ニンゲンというのは不思議なイキモノです。
ちょっと珍しいモノにはすかさず反応してしまうのに、身近にあるモノにはあまり興味を示さないという性質があります。
それはルアーに対しても同じ。
どこでも手に入るリーズナブルなルアーはいつでも買えるという心理が働くのか、店外デート指名率が総じて低めだったりします。
しかーし!それが大きな機会損失となる場合も。
今日紹介するレアリスクランク50SSRカブキは、購入の優先順位を上げておかないと後で泣きを見かねない秀作クランクです。
50SSRカブキとは
レアリスクランク50SSRカブキ(以下SSRカブキ)はデュオレアリスシリーズのスーパーシャロークランクベイトです。
2019年にシャローランナーの55SRカブキと共にオカッパリ部隊に配属されました。
ウェイクベイト/スーパーシャロークランクに目がないのんだくれは、店頭で見るなりソッコーでアフターに誘ったというワケです。
50SSRカブキのサイズ
SSRカブキのサイズは50ミリ、8.5g。
SSRの逸品として今だに愛用者の多いバンディット社のフットルースとほぼ同等の体躯にまとめられています。
マグナムクランクが普通になってしまった今、このサイズに物足りなさを感じるアングラーもいるかもしれませんが、オカッパリでの使用では過不足のないジャストライトな使いやすいサイズと言えるでしょう。

50SSRカブキの特徴
しっかり水を受ける前面デザイン
SSRカブキの特徴はなんと言ってもこの屹立したリップですね。
リップだけでなくアゴを前面に突き出したようなデザインにより、しっかりと水を受け止めて強くブルブル泳ぎそうなヤル気が伝わってきます。
SSRらしからぬ引き締まったボディ
しかしそんなリップとは裏腹に、ボディはやや縦扁平の細身ボディシェイプ。
パッケージではファットボディであることをアピールしていますが、SSRのカテゴリーの中ではシュッとしており、シャッド的な要素も盛り込まれているのではないかと。
それは先出のフットルースと比べても明らか。
フットルースがまるでカピバラのようなぽってり癒し系なのに対し、SSRカブキは体脂肪率1ケタ的な締まった感じがあります。
しかしこうして改めて見てみると、フットルースのパーティングラインのズレは酷いですねーw
強い衝撃波を放つシングルノッカーラトル
サウンド面は5mm径のスチールラトルが担っています。
いわゆるボーン系素材を採用していないのに、ここまで硬質のカタカタサウンドに仕上げてくるあたりには思わずニヤリとさせられますね。
そのサウンドの秘密はラトルチャンバーの中にも見ることができます。
チャンバーの側壁から棒状の構造物が突き出ていますが、これは必要以上にウェイトを暴れさせないよう可動域を抑えるのと同時に、ウェイトが側壁に沿って転がるのを防ぎ、一点にヒットさせることでより強いサウンドを生み出す仕組み。
おそらくテストではラトル音の調律も繰り返されたんでしょうね。
スタビライジングフィンの役目も果たす?顔の造形
そしてのんだくれが気になっているのがこの目の周りの造形。
ググッと眉骨が張り出したデザインになっているのですが、これが整流フィンの役割を果たしているのではないかと。
実はこのSSRカブキは高速リトリーブでの安定性が非常に高いのですが、この眉骨の出っ張りがトヨタ車でいうところのエアロスタビライジングフィンの働きをすることで、安定した泳ぎを生み出しているのではないかと ”勝手に” 妄想していますw
メガバスのルアーやラパラのX-RAPサブウォークにも同様の構造物が装備されていますが、サブウォークも水面直下で高速連続ドッグウォークさせてもしっかりついてきてくれるので、おそらくこの眉骨には見た目だけではない、なんらかの意味があると信じています。
ここまで言い切って何もなかったら笑い者ですがw

重量はコントローラブルなオカッパリ仕様
そしてSSRカブキは非常に扱いやすいウェイトにまとめられているところもセールスポイント。
8.5gという重量は数字的には軽く感じますが、そもそもこのルアーは近〜中距離のピンを撃って狙ったラインをトレースしていくオカッパリ向けなので、遠投性能よりもアキュラシー性が重要。
ロングキャストする必要はないのです。
それを踏まえた上で投げてみると、オーバーヘッドはもちろん、オカッパリでは欠かせないバックハンドキャストやフリップキャストでも扱いやすい重量であることが良く分かります。
このあたりの感覚は実際に使用してみないとなかなか見えてきませんが、使い込んでいくほどにじわじわとその良さが分かってくるだけに侮れません。
たかがウェイト、されどウェイトなのです。
50SSRカブキのアクション
SSRカブキの泳ぎは典型的なウォブリングアクションです。
泳ぎ出しはロールから始まりますが、速度が増すにつれピリピリとした強いウォブリングへと変化します。
特筆すべきはその安定性。
SSRカブキは縦扁平のボディシェイプもあるのか、かなりの高速リトリーブでもしっかりと追随するスタビリティの高さを見せてくれます。
しかし波やうねりがあると泳ぎのリズムが狂うのかトビウオになりがちなので、あくまでもカームウォーター向けだと割り切るべきでしょう。
なのでウェイクベイトとして引き波を出し続けるのもあまり得意ではありません。
いや、もちろんウェイクベイトとしても使えるのですが、テキトーに巻いても勝手に引き波を出してくれるOSPのバジンクランクなどと違って割とロッド位置の調整など気を使わなければならない上に引き波自体もそれほど大きくないのです。
よって、このルアーはウェイクベイトとしてではなく、その名の通り ”SSR/スーパーシャローランナー” として水面化を泳がせるのが正解。
そうすればストレスなくシャローを攻略できますから😁
何事も適材適所ということです。
SSRカブキのカラー
オカッパリ向けのクランクとあってカラーは膨張色やマット系が多めなところも高得点。
のんだくれの大好物である反射インサート入りがこの色しかラインナップしていないのはアレですが、オカッパリ向けルアーの性格上、それは仕方のない事でしょう。
目もレアリスに共通の貞子アイでアングラーを釣る能力にも長けていますね。
シマノのトリプルインパクトから始まったとされる貞子アイですが、今やルアーの3Dアイのほとんどが貞子になっていることを思うと、もうちょっとメーカーの個性があってもいいような気がしますが。
個人的にはもうちょっと白目部分が多い三白眼のモノを、♪きっと来る〜きっと来る〜と歌いながら巻きたいなと。
50SSRカブキのフック
フックは箱出しの状態ではフロントが#8、リアが#7という変則サイズが装着されていますが、実釣では前後ともショートシャンクの#6にサイズアップしています。
フックサイズを大きくする理由は二つ。
まずデフォルトのままだとフッキングに不安があったから。
のんだくれはこのSSRカブキをほぼ高速リトリーブでしか使わないので、瞬速バイトでもしっかり掛けたいという思いから。
もうひとつはフック重量を上げることで先述の波立ったエリアでも泳ぎが破綻しないようにするため。
フックサイズを上げても泳ぎが弱くなるようなことはないので、早巻きでの更なる安定性が欲しい人にはオススメです。
ちなみにフックサイズを上げるとややテールを下げた姿勢で浮くのでペンシルベイトちっくな首振りがしやすくなり、オーバーハング下のピンスポットでちょこまか動かして反応がなければ巻きにシフトという複合技も可能になります。
50SSRカブキのネーム
ネームプリントは背中にブランドロゴとルアー名が入ったフルネーム仕様。
レアリスブランドが登場して早10年以上が経ち、このロゴもすっかりおなじみになりましたね。
しかしここで謎なのがカブキというネーミング。
ルアーはもちろん、パッケージにも歌舞伎テイストが全く見られないんですが、一体どこからカブキが出てきたんでしょ。
歌舞伎で主役が登場する際に効果音としてバタッバタッという ”ツケ” が使われますが、アレとラトル音を掛けたんでしょうか。
それとも海外マーケットにおいて日本製であることをアピールしたかった?
こういう具合に意味が読めない投げっぱなしのネーミングは、のんだくれのように名前の由来にこだわるヲタにとっては非常にキモチ悪いんですよねーw
おわりに
そんな50SSRカブキは量販店に行けばすぐに入手できますが、冒頭で書いた通り、どこでも手に入るが故にスルー率も高めなんですよね。
これはレアリスシリーズ全体に言えることですが、また今度でいっか!となるパターンが多いのです。
でもこれほどコストパフォーマンスが高いルアーを後回しにする事は大きな機会損失になりかねないんですよね。
デュエル/ヨーヅリの3DBポッパーもそうですが、買える時に買ってじっくり使い込んでいく方が、入手困難ルアーを探すよりもよっぽど楽しいフィッシングライフが過ごせるんじゃないかと。
みなさんはどう思います?
