本家よりも良く出来た稀有なジャパチの迷品 ベイビーバス Baby Bass / サンケイベイト Sankei Bait

クランクベイトサンケイベイト Sankei Bait Mfg.シャッドシャローダイバー

 

ひと言でルアーコレクションといっても、その人の好みや性癖wによってさまざまなテーマがあります。

一つのルアーの全カラーをフルコンプリートする初級編に始まり、クリアボディだけとか、エラー品だけとか、初期モデルだけとか、セールスマンサンプルだけとか、それこそテーマを挙げだしたらキリがありせん。

それこそがルアーコレクションの楽しみでもあり、かつオソロシイところでもあるんですが。

そんな中で、近年人気が急上昇したテーマのひとつにいわゆる国産パチというカテゴリーが存在します。

国産パチとはその名の通り、海外のメジャールアーの造形をパクった国産のパチもんルアーの事ですが、今日はその国産パチの代表選手、サンケイベイトのベイビーバスにスポットライトを当ててみましょう。

 

ところで国産パチって何よ? という方のために、お約束のノー書きを少々タレておきましょう。

国産パチのルーツは戦後の占領下において米国からの注文で輸出用ルアーを製造… というところから始まります。

しかしその時代から説明すると、のんだくれの睡眠時間が無くなってしまうので、詳細はまたの機会にするとして、今回は一般的にオールドマーケットで国産パチと呼ばれているものについてのみ触れておきましょう。

 

 

70年代後半から80年代初めにかけて第二次バスフィッシングブームが巻き起こりましたが、当時は今のように中古釣具を扱う店などどこにも無く、ルアーを手に入れるには新品を買うしかありませんでした。

しかし為替レートは1ドル=200円前後と、今では考えられないほどの円安。

当然舶来ルアーは高額となり、バス釣り少年達の手に届くようなものではありませんでした。

そんな時に格安で大量に出回ったのが、海外ブランドのコピー商品というわけなんです。

今、中国のコピー商品が何かと話題になりますが、ほんの3~40年前まで日本も同じ事してたということですね。

 

 

さて、話をコイツに戻しましょう。

もう皆さんご存知の通り、このルアーはボーマーのスマイリンミノーのパチです。

国産パチの分野はのんだくれの担当外なので具体的な製造年は分かりませんが、記憶が正しければ、このベイビーバスは80年代半ばには市場に出回っていたように思います。

そもそもコイツの名前が分かんなかったので少年ルワー博士に聞いたぐらいなんですから。

 

サイズはスマイリンミノーの中間サイズ、1/4オンスサイズを踏襲しています。

当時は釣具屋のオヤジが “10cm以上のルアーではバスが逃げる” と大真面目に説いていた時代ですから、マーケティング的には正しい選択でしたね。

 


 

あ、ベイビーバスなのにレインボートラウトというツッコミはナシでお願いします。

ついでに瞳孔が開いた目が怖いというクレームもナシでお願いします。

ちなみにボディの中にはカラカラとよく鳴くラトルが入っています。

本家ボーマーのスマイリンミノーに採用されているプラスチック素材は、オールドルアーによくある比重の大きなプラですが、こちらのスマイリン君は、いわゆるボーン素材に近い軽い素材なので、皮肉なことにラトルサウンドの響きは本家を凌ぎます😂

こういう具合に、時々本家よりもナイスなところがあるのが国産パチの魅力のひとつ。

 

 

リップはオリジナルとは違うスリムシェイプになっています。

ラインアイもオリジナルがエイトリング仕様なのに対し、こちらはヒートン仕様。

しかしヒートンの先が飛び出さないようにちゃんと処理されてるところがニクいですね。

少年達が飛び出たヒートンの先で怪我をしないようにという親心なんでせうか。

 

サンダーか何かでバリを削り取った跡が生々しいですが、これはパチもんの仕上げにしてはかなり上質な方です。

何しろ当時のパチもんはボディの左右のズレや浸水なんて基本中の基本でしたから。

そう考えると今の中国製パチって、めっちゃクオリティ高いですよね。

 

 

しかしパチならではのおマヌケなところもあって、コイツなんてヒレのプリントが逆さだったりします。

でもこういう抜けたところが国産パチマニアのハートに深く刺さるんですよねー。

なので最近は競争率も高くなってしまい、中古屋でもなかなかお目にかかれません。

 

 

ボーマーのオリジナルはフロントがエイトリングでリアがヒートン、それぞれスプリットリングを介してリグられているのに対し、こちらのフックは前後ともリングを介さないヒートン直付け。

ヒートンはおそらくウェイトの役目も兼ねていたんでしょう。

久しく投げてないのでフックが錆びちゃってますが、80年代のバス少年が持ってるルアーのフックもみんな錆びてましたね。

根掛かりで延びたフックを直しもせずにそのまま使ってたり、今考えると大らかというか、バスを釣る事よりも友達とワイワイ釣りをする事自体が楽しかったんでしょうね。

 

 

肝心の泳ぎは、やっぱりと言うか書くまでもないと言うか、早めのリトリーブでは横に向かって走り出すという、なかなかの仕上がり具合。

でもこれは浮力とのバランスが取りきれてないことから起きているので、ウェイトを貼るとか、泳ぎが破綻しない程度のスピードで引くとかであれば十分使えます。

いや、むしろ時折早めにリトリーブしたりして、意図的にバランスを崩してやるのが正しい使い方なのかもしれません😁

そう考えるとオールドの国産パチルアーで釣るというのは、最近のルアーで釣るよりもアングラーの技量が試される分、上級アングラー向けのルアーなのかもしれませんね。 ヾノ∀`)ナイナイ

 

コメント
*2012年投稿時にいただいたコメントをそのまま転載しています

 

1. aki January 24, 2012 19:42
これは…アリですね!
パチモノでも細いワイヤーを使った実釣で使えなそうなヤツに比べたら良いですよ♪
アメルアでも昔はヒートン仕様が当たり前でしたが、マイナーチェンジされるとエイトリングに代わってしまうのが悲しく思えました(泣)
虹鱒カラーがニクイですね(笑)

 

2. カープヒロシマ January 24, 2012 20:44
たぶん、というか間違いなくバスカラーなんかないのにベイビー(^◇^;)バスですからね(^◇^;)
変態の皆さんと主催者さんの有難いお話そっちのけでサンケイベイトの沢山入ったダンボールワゴンを大騒ぎしながら漁りまくったことでJFLCCが大阪で開催されなくなったという噂があるらしいですf^_^;)
だからと言って、高くても210円でないと売れませんから中古屋さん、よろしくお願いします( ^_^)/~~~

 

3. のんだくれ January 25, 2012 06:11
akiさん
確かにヒートンからエイトリングに変更になるルアー多かったですねー。
最近はもうエイトリングが標準というかヒートン物なんてウッドじゃない限り化石になっちゃってますけど。

 

4. のんだくれ January 25, 2012 06:13
カープさん
この辺のルワーはカープさんがいないと誰も牽引してくれないのでお願いしますね(何を?・笑)
そうそう、コイツのバスカラーは見た事ないので多分存在しないでしょうね。
それを知った上でこの名前にしたサンケイはやっぱスゲーかも。

 

5. シマドン January 25, 2012 07:15
「ヒレが逆さ」、、、言われて気付きました(笑

 

6. teiーg January 25, 2012 22:53
やっぱり日本人はこの辺のサイズに安心感を覚えますね(笑)。
ザラなんて超巨大に見えたのに、今は普通に感じるから不思議です・・・。
サンケイって産経と何か関係あるんですかね?

 

7. のんだくれ January 26, 2012 20:13
シマドン
まあ間違い探しみたいなモンだからむしろ気付く方がキモいかも(涙)

 

8. のんだくれ January 26, 2012 20:14
tei-gさん
ハッハッハッ! さすがにあの産経とは関係ないでしょー
いや、案外ウラで密接に繋がってたりして… (笑)

 

 



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