【新旧モデル徹底比較検証】旧ストーム版とラパラストーム版ではどちらのウィグルワートが優れているのか オリジナルウィグルワート Original Wiggle Wart / ストーム Rapala Storm

クランクベイトシャローダイバーストームルアーズ Storm Lures/Post-Rapala

 

こんなキモいブログやってるといろんな質問がきますが、その中で最も多いのが『オリジナルと復刻モデルの違い』についての質問。

そしてその中でも抜きん出て多いのが今回のゲスト、ウィグルワートの新旧のアクションの違いについてです。

ということで今日の千一夜はそんな質問に答える形で進めていきたいと思います。

 




 

ウィグルワートとは

 

ウィグルワートは旧ストームがスィンフィン、ホッテントットに続いて1975年に発表した、超ワイドウォブルがウリの暴れ系クランクです。

ストームの経営権がラパラに渡り、リップ差し込み式のウィグルワート、通称ベンドビルワート Bend Bill Wart (リップが折れ曲がっているからベンドビル)になってしまったことでオリジナル回帰志向ジワジワと高まりだし、その声に応える形で現行となるオリジナルウィグルワートが発売されたという経緯があります。

 

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実際のところは再販されるまでにも色々あるのですが、そこに触れるとエンドレスになるので今回は割愛。

いつか機会があったら記事にしたいと思います。

 

ウィグルワートのサイズ

ラパラ版のウィグルワート(以下ラパラワート)はその名前からもわかる通り、旧ストームのオリジナルモデル(以下旧ワート)を忠実に再現したルアーになっています。

全長75ミリ、自重10.1gというサイズだけでなく、動きにまで徹底的にこだわったというのがストームのウリ。

でもね、旧ワートのインパクトがあまりにも大きかったのと、近年投機目的で旧ワートを買い漁る連中が増えたこともあって、旧ワートが過大評価されるのと同時にラパラワートが過小評価されてしまっているんです。

 

旧ストームとラパラ、どっちのウィグルワートがイイのか

よって、のんだくれのところにも問い合わせがたくさん来るんですよね、どっちがイイの?って。

結論から先に言ってしまうと、ぶっちゃけラパラワートの方がイイです。

しかもかなりイイ。

なので今日はその違いについて掘り下げてみようと思います。

 

”暴れるクランク”という表現のルーツでもあるウィグルワート

ウィグルワートといえばやはりこのボディ一体型のロングビルです。

一見何の変哲もないリップですが、泳ぎが破綻する寸前のギリギリのバランスを保ちながらリトリーブ軌道が左右に振れて激しく暴れるウォブリングアクションを生み出します。

近年よく耳にするようになった ”暴れるクランク” というワードは実はウィグルワートのアクションからきているのです。

余談ですが、”激しく暴れるクランクを探しているんですけど” というお客さんと話をしていたら、実はウィグルワートを一度も使ったことがない人で、両者の間で暴れるクランクの定義が全く違っている ”ワートギャップ” に直面してクラクラしたなんてこともありましたw

かつてウィグルワートを買うのが憧れだったおっさんにしてみると、なんか時代を感じずにはいられません😭

 

新旧で比較してもアクションはほぼ同じ

泳ぎについてラパラワートと旧ワートを比較するならば、『ほぼ同じ』と見て問題ないでしょう。

ウィグルワートは使用している素材の違いやモデル(プリズムフラッシュ、マッドフラッシュ等)によりアクションも僅かに変わってきますが、一番軽量でレスポンスが高いとされている、いわゆるボーン系マテリアル同士で比較してもアクションはほぼ同じです。(実際は一般で言われているようなボーン素材ではない)

あえて違いを挙げるとすれば、旧ワートの方がリトリーブ軌道の左右への振れ具合、つまり千鳥具合がほんの僅かに強いのと、ラパラワートの泳ぎ出しがほんの少し遅れるぐらい。

でもそれは挙げ足取りレベルで凝視しないと分からないほどの僅かな差なので、通常の使用でストレスに感じることはもちろん、気づくこともありません。

そういう意味ではラパラはかなり頑張ったのではないかと。

 

ラパラへ大クレームを出した米ワートヘッズ達

旧ワート(左)とラパラワート

そりゃそうですよね。

ベンドビルワートが出た時の旧ストームファンの嘆きはもう怒りのレベルに達していて、ラパラに対する批難は凄まじいものがあったので、ラパラとしてもオリジナルワートを復刻させるにはブランドの意地を見せなきゃなりませんでしたから。

当時のんだくれはエリックというINSANE😂なストームコレクターと繋がっていたのですが、そいつは旧ストーム時代のウィグルワートに戻せ!とラパラに直訴したと言っていたので、他にもそういう声は数多くあったでしょうね。

なにしろコカコーラの味が変わっただけでオリジナルに戻せと訴訟を起こしちゃうお国柄ですから、メーカーに直訴するぐらい朝飯前。

主張をするのが義務、自由は自らが勝ち取りに行くものだ!と思ってる連中ですから、行動を起こす事になんの躊躇もありませんw

ちなみにその裁判でコカコーラは敗訴し、後にオリジナルレシピによるコカコーラクラシックを追加発売する事となりました。

コカコーラクラシックが発売された当時のんだくれはアメリカにいたのですが、連日のようにTVでクラシック発売のニュースが報道されていたので、アメリカ人ってホントにアホだなと笑ってました。

裁判に勝った!民衆の力だ!と大騒ぎしてるけど、これだけ大々的に報道されてたら最終的にはコカコーラの圧倒的勝利じゃねーの?ってwww

ちなみにのんだくれはチェリーコーク派なのでどっちでもイイです😂

 

唯一の違いはラトルサウンド

また脱線してしまったので話を元に戻しましょう。

しかしいくらラパラの威信にかけて泳ぎも完璧に再現したとしても全く同じにならないのがルアーの面白くも恐ろしいところ。

両者の間では明確に違う部分があるのです。

それはラトルサウンドの違い。

つまりウェイトとなるラトルボールの材質が違うので、ラトルの響き方が全然違うのです。

旧ワートがややこもったカラカラサウンドなのに対し、ラパラワートはワントーン高いシャラシャラ音に近いラトルサウンドになっているんです。

これは旧ワートに使われている鉛ウェイトがカリフォルニア州プロポジション65 (CA Prop 65) という発がん性物質の規制条例に抵触しており、当時の素材が使用できないため代替え素材を使用している事に起因する違い。

このCA Prop 65 は往年の名作ルアーの復刻の際に必ずといっていいほど影響してくる条例で、その魔の手にかかったルアーはへドンのスウェイバックザラなど枚挙にいとまがありません。

でもこの規制があったが故に、ラパラワートは実にいい感じのハイトーンサウンドになったのです。

 

ラトルに合わせて樹脂素材も最適化

そしてそのラトルサウンドをさらに活かすためにプラスチックの素材も最適化しています。

リップが透明のもの以外はいわゆるボーン系の硬質プラスチックを採用する事で、ラトルボールの衝撃がボディ全体に響き渡るような共鳴効果も盛り込まれているのです。

この素材は透明のものと比べてやや耐久性が落ちるので、リップラップや護岸などをハードに巻くと画像のようにボロボロになってしまいますが、ルアーは巻いてナンボ、ぶち込んでナンボなので傷ついたルアーを嘆くよりも、むしろ歴戦の証しとして褒め称えるべきでしょう。

そしてこの高共鳴ボディのラパラワートは、どちらかに傾いて泳ぐ ”アントゥルーチューン” を施して垂直護岸に積極的に当てに行くリトリーブでとてつもない威力を発揮してくれるのです。

ウォブリングの度にカカカカカカ…. と甲高い衝撃音を立てて垂直護岸の壁を叩きながら潜るクランクを見たら、バスよりもアングラーの方が先にバイトしちゃいますからw

さすがに旧ワートで積極的に護岸にぶつけに行くようなラフな使い方をするのは勇気が要りますから、こういう実践的な使い方ができるという意味でもラパラワートは優れていると言えるでしょう。

 

ラパラワートがおすすめである最大の理由

 

そしてのんだくれがラパラワートをおすすめする最大の理由は、旧ワートに比べて圧倒的に個体差が少ない事。

なんだかんだ言っても旧ワートは昔のルアーなので、ボディの張り合わせも含めた精度がバラバラなのです。

同じカラーでも浮力が違うとか、ウェイトが固着してノンラトル化してるなんてのは割と普通に見られる事。

オールドワートのコレクターにとってはそのバラバラ加減が萌えポイントなんですが、実釣派にとってあまりメリットありませんからね。

それは逆の言い方をすれば、爆釣間違いなしの大当たりなタマも存在するという事でもあるので、旧型の方が釣れる!という意見にも同意します。

でもそのアタリを引き当てるために大量の旧ワートを集めるのは現実的じゃないですよね。

だったら1,000円以下で買えるラパラワートを際どいところにガンガンぶち込んだ方がよっぽど釣れると思いません?

 

使用上の注意点

しかしラパラワートにも注意しなきゃならん点もあるんです。

それはボディとフックが擦れる事によるフックポイントの鈍化が意外と早い事。

これはどのクランクにも当てはまる事だし、どのフックを使っているかによっても違う事ではありますが、ラパラワートはアングラーが思っている以上にフックポイントが甘くなる傾向があるので、ガチ釣り派はこまめにフックポイントのチェックが必要です。

特にウィグルワートは早春の低水温期に強いクランクと言われているので、スプリングモンスターの数少ないバイトをミスらないためにもシャープナーの携帯はお忘れなく。

 

カバークランキングには不向き

フックは前後ともラウンドベンドのショートシャンク#4が標準装備されています。

のんだくれはやってませんが、ブッシュなどのカバー周りを撃つ場合はリアフックをワンサイズ落とすとカバー抜けが良くなります。

でもウィグルワートのアクション特性ではブッシュ系のカバーだとルアーの本来の良さが発揮できないので、フックを替えてカバー撃ちするぐらいならカバーを得意とする他のクランクベイトを使った方が釣れるんじゃないかと。

まあその辺は好みの世界という事で。

 

ウィグルワートの見分け方

そしてアクションの違いの次に多い質問が新旧ウィグルワートの見分け方です。

これは超簡単。

リップの裏に稲妻イメージの入ったロゴ(通称ライトニングロゴ)がプリントされているのがラパラ版のウィグルワートで、ドットプリントによるシンプルな文字だけのものは旧ストームのモデルです。

旧ウィグルワートのドットプリントロゴ。

旧ウィグルワートのドットプリントにも複数のパターンがありますが、それはまた別の機会に。

しかしラパラストームになってからネームがみんなライトニングロゴになっちゃってるので、ネームヲタとしてはちょっと寂しいですね。

ライトニングはライトニングでカッコいいんですが、旧ストーム時代の歪んだドットプリントにはいろんな思い出があるので残して欲しかったなぁ

余談ですが、旧ストームのウィグルワートでネームがリップ裏ではなく腹にプリントされているモデルが存在するのを知ってますか?

いずれそのモデルも記事にするつもりなので答え合わせはそれまでのおあずけということでw

 

まとめ

ご存知の通り、このオリジナルウィグルワートはラパラの販売チャネルのおかげでどこでも手に入る優等生です。

同時に、どこでも見かけるルアーだけにスルーしがちなのも否めません。

しかしいつでもどこでも買えると思ってたルアーが急に店頭から姿を消してしまい、慌てて回収に走った経験は誰にもありますよね。

このラパラワートだっていつそうなるか分からないんですよ。

だって作ってるのはあのラパラなんですから😁

いつもそばにある幸せは、なくなった時に初めてその大きさに気付くという真理を忘れちゃいけません。

 




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