見せかけだけの背ビレだと思ったら大間違い!使えば納得の技巧派暴れん坊スティックベイト ラトルスティック Rat-L-Stik / ビルルイスルアーズ Bill Lewis Lures

ショートビルジャークベイトビルルイスルアーズ Bill Lewis Lures

何度も言ってますが、ルアーも人も見た目が命です。

いや中身やろ!というのはキレイごとで、人もルアーも印象の8割は外見で決まっているのが実情。

そして外見だけに惹かれ、後になってしまった!と思わされるところも同じ。

今日はそんな外見に惑わされない実力重視のアングラー御用達のミノー、ラトルスティックの紹介です。

ラトルスティックとは

ラトルスティック Rat-L-Stik はそのスペルから分かる通り、ラトルトラップを生んだビルルイスルアーズが1990年代始めにリリースしたミノー。

パッケージデザインでも ”From the Rat-L-Trap People” と大々的にアピールするなど、大ヒット作の恩恵にあやかろう精神マンマンの、いわゆる派生商品でした。

のちにこのラトルスティックのボディを流用したスラップスティックなるルアーもリリースされることになりますが、それに触れるとエンドレスになるのでスラップの方はまた別の機会に。

ラトルスティックのサイズ・重さ

ラトルスティックのサイズは全長110ミリ、自重10.5g。

90年代始めといえばラトリンログの破壊力が一般に広まり始めた時期でもあるので、大きさもログやロングAに合わせたジャストジャークベイトなサイズに合わせてきました。

このあたりに後発ならではのしたたかさが感じられますね。

ラトリンログASDRB1200とのサイズ比較

しかし単にサイズを合わせただけではありません。

ログよりも体高を大きくして差別化を図るなど、設計に抜かりはありません(この差が生む効果ついては後述)

当のスミスウィックですら越えられない完成度の高さ サスペンディングラトリンログ Suspending Rattlin' Rogue ASDRB1200 / スミスウィック Smithwick
ルアーがこの世に誕生して150年以上が経ちましたが、どんなにオリジナリティのあるルアーでも元を辿ればお手本となったルアーが存在します。 そして名品と呼ばれるルアーほどその ”お手本率” が高く、お手本とされることによってその ...

特徴

アイデンティティでもある背ビレ

最大の特徴はなんと言ってもこの背ビレでしょう。

ぶっちゃけコレがなかったらどこのメーカーか分からないwというアイデンティティの象徴でもあります。

トラップ3/4ozとの比較

ヒレのサイズもルアーの大きさに合わせてしっかりサイズアップされています。

しかしこの背ビレ、当初はただのお飾りかと思われていたのですが、使ってみるとトンでもない存在だったことが判明するのです。

ジャラジャララトル内蔵

内部は2つのパーティションによって区切られた3つの部屋に分かれており、101号室には1つ、102号室には5つのBBラトルが遊動状態で封入されています。(103号は空室)

ビルルイスではこの構造を ”Special Rattle Chamber” と銘打ち、ラトルトラップ家の血筋であることをアピールしていましたが、ぶっちゃけラトル音はおとなし目。

そもそもラトルトラップのように早いピッチで泳ぐルアーではないのでトラップと同レベルのサウンドを求めるのは酷なのですが、”ラトルトラップピーポー” を標榜するならもうちょっとだけ音量が欲しかったかも。

リップレスクランクの最終型でありながら今も王者の座を譲らないキングオブマネーベイト ラトルトラップ Rat-L-Trap / ビルルイスルアーズ Bill Lewis Lures
今日は帰国後初めての更新。 タイマー設定じゃないリアルな更新は久々ですね。 ということで帰国第一回目のゲストはアメリカが誇る騒音爆撃機ビルルイスのラトルトラップでございます。 ...

水を逃さないリップ

リップはボディとの一体成型タイプを採用。

パッケージでBuild Rugged(堅牢な作り)を謳うだけあってしっかりとした厚みのあるリップですが、エッジを斜めにカットするなど水のキレにも配慮しています。

さらにリップ前面を大きく凹ませることで水も逃さない設計。

一般的なジャークベイトはリップに受けた水をいかに後ろへスムーズに流すかに苦慮するものですが、水抵抗とがっつり四つに組み合ってしまえ!というラトルスティックのコンセプトにはむしろ新鮮さすら感じます。

しかしこれにもちゃんとした理由があったのです。

アクション

高浮力ゆえの暴れん坊

このルアーのアクションをひと言で表すなら、”高浮力の暴れん坊”。

およそミノーは思えぬ浮力と、水を逃さないリップのタッグが良い仕事をしてくれるので、水面直下でビラビラギラギラと最狂のアピールを披露してくれます。

特筆すべきはその動きが良い意味で不規則であること。

近年のジャークベイトのようにキレイな横っ飛びとかではなく、飛んだり飛ばなかったりとイレギュラーな動きなのです。

実はこれはリップに設けられた凹みの仕業。

水流を受け止めきれなくなった時にイイ感じに泳ぎが破綻するので、操作するアングラーですら予測不能な挙動が生まれるのです。

 

浮上時はシミーアクション

さらにラトルスティックは浮上時ですら気を抜けません。

強い浮力と背ビレのタッグが水面へ向かおうとするボディを揺らし、アングラーの股間に硬化剤を注入してきます。

実はこの背ビレはただのお飾りなどではなく、ボディを揺らすという仕事を与えられた存在だったのです。

ヘドンのスーパーソニック、ラッキークラフトのLV100になぜ背ビレが付いているのかが分かっている人にはもう説明は不要でしょう。

浮上時に背ビレが水流を受けることによって、ローリングアクションが増幅されるように設計されていたのです。

そしてログよりも大きな体高が生み出す強い浮力によって浮上スピードをアップさせ、ローリングアクションをサポートしていたのです。

パッケージに大きく記されたHigh Floatという文字も伊達ではなかったのです。

ルアー自体が固定ウェイトを使わずに軽いBBショットだけになっているのもローリングの挙動に入りやすくするためではないかと。

ウィードトップの友

そんなラトルスティックはウィード上でのダンスが得意。

水面下50cmぐらいまで伸びたウィードの上でリッピングしては浮かせてを繰り返すだけでバスの集中攻撃を受けることに。

いつだったか湖北大浦ではバスの歯型でルアーの塗装がほぼ全て落ちてしまうほど釣れまくったことがあります。

フックを外すのもうんざりするようなチビばっかりでしたが😂

飛べないトラップ

しかしそんなラトルスティックにも欠点があります。

それはルアーの軽さゆえ飛距離が伸びないこと。

無風ならいいのですが少しでも横風があると体高があって重心の定まらないボディ構造が裏目に出て失速してしまいます。

しかしこれは釣れるシミー浮上アクションとの引き換えだと思って諦めるしかないですね。

むしろ100%完璧なルアーよりもこういう欠点を持ったルアーの方がニンゲンっぽくてイイかも。

個体差も楽しめる

自重の話題が出たのでついでに書きますが、実はこのラトルスティックはウェイトのバラツキが非常に大きいルアーでもあります。

手元にあるラトルスティック(8本)だけでも8.9〜10.8gの差があるなど、なかなかのバラツキっぷりw

たった2gの差だと思う方もいるかもしれませんが、10gそこそこのルアーで2gの差があったら20%も違う事になりますからね。

反復横跳びで体重70kgと84kgのおっさんが俊敏性を競うようなもので、結果は火を見るよりも明らか。

しかし軽いからイイというワケでもないのがこのルアーのイイところ😁

個体によって浮上姿勢がアップライト(上向き)だったり、水平だったりとそれぞれに良さがあるのです。

泳ぎの違いは実物を泳がせて確認してもらうしかありませんが、水に入れるまでどんな特性なのかが分からないなんてガチャっぽくて楽しいですよね。

このバラツキの原因をいろいろ調べてみましたが、それはこの動画の中にありました。

 

 

動画の冒頭で作業スタッフのマリリンwがラトルボールを入れていますが、この作業のムラによってウェイトに差が出ているのではないかと。

動画はヘッドウェイト部分のみですが、メインのラトルボールは小さいので軽量スプーンを使っても数量にバラツキが出るんじゃないかとニラんでおるわけです。

バラツキ原因はプラ素材の比重違いなども考えられるので、真相はルアーを全部バラしてみないと分かりませんが、マリリンがいくら熟練工でもヤル気のない時ぐらいあるよね、と勝手に思ってます😂

ちなみにこの動画、稚拙ながらCCで日本語訳も出てくるので、アメリカンルアー好きアングラーだけでなくすべてのアングラーに早送りせずに見て欲しいですね。

あとストライクキング工場のやつもね。

余談ですが、分かってる範囲ではクロームカラーのベースであるプラ素材は比較的軽めのものが多い”ようです”。

超絶ショボいカラーリング

そしてラトルスティックはカラーリングが激ショボなのも特徴のひとつ。

ラトルトラップにはクールなナチュラル系とかもあったのにラトルスティックは簡単でクラシックなペイントカラーのみ。

この色も目を薄めて見てみればヘドンのGRAにも見えなくもありませんが、クールというにはほど遠いのです。

でも案外こういうのが一周回ってカッコ良いのかもしれませんね。

GGYになるとギルモアの仕様にハァハァしちゃうあのビヨキかもしれませんがw

ちなみにクラシックなカラー以外ではソリッドのレッドクロームやグリーンクロームもあったので、もしかしたらトラウト用だったのかも。

フックは#6サイズ

フックはすべてクローポイントの#6を採用していますが、後期モノはストレートポイントに変わっています。

スプリットリングが異様にデカいのはおそらく低重心化の意図もあったんじゃないかと。

このルアーのウリでもある浮上スピードに影響するので、フック交換の際は重量にも気をつけて。

ビルルイス家の家訓によりネームはナシ

残念ながらネームらしきものはどこにもありません。

まあ背ビレがビルルイス家の家紋みたいなものですからね。

でも名前のスペルをわざわざ【Stik】とするなどこだわりが見られるだけに、小さくてもいいから入れて欲しかったなぁ。

どこで手に入る?

そんなラトルスティックの入手はメルヤフebayなどのネット系が中心。

キイロ系ではほとんど見ることがありません。

いつだったかebayで50本ぐらいまとめて出品されてたのを落とした事があり、出品者に出所を聞いてみたところ、ビルルイスが不良在庫?を大量に処分したのを入手したと言っていました。

実はビルルイスはラトルトラップの未塗装品が大量に出回るなど、工場流出モノが多いブランドでもあるので、マメにebayをチェックしていれば格安で大量ゲット出来るかも。

おわりに

このルアーに限った話ではありませんが、見た目に対する批判を実力で黙らせたルアーはMSスラマーやホグバスターなど他にも多数存在します。

しかし実力が知られているルアーはまだまだほんの一握り。

それらはメディアで取り上げられたから認知されたのであって、一般アングラーが知らない、個人や仲間内だけでシークレットとされているルアーの方が圧倒的に多いのです。

そしてそれらシークレットの多くに共通するのは、”日本人受けしない激ショボな外見” であること。

そういったルアーを見つけ出して密かにニヤニヤするのも釣りの楽しみであることをお忘れなく。

 

 

 

 

 

 

 

 

ルアー千一夜 the Store
SNSをフォロー
ルアー千一夜
タイトルとURLをコピーしました