ディープモンスター達を震え上がらせたダイビングクランク不朽の名作 DD22 Deep Diver 22 / ビルノーマン Bill Norman

クランクベイトノーマンルアーズ Norman Luresミディアム・ディープダイバー

ダイビングクランク不朽の名作・DD22

ディープダイビングクランクベイトを語る上で絶対に外せないのがコレ、ビルノーマンが誇る水底探査機、DD22。

80年代、国産のダイバー達が登場するまでバグリーダイバーズと共にディープエリアのバス達を欲しいままにしていた潜り屋です。

 

DD22のサイズ・重さ

DD22はボディ長75ミリ、リップも含めたは全長125ミリ。

重量も29.5gとなかなかの体躯を誇る弩級クランクです。

市場にマグナムクランクが溢れかえっている今でこそ見慣れたサイズですが、デビューした当時はかなりのボリュームに思えました。

しかしその大きさのインパクトよりもデカバスを次々とキャッチする実力が勝り、ディープクランキングにはなくてはならないルアーとしてアングラーのボックスに配備されていったのです。

他を寄せ付けない圧倒的な性能

のんだくれがDD22の威力を思い知らされたのは、1987年の琵琶湖国民休暇村沖。

同船者とニーリング合戦(時代を感じるなー😭)してコテンパンにやられたルアーがこのDD22でした。

最初はそれほどでもなかったんですが、時間が経つにつれ、のんだくれのDB3への反応が鈍くなり、しまいにゃバグリーは完全に沈黙。

最後はDD22の独壇場となり、他のクランクはもちろん、ジグもスピナーベイトも太刀打ちできなかったという圧巻の破壊力を見せつけられました。

もちろんそれ以前からこのルアーの存在は知ってたんですが、あそこまであからさまに差をつけられると、もう投げる気すらなくなりますね。

シンプルなネーミングが人気を後押し

DD22の正式名称は ”Deep Diver 22″。

そのまんまというか、単に頭文字を取っただけというなんとも分かりやすいネーミングですが、発売から35年以上経った今でもDDといえばすぐにコイツが思い浮かぶ状況を見る限り、このシンプルなネーミングは大成功でしたね。

Bassin’ Magazine 1986年8月号に掲載されたDD22のデビュー広告。
ロッドを水に突っ込まなくても22フィート潜る!と強調しているなど、ニーリングブームに乗っかった商品だった事が伺えます。

その名前の通りにちゃんと22フィートも潜るのかは分かりませんが、このリップからは何が何でも潜らせようという意気込みがひしひしと伝わってきます。

そして皆さんが想像される通り、このリップが発生する巻き抵抗といったらもう苦行以外のナニモノでもありません。

当時、7~8フィートのフリッピンロッドにゴーゴーシーを付けて3/4オンス以上あるボディをブワンと空に解き放ち、ザボーン!と着水したらバット部分まで水に突っ込んでグリグリ…  という筋トレを休みなく一日中やってた自分ってスゴいなー…などとシミジミ思っちゃいます。

ただ潜らせるためだけのリップではない

しかしDD22のスゴいところは、そんな苦行に耐えた後には必ずデカいのを釣れて来てくれるところ。

釣れるヒミツはこのデカリップ。

単に深く潜らせるためだけの巨大なリップかと思いきや、このリップは障害物に当たってもヒラを打つことなく、ストラクチャーをべったりと舐めるようにトレースします。

それはストラクチャー周りだけの話ではなく、ボトムをタップした時も同様で、ボトムをドレッジしながらもちゃんと泳ぎ切る能力を持つクランクとしてとてつもなく重宝します。

ヒラ打ちや障害物回避性能を売りにしてるクランクベイトは、何かに当たるだけで跳ねてしまうので、ザリガニ巻きで土煙りを巻き上げながらボトムをガリガリとリトリーブすることが出来ないんです。

なので、のんだくれは今でもオカッパリでこのDD22を投げてます。

小さい野池でコイツを投げてると、周りのアングラーはかわいそうな子を見るような憐みの視線をキャストしてくるんですが、オサカナを釣った途端、みんなボックスをゴソゴソして潜り屋を探し始めます。

野池ボックスにこんなのを常備してるヒトはさすがにいないので、結局のんだくれの独壇場となるワケです。( ̄ー+ ̄)ニヤリ

現在もなお第一線で活躍するマネーベイト

マグナムクランク、ディープクランクが盛り上がってる今の日本のバスフィッシング界ではこのDD22は過去の遺物のようなイメージになってしまってますが、実は本場アメリカでは現役どころか、トーナメントを制する事ができる Go To Bait (必携ルアー)として今も第一線で活躍しています。

2013年のFLWマガジンにもDD22がウィニングベイトになったという記事がありましたが、これが全てを物語っていますね。

興味深いのは、彼はノーマンからのサポートを全く受けていなかったという事実。

これが意味するのは、ノーマンとは何の利害関係もないいちアングラーが “試合に勝つことができるコンフィデンスベイト” としてDD22を投げていた、ということ。

そしてこの勝利は、結果を知ったノーマン側が彼にサポートを申し出たというシビれるエピソードへとつながります。

アメリカのブランドについて掘り下げていくと、こういう細かいストーリーがたくさん出て来るんですが、それがいちいちカッコ良いんですよねー。

なんか腹立つなぁ😂😂

ノーマンが特許を持つゲルコートフィニッシュ

このグリッターカラーは90年代に発売されたプロフェッショナルエッジシリーズのもの。

ノーマンは、耐衝撃性トップコートにヘビーグリッターをブレンドし、チッププルーフを謳ったこのカラーリング手法をゲルコート Gel Coat と命名してパテント登録しています。

一時期ノーマンの傘下にあったギルモアのルアーにも同様のカラーが採用されてましたね。

ノーマンのゲルコートに対抗してバグリーがダズルカラーを出してくるなど、なかなか白熱したグリッター戦争が勃発しましたが、それについて書き出すとエンドレスになるのでまた別の機会に。

 

郷土愛で守られ続けたビルノーマンブランド

ビルノーマンは1960年代に創業し、ビルノーマン ⇨ ビルノーマンインターナショナル ⇨ ノーマンインターナショナル ⇨ ノーマンルアーズ と屋号を変えながらも独立系ベイトマニュファクチュアラーとして50年以上に渡ってアメリカルアー業界を牽引してきましたが、2015年、遂にプラドコの傘下となりました。

プラドコに権利を譲渡するまで18年もの間ノーマンルアーズのオーナーだったナザース夫妻は、ノーマンのオーナーになった理由について地元の新聞社にこう語っています。

「我々の故郷でもあるアーカンソー州グリーンウッドが輩出した偉大なノーマンブランドが、得体の知れない連中の金儲けのネタにされるのが我慢できなかった。だから買い取ったんだ」と。

この話もめっちゃくちゃカッコよくないですか?

故郷の誇りを守るために、自身で会社を丸ごと買い取って投資家の皮算用から守っちゃうんですよ!

しかもこの話には続きがあります。

プラドコと手を組んだ理由について「ビル自身がビルノーマン創業前に在籍していたプラドコに権利を渡すのは、ある意味 Home Sweet Home だからね」と。

さらに契約の条件に、「プラドコ運営になっても従来通りコンサルティング業務を続けられる事」という条文を加えさせたっていうんですから、涙腺が弱くなったのんだくれは酒も飲んでないのにもうウルウルですよ😭😭😭

 

フックはがまかつ製を採用

この時期のフックはがまかつ製を使用。

アメリカにおける日本製フックの信頼度は日本人が想像する以上なので、ブリスターパッケージに誇らしげにと貼られたGamakatu Hooks のステッカーはセールスにずいぶん貢献したんでしょうね。

同時期に、ややくすんだゴールドっぽいフック(昔のマイケルやベルズのルアーにもついてたヤツ)を装備してたものもありました。

誰もやっていないDD22の使い方

ボートからでないと使えないとか、投げられるロッドを持ってないとか良く聞きますが、のんだくれはウェイトキャパが5/8ozぐらいの6フィートロッドでオカッパリにフツーに投入してます。

マテリアルが砂利、もしくはコンクリート護岸の深さ1.5mまでのシャローボトムをタップして水煙を巻き上げながらスローに引いてたくさんイイ思いをしました。

これと同サイズのショートリップクランクをシャローのボトム周辺で使おうとすると、相当早く巻かないといけないんですが、コイツはゆっくり巻いてもちゃんと泳ぐだけでなく、リップのリーチで根掛りを回避してくれるので、実はスクエアビルよりも効率が良いルアーなんです。

また、リップ割れを防ぐ為に軟らかいプラスチック素材を使ってるのでカッターなどでも加工がしやすく、こーんな変則ワザもできちゃいます。

最近の市場の傾向では、ビッグサイズのダイビングクランクは琵琶湖とかの大場所用というイメージが定着してますが、このDD22は小規模のフィールドでこそ使って欲しいルアーですね。



 

コメント
*2007年投稿時にいただいたコメントをそのまま転載しています

 

1. 三代目 December 23, 2007 21:58
ボクも琵琶湖で1日中、引き倒した事があります(笑)腕は上がらなくなるし、掌の皮はボロボロになりましたねf^_^;今はさすがにそんなマネは出来ないので、使う機会は減ってしまい、ボックスで眠ったままです(苦笑)しかし、オカッパリでフツーに投げてるとはさすがです(笑)

 

2. ぷかぷか December 24, 2007 01:05
2~3人並んで、ライトリグをフリフリしてる所で、コイツをごり巻きするのがマイブームでした(笑)
何故か?良いサイズが出るんですよね。
このリップの障害物回避能力は捨てた物じゃないですね!
※ちゃんと毎日見てます(笑)

 

3. バッス吉 December 24, 2007 07:48
どーもだす。
DD22はあっしにとっても思い出深~い一品です。
のんだくれさん同様、琵琶湖大橋にこするように・・・
また名鉄沖漁礁をこずくように・・・片ひざついて
7ftのロッドをバットまで水中にいれて‘男引き‘
・・・また合わせる時の独特の感触・・・思わず「よっしゃー」って叫んだっけ・・・チャートリュースの、いわゆるグローカラーが当時の釣れ筋カラーで、入手が
困難だったイメージがあります(4個所持)が、反射板
の入ったリフレクトカラーがおきにです。
最近は殿堂入りBOXの定番になって、眺める存在です
が又いつの日かニーディングしてみたいな・・・

 

4. ノンらとる December 24, 2007 09:24
こんにちわ
Σ( ̄□ ̄;)22フィートって事は…7m近く潜るんですか!?引き抵抗を想像したら、まさに筋トレ、いや修業ですね~
今ディープダイバー使おうもんなら、1投に命掛けないと…

 

5. 水澄まし December 24, 2007 12:04
今日は!
「琵琶湖へ行くならグローカラーのDD22を持って行かなきゃ」と釣具屋のおっさんに唆され、チャートリュースを購入した記憶があります。
他に、ホットタイガー?とリフレクトの3個が手元に残っていますが、もう使う機会が無いと思っていました。
岸釣りで使えるとは。

 

6. 広告屋 December 24, 2007 16:43
こないだうちの押し入れを漁ってたら1個出てきたよー。
野池ばっかりやからぜんぜん出番はないですねえ。
でものんだくれさんは1.5m以下のシャローボトムで使ってるんですね。
うちの方のの池は泥底ってよりヘドロ底みたいな池が多いから、それでもキツいかも。

 

7. どしゃろう December 24, 2007 18:30
これをシャローで使うとは! 赤系でザリガニ演出って最高ですね、そんな釣りに憧れます。
でも僕のホームも広告屋さんと同じように底がね・・・(^^;)
ルアーが底に触れるとそのキャストが無駄になっちゃうんで潜らないルアーが大前提だったんですね~。
で、揃えたルアーは潜らない&飛距離が出るスペシャリスト達。そんなこんなで「どしゃろう」って名乗りようになりましたですハイ。

 

8. こたろう December 24, 2007 21:05
DD-22と聞くだけで、「漢引き」という言葉を思い出します。
現在は禁止だと思いますけど、琵琶湖大橋の橋脚でゴリゴリ引いたのはいい思い出です。
最近こういう釣りをしていないなと思いました。



9. のんだくれ December 25, 2007 01:10
三代目さんも苦行体験者なんですね。(笑)
今度“岸からDD22会”とか結成して、このルアーの啓蒙活動はじめようかなー。(爆)

 

10. のんだくれ December 25, 2007 01:11
ぷかぷかさん、そんな事したら刺されますよ。(笑)

 

11. のんだくれ December 25, 2007 01:12
バッス吉さん、まいどです。
チャートカラーは人気でしたねー。(笑)
ディープクランクのアタリは独特の物がありますよね。
あれはあれでタマんない。(笑)

 

12. のんだくれ December 25, 2007 01:14
ノンらとるさん、まいどです。
いや、22フィートってのはあくまでもカタログ値ですよ。(笑)
でもロッドを水に突っ込んでライトラインでやれば結構クリアしちゃうかも。

 

13. のんだくれ December 25, 2007 01:15
水澄ましさん、是非オカッパリで使ってくださいな。
でも誰もいないトコでやんないと恥ずかしいっすよ、かなり。(笑)

 

14. のんだくれ December 25, 2007 01:17
押入れにDD-22って、どんな押入れやねん!(爆)
でも広告屋さんらしいなー。
さすがにドロのボトムはチトきついっすね。

 

15. のんだくれ December 25, 2007 01:18
どしゃろうさんのHNの由来がわかってスッキリ!(笑)
シャローでコレを使う分にはポリシーに反してないのでイイでしょ? ダメ?

 

16. のんだくれ December 25, 2007 01:21
こたろうさん、文中にも書きましたが、今ディープクランクって中古屋ではヒサンな扱いなんですよ。
ロストも恐れずにガンガン投入できる貴重なルアーなんですから是非試してください!
以前行った中古屋では山盛りのDD-22が一個52円~で出てましたよ!(号泣)

 

17. バッス吉 December 25, 2007 02:14
のんだくれさん、「DD22会」あっしもいれてくださいよ~(笑)
野池(?)で使っていり「ざりがに仕様のDD」も見せてくださいよー。

 

18. ぱーま屋 December 25, 2007 07:16
いまだに一軍ボックスにいたりします。
出番はほとんど・・・ですが。
グラスなんかでやっちゃうと大変ですが、
おっしゃるようなフリッピンやジグロッド(グリップ長め)でやるとそんなに疲れないですよ。

 

19. のんだくれ December 28, 2007 23:49
すっかりレス遅くなっちゃいました。
バッス吉さん、スンマセン。
じゃDD22会発足にあたって、入会資格の条件決めないとなー。
まずはエロい事、酒をこよなく愛している事、釣りをした事あるってのが条件だな。
え? DD-22持ってる事?  まぁそれはどっちでもイイんとちゃいます?(爆)

 

20. のんだくれ December 28, 2007 23:51
ぱーま屋さんの一軍ボックスには登録されてるんすか!
マジでDD22会結成しよーかなー。

 

21. いるか April 26, 2010 14:12
誰かさんみたいにライトリガーが並んでる横でゴリ巻き、結果隣の人のスプリットショットリグを巻き込んでグチャグチャにしたことがあるオイラが来ましたよ(泣)
それに当時使ってたシマノ・バンタムが、DD-22を使い始めると『もうん…もうん…』と異音を出すようになり、これはアブ買わにゃ国産じゃ無理なんじゃないか?と敬遠するようになりました。
2~3年前に思い出したように使ったときも、イクシオーネのレベルワインダが壊れてやっぱりア(以下略)
いいルアーなのは分かるけど相性が悪い、オイラには悪女です…

 

22. なお September 04, 2010 08:58
今になって
買い漁ってますよ。
ディープクランク大好きです!

 

23. のんだくれ September 04, 2010 19:08
なおさん
イイですねー。
ディープクランクって、今はよっぽど好きじゃないと投げないルアーの典型だと思うんですよ。
それなりの装備も要るし。
でもそれは逆に使ってる人が少ないという、威力を知る者にとっては非常にオイシイ状況なんですよね。(ムフ)
深さに関係なく使い倒せるのってホント魅力ですね。



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