スーパーシャロークランクの開祖にして未だオンリーワンの実力者 ワンマイナス 1 Minus / マンズベイトカンパニー Mann’s Bait Co.

ウェイクベイトクランクベイトシャローダイバーマンズベイトカンパニー Mann's Bait Co.

どのルアーカテゴリーにも言えることですが、最初に原型となるモデルを発売してその実力が広まると、そのルアーはカテゴリーの開祖として長きに渡って語り継がれることになります。

ペンシルベイトの開祖はザラゴッサだったり、ブレーデッドスイムジグの場合はチャターベイトなどなど枚挙にいとまがありませんが、スーパーシャロークランクのパイオニアといえば間違いなくこのルアーでしょう。

全てのスーパーシャロークランクの元祖と言っても過言ではないマンズのワンマイナスです。



水面下30cm以浅で革命を起こしたワンマイナス

ワンマイナスはバスプロ、ポール・アライアスの監修の下、ワンマイナスとベイビーワンマイナスの2モデル体制で1989年にデビューしたスーパーシャロークランクです。

 

デビューして30年以上経っても未だ実釣派、コレクション派の両方を狂わせている魔性のクランク ベビーワンマイナス Baby 1 Minus / マンズ Mann's Bait Co.
スーパーシャロークランクの歴史はワンマイナスから始まった スーパーシャロークランクを語る上で絶対に外せないのがマンズのワンマイナスシリーズであることは、バスアングラーの皆さんならもうご存知ですよね。 潜行深度が1フィ...

 

” No matter how fast you reel they only dive 12 inches deep “(どんなに速く巻いても12インチしか潜らない)を売りにして革命とも言える大ヒット作となったのはご存知の通り。

80年代といえば、ニーリングテクニックなどで ”クランクをいかに深いレンジへ到達させられるか” を各社が競い合っていた時代。

ノーマンのDD22やバグリーのDB3マグナムなどが猛威を奮っていた時代に、まるで逆張りするかのように主戦場をシャロー、しかもスーパーシャローレンジに絞ったルアーの登場に我々は度肝を抜かれました。

 

ディープモンスター達を震え上がらせたダイビングクランク不朽の名作 DD22 Deep Diver 22 / ビルノーマン Bill Norman
ダイビングクランク不朽の名作・DD22 ディープダイビングクランクベイトを語る上で絶対に外せないのがコレ、ビルノーマンが誇る水底探査機、DD22。 80年代、国産のダイバー達が登場するまでバグリーダイバーズと共にディープエリ...

 

その後、雨後の筍のように他社からスーパーシャロークランクが登場し、その道の開祖となりました。

今やウィードトップを釣る際にスーパーシャロークランクは必需品とまで言われているのはみなさんご存知の通りですね。

 

 

ワンマイナスのサイズ・重さ

ワンマイナスは全長80ミリ、自重5/8オンス(実測はなんと27.5グラムw)の、今でいうところのマグナムサイズクランクです。

今でこそ大きさへの違和感はなくなりましたが、デビュー当時はオリザラですらデカいと言われていた時代だったので釣具屋のハンガーにぶら下がる、まるでタマゴのようなクランクに違和感を感じたアングラーも少なくありませんでした。

かくいうのんだくれもそのひとり。

その一方でDB3マグナムのサイズには何の抵抗も感じていなかったので、アングラーのサイズ基準はつくづくテキトーなもんだなとw

 

老兵?とんでもない!もし中古屋で見つけたらマストバイな逸品!DB3マグナム DB3 Magnum / バグリー Bagley's Bait Co.
スクエアビル戦争に続くマグナム戦争も落ち着き、今ではすっかり定着した感のあるマグナムサイズのクランクベイト。 現在シャローからディープまで数多くのマグナムクランクが出回っていますが、まだどのメーカーも出していないタイプのマグナ...

 

ワンマイナスの特徴

ワンマイナスのの最大の特徴は、ボディ幅よりも小さく、フロント側が凸面になったこのリップ。

ディープクランクが持つアイスクリームスクーパーのような巨大なリップを見慣れていた我々にはなんとも頼りなく思えてしまい、こんなんでちゃんと動くの?と訝しんだ記憶があります。

 

しかし実際に泳がせてみると、そんな疑念は一瞬で霧散します。

アクションの立ち上がりは遅いのですが、一度ピークに達するとこれでもかと言わんばかりの大振りアクションで水をかき回します。

特筆すべきは派手なブリブリアクションにも関わらず、フルスピードでのリトリーブでも泳ぎが破綻しない高いスタビリティを持っていること。

通常のクランクベイトは水の抵抗をリップでしっかりと受け止めることでボディを動かしますが、ワンマイナスはリップを凸面にすることであえて水の抵抗を逃して高速リトリーブへの追従性を高めているのです。

 

ファットでありながらも、ヘッドからテールへ伸びるしなやかなラインを持つボディも安定性に一役買っています。

大きなヘッドで受け止めた水を強く攪拌するも、ボディによって水流を整えつつ後ろへ流すという矛盾した離れ業をサラリとやってのけるのがワンマイナスのスゴいところ。

 

そしてこれでもかというほど詰め込まれたラトルボールがノイズメーカーの名前に恥じない仕事をしてくれます。

画像のワンマイナスは鉛が粉を吹いて内部が曇るという初期のモデルにありがちな症状が出てしまっていますが、リップの付け根のラトルチャンバーに小4個、テール側に小7個、そしてフロントフック後ろに中1個のラトルを擁する超ラウド仕様になっています。

 

同じカラーのベイビーワンマイナス。ラトルボールの数は違うがラトルルームの構造は同じ。

しかしこのラトルは単にノイズを発するためだけに封入されているわけではありません。

大振りのアクションを生み出すための分銅の役目も果たしているのです。

それはアクションが立ち上がる過程を見ればすぐにわかります。

巻き始めはラトルの重量もあって泳ぎ始めるのが遅いのですが、スピードが増して泳ぎに勢いがついてくると内部ウェイトの慣性モーメントによってテールが振り回されるような動きになり、それがブリブリアクションを増幅させているのです。

いつだったかサイレント版のワンマイナスを作ろうと思いテール側のウェイトを抜いたところ、動きが死んでしまった事からもそれは明らかです。

一見雑な作りに見えるアメリカンクランクですが、30年以上も前にこれを実現していたかと思うと恐ろしくなりますね。

 

ワンマイナスのアクション

ワンマイナスのアクションは強いローリングを伴ったウォブリング。

強く水を攪拌するその動きは、マディウォーターの多い南部のブランドらしさに溢れていますね。

テールを下げた状態で浮くので、ペンシルベイト的なドッグウォーク使いも可能。

オーバーハングの奥にブチ込んで、ジャラジャラとラトルを鳴らすトップウォーター使いもお手のものです。

 

ワンマイナスの使い方

しかしワンマイナスはやはり巻いてナンボでしょう。

Just burn it. このひと言に尽きます。

ここで注意したいのは、ワンマイナスはウェイクベイトではなく、あくまでもシャロークランクであるということ。

引き波を立てて泳ぐウェイクベイトとしてももちろん使えるのですが、ウェイクベイトとして使うよりも水面直下のサブサーフェスクランクとして割り切った方が圧倒的に釣れるのです。

その実力が最も発揮されるのは初夏のウィードトップクランキング。

時折ウィードにワンマイナスを絡ませながら早巻きするのですが、ファットなボディとスイミング姿勢によって思ったほどウィードを拾わないのでストレスなく楽しい釣りができます。

又、ウィードなどの目ぼしいカバーがない時は、早巻きとスローダウンを組み合わせてバイトのキッカケを意図的に作ることもワンマイナスフィッシングのキーになります。

そのやり方は超シンプル。

超ハイスピードでハンドルを3〜4回転させたら、ミッドスピードで2回転。

このセットを繰り返してリトリーブスピードに変化をつけるだけです。

この方法は意外と誰もやってないのでバイトが出やすいのと、バイトのタイミングが早巻きに切り替わった時なのか、それともスローダウンした時なのかでその日のバスのコンディションも見えてきます。

この巻きに変化をつける方法は友人である米ローカルプロからの受け売りですが、彼曰くプレッシャーの高いメジャーフィールドでも反応が良いそうな。

さらに秋になって水温が落ちはじめ、リリーパッドに元気がなくなってきた頃もワンマイナスの出番です。

水温が落ちて張りが無くなったハスの葉を60lbのPEラインで切り裂く様に巻いて、葉の下の茎林の間にワンマイナスを通すと日中でも良いサイズがバコン!と出るからタマりません。

この際、ルアーはPE直結でナイロンリーダーを使わないのがキモ。

過去にフロッグやパンチングでしか攻められないスポットでこの方法を使い、何度もイイ思いをさせてもらいました。

ただし先述の通りワンマイナスはアクションの立ち上がりが悪く、本来の実力を発揮するまでには最低でも50センチ程度の全速助走が必要なので、それを踏まえたアプローチが必要となることも併せて伝えておきます。

 

ワンマイナスのカラー

画像クリックで拡大します

ワンマイナスはカラーが多いルアーとしても知られています。

ご長寿ルアーである上に米国ではレッドフィッシュなどのソルトウォーターでも人気があり、過去にはKマート専売カラーやジャパンカスタム、ノベルティなどの特別色も数多くリリースされており、その数たるや150とも200とも。

特にマンズのルアーは塗装が弱くて劣化が早いこともあり、レアカラーになると高値取引の対象となることも珍しくありません。

しかし実釣の観点だけで言えば、クロームか白系の膨張色さえあればオッケー。

カリフォルニアデルタを拠点とするアングラーはレッドのクロー系が必須など、ご当地カラーもありますが、個人的にはアラバマシャッドとボーンカラーだけでかなりのバスを釣ってるので他の色は要らんと割り切ってます。

コレクター的には、ノーマンのゲルコートやバグリーのダズルカラーに対抗して登場したクリスタルグローパターンは押さえておきたいトコですけどねw

 

ワンマイナスのフック

ワンマイナスの標準装備フックはややアウトポイント気味のショートシャンク&ディープスロートの#2サイズがデフォルトになっています。

いかにもアメリカなフックですが、これがウィードなどを拾いにくいのにフッキングが良いなど実に調子がいいのです。

箱出しのままではポイントが丸々なのでシャープニングする必要はありますが、ワンマイナスに関してはほぼフックを交換せずにバーブレス化して使っています。

バーブレスにする理由は飲み込まれることが多いルアーだから。

30クラスでも丸呑みされることがあるので、バーブレスにしておくのは必須です。

 

ちなみに過去にはブロンズフックや#1サイズのトリプルグリップが標準だった時期も。

でもトリプルグリップとの相性はぶっちゃけイマイチですねw

 

しかし最近購入した現行品に装着されていたフックはラパラのシュアセットフックかよ!というぐらいの粗悪品なので注意が必要ですw

 

 

まあこの辺はアメリカンルアーあるあるなので、のんだくれは気にしないどころかむしろこれで釣ったるわ!的に楽しんじゃってますが、国産ルアー品質が基準になっているアングラーには看過できないところでしょうね。

 

ワンマイナスの入手方法

ワンマイナスの入手は比較的簡単です。

メルカリなどのフリマサイトで探せば大量に出てくるので、指に仕事してもらうだけですぐに手に入ります。

しかし逆に実店舗で探すのはちょっと苦労するかもしれません。

アクの強いルアーなので、アメリカンルアーに強い店だったり、お客さんに信念を持って商品を勧めているようなコアな店でない限りあまり置いていないというのが現状。

特にこのオリジナルサイズは西高東低で関東での遭遇率は低くなります。

実店舗では手に入りにくい事を嘆く声もありますが、逆にその状況はのんだくれ的にはちょっと嬉しかったりします。

だって今も生産しててめっちゃ釣れるルアーなのにあまり売ってないって、なんかトクした気分になりません?😁

その根底には、釣れ釣れルアーを人に使われたくない的なイヤラしい釣り人根性があるのは言うまでもありません😂

 

新旧ワンマイナスの見分け方

歴史の長いルアーだけに生産期によって違いがあるのかと思いきや、実は新型モデルが登場した最近まで仕様はほとんど変わっていません。

新型モデルに変わるまでの違いと言えばCA Prop 65規制によって鉛ウェイトが使えなくなり、サウンドがやや軽快になったぐらい。

しかし5年ほど前に新型に切り変わり、スムースフィニッシュボディからスケールフィニッシュに変わりました。

この新モールド版が大不評なので、その不評っぷりがどの程度なのか確かめるべくTWHにオーダーしたところ、なぜか届いたのは旧モールド版でしたw

 

 

よって、未だに新旧でどう違うのか確認できていませんが、一部では新モールドの方がイイという情報もあるのでちょっと期待していたり😁

まぁルアーに限らずですが、使ったこともないのに見た目だけで論評する人たちはどこにでもいますからね。

自分の目で確かめてもいないのに、あーだこーだと言うのはその辺のアフィリエイトサイトと一緒。

それでなくてもルアーは個人の好みが強く出るので、人のレビューは話半分で聞くようにしています。

なので皆さんも千一夜のノー書きを鵜呑みにせず、話半分で聞いておく事をお忘れなく。

 

ワンマイナスのネーム

ネームは右側に1- Minus、左側にマンズのエンボスモールドが入れられた、マンズコレクターがいうところのダブルスタンプ仕様になっています。

でもカラーによって全く見えなかったり、エンボスの具合が甘かったりとかなりブレがあるのもマンズの特徴。

ま、その辺のテキトーさも含めてのマンズということで。

 

おわりに

ぱっとしない造形にイマイチな塗りなど、現代のシャロークランクと比べるとどうしても見劣りがちなワンマイナス。

しかし発売から30年以上が経っているにも関わらず、米国プロの多くが My Go-Toだ!(Go-To Bait=必携ベイト)と胸を張り、そしてそれに見合った結果を叩き出しているという事実は見逃せません。

多くのアングラーから長きにわたって愛され続け、スーパーシャロークランクの開祖として語り継がれている現状を見ると、やはりワンマイナスは他のスーパーシャロークランクとは何かが違うんでしょうね。

 



ルアー千一夜 the Store
SNSをフォロー
ルアー千一夜
タイトルとURLをコピーしました