動きや音がイマイチなルアーでも、フックやパーツを替えるだけで劇的に好みになるルアーってありますよね。
中にはフックを替えるだけで泳がなくなるデリケートな物も有るので、全てに当てはまるとは言えませんが、とりあえずやってみる価値はあります。
そんなビフォーアフターが楽しいルアーの代表が、このジャーキンサム。
かつてルーハージェンセンの水面部隊で名を馳せたレンジャーのひとりです。
このジャーキンサムは最近でこそ見なくなりましたが、一時期は中古屋の定番で格安要員だったので、持ってない人でも一度は目にしたことがあるでしょう。
めぼしいモノが見つからず、手ぶらで店を出るには気が引ける時にとりあえず連れて帰るのに役に立つ存在でした😁
ジャーキンサムは4インチ、1/2ozのオリジナルザラスプークとほぼ同寸のウッド製シングルスイッシャーです。
ジャーキンサムにはこの他に1ozのマグナムや対ピーコックバス用のビッグゲームジャーキンなどがありますが、タックルを選ばないこのサイズがバスフィッシングにはジャストライト。
しかし正直なところ、のんだくれはこのルアーに関してイマイチな印象しかなかったんですよね。
その理由は、このルアーの製作意図がつかみ切れてなかったから。
スイッシャーとしても、ペンシルベイトとしても、ポッパーとしても、はたまたスプラッシャーとしても中途半端で、わざわざこれを投入する意味が見いだせなかったからなんです。
それはオリジナルモデルを見れば一目瞭然。
小さめのペラにフェザーを装備したデフォルトの状態だと、あれこれ欲張り過ぎていてスイッシュサウンドもスプラッシュも首振りも全てが中途半端なのです。
しかし、とある中古のジャーキンサムと出会ったことでのんだくれのジャーキン愛が目覚めてしまうのです。
元のコンセプトをガン無視したチューンが不憫で連れて来てしまった。
330円じゃボスペラも買えないね😩 pic.twitter.com/hLFAyO3NHr— のんだくれ@ルアー千一夜 (@lure1001) February 9, 2021
それは無理矢理前後にボスペラが装着されたジャーキン君でした。
おそらく前オーナーもこのルアーの中途半端さを感じてたんでしょうね。
変化を期待してイジったものの、思うようには変身してくれず、着地点すら見失ってそのまま売り飛ばした感じがありありと伝わってきます😭
その姿があまりにも不憫だったのと、手ぶらで店を出る事に気が引けたので連れ帰ってきたのですが、ちょっとイジってみたらこれがめちゃくちゃ良くなったんです。
のんだくれがやった事は、一回り大きなメタル製プロップに変えただけ。
たったこれだけ。
これだけでめちゃくちゃナイスなジャーキン君に変身してくれたのです。
本当はショボいアルミペラとフェザードフックを装着してオリジナルの状態に戻そうと思ったんですが、あいにくアルミペラが見つからず、たまたま余ってたメタルペラを装着しただけなのですが、これがすこぶる相性がイイのです。
ペラを変えたことで劇的に変わったことの一つは、スプラッシュの範囲が比べ物にならないほど拡大したこと。
オリジナルのアルミペラは軽量で立ち上がりは良いのですが、音もスプラッシュも小さいんです。
しかしプロップに変えたことでスプラッシュを広範囲に、しかも遠くへ飛沫が飛ばせるようになり、イエローマジックと互角の勝負ができるように。
でもここまでの変化はある程度分かっていたというか、想定内でした。
スプラッシュ増よりも驚いたのは、首振りの運動性能が飛躍的にアップしたこと。
プロップの重量がアップしてほんの少しだけケツ下げのバランスになったことで、ドッグウォークのレスポンスが大幅にアップしたのです。
ジャーキンサムはフロントフックが前よりに設置されていることからもわかる通り、首振りを意識して作られたものではないのですが、プロップを装着することでバランスが変わってナイスな犬歩き野郎に進化したのです。
これはスタビライザーとして装着されていたフェザーフックが無くなったことで水の抵抗が減り、さらにプロップが首振りに有利なカウンターウェイトの役割を果たしているのではないかと。
そしてケツ下げ姿勢は、ラインアイの喫水位置にも好影響をもたらしました。
ノーマルのジャーキンサムは水面の皮一枚をすくうようにダイブしてジュブッ!となるのですが、ケツ下げになったことでカップの上唇が水面から出る形になり、ダイブせずに水面だけで踊れるようになったのです。
ジャーキンサムは元々そういう仕様なのでそれが良いとか悪いとかではないのですが、やっぱり誰にも好みの動きってあるじゃないですか。
それにドンピシャだったのです。
しかも喫水線が下がったことで首振り時のサイドスプラッシュも増幅されて、オリジナルとは全く違うレベルのスプラッシャーに。
そしてそして、ロッドティップを水に突っ込むように煽れば、チャガーも真っ青の捕食音も出せちゃうんです。
ペラを替えるだけという超シンプルなモディファイなのに、なんで今までこれをやってなかったのか!と後悔するほどの進化だったのです。
これを機にジャーキンを探す日々が始まったのはいうまでもありません😂
自然素材特有の浮力のバラツキはあるでしょうが、ウェイトで微調整できる範囲なのでやらないテはありませんからね。
リグはルーハー伝統?の埋め込みカップが採用されています。
ここではスプリットリングを介してますが、オリジナルでは上の画像のようにヒートン直結となっています。
しかし腹にネームプリントが入ってないのはダメですね。
ジャーキンサムには腹にネームプリントが入ったモデルもあるんですが、ネームの有無が製造時期に起因するものなのか、それともモデルによるものなのか、はたまた担当者の気まぐれなのかは謎。
個人的には90年代のバスオレノやニップアイディディのようにドットプリントで入れて欲しかったんですが。
しかしジャーキンサムというネーミング、”サムグリフィンがデザインしたジャークベイト” であることを見事に表していますよね。
名は体を表す、をそのまま実践したかのような素晴らしいネーミングです。
でもこのネーミングには米人の好きなダブルミーニングというか、何か別の意図が込められているような気がしてならないんですよね。
だって、Jerkにはスラングで最低な奴って意味もあるんですもん。
このルアーをデザインしたサム・グリフィンはルーハージェンセンを辞めて今は Custom Lures By Sam というブランドを立ち上げているので、ちょっと質問メッセージ送ってみようかな😁
ちなみに最近(といっても4年前ですが)のサムの近影はこちら。
ルアービルディングのレジェンドとしていつまでも元気でルアーを作り続けて欲しいものです。
古い雑誌を整理してたらタイミング良くサムが載ってました。
2017年の業界紙ですが、特集が組まれるほどのレジェンドだということがよく分かりますね。 pic.twitter.com/vrObB70cVj— ルアー千一夜☆公式 (@lure1001) March 29, 2021
同じようなスピンドルシェイプをもったシングルスイッシャーにバグリーのダブルオーセブンスピナーがありますが、パフォーマンスの点では圧倒的にこっちの方が上になりました。
しかしペラ一枚変えただけで思い入れが180度変わっちゃうなんて、我ながら節操ないなー😅