初期の硬質発泡素材らしい軽快なアクションがウリのペンシルベイト ジグザグJr. Zig-Zag Jr. / ブーンベイトカンパニー Boone Bait Company

トップウォーターブーンベイトカンパニー Boone Bait Co.ペンシルベイト

 

 

80年代後半、カリフォルニアエンジェルス(現ロサンゼルスエンゼルス)にボブ・ブーンという選手が在籍していた。

当時エンジェルスの試合では彼の名前が場内アナウンスされる、もしくは彼がファインプレーをすると、球場のファンが一斉にブーイングをして祝福するという習わし?がありました。

この時のスタジアムの一体感はハンパなく、老若男女誰もがストレス発散とばかりに大声で Booooooooo!!! と叫ぶ。

そのまるで地鳴りのようなブーイングに加わることが、当時エンジェルスゲームの楽しみのひとつだったのです。

そんな体験があったので、ブーイングと聞くといつもこのルアーを思い出します。

そうです。

ブーンベイトカンパニーのジグザグJr.。

ブーイングとは何の関係もないwペンシルベイトです。

 



 

ジグザグJr.とは

ジグザグJr.は1970年代後半にリリースされた硬質発泡樹脂製のペンシルベイトです。

現在はソルトウォータールアーを専門で製作販売しているブーンベイトカンパニーの初期の作品として知られています。

ブーンベイトはドナルド&ヴェガのブーン夫妻が1953年に立ち上げたルアーメーカーで、スピナーナやニードルフィッシュ、ブーンバードなどの名作を生み出したブランドとして知られています。

そんなブーンが生み出したジグザッガー Zig-Zagger のダウンサイジング版としてリリースされたのがこのジグザグJr.でした。

ジグザッガーとジグザグJr.

 

ジグザグJr.のサイズ

ジグザグJr.のサイズは全長80ミリ、自重12.5g。

サイズ的にはズイールのテラー35 3/8ozと同等の大きさにまとめられています。

 

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ジグザグJr.の特徴

ジグザグJr.は、硬質発泡がルアーの素材として使われ始めた最初の頃ということもあり、パーティングラインがズレズレなのが特徴のひとつ。

今や貴重になってしまった合わせ目の段差を楽しむことができます。

 

そしてこのつぶらで愛らしい目。

明るいトーンのカラーを大きく吹いたあとに小さく黒目を入れるのがブーンの特徴でした。

かつてのギルモアも同様のペイント手法を採用していましたが、ギルモアの方は総じて黒目が大きいので見ればすぐに分かります。

今これを書いてて気がつきましたが、どっかでこの目を見た覚えがあるなーと思ったらPontaカードのタヌキですねw

 

ジグザグJr.のアクション

ジグザグJr.をひと言で表すと非常に素直なペンシルベイト。

わずかな入力にも反応して右に左に機敏に首を振りますが、ただのペンシルベイトで終わらせないのがブーンのスゴいところ。

ペンシルベイトでありながら、首振りの際に発するポップ音が実に多彩でおいしそうなのです。

ポワンという軽〜い音から、ふなっしー顔負けのブシャーまで、アングラーの技量次第であらゆる音域/音量のポッピングが可能。

さらにショート&ファットな体型からスライドアクションはあまり得意ではないと思いきや、水平浮きの特性を活かしてロングスライドも難なくこなします。

イメージとしてはB.P. Baitのキールヘッドタイフーンのヌメヌメ泳ぎとルーハージェンセンのウォーキンディディのピョコピョコ泳ぎのちょうど中間ぐらいのアクションといえば分かってもらえるでしょうか。

 

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とはいえこの時期の硬質発泡素材は、今と違ってムラがあるのが普通。

個体によって浮力にもバラツキがあるので、アクションや浮き角にも僅かながら違いが出てきます。

よって、全てがこのような動きをするわけではないという事をお忘れなく。

 

ジグザグJr.のフック

フックは前後とも防錆カドミウムフックを採用していますが、これはブーンの拠点がフロリダにある事が大きく関係しています。

ご存知の通りフロリダは東西を海に挟まれ、内陸には無数のレイクとそれをつなぐチェーンが点在するスポーツフィッシング天国です。

よって、淡水/海水どちらでも使われても問題ないように、ブーンのルアーの多くは最初から太軸の防錆フックが装備されています。

 

しかしこのフックはバスフィッシングで使うにはフッキングなどの点でデメリットも多いため、交換するアングラーが多いのですが、交換には細心の注意が必要です。

というのも、このルアーはフックとリグでバランスを取るノーウェイト構造なので、交換の際にはリグ重量も計算する必要があります。

さらにブーンの硬質発泡素材は経年劣化によって性無しになっているケースが散見され、一度ヒートンを抜くとスカスカになってしまってネジが利かなくなるものがあるのです。

ジグザグJr.のヒートンは太いのでまだマシですが、兄貴のジグザッガーのフロントはサーフェスリグの細いネジなので、高確率で死にます。

だったら抜かずにヒートンの頭を開いてフック交換すれば… と思いがちですが、ここにも落とし穴が。

実はこのヒートンも結構折れやすいのです。

現在流通しているヒートンのつもりで頭を開くとポリッ!と逝く可能性が高いのです。

のんだくれは過去にこれで何度か死にました😭

そんな諸々の要素が絡んでくるので、フック交換はミニマムが50バックスのポーカー台に着くつもりでどうぞ。

結局のところ、オリジナルのフックを研いで使うのが一番確実なんですよね。

 

ジグザグJr.のネーム

ネームはハラにステンシルで吹かれていますが、限りなくへドンちっくなところもブーンの特徴。

ブーン自身もネームがへドンに似ている事を自覚していたのか、所有格 ‘S をつけて差別化を図っていたと思われるフシも。

今となっては ‘S を付けた理由を確認する術はありませんが、こういった小さな謎はサイコーの酒の肴でもあるので、案外真相は解明されない方がいいのかもしれません。

どーでもイイ事ですが、このネームを見て水谷豊のあの曲を思い出した人は、由緒正しきおっさん検定2級合格です。

 

おわりに

発売から40年以上が過ぎている上に、オリジナルザラスプークなどと比べると圧倒的にタマ数が少ないこともあって探してもなかなか出てこないルアーですが、古き善き米国トップウォーターを知ると言う意味では貴重なルアーなので、運良く出会うことが出来たら是非ともゲットしてください。

そしてバスを釣った暁には、力の限り Boooooooooo!!! と叫んでファインプレーを称えてあげてください。



追記:大ブーイングの嵐

冒頭のボブ・ブーンがブーイングされている動画を見つけました。

アウェイ試合だけあって敵チームファンからも大ブーイングされているというなかなかの状況をお楽しみくださいw

しかし何でもあるなYouTube。

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