素人ちっくな造形だがナニゲに使えるカリフォルニアデルタ生まれのバズベイト グラスバーナー Grass Burner / エボリューションベイツ Evolution Baits

エボリューションベイツ Evolution Baitsスイッシャーバズプロップバズベイト

 

仕事柄、海外のメーカーやビルダーから売り込みを受けることがよくあります。

俺んとこのルアーを日本で売ってくれよ、というアレです。

最初にメールでお伺いを立ててくる事もあれば、いきなり商品を送りつけてくるケース、過去には “今トキオに居るんだが今晩会えないか?”と、身勝手なオファー(誰かに突キャン喰らった?w)をされた事も。

今日紹介するエボリューションベイツのグラスバーナーは、そんなやり取りの中で第三種接近遭遇した事があるルアーです。

 

 

何年か前、タックルウェアハウスのサイトを見ていたら、見覚えのあるルアーが売られていました。

それがこのグラスバーナー。

良くあるタイプのインラインバズベイトですが、フラットなヘッドに大きなグラスアイという特徴から、もしやと思い調べてみたら、過去にビルダー本人から売り込みを受けていたモノで、思わずポチってしまいました😅

一番最初にこのルアーと出会ったのはサンノゼ近郊に住む友人の家。

西海岸への出張の際は彼の家に泊まるのがいつものパターンなのですが、バスプロでもある彼の家には多くのプロや業界関係者が出入りしており、そこで開かれたBBQパーティに現れた一人の男が話の始まりでした。

男の名はブラッド・コヴァルスキー。

こんな写真しか無かったw

ポーランド系アメリカンの彼はカリフォルニアデルタをホームにするビルダーですが、どこかでのんだくれの事を聞きつけて売り込みにやってきたのでした。

俺は長年ルアーの製作をやってる。いくつかの作品のアイデアをメジャーブランドに買い取ってもらったこともある。俺のルアーは日本でも必ず通用するからお前の会社で販売してくれないか。日本用にカスタムメイドしてもいい。というお決まりのセールスでした。

そしてこれがその際に見せられた作品の一部。

 

 

良くも悪くも独特なセンスwのオンパレードなので取り扱いたいと思いませんでしたが、この中に有ったのが後にグラスバーナーとなるプロトタイプでした。(写真を撮ってなかった😅)

ブラッドとはその日以来、一度も会ってないし話もしてないのでどういう経緯でエボリューションベイツで販売することになったのかは分かりませんが、ブラッドが売り込んだか、もしくは誰ががブラッドにアプローチして製品化されたことは間違いないでしょう。

 

 

ご覧の通り、グラスバーナーは大きくフラットなヘッドに2本のトレブルを装備したヤル気満々のバズベイトです。

一般的な二股ワイヤーのバズベイトと違ってインライン形状のバズベイトは飛距離が出しやすく広範囲を探るのに適していますが、ヘッド位置の関係で二股ワイヤーのバズよりもフッキング率が悪いと言われています。

そこでショートバイトやミスバイトを2本のトレブルフックでがっちりカバーしようというのがこのグラスバーナーのコンセプト。

 

 

バズブレードはバイブレーション重視のオフセットを採用。

軸とブレードの距離が一般のものよりも大きく設計されているので、回り始めるとグワングワンとなかなかのバイブレーションを発してくれます。

このあたりはフレッドアーボガストのスパターバグやバズプラグのブレードに寄せたんじゃないかと勝手にニラんでますが😁

 

笑った者が泣きをみる!バスを釣るための要素を徹底的に突き詰めた超絶パフォーマー バズプラグ Buzz Plug G905 / アーボガスト Arbogast
”セールスコピー”によって過小評価されているバズプラグ ルアーのプロモーションにはつきものである "世界初" とか "○○ができる" というセールスコピー。 例えば、巻くだけで千鳥るクランクベイトとか、ロッドをチョンチョンす...

 

軸となるワイヤーは1.5mm径のものをテールまで通したスルーフレーム構造。

ラージマウスにはオーバースペックですが、カリフォルニアデルタはメータークラスのストライパーも出るフィールドゆえの安心設計となっています。

 

 

フックはフロントが#4、リアが#2とサイズを変えてあるんですが、なぜフロントが小さいのかは謎。

そのフラットなヘッド形状ゆえ揚力も大きく、水面キープするのがラクなルアーなのでリアと同じ#2サイズにしても問題ないような気もしますが、なにか思うところがあるんでしょうね。

 

 

スカートはレイヤードカットのシリコンスカートを採用。

個人的に長いスカートはあまり好きではないので、使用する際にはフックのベンドギリギリでカットしちゃいますけどね。

肝心の使用感は、デザイナーの思惑通りの水面滑走者。

ウィードが水面まで伸びきる前の美味しい時期を思う存分楽しめる仕様になっています。

発泡樹脂の長所を生かした軽すぎず重すぎない巻き心地はもちろん、サーチベイトとしては十分のウェイト、何よりもゆっくり巻けるのは大きなアドバンテージ。

フックがトレブルなのでウィードなどには弱いのですが、大きく横に張り出したボディがバンパーの役目をするので立杭などにガシガシ当ててもスタックせずに戻ってきてくれます。

バズベイトでもスイッシャーでもない中途半端な感じですが、見た目よりはかなり使える奴に仕上がっているのです。

 

 

とまあ、ここまではよく考えられてるなーという感じだったんですが、ダメダメなのはココ。

ヘッドの上部が完全なるのっぺらぼうで、一体どうしちゃった?状態になってるところ。

確かに機能的にバスから見えないので作り込む必要はないかもしれないけど、ここまで潔く仕事を放棄されるとちょっとねぇ😁

しかもネームも何も入ってないというのが大きなマイナスポイント。

せっかくこんな大きなキャンバスとグラスバーナーというカッチョいい名前があるんだからバーンとネーム入れて欲しかったなぁ

 

 

一緒に写ってるルアーはその時にブラッドがくれたギル型フラットペンシルですが、ブルーギルでもこういう作風だということは、外観やカラーリングにはあまり執着しないタイプなんでしょうね。

 

 

あ、ギルの方には一応ネームというかサインは入ってますw

 

 

とまあこんな具合に、良くも悪くもアメリカンなブラスバーナーはエボリューションベイツのデビュー作というか、スターターアイテムとなったワケですが、残念なことにこの後が続かないんです。

エボリューションベイツのSNSを見ると2018年にグラスバーナーのダウンサイジング版をリリースする旨の告知はされているのですが、その後リリースや更新がないところを見ると、おそらく廃業したのではないかと。

ルアーとしてはなかなかイイ出来なだけにちょっと残念な気もしますが、沢山の新興ブランドが出ては消えてというのもアメリカ釣り業界の常。

新陳代謝である事を思えば、これも仕方ないのかもしれませんね。

 

余談ですが、事業の撤退も含めてすぐに倒産するアメリカのルアーブランド/会社の見分け方をお教えしましょう。

それは、

①パテント取得したルアーを第一弾として発売したブランド

②ルアーの名前をそのままブランドや会社の名前にしているところ

この2つの条件が揃ったブランドは大手の資本が入らない限り、ほぼ間違いなく2年以内に、早ければワンシーズンで消えます。

そう考えると、今生き残ってるルアーブランドの凄さがよく分かりますね。

 

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