笑った者が泣きをみる!バスを釣るための要素を徹底的に突き詰めた超絶パフォーマー バズプラグ Buzz Plug G905 / アーボガスト Arbogast

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”セールスコピー”によって過小評価されているバズプラグ

バズプラグ フレッドアーボガスト バズベイト ルアー インプレ トップウォーター

ルアーのプロモーションにはつきものである “世界初” とか “○○ができる” というセールスコピー。

例えば、巻くだけで千鳥るクランクベイトとか、ロッドをチョンチョンするだけでその場で首を振るスイムベイトとか。

メーカー側としてはセールスポイントを大々的にアピールしたいのでこういったコピーで武装するのは至極当たり前の事なんですが、受け取り手であるアングラーに取捨選択の力がないと、そのセールスコピーが良くも悪くも “キラーワード” になってしまって、他にも優れた性能があるのにそっちに目がいかなくなってしまう事も。

今日のゲスト、バズプラグもそんなコピーによって実力が過小評価されてしまっているカワイソウなルアーです。

不恰好なフォルムと陳腐なコピーが評価を下げてしまった

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バズプラグのデビューは確か2012年ぐらいだったと記憶していますが、バズプラグに対するのんだくれの第一印象は、”またキッツイの出してきたなー” でした。

お世辞にもスマートとは言えないアグリーなボディフォルムに、取ってつけたようなチープ感漂うダブルフック、そしてブランドロゴデザインがブランキングされたブレードを見る限り、あんまり本気度が伝わって来なかったんです。

しかも当時のセールスコピーは、”ポーズできるバズベイト”。

実はこのコピーは80年代にバズベイトが市民権を得てからずーっと使い回されていて、良く言えばクラシック、悪く言えば陳腐なコピーなんですよね。

とはいえこの手のルアーはのんだくれの大好物なのでソッコーで買っちゃったんですけどね😁

バズプラグはアングラーの想像を上回る最先端のルアー

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まず誰もが驚くのがこのルアーのボリュームでしょう。

ボディだけで75mm、ウェイトは1ozと、なかなかの存在感です。

のちに品番G935、バズプラグJr.というダウンサイジング版がリリースされるのですが、そのあたりの展開を見る限り、このボリュームに抵抗感を抱いたアングラーの声が少なからずあったんじゃないかと。

実際このボディサイズを見ると、”ポーズできるバズベイト” というセールスコピーが頭をよぎります。

あー水面に浮かせるためのボリュームなのね、と。

と同時に、でもポーズ出来るのはいいとしても、もうちょっとスマートに作れなかったの?という穿った目で見てしまうのも事実。

しかーし!

このバズプラグを実際に使ってみると、ボディはもちろん、バズブレードもフックも全て、練りに練って作られた最先端のバズベイトであることを思い知らされるのです。

回転性能を極限まで突き詰めたブレードデザイン

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まず何と言ってもバズブレードが考え抜かれてます。

一般的なワイヤーバズに装備されているオフセットブレードとは形状こそ違うものの、取り立てて目新しい点は見つかりませんが、これこそがアーボガストが提唱する次世代のバズブレードなんです。

それは徹底的なブレードの軽量化。

このバズプラグはボディ自体に浮力があるので、ワイヤーバズの様にブレードで揚力を作り出す必要がない分、ブレードの面積を大幅に減らすことができます。

よって、ブレードデザインに自由度が生まれ、機能面に特化した形状を実現することが出来る様になりました。

その結果、各部をブランキング(中抜き処理)することによって、ブレードの回転レスポンスを大幅に向上させています。

と同時にブレードの重量を減らすことができるので、その分浮力を稼げるという算段です。

バズベイト以上の性能を持つバズプラグ

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その結果、水面ではこんな感じで、ブレードをほぼ水面上に出して浮く姿勢が実現できるだけでなく、回転の立ち上がりもすこぶるクイックに仕上がっています。

さらにブレードが水面よりも上にあることで、チョンと軽くお辞儀させるだけでポッパー的なスプラッシュを作りだせたり、バズベイトとしては考えられないほどの首振り性能を身につけることができました。

さらっと書きましたが実はこれ画期的な事なんですよね。

つまり一般的なバズベイトの使い方通りにリトリーブしてきたら、ここぞというところでポーズさせるだけでなく、派手にピシャピシャとツバ吐きさせたり首振りも出来るんですから。

この機能を知った時、のんだくれの脳裏にはあるルアーが思い浮かびました。

そうです、かつてアーボガストからリリースされていたスパターバグです。

バズプラグのルーツはあの有名ルアーにあった

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スパターバグも止められるバズベイトとして人気を博したルアーでしたが、ボディとバズブレードをワイヤーで繋ぐ構造だったため、ポーズ時にはこの画像のようにブレードが下に垂れ下がってしまい、止めることは出来てもクイックな首振りやツバ吐きは苦手でした。

おそらくバズプラグは、スパターバグで出来なかったことを実現するためにデザインされたルアーなんだろうな、と。

*厳密にいうとスパターバグにはオンセンターブレードを採用したその名もスパターバズ(旧名スパターバザー)というバズベイトバージョンの兄弟がいるので、スパターバズとスパターバグではそれぞれ役目が違うのですが、それに触れると収拾つかなくなるのでスパターBrosの詳細についてはまた後日ゆっくりと。

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単なるデザインではないロゴのブランキング処理

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水面上にブレードを出すため、本体にもアーボガストのロゴデザインがブランキング処理されて軽量化に一役買っています。

いつだったかのショーでプラドコのスタッフと話した時、このロゴブランキングは、”回転時に複雑なバブルを生み出すため” と言っていましたが、のんだくれが察するにこのブランキングデザインは、バブル生成よりも軽量化目的の方が強かったのではないかと。

なぜならJr.サイズのブレードはロゴブランキングではなく、波状ブランキングになっているから。

Jr.サイズのブレード

おそらくJr.サイズはロゴブランキングだけでは思ったほどの軽量化が成されなかった為、効率よく軽量化できる波状デザインになったのではないかと。

つまりオリジナルサイズの方が浮力が大きい分、ロゴデザインで遊びゴコロを表現できたけど、Jr.サイズの方は浮力にそんな余裕なかったからこれでカンベンしてね的な😁

皆さんはどう思います? こののんだくれの相変わらずな 妄想 推理を。

最強の乱水流と水押しを実現する”アグリーな”ボディ

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考え抜かれているのはブレードだけではありません。

そのブレードのメリットを最大化するためのボディデザインがこれまたスゴいのです。

先述のプラドコスタッフ曰く、このボディデザインはカエルを模しているとの事ですが、のんだくれに言わせればそれは完全なる後付けセールストーク。

このボディ形状はカエルのイミテーションなどではなく、前からの水流を無駄なく揚力とディスプレイスメントに変換するためのデザインなんです。

我々日本人にはあまり耳馴染みがありませんが、英語にはチャーン Churn という言葉があります。

かき混ぜるとか攪拌するとかの意味で、米ルアーメーカーのサイトやカタログに良く出て来るワードなんですが、このボディラインはまさに水をチャーンするためのもの。

バズブレードが乱した水流がボディに当たることにより、強いディスプレイスメントが生まれるのです。

その強さはバズプラグをゆっくりリトリーブするとすぐに分かります。

通常のバズベイトとは一線を画す、全く異質のずっしりとした水抵抗に逆らってブレードを回し始めるとボディは水平姿勢となり、ルアーの後ろにいくつもの小さな渦を残すのです。

水面に出来る小さな渦は強いディスプレイスメントが作り出せている証。

そうです。

実はこのファットなボディは、単に浮力を稼ぐためのものではなく、ファットクランクと同様の強いディスプレイスメントを実現するために生まれたデザインだったのです。

さらに面白いのは、ディスプレイスメントの強さ以外にも、リトリーブスピードによって軌道がフラつく特性を持っていること。

ラインを水面に付けないようにリトリーブすると、ルアーがフラッと横に一瞬スライドするような不安定な挙動を見せるんです。

通常のワイヤーバズでは有り得ない動きなので、これもバズプラグの特徴の一つですね。

又、このボディは空力学的にも配慮されているらしく、ロッドを軽く一振りするだけでバズベイトとは思えない飛距離を叩き出します。

その様はまさに “Cast a Mile”

形状的にはインラインバズである上にウェイトバランスがテールヘビーなので、アゲインストだろうが横風だろうが、狙ったスポットにレーザービームを撃ち込むことが出来るんです。

しかしデメリットも

とはいえメリットがあればデメリットもあるのが世の常。

そのレーザービームがマイナスに作用することもあるんです。

テールヘビーのボディバランスゆえ、着水時に水に “突き刺さって” しまうこと。

入水角にもよりますが、着水してから完全に浮上するまでは1〜2秒かかります。

なので、いくら浮くバズベイトとはいえ、ブレードが最高のサウンドを出すまでには一般的なワイヤーバズと同様に助走距離が必要です。

もしくは完全に浮上するのを待って撒き始めるか、ですね。

とはいえ、そんなデメリットがあったとしてもメリットの方が圧倒的に多いのは事実。

コレ、使えば使うほどデザイナーの執念にも似たパッションが見えてきて、オモロいルアーですよ。

見た目はアグリー(醜い)なのに、中身はスマート(賢い)ルアーの最右翼と言ってもいいでしょう。

フックにも”フック以上の性能”が持たされている

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フックは3/0のダブルフックを採用。

このスキマの感じからおそらくマスタッドのフックではないかと。

ちょっとアンバランスなほど大きなフックですが、フックにもウェイトとしての役割を担わせているんでしょうね。

見た目ショボい感じなのでトレブルフックに換装して使うアングラーもいる様ですが、ウィードが水面近くまで伸びたスポットで威力を発揮するルアーだけに、ここはやはりダブルフックで使いたいですね。

のんだくれは実釣ではフックを交換したものを使ってるので、それはまた後ほど。

“Bait of Champions” を誇示しているかのようなネーム

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このバズプラグはネームも堂々としててイイですね。

今やアーボガストのトレードマークにもなっているアーミーステンシル調スタンプには、Bait of Campions としてのプライドが重なって見えるようです。

カラーはこれまたアーボガストの定番ホワイトコーチドッグ。

のんだくれの大好物カラーですが、このカラーのバズプラグはどうやらカタログ落ちしてしまったようなので、コーチドッグマニアの方は市場在庫をゲットしておいた方がイイかも。

そんなマニアがいれば、の話ですけどね😁

まとめ

バズプラグ フレッドアーボガスト バズベイト ルアー インプレ トップウォーター

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といった具合で延々とノー書きを垂れてきましたが、このルアーはここに書き切れないぐらいのパフォーマンスを見せてくれるなど、実はすんげールアーなんです。

だからメーカーのセールスコピーである “ポーズできるバズベイト” という陳腐な文句に引っ張られることなく本質を見て欲しいのです。

どーです? この記事を読んだらバズプラグを大いに誤解してたのが分かったでしょ?

そして今すぐにでも投げたくなったでしょ?笑

そしたら今年のシーズンは是非このバズプラグでおっきなおサカナを釣って、人生最強のドヤ顔をしてみてくださいな。

「でっか!まじで? 何で釣ったの?」

「アーボガストのバズプラグ」

「うっそ!あんなんで釣れたの?」

「あのルアー、実はヤベーんだってば(スーパードヤ顔)」

「うっわ!ソッコーで買いに行くわ!」

という会話の主人公になれたら思わずイッちゃいますよね😂

 

おまけ (バズプラグのチューニングあれこれ)

最後にオマケとして、このバズプラグのモディファイについて書いておきましょう。

もう皆さん察している通り、このバズプラグも形状的にフッキング率が良くないというデメリットがあります。

さらにボディが重いので、ノーマルフックのままだとバレが連発するという嬉しくない先天的疾患も。

それらのデメリットを少しでも改善するために、ぜひフックを交換してください。

しかしそれは通常のダブルフックではなく、フロッグ用のダブルフックに交換して欲しいのです。

バズプラグ フレッドアーボガスト バズベイト ルアー インプレ トップウォーター

 

フロッグ用のフックはデフォルトのフックよりもゲイプ(フックの懐部分)が深い上に、フックポイントがアイの方に向いているのでフッキング性能が向上します。

さらにノーマルよりもフックポイントが内向きなのでデブリ(ゴミ)などを拾いにくくなります。

皆さんのボックスにもボロボロで屍状態になったフロッグの一個や二個、入ってますよね?

わざわざフロッグ用のフックを買わなくても、それを流用すればイイのです。

ダイワのD-フロッグに装着されているようなディープベンドのフックだとちょっと合いませんが、ひと昔前のフロッグに使われているフックならほとんど違和感なく使えるでしょう。

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また、フロッグフックに換装すると、ノーマルよりも太軸でフック重量が増すので水面での姿勢はより立ち浮きになり、スプラッシュや首振りの性能もアップするというオマケもついてきます。

この辺は好みもあるので、いろんなサイズのダブルフックを試してベストセッティングを見つけてください。

老舗釣具メーカーの意地を見せた世界戦略中空フロッグ D-フロッグ D-Frog / ダイワ Daiwa
相変わらず盛り上がってますねー、フロッグは。 時期的なものとはいえ、少しでもカバーがあれば全員がフロッグを投げて… みたいな感じになっちゃったので、基本あまのじゃくなのんだくれにはちょっとオモシロクなくなってきちゃいました。 ...

あ、話が前後しますが、フロッグフックに替えると、着水時に潜り過ぎて水面直下のウィードを拾うことが減るというメリットも生まれます。

もちろんその場合はサミングやルアーの入水角を考慮するなど、アングラー側の仕事もありますけどね。

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フックを交換したら、やっておくべき処置があります。

それはボディとブレードの間に入っているリベットの点検です。

実はこのリベットにボディを塗装した際のペイントが付着していることがあり(というよりもほぼ間違いなく付着してる笑)これをちゃんと取っておかないとバズベイトのキモであるスクイークサウンド(金属同士が擦れる事で発生する金切りサウンド)が出ないのです。

もちろんバズベイトのお約束である “育成作業” もお忘れなく。

リベットをシンナーなどでキレイに拭き取った上で、扇風機などの前で長時間ブレードを回してパーツ同士を馴染ませる作業は、このバズプラグにも必要なのです。

長時間待てないせっかちな人は、釣行の際に車のキャリアにバズプラグを縛り付けて高速を走れば、フィールドに到着する頃にはイイ感じに仕上がってます。

リベットの点検が終わったら次はブレードの調整です。

調整といっても難しいものではなく、片側のブレードの曲げ角を小さくするだけです。

これによりノーマルブレードよりも大きくボディを震わせるようになります。

この際の曲げ具合もいろいろ試して好みのセッティングを見つければ良いのですが、のんだくれの経験上、片方はデフォルトのまま何も触らずに一方だけ曲げ角を小さくした方が強いバイブレーションが得られます。

そして、ここからはアドバンスアングラー向けというかマニア向けのチューンですが、ブレードの回転軸に手を加えるというモディファイも存在します。

先の尖ったリューターなどで画像の赤い部分を削り、ブレードの回転軸をずらすことによって大きく強いバイブレーションを得るという手法です。

その際注意することは削り過ぎないことと、反対側の穴は何も加工しないという2点。

ほんの少し穴を広げるだけで十分な効果が得られます。

実はこれはカリフォルニアデルタをベースとするプロに教えてもらったモディファイで、のんだくれはまだ試したことがないんですが、この加工が施されたバズプラグを投げてみたところ、確かに強烈なブルブル君になっていたので、バズプラグを極めたいならトライする価値はあるかも。

極めたい人がいれば、の話ですけどね笑

 

とまあこんな感じで思いつくまま書いてたらめちゃくちゃ長くなりましたが、いかがでしたでしょうか。

アメリカンブランドのルアーは日本のルアーのように細かいトリセツがないので真の実力が見えにくかったりしますが、先ほどの Churn のようにカタログやウェブサイトに記載された単語を拾うだけでも真のパフォーマンスに近づけるなど、意外なほどヒントが転がっています。

そのヒントを手がかりに読み解く作業を面倒と捉えるか、はたまた楽しみの一つとして捉えるかはアングラー次第ですが、考え方の違いだけで結果に大きな差が出るならやらないテはありませんよね。

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