徹底的に考え抜かれたパフォーマンスは脱帽必至!B級の皮を被った狼 アンスラックス Anthrax 3/8oz / メガバス Megabass

ウェイクベイトシャローダイバートップウォーターフラットサイドポッパー•チャガーメガバス Megabass

 

自分は全く釣れていないのに目の前で完膚なきまでバッコバコに釣られる… これほどアングラーの気持ちを掻きむしられる事はないでしょう。

羨望や妬みはもちろん、なんで…という疑問など、色んな感情がココロの中で渦巻きはじめます。

と同時に、使われているルアーにも強い興味が湧きますよね。

それが自分が持ってないルアーだったら尚更。

今日紹介するアンスラックスはそんな状況で見直すことになったルアーのひとつです。

 

アンスラックスとは

 

アンスラックスは2005年?にメガバスがリリースしたミノー型ウェイクベイト。

発売と同時に話題になったものの、この頃ののんだくれはメガ熱もすっかり冷めていて、あぁ新しいの出たんだなぐらいの認識でしかありませんでした。

というのも、メガバスの水面系ミノーとしては既にプロップダーターでそこそこ釣っており、それで十分と思っていたから。

いや、十分と言うよりもぶっちゃけアンスラックスの天地逆の造形をバカにしてたぐらい。

しかしそんな考えはある事をキッカケにいともカンタンに消し飛びました。

同行者がアンスラックスでひとり爆釣したのです。

サイズこそ伸びなかったものの、他のルアーでは全く太刀打ちできない独り勝ち状態。

マンガでしか見られない、キーッ!という心境を嫌というほど味わったのでした。

その後ソッコーで買いに走ったのは言うまでもありません。

 

アンスラックスのサイズ•重さ

 

アンスラックスのサイズは83ミリ、10.7gの食べ頃サイズ。

ミノーとしてはやや小ぶりですが、体高で小さく感じさせないところがメガバスマジック。

105ミリの兄貴サイズもラインナップしていますが、ルアーの特性としては別物なので105の紹介はまた別の機会に。

 

アンスラックスの特徴

天地逆の造形

 

アンスラックスの特徴はなんと言っても天地逆の造形でしょう。

死にかけた魚をイミテートしたのかどうかは分かりませんが、見た目のインパクトはなかなかのもの。

しかし強いインパクトと同時にB級感も出てしまい、のんだくれも含めて冷ややかな目で見てしまったのも事実。

特にアンチからは「メガバスはネタ切れ」などと揶揄されてしまいました。

しかし実際に使い込んでいくうちにこの造形の意味を理解し、震えることになるのです。

 

エッジを効かせたボディライン

 

そんな造形を生かしているのがこのエッジの効いたボディライン。

このライン処理により、ボディ側面をよりフラットにすることが出来、かつボディ上部もフラット化することに成功しています。

 

 

このエッジの効いたボディがアクション時に強い明滅を演出し、一般的なミノーでは出せないアピールを生み出します。

つまりボディ下部のダークカラー → 側面のフラッシング → ボディ上部のパールカラーによるフラッシングというトリッキーな明滅を繰り返す設計になっているのです。

もちろん鋭角ボディは水の攪拌も増幅し、プレデターの側線を刺激するのも忘れてません。

 

ベタだがちゃんと機能するヒレ

 

そしてヒレの存在も忘れちゃイケマセン。

なんともB級感溢れる仕様ですが、一旦泳ぎ始めると強いローリングアクションによってこのヒレが揺さぶられ、美味しそうな渦と引き波を生み出してくれます。

ヒレ付きルアーは数多あれど、それらのほとんどは見かけだけでちゃんと機能するものを装備したルアーは多くないのでこれは高ポイント。

しかしボディと同じ素材で固定されているため、ミスキャストなどにより破損しやすいという欠点も。

さらにキャスト時に変に空気を掴む事があるので、時折キャスト軌道がブレることも否めません。

しかしそれでもあえてヒレを設置したということは、やはりそれだけの効果があると踏んだという事なんでしょうね。

105サイズのようにヒンジによる可動式にする選択があったにも関わらずあえて固定式を採用したのは、結果のためのリスクテイクと理解してもいいんじゃないかと。

 

しっかり水を掴むリップ

 

そんなボディを動かすのはこの屹立したリップ。

画像では分かりにくいのですが、エッジを極限まで薄くすることでアクションのキレを向上させています。

 

 

プロップダーターやワンテンとは明らかに違うワイドな形状もボディをグワングワンと揺さぶってやるぜといったヤル気に満ちてます。

ローリングアクションの軸がブレないようにヒレやリップの大きさを試行錯誤したんだろうなと思うとニヤリとしてしまいますね。

 

カツカツとよく響くラトルサウンド

 

そんなアンスラックスにはミノーらしからぬウェイトシステムが奢られています。

まずフックハンガー後方に収められた大きめのラトルボール。

ボディがロールする度にこのボールがカチカチと高音のサウンドを響かせます。

そのサウンドはローリングサンダーと言ってもいい程の響きっぷり。

ラトルの後方には低重心化を狙ったウェイトが設置されていますが、チャンバー内までウェイトを差し込むことにより、ウェイトを乗り越えた時にラトルボールの加速度が増し、強く内壁にぶつかる機能が盛り込まれています。

当時このシステムは大々的にアピールされてましたが名称を忘れちゃいましたw

チャンバーの後側が完全にクローズしていないのはラトル音をボディ内で増幅する目的もあるんでしょうね。

 

これでもかレベルの超絶ローリング

 

そんな全方位に抜かりのない設計のアンスラックスは泳ぎにも一切の隙を見せません。

リトリーブを開始すれば、これでもか!というミノーとは思えない強烈なローリングを披露してくれます。

泳ぎを上から見ると見事にXの字に見えるのでウォブリングアクションだと勘違いするアングラーもいますが、実は最強レベルのロールアクション。

そんな超絶ロールによって強く響き渡るカチカチラトルサウンドを発します。

しかし泳ぎだけで済まないのがアンスラックスのニクいところ。

静止状態からの小さなポッピングが実に生々しいのです。

実はこのアンスラックスは弱く、本当に弱くロッドを煽ると、小さな飛沫を「ルアーの後方に」上げてダイブします。

前ではなく後に、です。

そしてダイブと同時に大きくヒラを打ちます。

その様はまさにギルが水面の落水昆虫を捕食して反転するアレ。

実はこの動きが出来るのは3/8ozサイズの方のみなのです。

兄貴サイズでも似たような挙動をするのですが、サイズゆえアクションの立ち上がりにラグが生じるのでこの動きは出せません。

そうです、のんだくれがコテンパンにヤラれたのはこの動かし方。

同行者はオーバーハングの奥にアンスラックスを投げたら、小さくチョンとやったら水面直下のヒラ打ちでバスを乱獲していたのでした。

おそらくギル食いの状況にハマったんでしょう、助走距離無しでもしっかり動くアンスラックスはポッパー的な要素も持っているのでオーバーハング奥などプロダクティブゾーンが小さいスポットにピッタリだったのです。

ルアーの回収中にはウェイクベイトもびっくりの大きな泳ぎでアピールするので、そりゃ釣れない方がおかしいですよね。

 

カラーはベイトフィッシュ系が中心

 

そんな全方向死角無しに思えるアンスラックスですが、不満がないわけではありません。

カラーがベイトフィッシュに偏りすぎなのです。

メガバスらしいカラーリングといえばそれまでなのですが、虫やエビ系のアプローチをするときに使えるカラーが少な過ぎ。

メガバス自らが自身のデザインに縛られてたんじゃないかと思うぐらいカラーリングがベイトフィッシュ寄りなのです。

せっかくB級臭溢れる造形なんだからw、カラーでもっと遊びゴコロを発揮して欲しかったな。

あと塗膜が弱いのが気になりますね。

画像のものも塗装の剥離が目立ちますが、これの前に使ってたものはすぐにボロボロになっちゃいましたから。

今はさすがに塗膜の耐久性も上がっているでしょうが、釣れるルアーだけにちょっと残念ですね。

 

フック交換はバランスに注意

 

フックは#6サイズが標準。

フック先がわずかにネムったクローポイントフックを採用しているのが特徴です。

カツアゲフックを採用していたプロップダーターとは違い、リトリーブ状況でのフッキングを意識しての事でしょうか。

ただし、ポップ&ダイブをメインに使うアングラーの場合は、浮き角に影響が出ないバランスにするなど交換にはちょっとだけ注意が必要かと。

そういえばフェザードフックを装備したモデルが再販されたこともありましたね。

 

ネームはお約束のGGYは使わんでヨシ系

 

そしてネームはお約束の文字が小さく読みにくい系。

ローガンGGYどもはもう使ってくれなくてもいいからというメガバスの意志表示ですw

年号の入っていないモデルもありますが、それは再販モデルなんでしょうか。

メガバス識者の方、どなたかご教授を。

 

入手はカンタン

 

天下のメガバスがブーム時に大々的に売り出したこともあって市場に出回るタマは豊富で入手は超カンタン。

キイロを始めとした中古屋はもちろん、ネットでも簡単にしかも手頃な価格で入手することが可能です。

最近では500円以下のものもチラホラ。

しかしメガバスは買い易くなりましたね。

プレミアが付いてた時期を除いても中古の値ごなれ感は特筆に値します。

ルアーは使ってナンボなだけにロストを心配せずに心置きなく使える価格はやっぱり助かります。

いつだったかアメリカから友達が来たときに中古屋に連れて行った事がありますが、ワンテンの安さに発狂して、そんなに買ってどーすんの?状態になってました。

特に新品未開封のものが安く出ている事が信じられなかったようで、滞在中何度も中古屋参拝をしてました。

釣具業界の中にはキイロを始めとした中古屋の存在を疎ましく思っている人もいますが、キイロで資金を作って新品を購入する層が確実にいる事を考えたらむしろ有難いと思うべきじゃないかと。

自社の商品が中古価格で出回るのはお試しサンプルだと思えば悪くないし、中古市場で自社製品を見ないということは、裏を返せば中古市場に回るほどの数が流通していない、もしくはマニアだけにしか商品が伝わっていないという表れでもあるので中古屋で見かけるようになるまで頑張りましょうw

ベストセラーと言われる本ほどブックオフへの持ち込みが多いという事実は、釣具にも一部当てはまるんじゃないかとw

 

おわりに

 

さてさて。

同行者にコテンパンにヤラレてソッコーでアンスラックスを揃えたのんだくれでしたが、その後同様の釣果が得られたかというと、残念ながら思っていた程の釣果は上げられていません。

一応それなりには釣っていますが、他のルアーを全て排除していたあの時ほどの衝撃はまだ味わえていません。

でもそれが現実なんですよね。

そうなんです。バス釣りはセンスが伴っていないと、どんなに良いルアーを使っても釣れないのです。

しかしこれがバスフィッシングの面白さであり奥深さなんですよね。

ゴルフで最新の高性能ドライバーを使っても上手い人ほど飛ばせないのと全くおんなじ。

そう考えると新製品情報に踊らされる自分が虚しく見えてきます(自戒)

ジンセイは死ぬまで修行だと再認識できるという意味でもアンスラックスは優れたルアーなのですw

 

 

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