のんだくれはウェイクベイトが大好物です。
何を投げても全く反応のなかったタフウォーターでマンズのワンマイナスが大爆発して以来、引き波を出すルアーには無条件で反応してしまいます。
よって、ウェイクと名の付くものは試してみないと気が済まないという哀しい性癖に。
このRCウェイクはそんな事情によりのんだくれボックスにやってきたひとりです。
ラッキークラフトのRCシリーズに関してはもう説明の必要はありませんよね。
バスフィッシング界のレジェンド、リック・クランのイニシャルを冠したクランク達は名品揃いで、ラッキークラフトとの契約が終了した今でもマストハブと言われることの多いシリーズです。
1.5や2.5など、現在ではスタンダードとなっているクランクベイトのサイズ表記を定着させた立役者でもあります。
まるで女の子の上目遣いのような、この黒目がちなウルウル3Dアイにヤラれちゃったヒト、たくさんいますよね?😂
そんな名シリーズの一員としてリリースされたRCウェイクですが、実はあまり良い評価が聞こえてきません。
誰に聞いても大抵 “んー普通かな” とか “泳ぎが弱いんだよねー” とか、少なくとものんだくれの周りでは積極的に使おうというアングラーは皆無😭
それだけならまだしも、中古市場に格安で大量放出されたことも。
しかーし侮るなかれ!
このRCウェイク、見誤ると泣きを見る事になる、スンゲー実力の持ち主なんです!
2.5サイズ規格そのままの全長69mm、18.5gのボディサイズは水を動かしてナンボのウェイクベイトとしてはジャストライト。
アメリカン14lbラインを引っ張って軽く30mは飛ぶので、サーチベイトとしての要件はしっかり満たしています。
リックが自分自身のためにデザインしたというだけあって、魚の少ない水域で遠距離&広範囲にアプローチができる事のは大きなアドバンテージになりますからね。
ウェイクベイトのキモとも言えるリップは、一般的なウェイクベイトに比べるとやや小さめにデザインされているのもRCウェイクの特徴です。
アクション特性は典型的なローリングベイト。
泳ぎが弱いという指摘の通りファーストリトリーブでない限り、マンズのワンマイナスのようにブリブリと派手に水を動かすタイプではありません。
しかしこの “弱さ” にRCウェイクのキモがあるとのんだくれは睨んでいます。
ちょっと画像では見辛いのですが、水の掴みを良くするためにリップ前面を微妙に凹ませているのが分かります。
スローでも意図した泳ぎを出すためにこの凹面加工がされていると思われますが、もし仮にブリブリと派手に泳がせたかったらいくらでも出来たはずです。
しかしあえてそれをしやらなかったのは、リックはこのRCウェイクで “弱い波動で食わせるウェイクベイト” を実現したかったのではないかと。
ご存知の通りアメリカのトーナメントでは魚が獲れる水域に入るために何時間もボートを飛ばす事はザラです。
しかも魚がいるスポットは複数のキーパーがストックされていることが多い。
つまりそのスポットを荒らすことなく効率よくキャッチするためにこのウェイクベイトを開発したんじゃないかと。
その “弱さ” の演出を担っているのが、このRCウェイクのもうひとつの特徴であるジョイント構造だと思うんです。
ジョイントは、横方向にだけ動きを許された2点ヒンジ方式を採用。
シングルピースボディのウェイクベイトとは違って、ジョイントボディのルアーはアクション的には生っぽくなるんですが、リップが生み出した泳ぎをフレキシブルなテールが殺してしまうというその副作用があります。
リックはあえて泳ぎを殺すジョイントボディにすることで、弱い泳ぎを演出したかったんじゃないかと。
実際ラトルもその動きに合わせたのか、大人しめに調律されています。
しかし単に弱い動きのクランクで終わらないのがこのRCウェイク、実はある一定のスピードを超えるとかなり強い引き波を出す、典型的なウェイカーに変身するんです。
言ってみればリトリーブスピードによってアクションが変わるウェイクベイトです。
ジョイントの可動域もちょっと控えめな設定に見えますが、ある程度のスピードを超えると大きなクラッキングサウンドを発してくれるという心憎いセッティング。
今まであらゆるメーカーやブランドとタッグを組み、数多くの武勇伝を持つ海千山千のリックですから、このぐらいの仕込みはしてくると思うんですよね。
皆さんはどう思います? のんだくれの勝手な推察を😁
ボディにはラッキークラフトお得意のホログラムのスケールシールでデコレーションされています。
アメリカ人はホログラム好きですからねー。
日本人的な目で見るとこのスケールシールはちょっと中途半端な感じがしますが、アメリカ人的にはめちゃくちゃ釣れそうなカラー。
実はコレ、”ウロコが剥がれたシャッド” を模しているんです。
日本にはシャッドが生息していないので今一つピンときませんが、シャッドはプレデターに襲われてパニック状態になると自身のウロコを剥がして水中でキラキラ舞わせることでプレデターの目を撹乱します。
かつて一世を風靡したフィッシュフォーミュラのシャッドフレーバーに”スパークルスケール”と銘打った大量のラメが混入されていたのはそのためです。
定期的に盛り上がっては落ち着いてを繰り返すフォーミュラの世界。
かつて一世を風靡したフィッシュフォーミュラも7〜8年前までは普通に売られてました。
最近はリクイドメイヘムがアツいそうです。 pic.twitter.com/gSUoesvjvo— のんだくれ@ルアー千一夜 (@lure1001) November 30, 2020
日本ではあまり人気のない中途半端なスケールパターンですが、もしかしたらバスにはこの “まばらなウロコ模様” に本能的に反応してしまうDNAが備わっているかもしれないので、気になった人はトライしてみてください。
そういえばこのシールは90年代にマジックスケールとかいう名前で販売されてましたね。 今でもあるんかな。
フックは前後ともトーナメントグレードのガチ針が装着されています。
前後のフックがギリギリ干渉しないセッティングになっているのもトーナメントアングラーのリックらしいですね。
テールのフェザーはスタビライザーの役割を果たしているので、強い動きが欲しい方はパイパン化することをお勧めします。
でもバーニングはもちろん速いペースで巻きたいなら、安定した泳ぎのためにフェザーは必須です。
実はこのRCウェイク、巻き倒す以外にもトップウォーター的な使い方でも楽しめるルアーに仕上がっています。
ジョイントボディの特性を生かしたテーブルターンはもちろん、強い浮力を生かしてチャガー的に使えば、細かいバブルを引き込んで、低くくぐもった捕食音を出すことも出来ます。
水面使いにおけるフェザードフックの効能はもう説明する必要ありませんよね?😁
葦の根元をネチネチと攻めながら、魚探にブレイクが映ったら巻きにシフトして… というメリハリのある使い方も出来ちゃう一粒で二度おいしいクランクなんです。
ネームプリントはハラ側にはっきりと分かりやすく入っています。
影付きのフォントを使ったネームプリントは珍しいですね。
頭頂部にはお約束のリッククランサインも入ってます。
当時それほど人気があったわけでもない上に生産終了して久しいので、入手するにはひたすら中古市場を探すしか方法はありませんが、意外と個人経営ショップのハンガーを掻き分ければひょっこり現れたりするクランクですので、今シーズン良い思いをしたいヒトは是非探してみてくださいな。