のんだくれはズイールのプラグが大好物です。
なぜなら釣れるから。
そして使う度にその設計の深さに感心させられるからです。
そんなズイールの中でも今日紹介するチマチマゲイリーウィッチGEは溺愛レベルのひとつ。
そして断捨離の手が絶対に及ぶことのない聖域に住んでいる数少ないプラグです。
チマチマゲイリーウィッチGE(以下チマゲイリーGE)は数あるチマチマシリーズの中で最も遅い時期にラインナップに加わったモデルです。
ここでチマチマが何かが分からない人のためにちょっとだけノー書きをタレておきましょうか。
チマチマとは元ズイールの柏木氏が提唱したフィッシングスタイルを指します。
大きなバスもいいけど小さなバスでも楽しんじゃえ!という考えの下、サカナのパワーに合わせてあえてパワーダウンしたスピニング&ライトアクションロッドというセットアップで楽しむ釣りの事。
ライトタックルでキモチよく扱えるルアーはおのずと小さなサイズとなり、そのサイズゆえ、ちまちまとした、もしくはちまちま動かせるルアーということでチマチマと命名されました。
そしてこのフィッシングスタイルは、大きいのを釣るのがエライと誰もが思っていた当時のバスフィッシングシーンに大きな影響を与えました。
小さくてもタックルセッティングを変えればこんなにも楽しめる!という新しい概念をもたらしただけでなく、非常によく釣れたのです。
しかも小さなバスだけでなく、通常サイズのルアーには反応しなかったデカバスまでもが簡単に釣れると話題になりました。
そしてこのチマチマスタイルは、同じ時期にズイールが発表したトップウォーターで釣りまくる様子が収められたビデオによってひとつのムーブメントとなりスタイルとして確立されました。
このあたりはYouTubeで柏木氏の動画を見ることができるのでお暇な時にでも検索してみてください。
さてさて。
そんな経緯で市民権を得たチマチマですが、売れる人気商材だったこともありチマチマサイズが連発されることとなります。
最初はズイール四天王であるテラー、ロジック、アンカニーチャップ、ゲイリーウィッチのチマチマ版だけだったのが、他のモデルのチマ化も進み、さらにベイトタックルでも投げられるB-チマシリーズが加わり、チマチマライトも出て…と正直ワケ分からん状態に。
最初は割とガチで追っかけてたのんだくれも途中でギブアップしてしまい、90年代はほぼスルー状態に。
そんなカオスな状態で最後にリリースされたのがグラスアイを採用したチマチマGEシリーズだったのです。
それまでのチマチマシリーズはそのボディサイズゆえにグラスアイを使用せず、目が全てペイントでした。
チマチマをグラスアイで出してくれねーかなと常々思っていたのんだくれにとって、このGE化は願ったり叶ったりだったのでソッコーで買いに走ったのを覚えています。
チマゲイリーGEの最大の特徴は見事なまでにスパッと切り落とされたデザインのこのカップです。
他のゲイリーウィッチもみんなそうじゃん!とよく言われますが、実はここまで大きくカップを立てたゲイリーウィッチはこのチマゲイリーGEだけなのです。
その違いはレギュラーサイズのゲイリーウィッチと並べれば一目瞭然。

ゲイリーウィッチ3/8ozとチマゲイリーGE
レギュラーのゲイリーはカップが大きくスラントしていますが、チマゲイリーGEはポッパーの様にカット面が切り立っているのが分かります。
そして注目すべきはそのカップのサイズ。
チマチマと名乗っておきながら、レギュラーモデルのカップとほぼ同じサイズなのです。
これはボディサイズはチマでありながらカップはレギュラーと同じ、つまりレギュラーサイズと同じアピールが小さなボディで出来ることを意味しています。
ズイールのチマチマサイズを使っていると時々感じる、もうちょっと強く水押ししてくれるといいのに… をこのカップがすべて解決してくれるのです。
その切り立ったカップの効果は素晴らしく、チマチマよりも強く… いや、レギュラーゲイリーの3/8ozよりも強い水押しでしっかりと首振りをしてくれます。
元来ゲイリーウィッチのカップは、一般的なポッパーと違い、平面で受けた左右と下方向に軽く流して軽快な動きの演出をしやすくするための設計になっているのですが、このチマゲイリーGEはその水抵抗をググッと押し返す様なカップアングルになっているので、小さいのに水を押す強いアピールが可能になっています。
そしてグラスアイがカウンターウェイトの役目を果たすことで、レギュラーのゲイリーウィッチよりも首振りのレスポンスが飛躍的に向上しています。
もちろんそこにはボディが短くなった事による ”寸詰まり効果” もありますが、この回頭性能の高さは数あるゲイリーウィッチの中でもピカイチと言っても過言ではないでしょう。
それゆえ、このグラスアイが欠落してしまうとパフォーマンスが一気に落ちてしまうという弱点も持っているので、出撃前には瞬間接着剤などで目玉が欠落しないように予防策を打っておくことがマストとなります。
そしてこのカップはどんなに静かに首を振らせても、水面にしっかりとバブルを残してくれるところがキモ。
バブルと聞いてもピンと来ない人も多いと思いますが、実はトップウォーターフィッシングにおいてバブル… いや、バブルが弾ける際のサウンドはとてつもないアトラクター要素のひとつ。
これは複数のルアーデザイナーが口を揃えている事ですが、バブルが弾ける音はベイトフィッシュが水面でモジっている様子を再現し、リバー2シーのホッパープロッパーやバブルウォーカーのようにバブルトレイル(泡の道)が出来ることを猛烈にアピールするルアーもあるほどのキラー要素なのです。

そういう意味ではこのチマゲイリーGEは、他のゲイリーウィッチのようにタダ巻きノイジー的な要素は薄いかもしれませんね。
ピンポイントでじっくり誘うというスタイルに向いているかもしれません。
そしてこのカラーリングもシビれさせてくれます。
確かハデガエルだったかそんなカラー名でしたが、このカラーの視認性が最高なのです。
のんだくれはこの手のチマチマルアーをマズメ時のオーバーハング奥に打ち込んで使うことが多いのですが、ローライトコンディションではこのカラーリングは頼もしい見方。
アングラー側から見ると、首振りをする度にケツの黄色がチラチラと見えてルアーの挙動が確認しやすいのです。
マズメ時だったらボーンカラーよりもこっちの方が圧倒的に使いやすいのではないかと。
リギングは前後ともカップ&ヒートンを採用しています。
他のチマプラグはヒートンのみなので、ズイール刻印のせいもあってちょっとグレードアップされた感がありますね。
フックは前後ともズイール謹製、クローポイントのダブルフックを採用しています。
ダブルフックのルアーで一度も釣ったことのない人にはフッキング性能が理解できないと思いますが、トレブルフックと比べて全く遜色ないどころか、むしろフッキング率は高いと思います。
そして何よりもウィードなどのゴミを拾いにくいのがイイ。
でもダブルフックにはフッキングの角度とバスの暴れ方で股が開いてしまい、それが原因でバレてしまうという欠点もあります。
チマチマサイズでそのような事象が起きたことはありませんが、5/8オンスのレギュラーサイズでは珍しくないので、デカバスに逃げられて池の真ん中で雄叫びを上げたくなければ、画像のように伸縮チューブなどをシャンクに被せて股が開かない措置を取っておくのをお忘れなく。
ネームはいつも通りのズイール流。
でもせっかくのグラスアイモデルなんだからGEぐらいは入れて欲しかったですね。
しかし2004年かぁ…. あれからもう17年も経ってるのかと思うとなんか遠い目になっちゃいますね。
2004年といえば、のんだくれは16年勤めた会社を辞め、今の仕事を始めるための準備&勉強をしていた時期。
当時は頑張ってたつもりでしたが、振り返ってみるともっとしっかり勉強しておけば、今はもっと違う景色が見れてたかなーなどと思ってしまいます。
こういうことを考えてる時点でもう老化は始まってるんですけどねwww
ちなみにチマチマのグラスアイモデルはプランク、アンカニーチャップ、ロジック、テラー、プロップなど各主要モデルで何度かリリースされていますが、ゲイリーウィッチのチマGE版が発売されたのはこの2004年の一回きり。(ショップ限定モデルを除く)
ゆえに市場に出回る数も多くないので、このポストを読んで妄想が広がっちゃった人は、見つけたら即バイトして欲しいのです。
”ズイールは好きだけど、チマチマシリーズはどーもイマイチ” という人はどハマりするかもしれませんぞ😁