バス歴が長いアングラーにこそ使って欲しいコスパ最強クランク バンタムマクベス Bantam Macbeth / シマノ Shimano

クランクベイトシマノ Shimanoシャローダイバー

こんなにイイならもっと早く買っておけばよかった!とプチ後悔するルアーってありますよね。

なんとなく気になってはいたけど買わないままでいて、たまたま使ってみたらど真ん中ストライクだったというヤツ。

今日紹介するシマノのマクベスは、すぐに買わなかった事をプチ後悔したルアーのひとつです。



マクベスとは

マクベスは2016年にシマノが立ち上げたバンタムブランドでルアー部門の切り込み隊長を務めるクランクベイトです。

かつて一世を風靡した伝説の名を冠したこのブランドは ”Excited Again” をキーワードにバスフィッシングの本質を追求するというコンセプトの下に発足しました。

しかしブランド発足当初、のんだくれは新生バンタムシリーズを冷ややかな目で見ていました。

それも、ネタ切れで遂に伝家の宝刀を抜いてきたのか?的なかなり辛辣な目で。

それには明確な理由がありました。

なぜならバンタム復活前の数年間、シマノは琴線に触れるようなルアーをあまりリリースしていなかったという事実があったから。

もしかしてバンタムの名前だけで逆転ホームランを打とうと思ってる?的な穿った見方をしていたのです。

そう思ってしまった背景にはバンタムに対する個人的な思い入れも関係しています。

のんだくれのように70-80年代のバスフィッシングを知る者にとって、バンタムという名前は一種の聖域。

なけなしの小遣いを貯めて買ったバンタムリールは、リールでありながらリール以上の存在でした。

釣ったバスの記憶はもちろんのこと、何時間も自転車を漕いで有名フィールドに行ったのに思いっきりボウズを食らった事や、教科書の余白に描いたリールの落書きなどなど、当時の思い出を瞬時に読み出してくれる記憶装置としての役割も果たしているのです。

なので、伝説の名前を安易な販促ネタとして使って欲しくないというノスタル爺特有の偏屈マインドが発動してしまうのです。

よって釣具屋のバンタム特設コーナーを見ても、素直にテンションを上げられないという状況に。

かつてダイワがミリオネアの名前を復活させた時に、それと同じような感情を抱いたアングラーは少なからず居たはず。

でもこれは無駄に釣り歴が長い、ノーガキばっかり垂れてるクソGGYアングラーあるあるなんですけどね😂

しかしひょんなことでその偏屈マインドは崩れ去ります。

一緒に釣行した友人がマクベスを持っていたので試しに使わせてもらったところ、なにこれ!めっちゃイイ!!!と電流が走ってしまったのです。

その後、手のひらを返したようにマクベスを買いに走ったのは言うまでもありません😁

マクベスのサイズ・重さ

マクベスは63ミリ、16gのサイズにまとめられた中型のスクエアビルクランクベイトです。

ラッキークラフトやKVDの規格でいうところの2.5サイズ、バグリーのB2サイズに相当します。

のちに弟サイズである50ミリのコマックやフラットサイドであるマクベスフラットなども追加され、今では今後の展開が期待されるシリーズになりました。

63ミリという大きさは、アベレージが小さいフィールドを主戦場にしているアングラーには少々大きく感じるかも知れませんが、バンタムのコンセプトキーパーでもあることを考えると、コイツを避けて通る事は出来ません。

のんだくれ的には、マクベスこそ新生バンタム!というイメージなのです。

マクベスの特徴

ちょっと不恰好なボディの秘密

マクベスをひと言で表すならば ”よく躾けられた闘牛” です。

体高のあるファットボディが持つ暴れ牛のような浮力を、不自然なほど出っ張った超低重心ウェイトで手懐けることにより、誰もが扱えるクランクベイトに仕上げているのがマクベスの最大の特徴。

一見不恰好にも見えかねないボディシェイプは、フックハンガー自体をウェイトにすることでギリギリまで重心を下げるベリーウェイトの手法を採用しています。

イヨケンらしさが見えるベリーウェイト

画像引用:fishing.shimano.co.jp

フックハンガーとウェイトを一体化させたベリーウェイトは多くのハンドメイドクランクに採用されているもので、バルサクランクの名門バグリーの黄金期を担った手法としても知られています。

構造上どうしてもラトルルームが必要であるが故に重心が上がりがちなラトルを捨てて、極限まで低重心を追い求めた開発陣の意地を感じますね。

このマクベスの開発にはあのイヨケンが携わっているようですが、この辺りの設計にアメリカンハンドメイドクランクに精通している彼らしさが出ているように感じます。

ベリーウェイトについてはダイビンB3のポストでも書いているのでこちらもどうぞ。

老兵は死なず。80年代のバスシーンを彩った勇者は永遠の現役! ダイビンバルサB3 Diving Balsa B-III / バグリー Bagley's Bait Co.
実戦投入する機会はもうなくなったけれど、時々無性に投げたくなるルアーってありますよね。 それらはかつて数多のバスをキャッチした歴戦の勇士たちで、投げれば当時のおいしい思い出が反芻できる手軽なタイムマシンといったところでしょうか...

そしてこれらの要素がプラスチック素材でありながらバルサ並みのレスポンスを生む基礎となっているのですが、それをややこしい技術や理論に持ち込むのではなく ”こうすると姿勢回復スピードが早いんだよ” 程度のあっさりストーリーで流しているところに、バンタムのコンセプトである ”本質” への姿勢を感じます。

ラフに巻いてもビクともしない堅牢リップ

そんなボディをキモチ良く動かしてくれるのがこのリップ。

”スクエアビル” と言ってしまえばそれまでですが、リップラップにガシガシ当てにいってもモウマンタイな強度を備えつつ、両サイドをシェイプしてアクションのキレも忘れていないソツのなさは国産ルアーらしい配慮ですね。

ボディと同じ幅を持つリップは、怪しく身を倒して障害物を躱すのはもちろん、倒木などに対し横綱のごとくがっぷり四つに組んででんぐり返し回避することも出来るなどなかなかの技巧派に仕上がっています。

障害物回避能力が高いルアーが良いというワケではありませんが、このマクベスは浮力/ウェイト/リップが理想的なバランスで調律された数少ないクランクベイトなのです。

マクベスのスイミングアクション

そうなってくると気になるのはやはりアクションですよね。

通常、ルアーのアクションはロールだのウォブリングだのと実際の動きで判断しがちですが、このマクベスのアクションに関してのんだくれが言いたいのは、”使っててとにかく楽しいアクション” だということ。

投げて巻くというルアーフィッシングの基本中の基本を楽しくしてくれるワクワク系の泳ぎなのです。

そんなマクベスの動きを如実に表したエピソードがあります。

のんだくれの元には事務を手伝ってくれている女性スタッフがいるのですが、ある日スイミングタンクでマクベスを泳がせていたら、たまたま彼女が側を通りかかり『かわいい💕』とひと言。

ブリブリとお尻を振って泳ぐ姿が健気で可愛いというのです。

全くの釣り初心者である彼女はルアーで魚が釣れる事は知っていましたが、水中でどうなっているのか見た事がなく、マクベスの泳ぎが衝撃的に映ったのです。

彼女の反応が面白かったのでロッドを持たせてみたところ、ブリブリと手に伝わるマクベスの振動に歓喜の声を挙げ、『これなら魚が釣れなくても楽しめますね!』と。

その場はそれで終わりましたが、後々その言葉を思い返してみたら、自分もガキの頃同じような事を思ってたなと。

お年玉で買ったホッテントットのブルブル振動だけでテンションを上げていたあの頃。

誰も使っていない今だからこそ投げたい急潜行メタルリップクランクの傑作 ホッテントット Hot'n Tot AH series/ ストーム Storm
80年代少年アングラーをトリコにしたザ・アメリカンルアー デビュー作・グロップ!Glop! をリリースしたものの、どう使えば良いのか分からないその外観ゆえヒットには至らず鳴かず飛ばずだったストームは、1965年に発表したス...

おそらく彼女がマクベスを泳がせた時、当時の自分と同じようなワクワクがあったんじゃないかと。

何が言いたいかというと、マクベスの泳ぎには釣りを知らない初心者でも楽しいと思わせる不思議な魅力があるということ。

ワクワク出来るからこそ信じて投げ続けられるし、結果もついてくる。

視覚だけでは測ることができない ”何か” があるのがマクベスのアクションなのです。

余談ですが、ルアーの動きだけでテンションを上げていたそのスタッフは、その後旦那を置いて一人釣りに行くガチのアングラーに成長してしまいましたw

なんだか旦那に申し訳ないキモチで一杯です😅

マクベスの使い方

そんなマクベスの魅力を最大限に引き出すには巻き倒すのが一番。

ひたすら投げてひたすら巻く。

これだけで十分結果はついてくると思います。

スクエアビルならではのカバークランキングもアリだと思いますが、個人的にはややこしいカバーの中を通すよりも、強いブリブリアクションと当たったら止めて浮かす動作との組み合わせのメリハリだけで誘った方が実力を発揮しやすいのではないかと。

そして変に小細工しない分、ロッドは吸い込み系ショートバイトに対応できるものがベストかも。

のんだくれは遠投性やラインメンディングのし易さからちょっと柔らかめの8フィートクランキンロッドを使っていますが、マクベスはロッドによって性能が左右されるようなルアーではないので基本的に使い慣れたモノなら何でもオッケー。

”楽しく使えるかどうか” でタックルを選べる懐の広さもバンタムのコンセプトである本質なのかもしれません。

マクベスのカラー

カラーチャートがペイント系を中心に構成されているのもマクベスの特徴です。

ベイトフィッシュに寄せるカラーリングが多い国産ルアーの中でペイントカラーがメインなのは、これまたイヨケンをはじめとした開発陣のこだわりだと思いますが、ボディシェイプがクラシックなだけに今風のリアルカラーだと違和感がありそうです😁

画像は初期にリリースされていたパロットカラーですが、近年量産クランクでパロットをカラーチャートに入れたのはもしかしたらマクベスだけなのでは?

残念ながら今このカラーはカタログ落ちしてしまいましたが、ワクワクはこういう所からも感じることができるのでまた復活してほしいですね。

マクベスのフック

フックは前後ともレギュラーシャンクの#4サイズが標準装備となっています。

このフックで不満を感じる事はないのでこのまま使っていますが、ブッシュとかにガンガン撃ち込んでいくような釣りをする場合はショートシャンクのトリプルグリップとかに交換した方がイイかもしれません。

フックサイズを変更した時の動きやフッキングの変化は今後チェックして行きたいところです。

マクベスのネーム

そんなワクワクが詰まったルアーですが、残念ながらネームからは全くワクワクを感じることができません。

まずプリントが小さ過ぎ。

読めないほどではないけれど、ローガンが進行したおっさんにはちょっと辛い文字サイズです。

マクベスよりもサイズが小さいマクベスフラットのネームはもうちょっと大きくて読みやすいので、余計にマクベスのプリントが小さいのには納得がいきません。

ところでマクベスの名前の由来は何なんでしょうか。

悲劇的な最後を遂げたマクベス王に何かを重ねた?

それとも ”巻くべし” からのダジャレ?

いずれにしても小気味よく動くペンシルベイトにスプラッシュローラーという明快なネーミングをした会社の仕事とは思えませんw

シマノの執念が込められたタイニーペンシルベイトの逸品 スプラッシュローラー Jr. Splash Roller Jr. / シマノ Shimano
ビッグベイトというカテゴリーが確立された今、大きなサイズのルアーに抵抗感を持つ人は以前よりも随分少なくなりました。 それと連動して、今まで大きなサイズとはあまり縁がなかったクランクや羽根モノのカテゴリーにも規格外のサイズが登場...

しかももっと不可解なのは50ミリの弟サイズがコマックってどーなのさ?w

小さいマクベスだからコマックというのは理解できるんですが、そもそもマクベスという名前自体がぼんやりしてるのでコマックもピンと来ないのです。

12月16日追記:

コマックのネーミングにはちゃんと意味がありました。

 

ルアーとしての性能が非常に優れているだけに、ネーミングのダサさが際立ってしまうというちょっと可哀想な存在でもあります。

おわりに

とまぁ最後はヲタな悪態をつきましたが、それでもマクベスがおすすめのルアーであることには変わりありません。

初心に戻ってワクワクできるのにいつでもどこでも買える優等生。

さらに実売価格が1,500円程度であることを考えると、コストパフォーマンスはかなり高いのではないかと。

なのでこのクランクは初心者よりも、ある程度経験を積んだクランクベイトアングラーにこそ使って欲しいですね。

いつもクランクを投げる時に思っているウォブリングだのローリングだのといったややこしい事は忘れ、純粋に手元に伝わってくるブルブルだけを楽しむ。

これだけでもマクベスを買う価値はあるんじゃないかと。

マクベスを紹介するYouTube動画でイヨケンが見せる満面の笑顔は、自分達がバス少年だった頃と何ら変わりません。

デカいのが釣れたら大騒ぎして、たとえ小さくてもすげー楽しそう。

バスフィッシングの本質ってそういうところにあると思うんですよね。

そんな忘れかけてた記憶を思い出させてくれるクランクベイトがプレミア価格でもなく普通に買えるって、サイコーに贅沢な事だと思いません?



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