80年代バス少年の心を掴んで離さないルアーは数多くありますが、クランクベイトコーポレーションのフィンガリングほど強烈なインパクトをもたらしたルアーはないでしょう。
ということで今日の千一夜はフィンガリングハイキャッチ、愛しきオサーン達に捧げます。
最強のインパクトと共に迎えられたフィンガリングシリーズ
当時流行のナチュラルプリントに、硬質発泡素材を使用したナチュラルフォームで登場したフィンガリングシリーズは、デビュー当時アメリカで一大センセーションが巻き起こったそうです。
クランクベイトコーポレーションのフィンガリングシリーズが発売された当時、まだのんだくれは短大出たての音楽の山口先生の透けブラでクラクラしてるようなハナタレだったので、アメリカの実情は書籍とその時代をリアルタイムで知っている米コレクターから聞いた話でしか知り得ませんでしたが、それでもセンセーションという言葉は決して大げさではなかったと思います。
ナチュラルプリントのルアーとしてはレイジーアイクのナチュラルアイクが先行していたにも関わらず、大きな衝撃だったということは、従来のルアーにはないリアルな造形の影響もあったんでしょうね。
だってビッグオーとかロングAの無機質なフォルムを見慣れてたらこの得体の知れない有機生物ちっくなルアーは衝撃を通り越してキモかったでしょうからw
ナチュラルブームの終焉と共に移籍
しかし時の流れは残酷です。
隆盛を誇ったクランクベイトコーポレーションもナチュラル時代の終焉と共に衰退、あれだけのインパクトがあったにも関わらずリアル過ぎるルックスは【キモチ悪い】の一言で片付けられるようになってしまいました。
そしてクランクベイト社に待ち受けていた運命は、米ルアー業界のサルベージ船、ルーハージェンセンによる買収でした。
それでもブランドの倒産/消滅よりは100万倍マシな道です。
移籍後も続くイバラの道
これでフィンガリングも生き永らえる事ができる… と思ったのも束の間、その先には過酷なリストラが待ち受けていました。
なんとフィンガリングのオリジナルサイズ、ブルキャット、スーパーダグなどの名品達がこの世を去ったのです。
そりゃそうですよね、いくらブランドを買収されたからと言って全部のルアーをそのまま販売するのは到底無理な話。
買収した側にしてみれば、収益を生み出してくれる商品だけを残すのが再生への第一歩ですからこればっかりは仕方ありません。
新モデルの登場で新たな展開に
しかーし!
ルーハーはこのサイズのフィンガリングを残すことでブランド復興の活路を見出そうとしました。
なんと1オンスのデカ魚です。
このサイズにした時点で、すでにフィンガリング(=稚魚)じゃありません。
多分ルーハージェンセンは、メインターゲットをバスではなくパイク等の大型魚向けのルアーに路線変更することでサバイブさせるハラだったんでしょう。
というのも、実はクランクベイト社の時代にもこのデカサイズは存在していたのです。
クランクベイトコーポレーションの時にはイヤリングと呼ばれていたものがそれ。
フィンガリングに対してイヤリング、つまり年魚という事ですね。
商品コードでは 6603-100と呼ばれている長兄です。
このカタログ画像にはイヤリングのロングビルバージョンしか載っていませんが、いろいろ調べたところ、ルーハーに権利譲渡する直前にごく短い期間だけショートリップモデルが生産されていたようです。
でもなんでイヤリングではなく、ハイキャッチ Hi-Catch に改名しちゃったんでしょうね。
キモいナチュラルカラーに股間をドクドクさせられた世代としてはちょっと寂しいですね。
独特のテイストを持つナチュラルプリント
でもこの130mmサイズだからこその魅力もあるんですよね。
ただでさえキモいプリントがさらにパワーアップ。
ここまでくるとナチュラルプリントとは一体何ぞや? と、まるで禅問答のようなギモンまで出てきそうですw
ちなみにこのカラーは#929 ラージマウスバス。
クランクベイトコーポレーション時代からあったカラーですが、ペイントの緻密さは圧倒的にクランクベイトコープ時代の方が上。
文句のひとつもブー垂れたくなりますが、本来は廃番となるルアーですからね、身請けしてもらっただけでありがたいと思わないと😭
フィンガリングハイキャッチのアクション
リップはスラント角が小さいスクエア形状を採用しています。
厚目のポリカーボネイトに巨大なスナップを装備して大型魚との死闘にも耐えられるようになってる… と言いつつも、ナニゲにヒートンが緩んでたりするお茶目ポイントも忘れてませんが。
このリップが生み出すアクションはセッパリの頂点を支点とした大きな大きなウォブリング。
最近のルアーではあまり見られない昔の発泡素材特有のモワンとした動きなので、最新プラ製ジャークベイトのキビキビスパッ!な動きにに慣れちゃってると『なんじゃいこのもっさり動きは!』となることマチガイナシ。
ちなみにこのシリーズには同じボディでロングビルを持つ兄貴もラインナップしていました。
もっさりスイムなのに魚を寄せるルアー
しかし使い込んでみると、これがなかなかイイ動きだったりします。
キレとは程遠いアクションゆえ、リトリーブを止めると慣性でモワン… ボトムに当たるとヒラ打ちもモワン… といった具合に、スローに使うとまるで壇蜜の演技のようななんとも妖艶な動きをしてくれるんです。
そんな動きを楽しみつつ投げていたんですが、そのうちバイトっぽい手ごたえが来る事に気づきました。
ほとんどお遊びの感覚で投げてたのでまさかバイトがあるとは思ってませんでしたが、どう考えても生命反応です。
しかも何度も。
コイツ、もしかするともしかするかも… と真剣に投げ始めたところ、先日のブログでアップしたヤツが襲ったという顛末でゴザイマス。
まあ釣った本人が一番驚いたんですけどね。
硬質発泡素材ならではのウェイトシステム
硬質発泡プラスチックの一発抜きなので、ウェイトはこのように後から埋め込む方式。
当然ながら重心移動なんてハイテク装備wとは無縁の世界です。
このウェイト、ホジってないので一体どのくらいの大きさなのかは分かりませんが、ボディ容積から見ると意外と大きいんじゃないかと。
でも最近はここまであからさまにウェイトを主張するルアー、最近見なくなりましたよね。
仕上がりがキレイなルアーが増えるのはイイことですが、なんというかアナログ的な感じがどんどんなくなっていくのはちょっと寂しい気もします。
デフォルトのフックには大きな問題が
しかし、そんなルアーにもちょっと難点があります。
どうもバスはコイツをエサだとは思ってないようで、手応えで判断する限り威嚇系の体当たり、もしくはルアーに寄り添ってくるようなバイトばっかりなんです。
よって、デフォルトで付いてるこのフックでは全くといっていいほどフックアップしません。
例のデカクランクでも同じ現象が起きてるんですが、多分このフックはパイクなどの大型魚がエサとしてバイトした時にはイイんでしょうけど、それほど大きくないオサカナが体当たりしてくるケースではちょっとムリがありますね。
よって、実戦版のフックはファインワイヤーのワイドゲイプに交換して戦闘力をアップしてます。
最後に
ビワコイケハラならともかく、近所の小さな公園池でこのサイズのルアーを投げてると、さすがに他のアングラーからの視線が刺さります。
すれ違う人が『こんにちはー。あ、ビッグベイトですか…(クスッ)』 てな感じ。
『スイムベイト』ならまだしも、『ビッグベイト』とか『トラウトベイト』って表現は、それを使うアングラーに対する蔑みの意が少なからず込められてると思うんですよね。
オメーまだそんなん投げてるの?的な。
そんな挨拶ならしてもらわんでもエエわい!w
まあ普段から野池でDD22を投げてるので、そんな冷たい言葉や視線にも馴れちゃいましたが、そんなヤツらをギャフンと言わせる事が出来る数少ないビッグベイトwですので気になった方は是非探してみてください。
でも使用にあたってはストーンコールドビームに耐えるだけの精神力が必要ですのであしからず。