人気ルアーになると必ず出てくるサイズ違いや派生モデルなどのバリエーション展開。
メーカーは ”状況に合わせて…” というけれど、実際のところ明確な使い分けをしているアングラーはそれほど多くありません。
ほとんどは気分やタックルによってという、魚を釣るという目的とはちょっと違うところで決めているというのが現状でしょう。(自戒)
しかし今日紹介するプロップのように各サイズの特性を突き詰めると、釣果にも大きな変化が表れるのです。
チマチマプロップGEとは
チマチマプロップGE(以下チマプロップGE)はズイールが2002年にリリースしたチマチマプロップのGE(グラスアイ)バージョン。
レギュラーモデルのプロップにはグラスアイが標準となっていますが、チマチマサイズは標準がペイントアイなので、チマチマプロップのアップグレード版といったところでしょうか。
このGEシリーズは他にもアンカニーやテラー、ゲイリーウィッチなどズイールの金看板を背負ったチマGEがリリースされたのでお持ちの方も多いことでしょう。

チマプロップGEのサイズ・重さ
チマプロップGEのサイズは全長55ミリのミニポッパー。
メーカー発表値では自重5/16oz (8.8g)となっていますが、実測では10.8gとアバウトな平常運転です。
レギュラーモデルのプロップ3/8ozも実測では12.5gとアバウトなので、重量表記は最初から気にもしない事がズイーラーへの第一歩です。
チマプロップGEの特徴
大型カップとスピンドルシェイプボディ
このルアーの特徴は大きなカップと急テーパーで絞り込まれたテールを持つスピンドルシェイプです。
見た目通りの ”プロップシェイプ” なので、ほとんどのアングラーからはチマプロップにグラスアイ付けただけでしょと冷ややかに見られていましたが、実はコイツったらとんでもないモンスターなのです。
チマチマなのにチマじゃないカップ

プロップ3/8ozとチマプロップGEのカップ
そのモンスターっぷりが伺えるのがこのカップです。
チマチマを謳っておきながらもカップの大きさがレギュラーモデルよりも大きいのです。
そしてエッジもレギュラーより薄く作られています。
それだけではありません。
カップの深さもレギュラーより深く掘られているのです。
これがアクションにどう影響するかは後述しますが、ざっくり言うと、”レギュラーモデルよりも小さいのにカップはデカい” という異色のモデルなのです。
チマプロップGEのアクション
アクションは典型的なポッパーのそれ。
ズイールが”正統派ポッパー” と謳うだけあって、ペチ… からゴボォォォンまであらゆる音量のポップ音が楽しめます。
もちろん首振りのイージーさは言うまでもありません。
これらはどのサイズのプロップにも共通の要素ですね。
しかしこのチマプロップGEならではのパフォーマンスがあるのです。
それはカップからバブルを吐き出しながら大きくウォブリングするアクション。
ポコポコでもゴブゴブでもない独特のサウンドと共にバブルを撒き散らしながら水面直下をまるでウェイクベイトのように泳ぎます。
実は他のプロップでも同様の動きをするのですが、中でもチマプロップGEはクランクベイト並にアクションの立ち上がりが早くて泳ぎが大きいのです。
これはエッジが立った深く大きいカップがあるからこそ出来る芸当で、ショートボディであることもウォブリングしやすさに寄与しています。
そして水を押す感じがチマチマサイズとは思えない抵抗感。

チマゲイリーGEとチマプロップGE
同じチマチマGEシリーズのゲイリーウィッチも強く水を押すプラグですが、ゲイリーのラインアイはカップの上部に設置されていてカップ自体も大きくスラントしており、下方に抵抗を受け流す感じ。
それに対しチマプロップGEのラインアイは水の抵抗を真正面から受けるどすこいタイプ。
もうこれだけで強い水押しとウォブリングは約束されたようなものです。
チマプロップGEの使い方
そんなナイスな特性を持っているなら、ゴボゴボ泳ぎさせなきゃもったいない!
使い方は30cm刻みのストップ&ゴー。
カップに蓄えたエアを吐き出し切ったら息継ぎのために一旦浮かせてポーズ。
そしてまたゴボゴボ… を繰り返すだけ。
アクションの立ち上がりが早いので助走距離が要らず、小さなスポットでも細かく刻めるため、護岸沿いやウィードエッジなどストレッチが長くバスの付き場が絞りにくい場合でもクランク感覚で巻き倒せるのです。
時折首振りやポップ音などのネチ要素も絡めたりもしますが、9割以上はストップ&ゴーに徹します。
首振りで食わせたいなら先述のチマゲイリーGEを始めとした首振りに秀でたルアーを投入すれば良いので、このチマプロップGEでは巻きに徹します。
だってバブルを撒き散らしながら泳ぐウェイクベイトなんて他に無いんですよ?
このパフォーマンスを前面に押し出して使わなくてどーする???
…と、ここまで書くと、ゴボゴボ泳ぎは自身で開発したかのように聞こえますが実はコレ、友人のズイーラーに見せつけられてその威力を知ったという全くの受け売りw
そいつと釣行した際にこのゴボゴボ泳ぎでめちゃくちゃ釣られたので、マネしたら釣れるようになったというだけなのです。
でも逆に言えばたったそれだけで釣れるようになります。
つまりテクが無くてもマネすればすぐに釣れちゃう超イージーなメソッドなのです。
その時はまだGEモデルが発売されていなかったためBチマを使っていましたが、GEでやってみたらそのパフォーマンスの高さにナニコレ!!😍となったというワケ。
どうです?やってみたくなったでしょ?😁
カラーは実績十分なMP
カラーはズイールの定番中の定番、MP(メタリックパープル)
パープルとゴールドのシンプルなコンビネーションなので、ともすると地味にも見えてしまいますが、ズイーラー必携とも言われているほど良く釣れるカラーです。
”曇りに強い” というのがこのカラーのウリになっていますが、個人的には全天候/全水質対応の無敵カラーでコンフィデンスカラー。
というのも、同系色であるCCMQカラーのオリザラでめちゃくちゃ釣ってるので、どんなにタフな時でも信頼して投げ続けられるのです。

ルアーのカラーにはあまりこだわりませんが、過去に実績があるルアーは思い入れがある分だけ長く投げ続けられるので、水面の釣りでは大きくプラスに作用しますね。
しかしズイールのカラーはホント考えられてますよね。
ズイールはONY(=オサムが塗ったやつ)などカラーコードで遊ぶ傾向があるのであんまり考えてなさそうに見えるけど、実は釣れる色の要素がちゃんと盛り込まれてて、それに気付いたハンドメイドビルダー達が震え上がるという恐怖のシナリオが隠されていることでも有名。
実はめちゃくちゃ研究してるのに、それを表に出さないブランドなのです。
アレですよ、試験前に ”どーしよーオレ全然勉強してねぇ” と言いつつ、ちゃっかり100点取っちゃうイヤなヤツとおんなじですw
ズイール謹製ダブルフック
フックはズイールのトレードマークでもある、シャンク長めのクローポイントダブルフックを採用。
これ汎用フックに交換すると違和感アリアリなんですよね。
そろそろストックが少なくなってきたのでスペアを補充したいところです。
これ当時はどこのフックメーカーが納品してたんでしょうね。
ちなみにダブルフックで釣ったことがない人が見ると本当にフッキングするのか心配になりますが、一度使うとそれが杞憂だと分かります。
リグプレートとステンシルのダブルネーム
ネームはリグプレートの刻印と腹に吹かれたステンシルパターンのダブルネーム。
でもズイールルアーのお約束で、使ってるうちに塗膜が剥がれてネームがなくなるという先天的疾患を抱えています。
このMPはここぞというところでしか使わないのでまだネームは生きながらえていますが、頻繁に使う先出のチャートライムのネームはもう消失してしまってます😭
ネームオタにはちょっとつらいところですね。
ちなみにプロップというとどうしてもプロペラの方を想像してしまうのが我々ニポーン人ですが、こっちのプロップPlopはドシンとかドカンとか重量物が落ちたり当たったりした時の状態を表します。
よって、この場合はゴボン!という水中に深く響くポップ音にインスパイアされて名付けたのではないかと。
なので、プロップ Plop なのにプロップ Prop が付いてない!などと騒ぐのはアウト。
ホッパープロッパーやチョッポなどの総称である ”プロップベイト” もこっちのPlopなので以後お見知りおきを。


おわりに
ひとことでサイズによる使い分けと言っても、アングラーの考え方やスタイルによっても大きく変わります。
なので答えは百人十色。正解はありません。
しかし自分が決めたルールがあるだけで、釣れた後の反芻の味わい度も大きく変わってきます。
そしてそれが則さんが放った名言 ”一尾の魚とどう関わるか” であり、アングラーのこだわりなんですよね。