドというベイトフィッシュの存在を、アングラーの心に強く刻んだ事です。

 

ラパラ、バグリーの戦場にC.C.シャッドで乗り込んだコーデル

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その後、ラパラがシャッドラップを、バグリーがバッシンシャッドを市場投入した事によって全米バスフィッシングシーンは一気に活気付き、そのブレイクに連動するかのように日本でも “シャッドプラグは釣れる” というイメージが定着しました。

そうなると黙っていられないのは、クランクベイトの大御所コットンコーデル。

バッシンシャッドから遅れること1年、1985年に満を持してリリースしたのがこのC.C.シャッドでした。

この C.C.シャッドは、スピードシャッド、シャッドラップ、バッシンシャッドのいずれも持っていないラトルという武器を引っ提げて登場した、文字通り鳴り物入りのルアーだったのです。

 

C.C.シャッドのサイズ

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C.C.シャッドは全長65mm、1/3oz(実測8.5g)の釣れ釣れサイズにまとめられた当時のコットンコーデルの戦略的商品でした。

80年代の米雑誌に掲載された広告には、暗にシャッドラップを揶揄するような表現が踊っており、ラパラに対して執念とも言えるライバル心を燃やしていたことが読み取れます。

しかしその執念を単なるブラフだけで終わらせないのがコットンコーデルのすごいところ。

シャッドラップやバッシンシャッドとは全く違ったアングルからのアプローチで見事にアングラーの心を掴むのです。

 

他社のシャッドプラグにはないC.C.シャッドの武器

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C.C.シャッドの最大の特徴は、とにかくラトルがうるさいこと。

ボディの中を複数の極小ラトルが暴れ回る、いわゆる遊動ラトルと呼ばれるタイプですが、このサイズとしては規格外とも言えるノイズメーカーに仕立てられているのです。

ラトルサウンドの音質は、甲高いシャラシャラ系。

いかにもバスをイラつかせそうな、人間が聞いても耳障りなサウンドです。

このC.C.シャッドはデビュー当時、”C.C.ラトリンシャッド”という源氏名でリリースされていた事からも、コーデルがいかにラトルに拘っていたかが分かります。

そんなけたたましいラトルサウンドはこの動画で確認できます。

 

 

ラトルの効果を最大限に引き出すリップ

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そんなラトルサウンドを作り出すためのアクション製造機がこのリップ。

エッジがシェイピングされているわけでもない、どってことのない平凡なリップ形状ですが、これがフラットなボディを強力に揺さぶり、胎内のラトルボールを派手に暴れさせることで耳障りなノイズを生み出しています。

 

カバーのすり抜けにも長けた総合バランス

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そしてこのリップはフラットなボディの利点をも引き出してくれています。

扁平率51%のボディを早いピッチで激しくウォブリングさせることで強く水を攪拌し、ラトルボールによるサウンド要素とは違う刺激でバスの側線を逆撫でします。

この辺りのセッティングは、マディ系ウォーターが多いアーカンソーのブランドらしい感じもしますね。

C.C.シャッドの暴れるような激しいウォブリングはカバークランキングにも向いているので、現場でテストを重ねて鍛えられたルアーであることがよく分かります。

 

C.C.シャッドでは外せない鉄板カラー

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ヘキサゴナルパターンのスケールがエンボスモールドされているのもC.C.シャッドの特徴のひとつ。

今は同じ軒の下で活動するスミスウィックのログと同じような凸凹パターンですが、コーデルはこのパターンの水の剥離効果について触れていないどころか、このパターンを完全に埋めてしまうGフィニッシュ塗装カラーも出していたので、剥離云々については全く気にしてなかったと思われ😁

まあそんなノー書きばっかりタレるアメリカンブランドはちょっと興醒めしちゃうので、それはそれでオッケーなんですが。

ちなみにこのカラーは#79のBlue/Chart./Orange。

激しくバタつくボディとの相性は抜群で、水中で強い明滅効果をもたらすので、是非とも押さえておきたいカラーのひとつです。

これと同系色で#59 Black/Orange/Chart.というのも有って#79同様に必携カラーですが、いつの間にか見なくなってしまったので、もしどこかで出会ったらマストバイ案件。

そういえばかつてダイワが日本のベイトフィッシュをナチュラルプリントで再現したジャパンSPモデルもリリースされました。

ちょっとキモいナチュラルプリントだったので当時はビミョーな感じでしたが、今やコレクターズアイテムとして高値推移してるので、ニンゲンの感覚なんてテキトーなもんだなとw

 

泳ぎの限界値が上がるフック交換

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フックは前後とも細軸の#6ラウンドベンドを採用していますが、実はのんだくれは全部フックを#4にサイズアップしています。

それはこのCCシャッドのアクションがあまりにも暴れてファーストリトリーブでは泳ぎが破綻することがあるから。

よって、スタビライザーの役目も兼ねて#4をぶら下げています。

フックサイズを上げてもカバー抜け性能は落ちないし、止めた時の姿勢復元スピードも向上するので、本当は#4がデフォルトのフックサイズなんじゃないかと勝手に思ってます😁

 

C.C.シャッドの特性を最大化するチューニングと使い方

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遠い昔、のんだくれがガチ釣り勢だった頃、C.C.シャッドを水温に合わせて完璧にサスペンドチューンしたものを幾つか使い分けていた時期がありました。

狙った深度まで潜らせたら一気に50cmぐらいリッピングして5秒ぐらい、長いときは15秒ぐらいロングポーズしてまたリッピングという使い方でサスペンドチューンしたものを使ってました。

瞬間移動して激しく暴れるアクションと完全制止というメリハリが効くらしく、低水温期に効果のあったメソッドですが、この時はデフォルトでついていた#6フックよりも#4の方が小さなバイトも取れてたように思います。

単純に大きなフックの方がサスペンドチューンもしやすく、かつ精度も上げやすかったというのもありますが。

そういえばサスペンドで思い出しましたが、実はC.C.シャッドは初期に少数だけサスペンドモデルが発売された事があります

それはバスプロショップスのエクスクルーシブとしてリリースされたステインシャッド Stay’N Shad という特注モデルで、サスペンド精度はイマイチでしたが、それでもオリジナルフローターモデルとは違う特性で結構な数のバスをもたらしてくれました。

ボディにもリップにもステインシャッドというネーム表記がないので外見だけでは判別のしようがありませんが、もしスローフローティングのCCシャッドと出会ったら、それは貴重なヤツかもしれません。

しかしステインシャッドって絶妙なネーミングですよね。

その場にステイするという意味と、シャッドのままという意味を被せたダブルミーニングは秀逸です。

でものんだくれが思うに、もうひとつ、サタデーナイトフィーバーの主題歌の Stayn’ Alive の意味も掛けてるような気がするんですよね

つまり、生き生きしてるぜ!的なポジティブな意味合いをルアーの動きに込めたんじゃないかと、高2からデスコでヒーバーwしてたのんだくれは妄想するわけですよ。

皆さんはどう思います? のんだくれの相変わらずな妄想を😁

 

リップに手を加えるチューンはあまりお勧めしません

あ、大事なことを書き忘れてました。

このC.C.シャッドのチューンで、リップのエッジを鋭くシェイピングして動きにキレを出すというのがあるんですが、これはあんまりお勧めしません。

リップのエッジを削ると確かにアクションにキレ出るのと振り幅が大きくイイ感じなるのですが、同時にかなりシビアな調整を求められるので気合入ってないとベストのセッティングが出しづらいのです。

つまりこのリップはノーマルの状態でもかなり危ういギリギリのバランスで成り立ってるということ。

特にこのC.C.シャッドはラインアイがワイヤーではなくヒートンになってるので、プライヤーなどで曲げて調整することが簡単にできないというのもその理由。(近年モノはベンドワイヤー仕様ですがアイチューンのしにくさは変わらず)

なのでリップの角を落とすシェイピングチューンは、ピーキー過ぎてお前にゃ無理だよ!と言われてカチンと来るぐらいの鉄雄的マインドを持ってる人にだけお勧めします。

 

ネームヲタも大満足のC.C.シャッドのネーム

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ネームといえばこのC.C.シャッドにもしっかり刻印が入っています。

C.C.は言うまでもなく Cotton Cordell の頭文字ですが、実は Sissy (弱々しいの意)と言う単語の発音に掛けた音遊びにもなっています。

アメリカ人ってホントにこういう風に韻を踏むのが好きですよね

She Sells Seashells by the Seashore 的なやつ😁

撮影技術ががショボいので見にくいのですが、DEEP DIVER, Cotton Cordell, C.C.SHAD とそれぞれフォントを変えてエンボスモールドされています。

コーデルはウィグルオーといい、リップのネームにも一手間かけてくれるのでネームヲタとしては嬉しいですね。

 

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ちなみにこのC.C.シャッド、ディープダイバーとありますがそのサイズとアクション特性から、潜ってもせいぜい5ftぐらいがMaxです。

カタログ値では8ftダイバーとなっていますが、このルアーをその深度に到達させられるほどのロングキャストはちょっと難しいですね。

余談ですが、本国ではウォールアイ狙いのトローリングでこのC.C.シャッドを使うというメソッドが割と一般的で、ウォールアイの専門誌などでは時々定番ルアーとしても紹介されています。

プラドコのカタログではトローリングの場合、ダウンリガーなどを使わなくとも150フィート(45m)の10lbラインで20フィートまで潜行するとのことなので、誰かでっかいビワマスとかレイクトラウトをC.C.シャッドで釣ってくれないかなーなんて(あくまでも他力本願)

 

 C.C.シャッドの威力に影響されて数々の国産フォロワーが誕生

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そんな具合でシャッドラップ、バッシンシャッドと肩を並べて日本各地で火を吹いたC.C.シャッドですから、当然多数のフォロワーを生み出しました。

古いところではティファのゼブラシャッド、タックルハウスのP-Boyシャッド、2000年代にはHMKLの泉氏監修によるPro’s フリックビートなんてのもリリースされましたね。

フリックビートはC.C.シャッドのウィークポイントを克服していてよく釣れるルアーだったのに、なんで生産を止めちゃったんでしょうか。

 

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まとめ – 今のうちに入手しておかないと後で泣きを見るかもよ?笑

C.C.シャッド コットンコーデル シャッド クランクベイト インプレ

C.C.シャッド コットンコーデル シャッド クランクベイト インプレ

 

発売から35年が経ち、見た目だけでなく性能面でもC.C.シャッドを凌ぐシャッドプラグが登場してきているのは否めません。

しかしそれでもこのルアーの持つ普遍性は不変なので、使った事がないアングラーはもちろんのこと、ボックス奥に仕舞い込んでる人もこの機会に是非投げて、国産シャッドにはないブルブルを味わって欲しいなと。

特に今のプラドコは知らない間にカタログから存在を抹消したりする(実際、既にプラドコサイトから消えている)ので、見なくなってからチンコをおっ立ててチマナコ検索というお約束のルーティンにハマりたくなければ、是非ともこの機会にもう一度CCシャッドの実力に触れておいてもらいたいなと。

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