西海岸トップウォータースタイルを象徴するラットベイトの英雄 ジョニーラット Johnny Rat / ジョニーラットルアー Johnny Rat Lure

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ラットベイトの概念を書き換えたジョニーラット

1990年代、ビッグスイムベイトの台頭と共にその存在感を強めてきたのがラットベイトと呼ばれるビッグウェイクベイト。

実はラットベイトの原点となるジョインテッドウェイクベイトは、バスフィッシングシーンに受け入れられるずっと前からマスキーフィッシング市場でそれなりのポジションを築いてはいましたが、マスキールアー特有の大雑把さが一般のバスアングラーにはあまり受け入れられませんでした。

いや、実際には認知されていましたが、そのメガトン級の破壊力ゆえシークレットとされ、あまり表には出てこなかったと言った方がいいかもしれません。

そしてその破壊力がじわじわと浸透し始めると、西海岸を中心にラットベイトを制作する個人ビルダーが現れ始めます。

そしてスイムベイトで有名なラゴベイツがラットをリリースすると一気にヒートアップし、ラットベイト戦争の火蓋が切られました。

そんなラット戦争に独自の理念で殴り込みをかけ、一躍ヒーローとなったのが今日のゲスト、ジョニーラットです。

 

タックルウェアハウスから直々にお呼びが掛かる実力

ジョニーラットは南カリフォルニア在住のメキシコ系アメリカン、マシュー・ジーンによって2008年にリリースされたオールハンドメイドのラットベイトです。

マシューは、ビッグスイムベイトには全く反応がないのに、ラットベイトには狂ったようなバイトが出る状況に何度も遭遇したことでラットベイトのポテンシャルに着目し、従来のラットベイトの弱点を徹底的に研究したラットとしてこのジョニーラットを開発しました。

そしてジョニーラットが市場に出回ると、その実力を聞きつけたあのタックルウェアハウスから直接お呼びがかかる自体に。

我々日本人にはあまりピンとこないかもしれませんが、タックルウェアハウスには毎日全米のルアーメーカーから多数の売り込みが届きます。

しかしそのうちで実際に取り扱いが決まるのはほんの一握りだけ。

実際、商品を売り込むも却下されたというメーカーも数多く知っています。

タックルウェアハウスで商品を扱ってもらうのは、我々が考える想像以上にシビアな世界なのです。

そんなタックルウェアハウスから直々に声が掛かるという事実だけで、いかに評判が高かったのかは想像がつきますね。

 

ジョニーラットのサイズ・重さ

ジョニーラットのサイズは6インチ/150mm、自重は60g。

シッポがあるのでボリュームがあるように見えるけれど、実は本体はそれほど大きくないというのがラットベイトの特徴でもあります。

むやみにボディサイズを大きくしてアピール度を高めるのではなく、シッポのウネウネピシャピシャで大きなアピアランス効果を得るという、いわゆる”ハッタリルアー”の典型かもしれませんね😁

従来のラットベイトを研究し尽くて生まれたカスタムリップ

ジョニーラットの特徴の一つが、この不恰好にも見える巨大なスクエアリップ。

ラットベイトはいかに水を大きく攪拌するかが最大のカギとなることから、ありとあらゆる形状・サイズ・傾斜角を試してこの形に辿り着いたとのこと。

一見、市販のポリカーボネイトリップをそのまま装着してるのかと思いきや、実はこのジョニーラットのためだけに作らせてるカスタムオーダー品なんですと。

 

水を最大限に掻き乱すコークボトルシェイプ

そしてジョニーラット最大の特徴が、ウェイストがキュッと締まったこのコークボトルボディです。

マシュー曰く、超ファットからスキニーまでありとあらゆる形状を試した中でこの形状がもっとも水流を乱し、かつサウンド効果が大きくなるんだ!と。

もしこのボディシェイプに行き着かなかったら、俺はおそらくジョニーラットルアーを立ち上げてない、とも。

アメリカ人は自社製品の売り込みの際にかなり誇張して話すので最初にこの話を聞いた時は半信半疑でしたが、のんだくれの複数の友人がジョニーラットの能力をベタ褒めしていたこともあり、その事実を確かめにアメリカへ行ってきました。

 

ジョニーラットが釣れる理由は大音量クラッキングサウンド

彼のラットベイト理論はこうでした。

一般的にラットベイトはネズミの形状ということもあり、引き波を出して水面を泳がせるルアーだと認識されているが、それは半分間違っている。

ラットベイトで最も重要な要素は、前後のボディが当たることで発するクラッキングサウンドなんだ!

そのためにジョニーラットはいかに効率よくラウドなサウンドを出せるかを突き詰めている!と。

確かにそう言われてみると、ジョニーラットのジョイントはだらしないほどルーズにリグられていて、スイム時に発する音もかなりの大きさになっています。

 

前後左右に大きく振れるテールはボディとは違う素材

しかもテールは左右に振られるだけでなく、上下方向にも大きな可動域が設けられていてヘッド部の全ての動きを音に転換する構造になっているのがわかりました。

さらにジョニーラットはボディのマテリアルを前後で違うウッド同士で組み合わせることによって、サウンドだけでなくスイミングアクションにも違う要素を加えているとのこと。

前ボディは比重の高いウッドを採用することで強い水押しを実現し、テール部分は軽い素材で常に水面キープ&大きな引き波を出すという役割分担ができているのです。

 

つまり、比重の違う二つのウッド素材を組み合わせることによって、バスをイラつかせるサウンドに調律するのと同時に、前後で違う水の攪拌パワーを変えているんだ、と。

そう言いながら、前後で同じ素材を組み合わせた試作品も見せてくれたんですが、これがまた見事に違ったのでチビりそうになりました。

さらに制作ロットごとにブランクのシェイプを変えて、ベストなセッティングを追求していると。

そのウッド素材を使っているのかは企業秘密ということで流石に教えてくれませんでしたがこの秘密を聞けただけでもアメリカまで飛んだ甲斐があったなと。

テキトーさ お気楽さでは世界一と言っても過言ではないメキシカンが言うことなので、最初は話半分どころか80%引きで話を聞いていましたが、目の前でラットをアツく語る彼を見て、のんだくれのメキシカンに対する先入観を覆されました。

 

シッポにもこだわるジョニーラット

そんなこだわりはこのシッポにも及んでいました。

テールには大型ラットベイトでよく見かけるクリームのスカンドレル6インチが採用されています。

スカンドレルがラットによく使われている理由として、色が本物のシッポに似ているとか、ちぎれてもスペアの入手がしやすいなどがありますが、彼がスカンドレルをテールに選んだのは全く違う理由によるものでした。

その理由とは、「市場に出回っているストレートワームの中ではラットに最も適したコシの強さで、かつ比重が最も大きいから」

 

あえて硬めのスカンドレルを採用する理由

そう言って水に浮かべたルアーを見せてくれたのですが、確かにシッポはしっかり沈んでいます。

スカンドレルのコシの強さや硬さに関しては、もう言うまでもありませんよね😁

実際ジョニーラットをリトリーブしてみるとそれが実感できます。

リアボディが大きく振られる度にテールが水面を強く叩き、ピシャピシャと派手に飛沫を飛ばしているんです。

試しに他のストレートワームを試してみましたが、パフォーマンスでは圧倒的にスカンドレルが上でした。

 

ジョニーラットが4本針を採用するワケ

そんな調子ですから、当然フックにもこだわっています。

デフォルトで採用されているのはデコイのクワッドフック。

それまでのんだくれはクワッドフックの効果について懐疑的だったので、これを装着している理由について聞くと、

『ジョニーラットは食性に訴えかけるルアーではなくて、バスのテリトリーを荒らすインベーダーなので、バイトは口を使ったものではなく、体当たりやテールで吹っ飛ばされることがほとんど。だったらフックポイントが3つしかないトレブルフックよりも4つのクワッドの方がフックアップ率も上がるでしょ』とドヤ顔。

とりあえずバスを掛けるのが最重要課題で、その先は掛かってから考えましょ、と言うのがいかにもメキシカンで笑っちゃいましたが😁

 

ラットベイトのちょっと変わった使い方

そんなこんなで一日マシューと釣りをしていたんですが、その中で彼がちょっと面白いラットの使い方をしていたのでついでに紹介しておきましょう。

陽も揚がってバイトも遠のいてきた頃、マシューは自身のラットになにか塗り始めたのです。

それは小動物の獣臭を凝縮したハンティング用のアトラクタントスプレーでした。

 

フィッシュアトラクタントと同じようにルアーに塗布してよりネズミに近づけるのかと思っていたんですが、その使い方はのんだくれの予想とは少し違っていました。

それはスプレーしたルアーをドック脇にキャストしたら、リトリーブせずにバスが浮いてくるのを待つだけと言うデッドスティッキング釣法。

少し待ってバスが上がってこなければ回収して次のドックへという感じでリトリーブはせず、まるでラバージグでサイトフィッシングをしているかのようにドックを撃っていくのです。

マシュー曰く、何も塗っていないラットは常に動かしていないと見切られるが、スプレーすると止めているだけでも興味本位でバイトしてくる奴がいる、と。

日本ではハンティング用スプレーはなかなか手に入りにくいのですが、日本でも買える Deer Urine(鹿のオシッコ)スプレーでも効果はあるとのことなのでラットを極めたいならやってみる価値はあるかもしれません。

 

まとめ

いかにもアメリカンな動きでガチャガチャと派手に水をかき回すだけに、ラットベイトは日本のアングラーからはちょっと敬遠される傾向にありますが、何をやっても反応がないのにラットを投げたら一発だった、と言う話は常に聞こえてきますのでもし新しい扉を開きたいなら、トライしてみる価値はありますぞ。

昔に比べてラットベイトの種類も増えて価格的にも手に入れやすくなってますしね。

今でこそ神ルアーとして崇められているクリーパーやACプラグだって、最初はみーんな鼻で笑ってたんです。

どの分野でも最初にやり切った人だけが甘い蜜を吸えると言うことをお忘れなく。

 

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