偶然が生んだ奇跡のスーパーシャロークランク XPSレーザーアイ”The Egg” XPS Lazer eye / バスプロショップス Bass Pro Shops

ウェイクベイトクランクベイトシャローダイバーバスプロショップス Bass Pro Shops

 

ブログ記事のリライトにあたって過去ポストを読み返してみると、自身の恥部品評会かのような稚拙な記事がずらり。

まるで小学校の卒業文集を渋谷スクランブル交差点のど真ん中で朗読させられているかのような気恥ずかしさと、よくもまあこんな事をエラそうに書いてたなという身の程知らずっぷりにほとほと情けなくなります。

2度と思い出したくない自分の黒歴史を急に思い出して、思わず あ”ーっ!と声を上げてしまうアレが3分おきに襲ってくるとでも言いましょうか、とにかくヒドい。

元の本文に加筆修正して再アップ… と思ってましたが、どう考えても加筆ぐらいで対応できるレベルじゃない。

なので今回のバスプロショップス ジ・エッグ The Eggは原文の9割以上に加筆修正を施し、ほぼ新記事としてお送りします。

以前の記事をご読んだ事がある方は既にご存知だと思いますが、このクランクベイトはいわゆる奇跡のクランクです。

バスプロショップスが展開するプライベートブランド “Extreme Performance Series”、通称XPS の一つとしてラインナップされているレーザーアイシリーズの一員であるこのジ・エッグは、元々2.99ドルのビギナーが気軽に買えるエントリーモデルとしてリリースされました。

バスプロショップスでは一応オリジナル開発を謳っているものの、そのラインナップはどっかで見た事あるようなルアーばっかりなので、一時期はパチプロショップスXPSなんて呼ばれてた時期もありました。   …てか今でも呼ばれてる?w

バスプロショップスと契約している中国の工場が「こんなの作ったけど売る気ある?」とモノを持ち込み、バスプロ側も「まぁイイんじゃない?一回出してみようか」的なストーリーから生まれたんだろうなと容易に想像できてしまうところが笑えます。

しかーし!このダサダサな外観とは裏腹に、見た目さえ気にしなければ大きな至福をもたらしてくれるクランクベイトなのです。

エッグというネーミングからもお分かりの通り、そのまんま卵型ボディを持つシャロークランクです。

マンズのワンマイナスでイイ思いをした事ある人ならばこのボディシェイプに思わず股間が熱くなるはず。

上からオリジナルワンマイナス、XPSジ・エッグ、ミッドワンマイナス。 ワンマイナスが実測27gに対してジ・エッグは22gとひと回り小さくミッドワンマイナスと同等だが、使い勝手と魚を寄せる力においてはミッドワンマイナスを圧倒する。実際ジ・エッグの破壊力を知ってからはミッドワンマイナスの出番は皆無に。

元々の出会いは2006年頃。

バスプロショップスにルアーを注文した際、なんとなく目についたこのジ・エッグを面白ネタ的についでに頼んだのが始まりでした。

でもその時は、届いた現物を見て、うっわブサイク〜!とひと笑いしてそのままボックスの奥深くに仕舞い込んだのを覚えています。

そしてコトが動いたのは2008年。

ゼアヒリズ!ベイト ThereHeIs! Baitsのジャーミーエヴァンス Jeremy Evansと一緒に釣りをした際、使い込んでボロボロになったジ・エッグを彼のボックスで見つけたのです。

あーコレ持ってるけど投げた事ないと言うと、ジャーミーは「これ安いのにすごく釣れるよ。友達もみんな持ってる。」と。

ふーん…そうなの? と借りて半信半疑で投げてみたところさあタイヘン!

その泳ぎ、サウンド、そして外観からは想像もできないパフォーマンスに、うっわ!なんじゃこりゃ!とアゴを落としてしまいました。

そんなスゲーものを見ちゃったらすぐに使いたくなるのが哀しいルアオタの性、その後に予定していた釣行の為にもソッコーでバスプロショップスまで車を飛ばしたのは言うまでもありません。

このルアーの凄いところを挙げ出すとキリがないのですが、なんと言っても筆頭はその動きでしょう。

ラインアイとフロントフックハンガーの中間点を支点とする大きなウォブルロールは、30mmの全幅を持つワイドファットボディに蓄えた強大な浮力を持て余しているかの様な弩級のブリブリ系アピールアクション。

当然、このダイナマイトボディが生み出す水押しと引き波も強力で、同サイズのウェイキング系サーフェスクランクでこのジ・エッグと真っ向勝負できるのはマンズのワンマイナスぐらいと言っても過言ではないでしょう。

しかし大きな引き波を出すだけのクランクならきょうびどこにでも転がってます。

ジ・エッグが他のウェイカーと違うのは、スローはもちろん超ファーストリトリーブでもあらゆるスピードで安定して最大のパフォーマンスをキープしてくれる事。

ファット系、特にウェイクベイトと呼ばれるクランクベイトには、スローではちゃんと水面キープできるけど動きがイマイチだったり、速巻きではトビウオになってしまったりと、ベストなパフォーマンス状態をキープできるスピード域が狭いものが意外と多いんです。

ところがこのジ・エッグは一見頼りなさそうなリップが絶妙なバランスなのか、デッドスローから超ファーストのバーニングまであらゆるスピードで最高のパフォーマンスを見せてくれるのです。

そんな夢のような安定性を持ってるのに、動き出しのレスポンスがとにかくイイのもこのジ・エッグの良いところ。

橋脚や護岸にガシガシぶつけてもビクともしない極厚プラの鎧を着ているのでお世辞にも軽量ボディとはいえないはずなのに、リトリーブと同時に素直に立ち上がる泳ぎは特筆に値します。

感覚的には、30-40mmクラスの小粒ウェイクベイトの機敏な動き出しにも負けてないんじゃないかと。

これはアシ際やオーバーハングなどプロダクティブゾーンが狭いスポットでとても重宝するパフォーマンスですよね。

この辺りは、泳ぎ出しにもっさり感が否めないワンマイナスとの決定的な違いです。

まあワンマイナスはワンマイナスでその泳ぎ出しの鈍さをカバーして余りある程のアゴ落ちポイントがあるので、それはまた別の機会に。

スーパーシャロークランクの開祖にして未だオンリーワンの実力者 ワンマイナス 1 Minus / マンズベイトカンパニー Mann's Bait Co.
どのルアーカテゴリーにも言えることですが、最初に原型となるモデルを発売してその実力が広まると、そのルアーはカテゴリーの開祖として長きに渡って語り継がれることになります。 ペンシルベイトの開祖はザラゴッサだったり、ブレーデッドス...

そしてこのジ・エッグは音もイイ。

この手のウェイカーはボディに大量のラトルを封入してジャラジャラサウンドを演出するものが多いのですが、これは重量級ラトルボールが発する低音のゴトゴトサウンドの一択。

しかもボディの分厚いプラスチック素材との相性抜群で、ラトルルーム内の移動距離は決して大きくないのにも関わらず、強くボディを震わせる衝撃波を生み出してくれています。

ラトルサウンドのフィーリングを文字で表現するのはなかなか難しいけれど、サウンドが似ているルアーを挙げるとすれば、ノーマンルアーズのDD22に近いかな? アレのラトル音を低くして、かつプラ素材をちょっとだけ硬質にした感じ。

いずれにしても低音ラトル大好き派が振ったら、あー!これこれ!となるのは間違いありません。

さらにさらに。

このルアーは意外にも、スナッグレス性能が高いのです。

屹立したリップが前のめり挙動を生み出してくれるのと、大きなボディ幅がしっかりとフックポイントをカバーしてくれるので、クランクを撃つには躊躇してしまいがちなブッシュやレイダウンなどのスポットでもスルスルとすり抜けてくれます。
オーバーハングの一番奥に撃ち込んだらまずはチョコチョコとテーブルターン。反応がなければそのままブッシュの間をグリグリ巻くなど、ワンキャストで2度も3度も楽しめるのです。

そしてなによりも、コイツったらウェイクベイトなのに千鳥るんです。

しかし千鳥ると言っても、軌道が左右にフラつくという類いの千鳥アクションではなく、リトリーブしている最中にフラッ!と一瞬だけ横に移動するイレギュラーで特殊な動き。  

一定の速度で巻いていると一瞬だけ引き波が乱れたり、巻き抵抗がフッ抜ける瞬間があるので良く分かります。

実はこの瞬間にバスが出る事が多いんです。 

コイツを使いはじめて10年以上経ちますが、バイトはそのフラッ!の直後がほとんどです。 

多分縦扁平になってるボディのヒラ打ち的アピール効果もあるんでしょうね。

しかしこのフラッ!は意図して造られたものではなく、ボディとリップのバランスが詰め切れていない事に起因する偶然の産物。 

その証拠に、このイレギュラーアクションを意図的に出そうと思っても出せません。 

その動きさえ出ればバスが反応してくれるのに、それが出来ないもどかしさったらもう!  

その動きが出てくれるのをひたすら待つしかありません。

どうです?こんなのがたったの2.99ドルなんて奇跡でしょ?
(現在は3.99ドルに値上げされてます。たった1ドルの値上げですが一気に25%もアップするなんて一体どゆこと?)

事実、そのミラクルっぷりはBPSサイトのレビュー欄に絶賛の嵐が吹き荒れている事からも納得できます。

安いからロストを恐れずガンガン攻められる、でも高性能だからガンガン釣れるってもう売れるルアーの黄金律そのまんまですよね。

でもいくら名前がエクストリームパフォーマンスだからと言って、この優等生が狙って作られたとは到底思えない。 

どんなに贔屓目に見てもそうは思えないw

たまたま工場から上がってきたものが偶然にも神レベルのバランスだった、としか言いようがないんです。

だって、バスプロショップスのプライベートブランドにはまだプロフェッショナルシリーズという、6.99ドル ”も”する高価格帯のラインナップがあるんですよ?

もし最初からこの高性能を狙ってデザインしてたんだったら、絶対そっちのラインに入れてるはずですよね?w

でも実際売られてるのはミドル価格帯のレーザーアイシリーズ。

もしかしたら当のBPSですらこのルアーの秘めたるポテンシャルに気付いてないのかもしれません。

余談ですが、XPSシリーズにはこのレーザーアイよりもさらに安い、トゥーニースペシャル Tourny Special という廉価版の中でもさらに廉価版のラインナップが存在します。

店内のバーゲンビン Bargain Bin つまりセールワゴンで販売される2ドル弱のもので、見た目はレーザーアイシリーズ以上に激ショボですが、その中にも使えるヤツがいたりするので侮れません。

さてさて。そんなナイスなところばかりに思えるジ・エッグですが、残念ながら両手放しで全部褒めちぎる事ができないXPSシリーズ特有の宿命も背負ってます。

それがこの激ショボな造形と、これまた激ショボな塗り。

見てくださいよこのヒレの造形を。 もうほとんどオットセイのヒレですよねコレ。

もう笑うしかないこのカラーはXPSシリーズ伝統のブリーディングシャッド。

この赤いのは血なんかーい!というツッコミが聞こえて来そうです笑

考えようによっては、こんな安っぽいルアーで爆釣して仲間にエッヘン!するための萌えギャップ仕様なんだと思えば我慢できなくもないんですけどね。

実は最初はこのカラーのショボさを鼻で笑ってましたが、この色でイイ魚を釣った途端にスーパーラブリーなカラーに昇格し、今ではXPSシリーズでこのカラーを着たルアーは全部確保するほどの大ファンになってしまいました。

このブリーディングシャッドはデビュー当時からずっとカタログ落ちしていない色なので、もしかしたら同じ魔法にかかった人が多数いるのかもしれません。

そしてお次のXPSのお約束は、フック、リングのコンポーネント系がどうしようもなくダメな事。

これは価格ゆえに仕方ないんでしょうけど、デフォルトで装備されてるリングとフックは交換必須の超安物です。

画像のものは既に交換済みですが、スプリットリングはワイヤーをカットした後の断面処理がされてないのか、ギザギザのままのものがあったり、フックポイントが甘いのはお約束で、形が不揃いのものが装着されてたりと期待通りで安心安定のチーピースタッフ。

デカいのが来る可能性が高いルアーだけに、実際の使用ではエエやつを奢っておきたいですね。

ちなみにラインアイのリングは取り去ってしまってしまった方がトゥルーチューンのしやすさからもオススメですね
さてさて、ここまでジ・エッグについて長ーい推薦文を書いて来ましたが、ここでちょっとだけのんだくれが実戦投入しているモノを紹介。

これは太軸フックに交換したガチでデカいのを狙うためのもの。

これを日本で使うことはほぼありませんが、アメリカは住宅街のど真ん中にある様な噴水が噴き出してる公園池でも10lberが出る可能性がアリアリなのでこれを投入してます。

10lberとまではいかないけど、そこそこのサイズにフックを伸ばされた苦い経験からのフィードバック。

太軸のフックを背負っても泳ぎが変わらないというのもこのジ・エッグの良いところです。

そしてもうひとつは、ワンフック&ブレード仕様。

これについて説明し始めたらエンドレスになるので詳細は割愛しますが、リアフックをブレードに交換することによってウォブリングアクションが大きくなるだけでなく、首振り時に後方にプチュッとギルが出す様な飛沫を演出できます。

そのためのブレードはインディアナにウェイトを追加した上でリングではなくPEで直結し、スイベルもブレードが回転しない様に内部を瞬間接着剤で固定。 

ブレードが回転するとリトリーブの際に必要以上に水を掴んで泳ぎを殺してしまうからです。

ホワイトブレードを使用しているのは潜らせて使用する時にピラピラして水中のルアー位置が把握しやすいから。

よくあるシルバーなどのクローム系ブレードは水質がクリアならともかく、濁りの入った水やローライトな状況ではインジケーターとしてはちょっと力不足です。

フェザードフックは激しいアクションでもフック位置を安定させるためと、ファーストリトリーブでも水から飛び出さない様にするスタビライザー的なもの。

これらのモディファイに関してはヲタっぷり炸裂ですが、何年もの試行錯誤で行き着いた仕様なので使えそうなルアーがあったら是非マッチングを試してみてください。

てな具合でジ・エッグについて延々とノーガキを垂れてきましたが如何だったでしょうか。

そういえばバスプロショップスのカタログにはヒジョーに面白い読み方があるので、機会があったら紹介しましょう。

それを知ったらバスプロカタログが手放せなくなるのと同時に、バスプロのダークサイドが見えてきて、カタログのあちこちから『そーだったのか!』なネタが拾えるようになりますよ

 

 

コメント
*2011年の投稿時にいただいたコメントをそのまま掲載しています)

 

1. かんちゃん  January 21, 2011 20:32
どっかのショップで見たことあるような…いつも買おうかやめようか考えて、やっぱりやめちゃうような…
今度出逢ったらデートにさそいます


2. とびっく January 21, 2011 21:21
こんばんは(・∀・)ノ  またイイ話ありがとうございます! 
XPSのネームがなかったら「またチャイナのパチか」ぐらいでスルーしますね(笑)しかし釣れると聞いては気になります。 
そーいやグリフォンをデッカクしたようなルアーを見かけましたがネーム無しだったんで「パチだろ!」でスルーしましたが意外に釣れるルアーなのかも


3. Lagoonist28号  January 22, 2011 02:04
面白そうなクランク・・・と思って、読んでましたが、「BPSカタログの面白い読み方」の方が、すごく気になってきました(笑)
勝手に送られてくる(買い物をしたから・・・という説もある(笑))ので、家のあっちこっちに大量にあります。
ぜひ、その「面白い読み方」ご教授ください。


4. ドバヤン  January 22, 2011 21:49
5XPSでベンドミノーのリアルシャッド版で本体と尾ひれがジョイントのヤツを買いましたが,のんだくれさんの評価はいかがですか?私の評価は『???』ですが。何のルアーなのかよく解りません。パッケージの裏にカラーセレクターの開発者の人が印刷してました。

5. のんだくれ  January 23, 2011 00:45
かんちゃん
外見だけ見たら誰もがそう思います。
のんだくれも最初はそうでしたから。(爆)
でも女の子と同じで、あんまり可愛くないヤツに限って長ーく良い関係でいられるもんです。(笑)



6. のんだくれ  January 23, 2011 00:50
とびっくさん
グリフォンのパチって結構沢山出回ってるんですよねー。
ココのルアーなんてその最たるものです。(爆)
http://shop.laserlure.com/category.sc;jsessionid=A11EECFAD000315E5E6379366BAE0F7A.qscstrfrnt03?categoryId=13
しかしパチの中にもグリフターのようにシビれる物もありますから、
チェックは欠かせません。(笑)



7. のんだくれ  January 23, 2011 00:53
Lagoonist28号さん
バスプロのカタログとその背景は、知れば知るほど面白いですよ。
ジョニーモリスの手から離れたバスプロショップスはいろんな意味でアメリ カの縮図です。
さすがはユダヤ人商売。 スキがありません。
分かりやすいデータをピックアップしてから記事書きますねー。

 

  1. のんだくれ January 23, 2011 01:03
    ドバヤンさん
    ベンドミノーのリアルシャッド版… ???
    それ、持ってないですわ。
    カタログ見に行ったんですが、どれか分かりませんでした。
    うわーなんか気になるー!
  1. チョプス May 02, 2011 03:54
    のんだくれさん、おはようございます。いつも拝見しておりますが初めてのコメントです。 以前ジエッグを注文させていただいた川崎のチョプスと申します。 昨日このジエッグで48センチを筆頭に40アップを4本釣りましたよ! アフターで痩せていましたが他が沈黙する中で一人だけおいしい思いをさせていただきました。 ありがとうございます。 今後もマニアックだけど釣れる海外ルアーの紹介をたのしみにしています。 お体には気をつけて頑張ってください。 重ね重ねありがとうございました。

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