待ちに待ったデプスのイヴォークゼロが発売になりました。
シングルウィングプロップベイト好きののんだくれはハァハァしまくりです。
まだゲットもしてないのにw
転売ヤーも暗躍するだろうからすぐに入手できるとは思いませんが、手元に来てくれるまで気長に待つこととしましょう😁
さてさて。
そんな具合にイヴォークゼロに思いを馳せていたらプロップベイトについて書いてみたくなりました。
ということで今日はバスフィッシングにシングルウィングプロップベイトの概念を定着させたと言われているホッパープロッパー130についてノー書きをタレてみたいと思います。
これから読もうとする方々にこんなことを表明するのはアレですが、今日の千一夜は画像の数も含めて史上最長の巨篇となりますので覚悟して読み進めてくださいw
ホッパープロッパーとは
ホッパープロッパーはリバー2シーが2013年に発表したルアーです。
ダールバーグダイバーフライの考案者として知られるラリー・ダールバーグ Larry Dahlburg氏が個人用に製作していたルアーがベースになっています。
ルアーの原型は1930年代に出来上がっていた
しかしシングルウィングプロップベイトの概念自体は1930年には既に実用化されており、ラリーの作品はそれらを現代風に焼き直したものでした。

1930年代には既に原型が出来上がっている
ラリーがホッパープロッパーを制作するよりもずっと前からこの形は存在しており、プロップベイトはマスキーアングラーの間では非常にポピュラーなルアーだったのです。
そしてラリーが最初に製作したものもマスキーにターゲットを据えた190ミリの大型サイズでした。
マスキー用ルアーをバス用にリファイン
当初はマスキーに合わせて大型サイズにしたのですが、テストを進めていくと嬉しい誤算が相次ぎました。
Size doesn’t matterと言わんばかりに、マスキーだけでなくラージやスモールまで躊躇なくバイトしてきたのです。
ならばバス向けのモデルを、ということで各部をリファインしたのが今日のゲスト、ホッパープロッパー130だったのです。
丁度その頃はリバー2シーが先代社長から代変わりした直後でパチ屋からの脱却を模索していた最中でもあり、オリジナルモデルで勝負したいというリバー2シーと自身の製品をライセンス化したいラリーのベクトルが一致したこともあってトントン拍子で話が進んだというわけです。
ホッパープロッパー130のサイズ・重さ
見事にハマったサイズ感
ホッパープロッパーは名前に130とある通り、全長130ミリのプロップベイト。
自重は36.5gとなかなかの重量級ですが、ちゃんと浮かれポンチに設定されています。
ラリー曰く、130ミリというサイズになったのはスーパースプークと同様のサイズ感が欲しかったから、と。
いつだったか米国釣り雑誌で、ホッパープロッパーの大ヒットの要因の一つはそのサイズだという記事を読んだ事がありますが、ラリーの判断はまさにブルズアイだったと言えるでしょう。
最強サイズは断然130
130の大ヒットを経て、ホッパープロッパーには次々と新サイズが追加されました。
190を皮切りに130 ⇨ 90 ⇨ 110 ⇨ 75 ⇨ 60 と、今や6種類ものサイズバリエーションを擁する大ファミリーに成長します。
それぞれのモデルで目的要素が違うので一括りにすることはできませんが、その中で最強と言えるのは実質のオリジナルモデルである130です。
先に述べたサイズ感をはじめとして、遠投性、サウンド特性、水の攪拌力、どれを取っても他のモデルを圧倒しています。
かつてジャッカルの加藤さんが ”ルアーはオリジナルサイズが最も完成されている” という名言を発しましたが、その言葉はこのホッパープロッパーにもしっかり当てはまっていると言えますね。
残念ながら駄作なサイズも
しかしそのサイズバリエーションの中にはプロップベイトの良さを活かしきれていないサイズがあるのも事実。
ちょっと強引な言い方ですが、ぶっちゃけ90と60サイズは 日本のバスフィッシングにおいては駄作と言わざるを得ません。
その理由はまたそれぞれの記事で書きますが、オリジナルの130サイズを使ったことがないアングラーが単に大きさだけでいきなりそれらのサイズを選ぶと後悔するかもしれません。
ホッパープロッパーの特徴
唯一無比のプロッピングサウンド
ホッパープロッパーの最大の特徴はやはり何といってもこのシングルウィングが生み出すプロッピングサウンドです。
ポポポポポポ……. としか表記しようのない、ポッパーでもノイジーでも羽モノでもない連続した破裂音がプレデターの注意を強力に引きつけます。
のんだくれもこのサウンドを一番最初に聞いた時はアゴが落ちましたw
それほどパワフルで、そしてアトラクティブなサウンドなのです。
プロペラが付いているから”プロッパー”ではない
そんなハイパワーなプロッピングサウンドを当初リバー2シーはストンピングサウンド Stomping Sound と呼んでいました。
ストンピングとは床を足でドンドンと踏み鳴らす動作の事ですが、まさに言い得て妙。
水を打つ力強いサウンドは確かにストンピングそのものです。
しかしいつの間にかプロッピングサウンドと呼ぶようになったので、ブランドとしてのコンセプト統一があったのかもしれません。
ちなみにその名前にもなっているプロップ Plop とは日本語で言うところのポチャン!とかポコッ!という何かが水に落ちた時の擬音を表します。
プロペラを表す Prop と擬音の Plop の違いですね。
プロペラが付いているからプロッパーではないのです。
アメリカ人も大爆笑したホッパープロッパーのサウンド
このサウンドについてはちょっと面白い話があります。
ホッパープロッパーは2013年の秋からデリバリーが始まったのですが、のんだくれは取引の関係でその前に開催されたICASTショーでサンプルを受け取っていました。
ショーの後、レイクぺリス釣行でそのサンプルを試してみたところ、その大音量サウンドのおかげで周りのボートから一斉に注目を浴びる事態に😂
まだメディアにも紹介されていなかったので聞き慣れない爆音プロッピングサウンドに違和感があったんでしょう。
そしてそのサウンドに興味を持ったアングラーたちが入れ替わり立ち替わり近づいてきて、”一体何を投げてるんだ?” と。
さらにほぼ全員が ”そんな音では魚が警戒しちゃうだろw” とも。
さすがにプロップベイトが理解された今ではこんな事を言う人は居なくなりましたが、デビュー前はアメリカのアングラーでさえプロッピングサウンドへの理解度はこの程度の低さだったのです。
更にアングラーでない人たちの目にはもっと奇妙なものに映ったようです。
レイクぺリスはバスフィッシングで名が知られたスポットなのですが、どちらかというとウォータースポーツや学生たちのサマーキャンプなどレクリエーショナルスポットとしての性格が強いエリア。
よってパーティバージと呼ばれる大型ポンツーンやウェイクボートなどがバスボートの数以上に出船しています。
そのレクリエーション派の人たちにとってホッパープロッパーの大音量サウンドはツボだったようで、ポロポロと大音量でリトリーブする度に近くのボートから大爆笑が巻き起こりました。
その様子はまるでウンコというパワーワードひとつで腹を抱えて笑い転げる小学生のよう😂
そもそも米人と日本人では笑いのツボは違うんですが、キャストするたびにゲラゲラ笑うその様を見てこんな音で大笑いできるのは幸せだなーとw
ソフト素材を採用したラリーのこだわり
しかしその爆音サウンドに行き着くまでには相当な苦労があったようです。
ご存知の通りホッパープロッパーが出る前からシングルウィングのルアーは出回っていたのですが、どれも似たようなものばかり。
そこでラリーはあらゆる可能性を試した末、ソフト素材をプロップに採用する事で独自のサウンドを出す事に成功しました。
このあたりの探究心は、さすがダールバーグダイバーの考案者という感じですね。
ラリー曰く、大きく響き渡るサウンドを出すにはソフト素材の方が圧倒的に適している、そしてそのサウンドをさらに増幅するために最も厚いところで3.3mmもの厚みを持たせた、と。
結果的にこの素材の厚みは別の効果をもたらす事にも繋がりました。
強いバイブレーションを生み出す偏重プロップ
しかしラリーのこだわりはサウンドだけに止まりません。
テールの重心をあえてオフセット(オフセンターアクシス Off-Center Axis)にすることでバイブレーションの強化も実現しています。
このサイズのアシンメトリー構造物が回転することによって生まれるバイブレーションは、リップレスクランクなどが生み出す規則正しいそれとは全く別物。
非常にトルクフルな水押しパワーを叩き出すのが特徴です。
このバイブレーションがプレデターの側線にどう作用しているのかは魚に聞かないとわかりませんが、プロッピングサウンドを出さないリトリーブでもちゃんと釣れるのでバイブレーションに何らかの効果があるのは間違いありません。
事実、この偏重プロップは190サイズをはじめホッパープロッパー全モデルに共通する重要なファクターになっています。
大量のエアによるバブルトルネード効果
そしてそれらの要素が一体となった時に別の効果をも生み出します。
それがバブルトルネード効果と呼ばれている水中へのエア巻き込み現象です。
厚みのあるプロップがエアを纏いながら回転する事で水中に螺旋状のバブルトレイルを作り出すのです。
この現象は動画を見てもらった方が分かりやすいのでこちらをどうぞ。
撮影に使用したのは190サイズですが、スプーンの先端のように大きく凹んだ軟質プラスチックのプロップが大量の空気を携え、回転と共にトルネード状の細長いバブルトレイルを生み出していることが分かります。
これにより連続したプロッピングサウンド、光を乱反射させるバブルの視覚的効果、そして強い水攪拌と、三つの要素を備えた最強のアピールを実現しているのです。
想定外のビッグワンでも安心の堅牢設計
ホッパープロッパーの要ともいえる回転運動を実現しているのがこの堅牢なワイヤーシャフトです。
バスルアーとしては完全にオーバースペックである1.4mm径のワイヤーを採用しているのは、一にも二にも安定した回転のため。
ミスキャストでぶつけても曲がることがないよう、ボディ側にもしっかりと固定されていることがわかります。
同時にこの堅牢設計は想定外のビッグフィッシュのファイトでも歪まないためのものでもあります。
リバー2シーはサンフランシスコ近郊に拠点を置いている関係上(ホッパープロッパー発売当時の所在地はリッチモンド市だった)、製品テストのほとんどをカリフォルニアデルタで行っているのですが、デルタはラージマウスバスだけでなくモンスター級のストライパーも釣れるフィールドなのでこの耐久性は必須事項だったというわけなのです。
ホッパープロッパーの使い方
ひたすら巻け!以上。
そんなホッパープロッパーの使い方は、とにかく巻く、これに尽きます。
音量が最大限になるスピードをキープしながらただひたすら巻くのがベスト。
ポーズを入れずにずっと巻き続ける方が圧倒的にバイトも多く、かつ見切られにくいのです。
特にミスバイトがあった後は食わせたいあまりポーズを入れてしまいがちですが、そこはグッとこらえて巻き続けることが大事。
ミスバイトが他のバスのスイッチを入れることも頻繁に起きるので、びっくりアワセをグッと堪えるだけの精神力も必要です。
ディープでも砂浜でもとにかく投げてみる
そしてホッパープロッパーは『魚が居なさそうな所でもとりあえず投げてみる』というチャレンジ精神があると釣果が倍増する不思議なルアーでもあります。
これは数多くの釣果報告でも語られている事なのですが、障害物も何もないところでバイトがあった、ディープエリアで遊んでたら出た、などなど全く予想していなかったところで釣れたという報告が非常に多いのです。
ホッパープロッパーには遠くからでも魚を引っ張るパワーが備わっているのです。
実際のんだくれも、水中島の頂上付近(水深20ftぐらい)にサスペンドしていたバスが同船者のホッパープロッパー目掛けて激しくアタックしてきたのを目の当たりにしてアゴが落ちたことがあります。
同じラインを最低3回はトレースすべき
さらに面白いのは同じラインを複数回通すと出るケースが多い事。
ホッパープロッパーのサウンドはバスをイラつかせるのか、何度も通した後でバコンと出ることが多いんです。
しかもそのアタックは完全に威嚇系の体当たりバイト。
バスにはエサというよりもテリトリーを荒らす侵入者に見えていると思われます。
体当たりゆえ乗らないことも多いのですが、一回だけのトレースで場所移動するともったいないオバケが出るのでリトリーブスピードを変えて最低3回は投げるべきです。
音を出さないデッドスロー使いも効果的
タダ巻きによるサウンド効果ありきと思われがちなホッパープロッパーですが、実は音を出さないスローリトリーブも非常に効果的です。
プロップ回転によるボディのうねりが最も大きくなるスピードでトロトロ引くことで、動画のようなノリーズのフカベイトのような上下動アクションが可能に。
即席フカベイトは諦めたが、リバー2シーのホッパープロッパー130の動きが似ているのを思い出したので動画撮ってみた。
水飛沫を上げない程度のスローリトリーブだと頭をヘコヘコさせて水ヨレもおいしそう。
初期の頃の浮力が弱いモデルの方が動きが大きいので持ってる人は試してみて。 pic.twitter.com/lA9n0A9gvn— ルアー千一夜 【公式】 (@lure1001) October 12, 2021
雑草が覆い被さって長いストレッチが取れない水路などはピッチングで雑草ハング下に送り込んでウネウネなんてことも楽しめちゃうのです。
リトリーブ時に注意すべきポイント
そんなホッパープロッパーのパフォーマンスを最大限に引き出すため、一つだけ注意しておかなければならないことがあります。
それは【リトリーブ時にラインをできる限り水につけない】ということ。
これにはラインをメンディングがしやすいという面もありますが、ラインを水面に着けると何故かバイトが減るのです。
手前のラインがバスを警戒させるという事以外に、ラインのテンションがルアーの動きに影響を与えていると考えられますが、複数のプロッパーヘッズも全く同じことを言っているので何らかの違いは間違いなくあると思われ。
これに関しては皆さんの意見や情報も聞きたいところです。
そんなホッパープロッパーにも欠点が
世の中に完璧なものはないという言葉の通り、残念ながらホッパープロッパーにも欠点があります。
その最たるものがボディが回転してしまう事。
通常リトリーブでは問題ないのですが、回収時の早巻きなどではボディが思いっきり回転するのでその度にラインがヨレまくります。
回転を抑えるためにボディは扁平シェイプになっていますが、残念ながら目に見えるような効果はナシ。
ラインアイにベアリングスイベルなどを入れても完全解決にはならないので、ある程度の糸ヨレは先天的疾患だと思って諦めるしかありません。
二つ目の欠点は着水時に割と深く潜ってしまうこと。
オープンウォーターであれば問題はありませんが、水面近くまでウィードが伸びているエリア(実はこれがホッパープロッパー最強のステージなんですが)だと着水ダイブでポイントを潰してしまいかねないので、普段以上にサミングを意識する必要があります。
ただこのダイブ特性にはそれなりの理由があるので詳しくは後ほど。
三つ目の欠点はフッキング率がイマイチよろしくないこと。
先述の通り威嚇系の体当たりバイトが多いので仕方がないのですが、お世辞にも乗りが良いとは言えません。
ホッパープロッパーは他のルアーに比べてバイトが多いので相対的に見れば釣れる魚の数は変わらないと思いますが、それでもイライラさせられることには変わりません。
4つ目の欠点はウィードが絡むこと。
回転モノがウィードに弱いのはルアー史始まって以来の永遠の課題ですが、ホッパープロッパーの場合、回転分の軸にトロロ藻を巻き込むと素手では取り切れないのでかなり難儀します。

110モデルから採用されたウィードレジスタント凸型機構。フラットだった接合部を凹面凸面で組み合わせることでウィードの侵入を防ぎ、仮に侵入しても除去しやすくしている。
しかしこれは110モデルから大幅に改良されているので、いずれ130にも同様の機構が搭載されるはず。
よって今は大人しくそれを待つこととしましょう。
本国ではメリットでも日本ではデメリットになることも
最後の欠点は浮力が弱い事です。
ソリッド素材のプロップや堅牢ワイヤーなどコンポーネント重量が大きいのでルアー自体の浮力が弱くなってしまい、ロッドポジションや巻きスピード次第では魚雷のように水面下を直進するだけのことも。
これは先述の着水時に潜ってしまうことにも関係しますが、弱めの浮力設定にはちゃんとした理由があるので一概に欠点と言えない部分もあったりします。
それにはホッパープロッパーが生まれたカリフォルニアデルタの気候が関係しています。
カリフォルニアデルタは朝一番は大陸側の山から吹き下ろす風が吹き、太陽が昇って空気が暖まり始めると今度は偏西風の影響を受けたデルタブリーズと呼ばれる海側からの風が吹くなど非常に風が出やすい地域。
琵琶湖や霞ヶ浦のように大波ザバザバという荒れ方ではないのですが、常に小波が出ているようないわゆるチョッピーウォーターコンディションなので、ホッパープロッパーはそんな状況でもしっかり水を咬むように敢えて浮力を弱めに設定しているのです。
地域特有の状況に対応したという意味では完成されたローカルベイトと言ってもいいでしょう。
しかし日本のフィールド、特にトップウォーターアングラーが好むような小規模野池は周りの木々などにより荒れることがあまりない上に、そもそも風が出ると水面ルアー自体を諦めてしまう傾向があるので、抑えた浮力がメリットとして活かされるよりもデメリットとして見られてしまうことが多いのです。
これはどのルアーにもある ”性格” なのでアングラーの好みで選択すれば良いのですが、長所が欠点になることも、またその逆もあることを知っておくのはルアーを使いこなす上で重要なこと。
実際、ホッパープロッパーのフォロワーとして登場したDEXのチョッポはそのあたりのストレスを見事に解消してくれています。
ホッパープロッパーの丸パクリだの散々言われているDEXチョッポ。
その是非はともかく、ルアーの性能だけを見るとホッパープロッパーの弱点を徹底的に研究した跡が見られる秀作です。
反面、弱点克服に力を注ぎ過ぎたのか、良い所が消えてしまっているのも否めない。結論
両方買っとけw pic.twitter.com/Lh9stZb4QN— ルアー千一夜 【公式】 (@lure1001) October 20, 2021

実は今回リリースされたデプスのイヴォークゼロはそれらプロップベイトにありがちな欠点をしっかりとカバーしているのです。
いや、まだ使ったことないから ”カバーされてるっぽい” と言った方が正しいですね。
イヴォークゼロはプロップベイトを使い込んでいるからこそ分かる ”足りない要素” が付与されているからのんだくれはハァハァしているのです。
ヤル気みなぎるフィニッシュ
手間のかかるフォイルインサート
構造や意匠ばかりに目がいくホッパープロッパーですが、フィニッシュもなかなか気合入った作りになってます。
登場から年数が経っているので今見ると目新しさは全くありませんが、それまでパチモン街道を爆走していたリバー2シーにしてみればかなりの力作だったわけです。
特にベイトフィッシュ系のカラーに採用されたインサートにはヤル気が溢れかえっています。
このインサートはシルバー系フォイルを編み込んでスケールパターンにしたものですが、一般的なインサートに使われる反射板と違って内壁に”貼られている”のが特徴。
台紙と一体となったフォイルを内側に貼り、その後で台紙を抜き取る作業が必要ということで、社長のサイモン曰くこの工程に結構な手間とコストが掛かっている、と。
その名残かどうかは知りませんが、稀に台紙代わりの簡体字新聞が残っているラッキーなタマもあるので、もしフォイルカラーを持っている人がいたらチェックしてみてください。
アイデンティティを確立したいキモチもわかるけど…
頑張っているといえばロゴマークを入れた3Dアイにも気合い入ってます。
しかしこれに関しては賛否両論の否の方が多い感じですね。
正直あんまりカッコよくない😅
ブランドとしてのアイデンティティを確立したいというキモチがちょっと空回りしている感は否めません。
しかしそれよりも興味深いのはこの ”2” の文字は現在のロゴからではなく、旧ロゴから取ったものであるということ。


リバー2シーの旧ロゴデザイン。R2Sオーストラリアはまだこのロゴを採用している
これはのんだくれの勝手な想像ですが、社長のサイモンはチャイニーズアメリカンなのでおそらく中国人特有のファミリーを重んじる考え方から先代の意志をルアーの目に刻んでおきたかったんじゃないかと。
実際サイモンとの会話にはファミリーという言葉が頻繁に出てくるし、会社に遊びに行っても他のアメリカンブランドとは違った雰囲気なのです。
そして家族との繋がりを蔑ろにしてまでビジネスを大きくするつもりはないと明言しているのが家系制度を表しているんじゃないかと。
ラトル入りかラトル無しか


カラー数が一番多かった2017年次のカタログ。ラトル入りとノンラトルの設定があるのがわかる
あまり知られていませんがホッパープロッパーにはラトル有り/無しのバージョン違いもラインナップしています。
しかし両方のモデルを使い込んだのんだくれに言わせると、”どっちもほとんど変わらん” というのが正直なところ。
最初はラトル入りで登場して、後にノンラトルモデルが追加された形なのですが、そもそもラトル入りは
ショートジャークを繰り返すようなロッドアクションならともかく、通常のストレートリトリーブではほとんど鳴らんのです。
しかも内蔵のラトルはグラスラトルで(BBラトルだった時期もある)サウンドがシャラシャラ系ということもあり、フックやリングのスクラッチ音と同系でその存在が分かりにくい。
よってラトルは最初からほとんど機能しておらずどっちもノンラトルみたいなモノなんですw
ホッパープロッパーのフック
フック交換は必須事項
ホッパープロッパーのフックは#2サイズが標準となっていますが交換は絶対。
それはデフォルトのフックが悪いとかの問題ではなく、先述の通り威嚇系の体当たり突進バイトが多いことが原因。
ぶっちゃけのんだくれもコレだ!というフックには未だ出会えておりませんが、その中でも相性がいいと思われるのがフロントのみアウトバーブのフックにすること。
アウトバーブにしてからフッキング率もバレもかなり改善されました。
ちなみにホッパープロッパーは80%以上がフロントフックにかかります。
このルアーに限らずコレ系のプロップベイト全般がそうですね。
よってリアフックは必要ないと解釈してブレードやフェザーに付け替えるケースをたまに見ますがそれはアウトです。
なぜならジャークベイトと同様にファイト中の保険掛かりしてくれることもあるので、バレが多いホッパープロッパーにとっては必要不可欠な存在だから。
追い食いバイトがほとんどないルアーだからといってリアフックを外してしまうと、感嘆の絶叫をする羽目になることもあるのです。
フックの仕様変更


初期のフック(右)と現行モデルのフック
実はリバー2シーは表立ったアナウンスこそしていませんが、頻繁にマイナーチェンジを繰り返すブランドです。
社内に40フィートのコンテナを改造した巨大テストタンクを所有しているだけあって常に細かな修正を続けているのです。
そしてそのカイゼンマインドはフックにも。
画像を見てわかる通り、初期のフックと現行のフックでは全く違っています。
これはホッパープロッパーがメジャーなルアーになったことでバス以外のビッグフィッシュ狙いに投入されることが多くなった状況に対応した結果ですね。
X2太軸フックはバスフィッシングにはToo Much ですが、こういった改良の跡が見られるルアーはヲタ的にも楽しいですね。
もちろんボディにも改良が


左が現行モデル、右は初期モデル。同じカラーでも製造時期によって浮力設定などマイナーな変更が加えられています
フックを変えたらボディの仕様も変えるのはもはやお約束ですね。
現行モデルはフック重量などが増加しているにもかかわらず浮力アップしているのがわかります。
アメリカンルアーをよく知らないアングラーがこの画像だけ見たら、やっぱアメルアはバラつきがスゲーな!ということになりますが、これはそういう ”仕様” なのです。
海外のブランドはウェブサイトやカタログなどで変更の旨アナウンスしないのでバラつき神話だけが伝承されてしまっているのですが、今や国産も海外もほとんどのルアーは中国の最先端技術で製造されているので昔ほど品質誤差は生まれないというのが現状です。
今アメルアのバラつき神話が生きているのはハンドメイドルアーぐらいになっちゃいましたね。
稀にアゴが落ちそうなタマも出てきますが、もしそういうのに出会ったらむしろラッキーな大当たりだと思って楽しんじゃいましょうw
ホッパープロッパーのおすすめのカラー
この2つがあれば間違いない
ホッパープロッパーはカラーバリエーションが多いのでカラー選びに迷ってしまいます。
実際のんだくれの元にもカラーの問い合わせは多いです。
そんな時は迷わずソリッドカラー系であるルーンLoon とボーンBoneを選びましょう。
この2つを選んでおけば間違いありません。
ベイトフィッシュ系のカラーが多い上に見た目のクールさもあってそっちを選びがちですが、この2色はホッパープロッパーデビューの頃からラインナップにいる古参かつ実績のある鉄板で、のんだくれのコンフィデンスカラーでもあります。
ぶっちゃけこの2つがあれば他は要らん… と思っていたのですが、なんとボーンに代わる伏兵が近年になって現れました。
それがパウダー Powder です。
パウダーの秘密


ホッパープロッパーのパウダーカラー(画像は90サイズ)。上はストライクキングのオイスターカラー。
パウダーはパウダースノーのようなホワイトボディにブルーパールをスポットで吹いただけの超シンプルカラーなのですが、実はこれストライクキングの激釣れカラー、オイスター Oysterと同系の色なんですよね。
そんな釣れ釣れカラーを放っておくなんて超もったいない!
ストライクキングのオイスターカラーについてはココでノー書きタレてるのでおヒマだったらどうぞ。
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ホッパープロッパーの改造・チューン
ガチガチに固められたルアーだからチューンの余地なんてあるんかいなと思われているホッパープロッパーですが、モディファイ受け入れる懐の深さもあるのです。
イジる場所はすばりテールの部分。
テールに穴を開けることでより多くのエアをバブルトルネードに巻き込もうという魂胆です。
やり方は簡単。
ハトメの穴あけプライヤーで好みのサイズの穴を好みの場所に好みの数空けるだけ。
画像はホッパープロッパーではありませんが、たったこれだけで水中に巻き込むバブルの量が格段に増えて光線の乱反射も倍増します。
キモはプロップの前方に穴を空けること。
後方に穴を開けると、プロッピングサウンドの力強さが小さくなってしまうので注意が必要です。
まあ失敗したとてハトメプライヤーならばキレイに丸く抜けるので、また抜いたカスで塞げばいいだけなんですが。
そしてもう一つの改造法はプロップウェイトチューンです。
プロップの先端に小さな穴を開けてそこにスプリットショットなど好みのウェイトを埋め込んで接着するだけ。
たったこれだけでリトリーブ時のバイブレーションが倍増します。
ウェイト追加で回転の立ち上がりはやや鈍くなりますが、一旦回り始めればそんな事は全く気にならなくなるほどのグワングワン泳ぎを楽しむことができます。
板オモリなどを貼るのも手ですが、ベースが軟質素材ゆえ使っているうちに剥がれてくるので、ウェイトは埋め込んだ方がストレスなく使えると思います。
実はこの2つのカスタマイズはサベージギアのスマッシュテールミノーに採用される予定だったもの。
ホッパープロッパーの牙城を崩すルアーを作る!と鼻息フンガーだったサベージのプロダクトマネージャーがアイデアが欲しいというのでホッパープロッパーの長所をさらに伸ばすこの方法を教えたんですが、結果的にウェイト付加のアイデアを採用するだけに終わりました。
なぜならそこに至るまでののんだくれの振る舞いに問題があったからw
欧州のパイクフィッシングマーケットをメインに開発を進めるマネージャーと、日本のバスフィッシングマーケットでの販売を考えるのんだくれとの間で大きな意見の相違があったのです。
更にのんだくれの悪いところでもあるんですが、他言語使用時の別人格の影響もあってダメなところをズバズバ指摘しまくったら人間関係まで悪くなってしまったという笑
まあ冷静に考えてみれば、気高きアングロサクソンがアジアンに次々とダメ出しされるんですからそりゃ面白くないですよね。
そのマネージャーは欧州ではカリスマルアーデザイナーとして名を馳せてるんですから余計に腹立ったんじゃないかと。
その結果、スマッシュテールミノーの製品版にはなぜか指定重量には程遠いアルミのリベットが装着されるという謎のセッティングに。
日本では発売されていないルアーなので持っている人はいないと思いますが、もし海外通販などで所有してる人がいたら、装着されているリベットを取って代わりに1g程度のウェイトを装着するとパワーアップしますのでお試しを。
ホッパープロッパーのネーム
ネームはご覧の通り腹にプリントされています。
初期はブランドロゴとネームだけでしたが、現行にはラリーダールバーグのサインも入っています。
ホッパープロッパーに限った話ではないのですが、のんだくれはシグニチャーモデルを見るたびにどれだけのキックバックが発生したんだろうとかイヤらしいことを考えてしまいますw
だってホッパープロッパーの販売数ってハンパないですからね。
スポーニングバスのスナッギング(引っ掛け)問題で失脚したマイク・ロングに聞いた話ですが、誰もが知る某メジャールアーブランドとの契約ではルアー1個につき55セント(約60円)のキックバックだったそうなので、それが相場だとしたらラリーの下には一体…. 😁
あー自分でもイヤになるぐらい下衆なマインドだーw
ホッパー?ワッパー?どっちが正しいの?
そういえば一時期ホッパープロッパーという呼び方について、何度か質問をもらったことがあります。
ホッパープロッパーではなくて ”ワッパープロッパー” が正しいのではないか、と。
これについての答えは【ホッパープロッパーは邦題だから】が全てです。
発音上はワッパーのほうが近いんですが、始まる音がワとホでは口の動きの大きな違いがあるので、日本で商品名として使う場合、唇の動きが少なく発音できるホッパーを採用したというマーケティング上の都合です。
過去にホッパーストッパー Whopper Stopperというルアーブランドがあったこともその一因。
よって、どっちの呼び方でも間違ってはいないのでお好きな方でどうぞ。
映画”The Toxic Avenger” の邦題が『悪魔の毒々モンスター』になったのと同じだと思っていただければ構いませんw
本来の発音に準じた呼び方にこだわる気持ちも分からんでもないんですが、ルアーの世界には昔からトーピードとトピドゥ、シャッドとシャド、バイウーブギーとベイヨンボギィの覇権争いもある事だし、そのネタが増えたと思った方がよっぽど楽しいですよね。
それにホッパープロッパーを発音通り正確に表記したら ”ウォッパプラッパ”になっちゃいますよ?😂
こいつ何言ってんだと思われるのが関の山ですよねw
まとめ
とまあこんな感じで延々とノー書きをタレて参りましたが、結論は【いろいろ欠点はあるけど持っといて損はないルアー】だということ。
オリジナルザラスプークがペンシルベイトの基本形であるように、ホッパープロッパーもシングルウィングプロップベイトの基本形と言ってもいいぐらいに市民権を得てますしね。
イヴォークゼロの登場でおそらく国産メーカーの間でもプロップベイトのブームが訪れることになりそうですが、オリジナルを知っておくという意味でもとりあえず持っとけ!なルアーではないかと。
しかしイヴォークゼロ、ホントに買えるんかな😩