えー… ポチリました。メガバスのラテス。
先月発売になったばかり、ピカピカの新モデルです。
基本的にこのブログで紹介するルアーは、ある程度使い込んでからでないと記事にしないと決めているんですが、今回は特別。
過去に旧モデルでイイ思いをした事があり、既に下地はあるのでそれも絡めてインプレしてみようかと。
ラテスとは
千一夜の読者層的には、”そもそもラテスとは何?”というところから説明したほうが良さそうですね。
ラテスの歴史は2012年?にオリジナルモデルが発表されたところから始まります。
強いローリングアクションでバスを惹き付ける事をメインコンセプトにしたミノー(ジャークベイトではない)タイプのルアーでした。
正直なところ、当時はラテスというルアーが発売された事すら知りませんでしたが、米国取引先のスタッフが「日本じゃラテス売ってるんだろ!? 買って送ってくれ(;´Д`)ハァハァ」と言ってきた事で初めてその存在を知ることに。
で、そこまでハァハァ出来るんだったら自分用に一個買っとくかー、というのがこのルアーとの馴れ初めでした。
が、ほどなくして生産が終了。
あーあ、と思いつつ忘れていたところにこの新モデル、フィーディングウーハーが発売となったワケです。
ラテスフィーディングウーハーのサイズ・重さ
ラテスフィーディングウーハー(以下ラテスFW)は全長120ミリ、自重5/8ozという体躯の大型ミノー。
120ミリというサイズは今の感覚では ”大型” とは言えませんが、ミノーらしからぬ体高を持つ存在感もりもりボディは、大型ミノーという表現がしっくりきますね。
ラテスFWの特徴
ジャイアントドッグXを彷彿とさせる側扁体型
ラテスの特徴は何と言ってもジャイアントドッグXを彷彿とさせるこの迫力ボディでしょう。
ラテス(=アカメ)でありながらも、鯉ちっくな顔つきにしたのはあえての外し技?w
個人的にはグラップラー刃牙を思い出してしまいましたが。
体高がありながら、更に頭部の幅を大きく確保していることからも、ラテスFWがいかに浮力を重視したルアーなのかが分かります。
24ミリという体高は、もはやクランクの領域ですが、頭でっかちなのにアンバランスさを感じさせないデザインはさすがメガバス。
巨大なチャンバーに少数のラトル
ラテスFWはボディ内部の仕切板が一つしか無いのも特徴です。
テール側にラトルを封じ込めているパーテーションがひとつあるだけで、フロント側はノーズまでぶち抜きのワンルーム仕様。
通常これだけの大きさを持つルアーであればボディ剛性アップのためになんらかの構造体を入れそうなもんですが、ラテスFWは清々しいほどのオープン設計。
その広さたるや、まるでシェラトン・ワイキキのオハナスイート級なのですw
でも補強構造がないと真夏の炎天下でフグになっちゃうんじゃ…. という不安も一瞬過りましたが、プラの厚み的にもそれは杞憂かもしれません。
まあこればっかりはひと夏使ってみないと分かりませんが。
しかしそんなリスクを犯してまで広いラトルチャンバーを確保したのには、このルアーのキモがラトルサウンドにもあるからなのです。
”遊動式ではない” 遊動ラトル
これだけ大きな空間があったらラトルが自由に暴れられる分、動きも不安定になるんじゃないの?と思いがちですが、そこを上手くクリアしているのがこのルアーのミソ。
実はこのラテスは遊動式ラトルだけれど、ラトルが全然遊ばないように設計されているのです。
その矛盾の秘密はボディ内部に設置された複数のリブ。
ルアーがスイミング状態に入ると、このリブとリブの間にラトルボールが収まり、横方向にしか動かない様になっています。
つまりジャークなど大きな入力ではラトルは広いスペースを自由に跳ね回ってジャラジャラ鳴りまくるけれど、一旦泳ぎ始めると、ラトルはこのリブに囚われて横方向にしか動けなくなり、カチカチと規則正しくラトル音を発し続けるという仕組みなのです。
ボディ内部に大量の遊動ラトルを入れたミノー/ジャークベイトは幾つも存在しますが、それらはラトルの多さゆえ重心が定まりにくいので、泳ぎや姿勢が安定しないという弱点を持っています。
そんなマルチ遊動ラトラー特有の先天的疾患を、ラトルボールの数を最小限にすることで回避し、さらにラトル同士の衝突によって衝撃効果が半減してしまうというデメリットをも回避しているのです。
鹿威し(ししおどし)的効果とマラカス的効果
そしてそのラトル効果を最大限に引き上げる仕掛けもバッチリ。
低重心のウェイトを鉄道レールのように線状に出っ張らせることで、ラトルが横に動く際にあえてレールに引っ掛かるように設計されています。
これにより、ゆるい傾斜角ではラトルはレールにキープされる形で動けないけれども、ボディがある一定の角度(約70度)に傾くと、まるで水が満たされた鹿威しが落ちるかのようにラトルボールが勢いを付けてコツン!と落ちるのです。
滑らかな内部をコロコロと転がるラトルと、勢いよく落ちるラトルのどっちが大きな音と衝撃波を出すかはもはや聞くまでもありませんね。
そして内部構造体が少ないボディは、マラカスのようにラトルサウンドを増幅。
しかもリブとリブとの間隔は、ボールが同居しない絶妙な幅に設定されているのでラトル同士が効果を殺し合うことなく生き生きと働ける環境になっているなど、”たかがラトル、されどラトル” を具現化しているのです。
これ現物を傾けるとよく分かりますが、笑っちゃうぐらいよく考えられてますよ。
ラトルボールの挙動を肴に間違いなく焼酎ロック3杯いけちゃいますねw
これぞメガバス!なエラや目の造形
一時期のような過度な造り込みは影を潜めているものの、それでも各部の造りはメガバスのそれ。
初期のドッグXの目がシールだったなんてもう信じられませんね。
個人的には、この貞子アイを見る度に♪きっとくるーきっとくるーと脳内再生されてしまうビヨキをなんとかしたいんですが。
ローラーベイトの名に恥じない揺れっぷり
気になるアクションは大きくボディを傾ける強いローリング。
ウォブリングは抑えめにも関わらずこれだけ強く水を撹拌するのは、やはり24ミリある体高と、しっかり水を掴む幅広リップの効果でしょう。
アクションレスポンスも非常に高く、軽くトウイッチするだけで水面直下でギラッ!ギラッ!と明滅効果を楽しむことが出来ます。
これ長めのスピニングロッドでグリグリやったらめちゃくちゃ楽しいだろーな。
基本的にシャローダイバーですが、ロッド位置を高く保持すればウェイクベイト的に使えるのもラテスFWのいいところ。
水面ギリギリまで伸びたウィードを避けながら引き波を立てればゴフッ!となることうけあいなのです。
そして旧型と最も違うのは、キックバックアクションが影を潜めたところ。
旧型はダータープラグのようなキックバック特性を持っていましたが、ラテスFWはリトリーブを止めると、頭からスーッと浮上します。
その浮上スピードも他のミノーでは見られないクイックさなので、水面へと逃げるエスケープアクションはもちろん、ウェイト付加でライザージャックのようなデッドフィッシュ演出も出来たりと、許容範囲の広さもウリのひとつになっています。
それらの特性を見ていると、ラテスはジャイアントドッグXの進化版なんじゃないかとすら思えてくるのです。
二次元アクションのジャイアントドッグXに、上下の動きを加えた三次元ベイト的な。
そして使っているうちに、のんだくれの脳内にあるルアーが浮かんだのです。
コーデル・レッドフィンとの共通性

上からコットンコーデル・レッドフィンC09、ラテスFW、リップリンレッドフィン。
そのルアーとはコットンコーデルの名品レッドフィンと、その派生モデルであるリップリンレッドフィン。
それぞれのルアーの特性は個別記事を読んでもらえば理解できると思いますが、ラテスFWはレッドフィンの強力なローリングアクションとリップリンレッドフィンのフラッタリングによる強い水撹拌を足して2で割ったような、いいトコ取りのルアーなのです。
そういう目で見ると、両者の立体ボディ形状にも何か関連があるように思えてきちゃいますねw


カラーはメガバスお得意のアレ
今回入手したカラーはGPオーロラギル。
グアニウムファントムの頭文字を冠に持った、メガバス伝統カラーのひとつです。
昔メガバスに狂ってた頃はGPというコードに何の抵抗もありませんでしたが、今回久しぶりに目にして、GPって何の略だっけ?と一瞬考えてしまったw
かつて狂騒曲に踊らされた身ですらそんな状態なので、当時の熱狂を知らない層はもっとワケ分からんのじゃないかと要らん心配もしてみたり。
今回内部構造が見たいというヲタ的理由と、テールにチャートが入ってるのが好きなのでこのカラーを選びましたが、このルアーのアクションと明滅効果を活かしたいならオイカワやマットタイガーの方が相性がイイかもしれません。
ちなみにテールの腹側に吹かれたチャートは、ボディが大きく倒れた時だけに見えるので、ステインウォーターなどルアーの視認性がイマイチ良くない時に、どれだけ動かしているか分かりやすいという優等生。
個人的にはルアーの背中にインジケーターを貼るよりも動きの強弱が確認しやすいので、パープルパール同様に優先順位の高いカラーとなっています。
フックはカツアゲ#4サイズ
フックはプロップダーターでデビューしたカツアゲフックの#4サイズを採用。
これはこれでアリなんだけど、フックを交換する際に同じカツアゲフックで揃えないと、見た目の違和感がハンパなくなるという副作用が。
同じような形状を持つ汎用フックが出ているので選択肢が全く無いわけではないけれど、ガチのメガバスマニアではないライトユーザーがどこまでこのカツアゲフックにこだわるかは未知数ですね。
バーバリアン(野蛮人)トレブルってスゲー名前だなw
おっさん的にはコブラの第一巻を思い出すね pic.twitter.com/6AYZvYruey— ルアー千一夜☆公式 (@lure1001) June 7, 2022
ちなみにコレはラパラで有名なVMCから出ている”カツアゲ風”。
アウトバーブがイマイチ好きになれない人にはこっちの方がイイかも。
ローガン殺しのネームは今も健在
ネームはメガバスの家訓通り後頭部へのスタンプ方式。
小さな文字で老眼のおっさん達にはルアー名を読ませない仕様です。
実はコレ、ローガンを発症したおっさんはもうウチのルアーを使ってくれなくてもイイからね、という隠されたメッセージ。
なのでこれが読みづらいなと感じたら、メガバスから肩を叩かれたと思って諦めて下さい😂
しかしよくわからんのはこの ”フィーディングウーハー” というサブネーム。
捕食行動を増幅する系の意味なのかと思ったけれど、ウーハーにアンプリファイドの意味があるとは思えない。
おそらくイメージ先行で深い意味は無いと思うんだけれど、久しぶりにこの手のメガバス節を目の当たりにして、陳腐さを感じてしまったというのが正直なところ。
メガバスはこういう不可解な横文字をやたらと使う傾向があって、それはそれでメガバスのアイデンティティにもなってるんだけど、ぶっちゃけこのテイストは30年前のままなんですよね。
最先端の技術を誇り、常に進化を謳っているのに、それを表現する手法がデビュー当時のまま全然進歩してないのです。


ラテスFWパッケージの商品説明
実際ラテスのパッケージでも「ライズアップ&ロール」「スラッピング」「レベリング」などわざわざ横文字にする必要なくない?的なワードのオンパレード。
こういったワードはYouTubeなど動画が無かった頃はオクタン価の高い妄想燃料だったけれど、今となってはただの厨二病。
そういったワードでも言い出しっぺというか、先駆け的な存在になろうとするパイオニア精神も分からんでもないけど、シンプルさが求められる今の時代に全く合ってない。
こういうワード使いは過去の伊東社長の著書にも散りばめられていて、ブーム真っ只中の頃にはいちいちテンション上げてたんだけど、令和の今、改めて読んでみると厨ニすぎて疲れちゃうので最後まで読む気にならんのです。
なんというか、表現がまんま80年代の自動車カタログなんですよね。
80年代、まだ日本が高度成長の真っ只中に居た頃の自動車カタログは「世界初PAT.P.」や「最先端〇〇」のようなワードを連射することで、”よー分からんけどなんかスゴそう” と消費者をケムに巻いていたのですが、今のメガバスの宣伝広告からも同じ胡散臭さを感じてしまう。
果てしない角目四灯感というか、未体験ゾーンへ!的な陳腐感が拭えないのです。
かつてスタイルが古いとか超マンネリだとかでディスられまくったAC/DCやモーターヘッドが外野の声を気にすることなく自身のスタイルを貫き通した結果、伝説のバンドになれたのと同じ様に、メガバスも今のまま突き進めばいつかは神格化されるかもしれません。
しかしリリースしているルアーが飛び抜けて優秀で、グッドデザイン賞も受賞するなど最先端な存在であるだけに、ワードチョイスに進歩が見られないのは致命的だなと。
メガバス社内にはこの手法に異議を唱えるスタッフはおらんのかなと、他人事ながら心配になります。
あ、イイこと思いついた!
メガバスが90年代からプロモーションで使ってきたカタカナワードの理解度と浸透度をクイズ形式で検証したら面白いかも。
”このルアーのこういう状態・挙動のことをメガバス用語でなんと言うでしょうか?” 的な。
多分ほとんどの人は答えられんのじゃないかとw
おわりに
とまあこんな感じで上げたり下げたり好き勝手に書きましたが、結論は ”ラテスFWはボックスにひとつは入れておくべきルアー” です。
水温上昇でベイトが水面近くをフラフラしがちなこれからの時期、ダイナマイト級の仕事をしてくれるのは間違いないでしょう。
ルアー価格が高騰している中、これだけのパフォーマンスが2,000円以下で手に入るのは冷静に考えたらスゴい事でもあるので、そういう意味でもマストバイではないかと。
特にメガバスルアーから離れて久しい ”かつてのメガバシスト” には投げてもらいたいルアーです。
そしてコレでイイ魚を釣ったら、”ライズアップ&ロールからのスラッピングが決め手になった価値ある一尾” と、厨ニモード全開でインスタ投稿してください。