ローランド”帝王”マーチンのDNAを持つペンシルベイト ローバー98 プロチューンド by スコットマーティン Rover 98 Pro Tuned by Scott Martin / リバー2シー River2Sea

トップウォーターペンシルベイトリバー2シー River2sea

 

近年日本ではペンシルベイトの人気がありません。

かつてはトップウォータープラグの代表みたいな位置付けだったのに、最近ではクローラーなどのスロー系タダ巻きルアーにその座を奪われてしまい、今ではシーバス界隈でメガサイズペンシルがなんとか生き残ってるぐらい😭

それゆえ巷にはペンシルベイトで釣った事がない、更にはペンシルを使った事がないアングラーが溢れかえっています。

しかーし!こんなにも釣れるルアーを使わないのは超もったいない!

ということで、今日は初夏のシャローでダイナマイト級の活躍を見せてくれるローバー98を紹介します。

 



ローバー98とは

元々はヴィクセンのパチモンだった

 

そもそもローバーって何よ?というアングラーがほとんどだと思うので、ルアーの詳細の前にまずはルーツから説明するべきですね。

ローバーはリアクションイノベーションズのヴィクセンをまんまパクったルアーとして登場しました。

中国威海(ウェイハイ)にある某パチモンルアー専門工場wが作ったものをリバー2シーオーストラリアが ”オリジナル” として販売したのが始まりです。

 

メジャー大会でのウィニングベイトに

 

その後リバー2シーUSAが設立され、米国で販売されるようになるもしばらくは泣かず飛ばずの存在でした。

しかし2011年、フォレストウッドカップでローバーがウィニングベイトになった事で事態が大きく動き始めます。

初代ローバー128と98

その時の勝者はローランド”帝王”マーチンの息子としても知られるバスプロ、スコット・マーティン。

彼がローバーをモディファイしたチューンドモデルを使っていたのです。

おそらくスコットは当時既に生産が終わっていたヴィクセンの代替品としてローバーを使用していたと思われますが、それを聞きつけたリバー2シーの社長サイモンはまたとないチャンス!とばかりにスコットに契約を持ちかけたのです。

ちょうどその頃、サイモンは先代が立ち上げたリバー2シーUSAの持つパチモンブランドのイメージからの脱却を図るべくダイバーフロッグやクラッキンクレイフィッシュなどオリジナル製品の開発を推し進めており、タイミング的に一致した事もあったでしょう。

(サイモン自身、パチモンのイメージは I’ve had enough/もうウンザリだ😩、と嘆いていたw)

 

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その結果2013年に誕生したのが、今回紹介するローバー/プロチューンドbyスコットマーティンなのです。

 

ローバー98のサイズ、重さ

 

ローバー98のサイズは98ミリ、11.9g。

メガバスの初代DOG-X(90ミリ)をひと回り大きくした感じの中型ペンシルベイトです。

初代ローバーは98ミリから230ミリまで4サイズのバリエーションを持っていましたが、新生モデルでは98サイズと128サイズの2サイズを選抜した生え抜きラインナップとしました。

 

 

スコットマーティン版のローバー128と98

 

ここまでだったら良くあるリファイン/リメイクモデルの話で終わるのですが、サイモンもスコットもこのルアーに賭ける意気込みが違いました。

 

 

 

両者は単なるサイズ違いと思いきや、この浮き角の違いからも分かる通り、ルアーとしての性格を全くの別物に仕上げてきたのです。

それぞれのサイズにイイところがあるのですが、今回は特に素晴らしい98サイズを解説してゆきたいと思います。

 

ローバー98の特徴

”ヴィクセン顔” がもたらす水面キープ性能

 

特徴を語る上でこの ”ヴィクセン顔” を避けて通る事はできませんw

ヴィクセンはさざ波が立つようなチョッピーウォーターでもダイブする事なく安定したドッグウォークができるペンシルベイトとして知られていますが、ローバーは元がヴィクセンのパチモンだけあってその性能はしっかり引き継いでいますw

そしてリメイクに伴ってボディの幅をわずかに広げ、カップの面積も拡大。

これによりアクションレスポンスが飛躍的に向上すると同時により大きなスプラッシュも出せるようになりました。

 

タングステン化+低重心化でより安定した動きに

そしてウェイトをタングステン化することでより強い衝撃音を生み出せるように。

さらに初代ではワンノッカーウェイトしか封入されていなかったところに低重心固定ウェイトを追加したことで、ターン後の姿勢回復スピードが速くなり、高速ドッグウォークへの追随性が大幅にアップしています。

それはサウンド面でもポジティブな効果をもたらし、水面の状況によってラトルの鳴り方にムラがあった旧型と比べると数段上のパフォーマンスをもたらしています。

 

 

インサートプレートもアップデート

下が初代ローバー

もちろん機能だけでなく外見のアップデートにも着手しています。

初代はプレーンな反射板でしたが、新生モデルではメリケンの大好物wであるホログラムプレートを採用し、カラーによってホロパターンも変えるという気合の入れよう。

スコットからはカラーリングについても細かいオーダーがあり、OKが出るまで結構なやりとりがあったとのこと。

おそらく彼のホームであるフロリダ州レイクオキチョビで有効なカラーにこだわっていたんでしょうね。

リバー2シーの定番色ルーン。全ての水面系ルアーに設定されている人気色でもある。

といいつつも、しっかりルーン(アビ科の渡り鳥)カラーもラインナップしているあたりはカリフォルニアデルタをベースとするリバー2シーらしいなと😁

 

ちなみにルーンはカナダのワンダラーコインのデザインに採用されるほど北米ではポピュラーな鳥。

 

 

日本ではあまり見られない特徴的な模様を持っているので、この鳥を初めて見た時はレッドウィングブラックバードを最初に見た時と同様にテンション爆上げでした。

うおー!アレがバスに食われてるあのルーンか!!とw

 

 

初めてパーチやクラッピーの実物を見た時も同じような興奮がありましたが、図鑑などではなくルアーのカラーで生き物の存在を知るって、バスアングラーはちょっと特殊なのかもしれませんね。

 

ローバー98のアクション

 

ローバー98はペンシルベイトに求められるあらゆる要素を高レベルで実現していると言っても過言ではないでしょう。

クイックな首振りはもちろん、カップやボディサイドによるスプラッシュ、サイドtoサイドの大きなスラッシュアクション、静止状態からのダイビングアクションに加え、ウェイトをタングステン化したことによる甲高いサウンドも納得のレベルに仕上がっています。

なによりもこのサイズのペンシルベイトでそれらが実現できているところがスバラシイ。

 

 

 

スーパースプークの登場によりワンノッカーペンシルは130ミリ前後が基準サイズとなっていますが、それよりも小さなサイズが必要な状況を考えると、フルサイズワンノッカーペンシルの機能をスポイルすることなく100ミリ以下にまとめたのは天晴れと言ってもいいのではないかと。

もちろんそうした背景には同サイズペンシルであるライバル、ペイチェックベイツのレポマン/レイトペイメント Repo Man/Late Paymentの存在もあると思われますが。

 

ローバー98の使い方

 

そんな新生ローバー98の特性が活かせるスポットはズバリ初夏のマズメ時シャローです。

そのキャスタビリティを生かして遠投したら早めのノンストップドッグウォークでテンポ良く引きまくります。

初代ローバーはターン後にバランスを崩しがちで高速ドッグウォークするにはちょっとしたコツが必要でしたが、新型は細かいことを気にしなくともシュパシュパと攻められてストレスフリーなところが◎

イメージ的には、初代DOG-Xのクイックモーションにワンノッカーサウンドを付加したといえばわかってもらえるでしょうか。

 

https://lure1001.com/dog-x-megabass/

 

もちろんマズメ時にはポッパーやクローラーもアリですが、短いプライムタイムを逃すことなくスピーディにベイトフィッシュを意識したバスを狙えるという点では、ペンシルベイトにアドバンテージがあることは明らかです。

更にここぞというスポットでポーズを入れてテールのフェザーをフワフワさせたり、小さくお辞儀させてギルが落水昆虫を捕食するポチュッ!という音を出すのも得意なので使い方はアングラー次第。

そう考えると、パチモンをここまでレベルアップさせたサイモンの執念はスゴかったなとw

 

ローバー98のカラー

ローバーはメインの市場が北米なのでカラーもやはり米人好みのものが中心となります。

画像のアバロンシャッドなんて日本人の好みとは明らかに違いますもんね😁

とはいえリバー2シーは最低700個からカスタムカラーオーダーにも対応してくれるのでジャパンカラーも出来なくはありません。

でもただでさえペンシルベイトが売れない今の日本でペンシルを、しかも日本ではマイナーなブランドのものを1色につき700個捌くのはちょっと気合が必要ですけどね。

 

ローバー98のフック、リグ

 

フックは前後とも#4サイズが標準でリアのみティンセル入りのフェザードフックを採用しています。

初代ローバーは前後とも#6サイズでフェザーは採用していなかったので、これがバランスを崩しやすい原因のひとつでした。

首振りのパフォーマンスが落ちるという理由からペンシルベイトにはフェザードフックを付けないアングラーもいますが、このローバー98に関してはフェザーがいい感じにスタビライザーの役割を果たしているので、ルアーがトビウオになることを抑えてくれています。

波っ気のあるところでもダイブしにくいというヴィクセン/ローバーのメリットは、見方を変えれば水から飛び出しやすいというデメリットでもあるので、このフェザーは見た目以上に重要な役割を果たしています。

もちろんプレーンなフックに交換すれば、プレデターのチェイスから逃れるべく水面をスキップするベイトフィッシュも演じられるので、どちらにするかはアングラー次第ですけどね。

 

ネームは旧モデル同様のショボさ

 

ネームはハラにブランドロゴとルアー名のダブルプリントとなっていますが、これは初代から変わらぬ安心安定のダサさw

ホッパープロッパーのポストでも書きましたが、このネームプリントにはセンスの欠片もありません😂

 

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しかし新生ローバーはシグニチャーモデルということもあって、頭にスコットマーティンのサインがプリントされています。

 

 

とはいえスコットとの契約は2017年で終了しており、ルアーの名前自体も ”プロチューンドローバー” に変わってるので、最近のモデルにはおそらくサインは入っていないと思われ。(近年モノは持ってないから分からない)

なのでサイン入りのモデルを見つけたら2013〜17年の間に製造されたものだと理解してください。

まあそれを知ったところでなんの役にも立ちませんがw

 

ローバー98の入手

 

そんなローバー98ですが、発売から既に9年経っている上に日本ではペンシルベイトが不人気ということもあって、店頭ではまずお目にかかれないと思います。

もしあるとしたら、当時のんだくれの会社が卸したショップに残っている店頭在庫ぐらいだと思いますが、当時でも各ショップの反応は鈍く、売れ筋を追っかけるショップからは総スカン状態だったので店頭在庫も望み薄かと。

なので入手はTWHなどの海外通販しか無いと思った方がいいでしょう。

そういう意味ではレアなのかもしれませんw

 

おわりに

日本でペンシルベイトの人気がなくなってしまった理由はいくつかありますが、日本のマーケットは世界的に見て非常に特殊なことが挙げられます。

ただでさえトレンドの入れ替わりが激しい上に、他国に比べてメディアに振り回される傾向が強かったり、フィールドの特殊性や国民性もあることから、この先も余程のことがない限りペンシルベイトの復権は難しいかなと。

国産ルアーブランドがバス向けのペンシルベイトを出していないどころか、出す気配すらないのがそれを証明してますよね。

でもそれは逆の見方をすれば、誰もペンシルベイトを使ってないということ。

誰も使っていないルアーで、大爆釣を独り占めできるチャンスでもあるのです。

水面の乱反射でシルエットを曖昧にできるジャークベイトだと思えば、こんなに使えるルアーって他にはないと思うんですよね。

なので、ずっとペンシルベイトをボックス待機させている人は久しぶりに引っ張り出して泳がせてみてはいかが?

もしかしたら今年の夏はペンシルベイトで一人勝ちなんて事が起きちゃったりするかもよ???😁

 



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