あまり馴染みのないブランドのルアーを買う時っていろいろ考えちゃいますよね。
ネットにレビューがあったり誰かのオススメがあればまだしも、まったく情報がない未知のルアーに手を出す時は、清水の舞台とは言わないまでも跳び箱の最上段から飛び降りるぐらいの思い切りが必要。
実際予備情報がないと、なんかイメージと違う!となることも多いので、どうしても二の足を踏んでしまいがちです。
そこで今日の千一夜は、そんなリスクテイクをしなくても最高のパフォーマンスが手に入るお手伝いをしちゃいましょう。
ムーブメント80Xとは
そんなパフォーマンスを見せてくれるのはシックスセンスルアーズのムーブメント80Xです。
シックスセンスルアーズは米国テキサスに拠点を置くルアーブランド。
最近になってクランカーの間ではシックスセンスという名前も少しは通るようになりましたが、それでも日本マーケットではまだまだ未開のメーカーですね。
実際、国産ルアーを中心に投げてるアングラーが店頭でこのルアーを見てもスルーしますよね?
でもそれは至極当然のこと。
だってルアーの情報がほとんど無いんですもん。 それに見た目がイマイチですしw
でもこのルアーの実力を知ったら絶対に欲しくなりますよー😁
ムーブメント80Xのサイズ・重さ
ムーブメント80Xは全長78ミリ、5/8オンスのやや大きめの体躯を持つクランクベイトです。
いわゆるファット系でもなく、シャッド系でもないプロファイルは、アングラーが抱いている”クランクベイト像” とはちょっと違っていて中途半端なイメージに映りますね。
ムーブメント80Xの特徴
テールヘビー&ラウドラトルの大暴れ仕様
最大の特徴はなんといってもスラリと伸びたクランクベイトらしからぬテール形状です。
なんでこんなカタチにしたの?と疑念すら抱きかねないこのテールですが、実はココがムーブメント80Xのキモなのです。

画像引用: 6thsensefishing.com
この画像で見るとよく分かりますが、実はこのクランクのメインウェイトはテールに入っているんです。
そしてボディの約1/3を仕切ったルームに収納されているのはスーパースプークにも匹敵する巨大なラトルボール。
通常クランクベイトといえばボディ前方に重心を置き、テール側を軽くすることでピッチの早いアクションを目指すものが多いのですが、このムーブメント80Xは全く逆の仕様になっています。
実はこれ、テールに重心を置くことでアクション時の慣性モーメントを大きくしてアクションにトルクを持たせることが狙い。
物質が同じ体積だった場合、質量が大きい方が慣性モーメントも大きくなってより強く水を動かせるという効果を狙ったウェイト配置なのです。
そしてその効果は十分に発揮されているようで、アクションの立ち上がりからグワングワンと激しくテールを振り、シックスセンスルアーズが言うところのサンピングアクション(Thumping Action=ドカンと打ち付けるような強い動き)で強く水を攪拌してくれます。
テールヘビーならではの機動性
しかしテール重心のメリットはそれだけに終わりません。
クランクベイトではあまり見ないケツ下がりの姿勢で浮くので、ペンシルベイトのようなツバ吐きドッグウォークや、グブッと泡を押し潰すようなダイビングポッパー演出もお手のもの。
もちろんその際にはワンノッカーラトルならではのカコカコサウンドで強力にアピールするなど、トップウォータープラグとしてもなかなか素質があるヤツなのです。
しかもテールヘビーな上に飛行姿勢が安定しているのでキャスタビリティは申し分ナシ。
ピッチングでも20mぐらい余裕で飛ばせちゃうんです。
….と、ここまで読んでもう気付いた人もいますよね?
そうです、実はこのムーブメント80Xは、マンズのワンマイナスによく似た特性を持っているんです。
ワンマイナスに似たアクション特性
ウェイト配置は少し違うものの、大量のラトルによるテールヘビーで強く水を動かす点や水面使いもこなす芸達者ぶりはまんまワンマイナス。
ワンマイナスのパフォーマンスそのままにダイエットしたらムーブメント80Xになっちゃったって感じなんです。
むしろボディがスリムになった分、バスの乗りもよくなってるかもしれません。
こりゃ釣れないワケがないですよね。
ムーブメント80Xならではのスナッグレス性能
しかしムーブメント80Xにはワンマイナスにはない武器を持っているんです。
それは障害物に対するスナッグレス性能。
大きく張り出したリップによってリップラップや杭などのハード系カバーはもちろん、ブッシュやレイダウンなどのベジテーション系カバーもヌルッと抜けてくれるのです。
ワンマイナスもカバー回避能力の高いクランクベイトですが、ワンマイナスがファットなボディでフックをガードするのに対し、このムーブメント80Xはリップとスイミングアクションによって障害物を躱す感じ。
特にベジテーション系のカバーに強いので、ウィードトップにタッチしながらのシャロー爆撃やリリーパッドの葉っぱの下を通すクランキングなどでいい仕事をしてくれます。
テールの重さに負けないリップ
そんないい仕事っぷりのリップは、テールの重さに負けない強いアクションを生み出すパワフル仕様。
ラインアイとフロントフックハンガーを結んだラインを軸とするピッチの早いローリングアクションと、しっかりと水を受け止める全面のデザインにより強烈に水を攪拌します。
このあたりはマディウォーターの多いアメリカ南部のメーカーらしいセッティングですね。
そしてのんだくれはリップラップなどにガシガシ当てにいくハードなクランキングが大好物なので、リップが分厚い堅牢仕様になっている所はかなりの高ポイント。
だってクランクのリップが折れて戻ってきた時のあの悲哀ったらありませんから😭
ちなみにこのルアーの潜行深度は3フィートまでとなっていますが、その遠投性能を考えるともうちょっと潜ってるような気がします。
水面下1メートルぐらいにウィードトップがあるような状況でテンポ良く爆撃していくのにドンピシャ(死語)ではないかと。
そしてボディも強いローリングアクションに対して最適化されています。
画像では分かりにくいのですが、テールにいくにつれフラットからラウンド形状に移行していき、途中で側線を稜線にするという変化を持たせています。
この稜線がどんな効果を生み出すのかは開発者であるケイシーに聞かないと分かりませんが、数あるシックスセンスのクランクベイトの中でも側線を際立たせているものはこのムーブメント80Xだけなので、何らかの意味があるんでしょうね….. って、ここまで書いといて、It doesn’t mean anything(特に意味はないんだけど)とか言われたら大笑いですけど😂
そうそう、ムーブメント80Xは強いローリングアクションに合わせて、明滅効果を発揮しやすいカラーが多く設定されているのも特徴のひとつ。
背中側と腹側のトーンが大きく違うチャートブラックバックはその典型で、リアクションバイトを誘発しやすいカラーとしても有名ですね。
どこかのポストでも書きましたが、シックスセンスのケイシーは大学時代にクランクベイトのカスタムペイントの会社を立ち上げるなどクランクベイトのカラー特性に人一倍のこだわりを持っているので、カラーのラインナップに外しがないと言うか、この動きならコレだよねというカラーをちゃんと設定してくれてる安心感があります。
新作クランク発表の時点でいきなり20色以上揃えてくるルアーメーカーなんて、シックスセンスかストライクキングぐらいしかないんじゃないかと。
ムーブメント80Xのフック
フックは前後とも#2サイズのラウンドベンドを採用していますが、最近のものはトリプルグリップが標準となっています。
ワンマイナスもラウンドベンドからトリプルグリップに仕様変更されているので、この手の強いアクションと相性がいいんでしょうね。
のんだくれはその性能差を実感したことがないので正直どっちでも構わんのですが😁
ムーブメント80Xのネーム
ただシックスセンスはネームがダメダメですよね。
ロゴはいいんですけど、ルアーの名前がどこにもない。
強く水を動かし、そして自身がムーブメントを作り出すというダブルミーニングを持ったカッコいい名前があるのにホントもったいない。
どうでもいいけど、このロゴのフックだとすぐバレちゃいそうですねw
おわりに
てな具合にこのムーブメント80Xは見かけとは裏腹にかなり使えるので安心して買って欲しいのですが、のんだくれが気に入らないのはこのルアーを売ってる店が非常に少ないもちろん、売ってる店ですら本当の実力を知らないということ。
ウェブストアの説明ですらテキトーに濁してあって、 ”あーこれ投げたことないのにそれっぽく書いてるだけだわ” とすぐに分かっちゃう。
釣具屋が全ての商品を実際に試すことなんて出来っこないのは分かるけど、こういうマイナーだけど実力のある商品をちゃんと説明できるかできないかでお客さんの反応が大きく変わるのにスゲーもったいないなーと。
自分で商品を買い取って実際に試せば全然説得力違うのになんでやらない?と毎回思っちゃう。
買うのが大変なら経費で損金処理すればいいだけだし、それが面倒なら試してすぐに中古で売るなりメルカリの世話になればいいのに、と。
昔、問屋の売り出しに出展してた頃、ルアーのアクションから使い所から何から何まで根掘り葉掘り聞いてきた某関西の某量販店フィッシングエイトの某玉津店と某本店の某スタッフwがいたんですが、その2店舗だけは他とは比較にならないぐらいセールスを上げてくれてました。
あのルアーの特性と数量から想像するに、お客さんは安心して購入しただけでなくリピート購入もしてたんじゃないかと。
モノを買わなくてもそれだけの結果を出すことができるんだから、実際に試すことが出来たら無敵ですよね。
もちろん本人達がそっち系のルアーが好きだったというのもありますが、そういうアツい姿勢は他のメジャーな商品にも表れますからね。
自分のとこで取り扱ってる商品の比較研究をしない釣具屋スタッフは、もうその辺の転売ヤーと同じということを肝に銘じるべき。
未知のルアーを買う時に、跳び箱の最上段から飛び降りなくてもワクワクさせてくれるような、本当の意味でのプロショップがもっと増えてくれたらなーとおっさんは願うばかりです。