バスだけでなくアングラーの心まで満たしてくれる武蔵小山の人気◯◯人 フッカー Hooker / B.P.ベイト B.P. Bait

スイッシャーダブルプロップトップウォーターバスポンド Bass Pond

バスフィッシングが最高に盛り上がっていた頃はオリジナルルアーに挑戦するショップが数多くありました。

グラスアイやハネダクラフトなど、水面系のショップがそのほとんどを占めていましたが、その中で最もパワフルだったのが千葉浦安フロッグをベースに活動するTOYS(現フロッグプロダクト)と目黒区武蔵小山のショップ、バスポンドが発信したB.P. Baitブランドでした。

両ブランドがタッグ組んでメディア発信した、水面アングラーの間ではもはや慣用句?となっている ”ズボッと入れてネチネチと” というコピーの影響力はすさまじく、今でも両者が水面ブランドの一角を担っていることがそれを証明しています。

そんなズボネチ黄金期に華を添えたのが今日のゲスト、フッカーです。

フッカーとは

フッカーは2001年?に武蔵小山のショップ、バスポンドがリリースしたダブルスイッシャーです。

ウィードレストップウォーターベイトの名作として名高いキールヘッドの後でリリースされ、大ヒットとなりました。

キールヘッド Keel Head / B.P. Bait
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当時のんだくれは都内の会社に勤務していて毎週のように武蔵小山に通っていたので、発売直後に買った覚えが。

その頃の武蔵小山といえば、まだ駅前再開発がされる前。

かつて東急目黒線沿いにあったギルとバスポンドを周ったら場末の飲み屋に駆け込み、戦利品を眺めながら酒を傾け、最終電車で帰るのが休日前のルーティンでした。

酒を片手にルアーを眺めてひとりニヤニヤするおっさんはさぞかしキモかったことでしょうw

フッカーのサイズ・重さ

フッカーは全長105ミリ、自重28gの、いわゆるオンスサイズのダブルスイッシャーです。

全長はオリザラよりも短いのですが、ボディがファットなのでかなりのボリューム感。

今でこそ普通のサイズですが、当時の市場はビッグプラグに対する免疫がまだ浸透していなかったので、このサイズ感でリリースすることに勇気が必要だったはず。

でもフッカーはこのサイズだからこそ大ヒットしたのであり、そしてこのサイズだからこそ釣れたんじゃないかと。

なぜならフッカーはバルキーなボディを意識させないほどの運動性能の持ち主だから。

そして存在感ゆえのアピール力でスレたフィールドでもビックリするぐらいバイトがあり、水面ルアーの醍醐味でもある ”こんなので釣れちゃうんだ!” という意外性を心ゆくまで楽しめるのです。

のちにリリースされたウッドフッカー。

その後、3/4ozにダウンサイジングしたミジェットウッドフッカーなどのバリエーションも追加されましたが、やはりフッカーはオリジナルサイズが最強ではないかと。

ちなみにスリムなボディを持ったウッドフッカーもリリースされていますが、これはルアーとしては全くの別物で、しかも激釣れルアーなので詳しくはまた別の機会に。

フッカーの特徴

有りそうで無かった”トップウォータープラグ

フッカーの特徴はウィードレスに特化したダブルスイッシャーであること。

ズボネチというワードが広まった今では特に驚くべき事ではありませんが、このルアーが登場した当初はカバー攻略に特化したスイッシャーが市場にほとんど無かったこともあり、コロンブスの卵的な感じで新鮮に映りました。

おそらくバスポンド松井さんが個人的に欲しかった物をカタチにしたのがたまたまフッカーだった、という感じなんでしょうね。

そしてその熱意はリグに息づいています。

圧倒的存在感を放つリグ

どーです、この物々しいリグw

障害物からフックをガードするというヤル気に満ちてますよね。

これに似たリグは50年以上前に既に米国で実用化されていますが、それを現在に蘇らせた熱意は賞賛に値するのではないかと。

デカくてうるさい三角穴ペラ

もちろんこだわりはリグだけではなく、スイッシャーの命であるペラにも。

三角穴を持つバスポンドオリジナルプロップを採用し、飛沫にもノイズにも一切の妥協はありません。

首振りすればジュバジュバとスプラッシュを撒き散らし、ただ巻きすればカタカタとバスをイラつかせるタップ音を発します。

さらに前後でペラ角度を変えることで、ダブルスイッシャーにありがちなリアペラの立ち上がりの鈍さにも対応するなど全方位攻撃体制。

このプロップは直ペラと呼ばれるペラ面にアールが付いていないタイプですが、ジャークなど短く強いタグを与えるとで強い衝撃派とジュビッ!と下品なサウンドを出すのが特徴。

このサウンドはバスの食性を刺激するのではなく、テリトリーを荒らすイントゥルーダーを演じてくれるので、カバー奥のスレたモンスターの闘争心を煽るのには最適です。

ちなみにこの三角穴ペラは近年大ヒットとなっているスキルフル謹製ヤマトクローラーにも採用されているのでその実力はお墨付き。

カバー向けルアーのお約束、テールブレード

そしてテールにはBPベイトのロゴ刻印入りアルミフラップがぶら下がっています。

このフラップはほとんど回転せずヒラヒラするだけなのでアトラクター能力があるかどうかは未知数ですが、アングラーのモチベーションを上げるという意味では非常に重要なパーツ。

カバー攻略用プラグはウィードレス目的もあってリアフックを付けないものが多いのですが、フックの代わりにフラップを装着することによってペラとの接触音を発します。

接触音と視覚効果を目的としたものなので正直ベアリングは要らないのでは?とも思いますが、何らかの思惑があるんでしょう。

しかし中にはフラップの回転も必要だ!という人もいると思うので、そんな人はタイフーンの記事で書いた様な方法もあります。

気になる方はこちらもどうぞ。

キールヘッドが小さくなっただけでしょ?と思ってるなら大間違い!ブチ込み系水面アングラー必携プラグ キールヘッドタイフーン Keel Head Typhoon / B.P. Bait
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ちなみにのんだくれの知人の中には、ブレードの代わりに短いシリコンラバーを逆向きに巻いたものをスプリットリングで繋げてモワモワさせている人もいました。

フッカーのアクション

フッカーはアクションも全方位攻撃体制なので、巻いてよし首振りさせてよしの優等生。

どのように使ってもイントゥルーダーらしく水面を騒がしくしてくれます。

スパッと切り落とされたヘッド形状が強く水を押すので移動距離が抑えられ、複数の艤装品が発するスクラッチノイズや、光反射による視覚アピールもバッチリ。

そしてしっかりと水を掴む浮力設定は、軽すぎず重すぎない絶妙な使用感を実現しています。

松井さんはヴィンテージと呼ばれるクラシックウッドプラグにも造詣が深いので、その辺りで培ったテイストが生かされてますね。

フッカーの使い方

フッカーは全方位ルアーなので、あらゆる使い方に対応します。

のんだくれはクイックで派手な首振り後の超ロングポーズで動きにメリハリを付けるパターンがオキニですが、時にはロッドを水中に突っ込んでダイブ気味にジャークさせて捕食音を出すことも。

当初はタダ巻きでカタカタさせたりもしていましたが、ウッドフッカーが登場してからタダ巻きはウッドの仕事と割り切っています。

とはいえ回収中に出ることも多いのでピックアップするまで気を抜くのは厳禁ですぞ。

フッカーのフック

フッカーにはマスタッド?のダブルフックが標準装備されていますが、いつだったかフックサイズをアップした途端に細かいゴミやウィードを拾うようになったので、交換の際には注意が必要です。

余談ですが、このフッカーのようにネジがないとフック交換できないタイプだと、交換作業が儀式めいててイイですよね。

タイヤ交換の際に、最後トルクレンチで締めてヨシ!的な感じはスプリットリングでは味わえないものがあります。

面倒なだけでしょ!っていう人も居ると思いますけど、こういう些細な手間を掛けることでルアーへの愛情も増していくので精神的な満足感を増幅させるためにも大事なステップではないかと。

フッカーのネーム

ネームは背中にHOOKERのひとことだけ。

これはこれでオッケーですが、改めて見てみるとスゲー名前ですよね。

バスを誘惑するとか、トリコにするという意味はもちろんですが、基本的にフッカーといえばコールガール/ハスラーに代表される売春人(性別を問わず)を指しますからw

その中でもフッカーという言葉は、単価が安くてお行儀のよろしくないストリート系wを指すので、そういった意味でのインパクトは最強です。

なんというかラスベガスあたりの大通りから外れた路地を歩いていると、すれ違いざまに Hey, wanna have some fun? (ねぇイイことしない?)と、まるで火を貸してのノリで声をかけてくるような感じ。

そして I’m good(間に合ってるから)というと舌打ちと共に罵詈雑言を吐いてくるノーティ系のイメージw

まあネーミングの由来は松井さんに聞いた方が早いんですが、こういうくだらん妄想が出来るという意味でも楽しい名前であることは間違いないですねハイ。

おわりに

発売からかれこれ20年が過ぎ、バスフィッシングを取り巻く環境もアングラー自身も大きく変わりました。

中にはバス釣りへの情熱が薄れてしまったというアングラーも。

しかしそんな時こそ、このフッカーのように当時を思い起こさせてくれるルアーを投げるべきでは無いかと。

嬉しいことに目黒のバスポンドに行けばまだ買えちゃうんですから。(てかまだ売ってますよね?w)

当時ウェーイ!だった独身アングラーも20年経てば結婚してる人も、さらには離婚しちゃった人もいるだろうし、中には子供の受験で家では肩身の狭い思いをしてる人もいることでしょう。

そんな時は松井さんにフッカーの開発裏話を聞いて、もう一度 ”フッカーヤベぇよ” という気持ちを呼び起こして欲しいのです。

20年前の話を開発者自身の口から聞けるなんて、他のルアーじゃまず有り得ないですからね。

そしてその話をモチベーションにフッカーを投げる、と。

これがショップ主導型ブランドの最大の強みなんですよね。

なのでユーザーは話を聞くことにもっと積極的になるべきではないかと。

バックストーリーも含めての値段だと思えば激安だと思いません?

そしてバスポンドを出た後は、武蔵小山商店街のセンベロの店で戦利品を片手にひとりニヤついて、キモさを完成させて欲しいなとw



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