ルアーの特徴を表すのによく使われる ”ギミック/Gimmic” というワード。
元々は精巧に作り込まれた機械や仕掛けを表した言葉でしたが、近年はキワモノとか、目を引くための巧妙な戦術などなど、あまりあまりポジティブではない使われ方がされているように思います。
しかし本来ルアーはギミックの塊のようなもの。
反射板もラトルもギミックだし、 フィッシングルアー黎明期まで遡ればトリプルフックだってギミックでした。
つまりそういった仕掛けがルアーの進化を後押ししているのであり、ルアーの歴史はそのままギミックの歴史でもあるのです。
そしてそんな歴史に果敢にチャンレンジしたルアーがシマノからリリースされています。
それが今日のゲスト、ワールドポップ/フラッシュブーストです。
ワールドポップフラッシュブーストとは
ワールドポップフラッシュブースト(以下ワールドポップ)はワールドシャウラに始まるシマノの世界戦略シリーズの水面担当ルアー。
そのラインナップに投入されたワールドミノーにフラッシュブースト機構が搭載されて好評を博し、フラッシュブーストを搭載したポッパーがリリースされたのです。
そもそもフラッシュブーストって何?
フラッシュブーストとはシマノが開発した最新の”ギミック”で、ひとことで言えば、動く反射板です。
ボディ内部の反射板をバネで吊るすことにより、ルアーの挙動はもちろん、風や波によっても細かく光を反射させるというスグレモノ。
こればっかりは文字の説明では限界があるので、百聞は一見にしかず、この動画をご覧ください。
フラッシュブーストプレートだけ拡大して撮ってみた pic.twitter.com/oagLFGriI8
— ルアー千一夜 【公式】 (@lure1001) December 27, 2021
内部の反射板を動かして生命感を、というアイデア自体は既に70年代からありましたが、その動きをバネの復元力で持続させようと思いついたところにシマノのギミックに対する執念が伺えますね。
ワールドポップのサイズ・重さ
ワールドポップのサイズは全長69ミリ、自重は12.5g。
ポッパーの名作とされるレーベルポップR P60よりも大きなサイズにまとめた背景には、やはりフラッシュブースト機構を搭載するためのスペース的な問題と、バスフィッシング以外での使用も考慮した結果でしょう。
実際このワールドポップは、P60で使うには苦しいナイロン20lbでもストレスなく飛ばせるなど、このサイズゆえのメリットが際立っています。
バスフィッシングに限定しても、葦側やオーバーハング奥をフリップやピッチングで撃つのに十分なウェイトが確保されているなど、”痒いところに手が届く重さ” に設定されています。
ワールドポップの特徴
開発者の苦労が垣間見えるバネ付き反射板
ワールドポップの特徴はなんといってもこのフラッシュブースト反射板でしょう。
フラッシュブーストのインパクトがあまりにも大きいので、それ以外のスペックが霞んでしまうというちょっと悲しい現実もありますがw
しかし細部をよく見てみると、コイルの巻き数によるバネの復元力や固定方法、量産に伴う製造工程などなど、開発陣は相当苦労したんだろうなと思わずにはいられません。
個人的に一番シビれたのは反射板の下にウェイトを付加することで振り子運動を増幅させているところ。
これぞまさにいい意味でのルアーのギミックですね。
ぶっちゃけ永年使用の耐久性への不安は拭えませんが、ルアーなんて所詮はオモチャなんですからこういうのは先に楽しんじゃった者勝ちなのです。
固定と移動、ダブル重心のコンビネーション
しかしフラッシュブースト以外にも手抜きのない仕事ぶりを見ることが出来ます(当たり前かw)
ウェイトはフックハンガーも兼ねた完全固定と、ラトルボールも兼ねた移動式の両方を採用。
固定ウェイトによる早い姿勢回復と、ラトルによる首振り性能強化を実現。
メガバスPop-Xでいうところの慣性バランサーシステム的なヤツですね。
カップは浅めのドーム形成タイプ
ポッパーなので当然カップ形状にもこだわりが。
比較的浅めのカップはスプラッシュというよりは水のドームを作るのが得意です。
自身が作ったドームの中を突き抜けてくるイメージですね。
一応スプラッシュ演出も可能ですが飛沫は細かい水滴ではなく、一塊の水を前に投げる感じで、サウンドもボワンといった感じ。
よって細かい飛沫が無いと生きていけないアングラーが使うと、ちょっと物足りなさを感じるかもしれません。
逆にフラポッパーのように音で誘うポッパーが好きなら、これイイじゃん!になること請け合いな味付けになっています。
ペンシル寄りのアクション
ワールドポップのアクションはポッパーでありながらペンシルベイト色の強いものになっています。
ややテールを下げた水平姿勢で浮き、ほんの少しテンションを加えるだけで機敏に首を振り始めるレスポンスの高さは特筆に値します。
そしてスラントしたカップ形状がイイ感じに水を受け流すので、ポッパーでありながらしっかりスライドもこなしてくれます。
その動きもピコピコとした軽いものではなく、周りの水を絡めとるようなイヤらしいねっちょり系w
まるでズイールのテラー3/8ozのような水押し感が楽しめるのです。
これを言ったら身も蓋もありませんが、ぶっちゃけフラッシュブーストなんて無くてもイイんじゃね?ぐらいの仕上がりです😂

水絡みが良い事で早いアクションへの追従性も高く、高速ポッピングや激しく飛沫を撒き散らしながらのノンストップ首振りにもしっかり応えてくれます。
この辺りに移動&固定ウェイトの配分の妙が表れてますね。
ワールドポップの使い方
そんな粘着アクションがウリのワールドポッパーはやはり陰湿な使い方wでこそ威力を発揮します。
カバー奥や障害物ギリギリに落として、無能な上司の説教のように一点でネチネチと動かしてあげるのが最もお似合い。
クソ上司が延々と同じ事を繰り返しているかのようなw、移動距離の少ないテーブルターンでバスをイラつかせることが可能です。
その際には長めのポーズでフラッシュブーストをチラチラさせる事もお忘れなく。
しかしカラーにはちょっと不満も
そんなワールドポップですが、カラーリングには少々不満があります。
それはカラーがフラッシュブーストありきのスケルトンカラーばっかりだから。
ウリがフラッシュブーストだから仕方ないとはいえ、ルアーとしての基本性能が高いだけにカラー数の制約はちょっと残念ですね。
シマノもそれは重々承知しているようで、強鱗と銘打ったホログラムを強調したパターンも出してはいますが、如何せんフラッシュブースト頼みの路線であることには変わりありません。
ペイント系のカラーが無理ならば、レッドやブルーの反射板を入れたり、蓄光プレートやシマノのロゴ入りとかやり方はいくらでもあると思うんですが、今はシャッドやクランクなどフラッシュブーストを搭載した新しいルアーを市場投入してイメージ定着を図っている段階だと思うので、メーカー的には時期尚早なんでしょう。
なので現時点では赤マッキーや青マッキーでキコキコと色を塗って各自でモディファイするしかなさそうです。
フックも世界志向?
フックは前後とも#4サイズでリアのみフェザード仕様。
ルアー自体の動きを損ねないボリュームのフェザーが装着されていますが、フラッシュブーストをチラチラさせるロングポーズメインで誘うならもうちょっとボリュームのあるものに交換するというのも手ですね。
フックはバンタムマクベスなどに採用されているものと同じかと思いきや、微妙に線径が太くなってるように見えるので、もしかしたら世界戦略仕様なのかもしれません。

唯一の懸念は、使っているうちにフックサークルがついて肝心のフラッシュが鈍くなってくること。
これはフラッシュブーストがウリなだけにもったいない気がします。
この辺りはフックとの接触を減らす工夫をするなど、まだ改良の余地がありそうです。
ネームは背中にゴージャス仕様
ネームプリントは背中にフルネーム入ったゴージャス仕様となっています。
マクベスシリーズのネームといい、シマノはネームプリントを軽んじる傾向がありますが、かつての商品コードをそのままプリントするという愚行に比べたら大きく成長しました😁
あ、画像ついでですが、反射板の真ん中を貫く一本の柱の役割が気になってましたが、これは最悪バネが切れてもコレがあることで最低でも反射板としての体裁が保てるようにというものなんでしょうか。
ご存じの方が居たら是非とも教えてプリーズ。
おわりに
既に勘の良い方はお気づきの通り、のんだくれはフラッシュブーストについてはもうどうでもよくなっちゃってます😂
いや、フラッシュブーストがあることでカラーの選択肢が減っている事を考えたら、むしろ無くてもいいぐらい。
このワールドポップはそのぐらい基本性能が高いポッパーなのです。
じゃフラッシュブーストは無用の長物なのかというと、決してそうではありません。
なぜならフラッシュブーストを搭載していなかったら、おそらくこのルアーを買っていなかったから。
そうです。
ルアーを買わせるこの力こそが ”ギミックの力” なんですよね。
渋いアングラーをバイトに持ち込む威力とでも言いましょうか😂
そういう意味では、のんだくれもまんまとシマノの手中にハマってるんでしょうね。