日本未入荷ルアーつながりでこんなのも紹介しておきましょう。
キナミベイツのジェイウォーカーです。
キナミベイツ?なんじゃそれ?な方が多いと思いますが、いろんな意味で知っておいてソンはないブランドです。
このルアーと知り合ったのはこの間のダイヤモンドバレーレイク。
休憩に上がった桟橋でちょっと話をしたおっさんのボックスの中に見慣れないペンシルベイトが大量に入ってるのを見つけたのが馴れ初めでした。
ヒトのボックスが気になるのんだくれは、異国であろうと容赦なくチェックしますから割と嫌われてます🤣
このルアーってなんて名前?と聞いたら、そのおっさん、待ってましたとばかりに美麗賛辞のアバランチ状態に突入。
そんなにイイならちょっと投げさせてよ、と動かしてみたらこれが結構良かったんです。
というわけで買って来ちゃいました😁
そうそう、肝心のキナミベイツについてちょっと説明が必要ですね。
キナミベイツというのはゲーリーヤマモトのセカンドブランドで、ゲーリーの息子、デレク・ヤマモトが舵を取っている会社です。(注: キナミベイツは2013年に廃業しました)
その商品ラインナップはまさにゲーリーヤマモト。
ブランド名が違うだけで基本的なライン、商品はまるまるゲーリーです。
しかし唯一違うのは販売価格。
セカンドブランドなので当然価格も抑えられていて、アメリカではクオリティが同じならキナミを買うよというアングラーもいます。
というかそれが普通ですけどね。
そんなポジショニングのキナミベイツなので、値が張るゲーリーブランドが幅を利かせてる日本ではなかなか紹介されず、当然商品も少ししか出回ってないという、ある意味希少なブランドです。
そのキナミベイツが出している数少ないハードベイトがこのジェイウォーカーというわけでゴザイマス。
このルアーのアクション特性を一言で表すならば、キレのあるターンと幅のあるスライド。
一見サミーのパチモンか?とも思ってしまいますが、ボディ容積が大きいのであまりダイブせず、あくまでも水面での勝負にこだわるペンシルベイトです。
大きなカップも持ってるのでツバ吐き伊良部くんにだってなれちゃいますが、ここは素直に鋭角ターンとスライド性能だけを受け止めておきましょう。
シビれる鋭角ターンをキメてくれるのがこのボディ構造です。
一見フツーの、どこにでもあるペンシルベイトの構造ですが、よーく見て下さい。
背中の部分のプラスチックがハラ側よりも厚くなってるのが分かります?
背中側に重心を移動させることによって、ボディが倒れやすく…つまりロールしやすい…ひいては鋭角ターンがしやすいウェイト配分にしてあるんです。
しかし、単に重心を高くするだけでは不安定な動きになってしまうので、ボディ容積を増やす事で安定感をアップ。
ターンの際、ボディが倒れたらすかさずカップのエッジが水をつかむので、ナナメ姿勢をキープのまま横に大きくスライドする… といった具合。
分かりやすく言うと、サミーとガニッシュを足して2で割った感じですね。 …え? そんなの分かるかって? し、シツレイシマシタ。
ちなみに生産はお隣の国・台湾。
え?台湾?もしかしてストライクプロ社製?と思ってチェックしてみたら、ホログラムの入れ方やスケールパターンの感じなどなど、確証こそないもののどうもそれっぽい😁
ボディ後方に仕込まれた4つのボールがウェイト担当です。
前の2つは完全固定されていて、後がラトルボールになってますが、ラトルルームのスペースが小さいのでサウンドはおとなし目。
このレベルだったらむしろサイレント仕様で出してくれればイイのに… というのは純日本的な考えで、アメリカ人はスーパースプーク的なラトルが大好物なので、少しでも鳴らないとセールス的に難しくなっちゃうのかもしれません。
というか、日本と違って広大なエリアでのサーチベイトとして使う事を考えると、ラトルは必須条件なんでしょうね。
そんなタマタマの音量不足を補うためかどうかはわかりませんが、ヘッド部分にはこんな可愛い色したプラスチック製のボールが仕込まれてます。
ただ、コイツの音もビミョーなレベルなので効果があるかどうかは分かりません。
しかしなんでグラスラトルじゃなくてプラスチックラトルを採用したんでしょうか。
そこんトコ気になります。
フックは前後とも細軸のワイドゲイプ。
ザラスプークとほぼ同じサイズなのに、こんな細軸ワイヤーのフックを採用するのは、やっぱり高重心化を意識しての事なんでしょうか。
ゲーリーのトコのペンシルベイトといえば例のスゴイペンシルがありましたが、運動性能・使い勝手共に、ある一点を除けばこっちの方がイイです。
その一点とは、ネームプリントがドコにもないこと。
しかしそれはネームヲタとしてネームプリントが無いのを惜しむというよりは、ネームが無い事でルアーの名前が市場に浸透しない ⇒ 良いルアーなのに名前が残らない ⇒ 知名度が上がらずに消えゆく運命 となる方が惜しいんです。
事実、桟橋で会ったオサーンが名前を教えてくれなかったらこのルアーがキナミベイツ産だという事も分からずに終わってたんですから。
アメリカのソフトベイトメーカーの出すハードベイトってのは、OEM生産をしてくれる工場が持ち込んだ基本サンプルに若干アレンジを加えて発売するという超安易なパターンが多いんですが、このキナミベイツはルックスこそサミー似ですが、中身は完全なるオリジナル。
ソフトベイト屋が出すハードベイトだからこそ気が抜けないんでしょうが、こういう真摯な姿勢がルアーから汲み取れるブランドが少なくなっちゃってるだけにキナミベイツには頑張ってほしいですね。